4月26日に、パリの語学学校に入学を申し込んで、授業料とホームステイの滞在費を支払い、その直前にアリタリア航空のローマ・パリ間の航空券も購入しました。

よさそうな学校がいくつもある中で、この学校を選んだのは、他の学校に比べて、「ホームステイを申し込む期限」が遅めに設定されていたからです。この日の午後に、学校側から、「今からでもステイ先の家族は見つかりますよ」とメールをもらって、それから、航空券の購入と授業料・滞在費を支払ったのですが、具体的に、ステイファミリーの連絡があるまでは、本当にホームステイできるかどうか、不安でした。
学校から連絡は早く、5月7日には、ホームステイ先が決まったという連絡がありました。ステイ先の紹介は、PDF文書1ページに、フランス語のみで、簡潔に書かれています。さっと目を通すと、ステイファミリーとなることが多い家族で、夫婦には年頃の娘さんたちがいるということです。奥さんが経済の先生(professeur d’économie)と知って、経済は個人的には苦手だけれど、教職に携わる人なら、共通項も多いからありがたいなと思いながら、家族紹介を読みました。

Famille non fumeur.
学校から、ステイ先に何か特に希望があるかと聞かれて、「煙草を吸う人がいない家族を」とだけ頼んでいたので、辞書は引かなくても、イタリア語で言うFamiglia non fumatriceだろうと見当をつけました。
出だしからFamille sympathiqueとあるので、安心しながら、目を通したのですが、最後の1文、というよりは、2語で、おやおやこれは、と少し心配になりました。
Un chien.
と書いてあったのです。フランス語をまともに勉強しだして、ようやく2週間ほどだったその頃でも、chien「犬」という単語はよく出てきたので、覚えていました。
犬が1匹……
数年前に、隣人の犬にひざの裏を噛まれて以来、犬に対しての恐怖心がなかなか克服できないのですが、実は、親しい友人の中にも、何人か犬を飼っていて、つながれることなく家の中を歩き回っている場合もあります。そういう犬たちは吠えることもないし、近づくことはあっても、噛みつくことがないのを知っているので、冷や冷やしながらも、友人宅で過ごすのですが、2週間ホームステイ先となる家に、犬が1匹いるのは……
犬は外だけにいて、しかもつながれているかもしれない。つながれずに家の中に入ってくるかもしれないけれど、よく留学生を受け容れる家で飼っていて、これまで問題にならなかったくらいだから、しつけもよくされているのだろう。ただ、犬というのは、人の恐怖心を嗅ぎ取って、ふだんは温厚な犬も、犬を恐がる者の前では吠えたり、威嚇したり、噛みついたりするかもしれない……
と、しばらくかなり悩んだのですが、「よく留学生を受け容れる、すてきな家族だろうし、犬も問題を起こしたことはなさそう。動物を飼っている家の方が、家族も親切なのではないか。もし仮に犬のいないステイ先を頼んだとして、そこでまた、今は思いつかない、自分としては望まない状況が生じるかもしれない。」という結論に達し、夫にも「気にすることないよ。」と言ってもらって、このステイ先でお願いすることにしました。

ただ、この文書を添付した、学校からのメールには、「到着時刻を知らせるために、奥さんに連絡を取ってください。」とも書かれていました。英語ですぐに連絡をすればよかったのかもしれませんが、やはりフランス語で書かなければいけないのではないかしらと思い、すぐには返事をせずに、もう少しフランス語の勉強が進んで、辞書を引きながらでも、ある程度の文が書けるようになってから、返事をすることにしました。今、その頃の学習記録を見ると、『Francese corso completo』では、第1課「ホテルで」と第2課「朝食」を終わらせたものの、『イタリア語のABC』と『新・リュミエール、フランス文法参考書』では、ようやく人称代名詞や動詞avoir・être(それぞれイタリア語のavere・essere、英語のhave・beにあたる動詞) を学習しているところでした。
ただ、「いくらフランス語で多少文が書けるようになってからと言っても、ぎりぎりになっては迷惑がかかる」と思って、昨日ようやく、奥さんへのメールを書きました。本文が約70単語という本当に短い文章なのですが、『和仏辞典』や『仏和辞典』、フランス語の各種参考書を使って調べながら、時に、自分で作った文章をGoogleで検索して、表現がおかしくないかどうか確認しながら書いていたら、書き終えるまでに、1時間半近くかかりました。午後3時37分にメールを送ると、午後5時59分に、早速返事がありました。ステイ先の家族とは言え、知らない相手だし、「フランス語ではイタリア語よりも、tuを使う範囲がずっと狭い」と知って、わたしはMadame+姓やvousを使って呼びかけたのですが、返事では、わたしに対してtuを使っていました。おそらくは奥さんの方がわたしより年上ではあると予想するものの、もしまたメールを書くとしたら、あるいは、実際にパリで会ったときに、どう呼びかけるのがふつうなのかなと、少し考えあぐねています。イタリア語でも、tuとLeiの選択には、地域差や個人差もありますし……

「パリへの到着時刻を知らせるメールを書く」という、ずっと気になりつつ、あとのばしにしていた課題を果たして、ほっとしたのですが、ようやくメールを送り終えた直後、すぐにいくつかの文法ミスに気がつきました。今の段階では気づけない間違いというのも、きっとあるはずですし、どう書いていいか分からないまま、とりあえず書いてみた部分もありました。ただ、次の二箇所については、よく見直していれば、正しく書けていたはずです。
一つはこちら。
L'Ecole de Langues Accord m'a écrit que
sa famille me receverra à Paris du 3 juin.
sa familleの部分なのですが、本当は
votre familleと書くべきところでした。イタリア語では2人称単数の敬称に、Leiという3人称単数を使うのですが、フランス語ではイタリア語のvoiに照応するvousという2人称複数の代名詞が、2人称単数の敬称に使われるのです。ついついイタリア語の癖が出てしまいました。
もう一つはこちら。
[…] je peux
venire à votre maison avant le repas du soir.
「夕食前には、お宅に到着できる」と書きたかったのですが、ここではvotre maisonと、所有形容詞は正しく使えているのに、「来る」という動詞が、フランス語の
venirではなく、-eが余分について、イタリア語のvenireになっていました。
フランス語がイタリア語と似ているために、イタリア語の知識がフランス語学習をかなり助けてくれるのですが、逆に、こんなふうに、イタリア語がフランス語に混入する間違い(専門用語で、「
言語転移」、イタリア語では
transfer(t)と言います)が起こりやすくなるので、注意しなければと思いました。

ちなみに、今フランス語を学んでいて、厄介で難しいと感じることの一つがRの発音です。手持ちの参考書によって、フランス語のRの発音方法の指示が異なるので、「これでいいのかな」と思いながら、CDで聞く音に近い音になるように意識して発音しています。最近、イタリア語を話していて、ごくたまにですが、自分で、イタリア語のRをフランス語風に発音しているのに気づいて、「あ、これはいけない」と思うことがあります。イタリア人にも、個人的な癖や欠陥などのために、フランス語風にRを発音する人が時々いて、こういうRを、
R mosciaとか
R alla franceseとか呼びます。大学の先生やニュースのアナウンサーの中にも、ごくまれに、このフランス語風Rで話す人がいるのですが、やはり聞き取りづらいし、何より、イタリア語とフランス語の発音は区別しなければいけないので、イタリア語を話すときに、フランス語と混同しないように、気をつけたいと思います。今、いろいろ検索していたら、このフランス語風Rを克服したいイタリア人向けに、練習方法を紹介する映像を見つけました。
イタリア語のRは、舌先を、上の歯茎の歯のつけ根あたりで、振動させて出す音です。Rが語頭にあったり、rrと二重子音になったりしている場合には、舌先を数回震わせるのですが、rが単独で、かつ語中・語尾にある場合には、一度震わせただけで構いません。一方、発音がR mosciaになってしまう人は、舌先を歯茎の付け根付近で震わせる代わりに、舌の後方をのどの奥で震わせてしまうのです。
上のビデオ映像では、「歌を歌いたいのに、フランス語風にしかRが発音できずに、困っている人」に、三つの発音矯正練習を勧めています。「イタリア語のRの発音が苦手だ」と思う方は、参考にしてください。
1.laを連続して、繰り返し言う。だんだん速度を上げ、最後にはとても速く言い続ける。
2.taを連続して、繰り返し言う。だんだん速度を上げ、最後にはとても速く言い続ける。
3.tlaを連続して、繰り返し言う。だんだん速度を上げ、最後にはとても速く言い続ける。
LやTの音は比較的発音しやすい子音であり、舌先を、上の歯の歯茎のつけ根あたりにつけて、発音します。この二つの子音を、速い速度で反復し続けることで、舌先を、Rを発音すべき正しい位置に置き、かつ、何度も震わせる訓練ができるので、1から3の練習を何度も繰り返せば、巻き舌のRを発音できる準備が整うというわけです。
話が逸れましたが、こんなふうに、パリに行く日が少しずつ近づき、パリ滞在が少しずつ現実的なものになりつつあります。今、『ABC』は115ページまで、『新・リュミエール』は118ページの途中まで、『Corso completo』は第4課まで勉強しています。動詞の「直説法現在」さえ、まだいろんな不規則動詞の活用を学習している最中なのですが、徹底的に覚えるこむことより(これは時間と練習を重ねないと不可能)、他の文法項目や会話をできるだけ学ぶことを優先したいと思っています。『Corso completo』が第4課までしか進んでいないのは、第4課で、早くも「複合過去」(イタリア語で言う「近過去」)が登場したので、これ以上先に進む前に、まずは直説法現在を、他の入門書で、学習し終えておきたいと思ったからです。出発まであと10日足らずで、どこまで勉強できるかどうか分かりませんが、できるだけ頑張って、先に進むつもりでいます。
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