若鳥の大冒険

 4月22日木曜日の夕方に、居間でアイロンがけをしていたら、開け放した窓から小鳥が入ってきて、部屋の床の上を歩き始めました。急いでカメラを取りに行き、帰ってくると、もう姿が見えません。あきらめて、アイロンがけを続けていると、しばらくしてから、テラスの方から、バタバタとにぎやかな羽音のようなものが聞こえてきました。
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これが、その小鳥。最後にテラスから飛び去る直前に至近距離から撮った写真です。


 では、時間を追って、この小鳥の動きを見ていきましょう。
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 傾きつつある太陽の光がさんさんと降り注ぐテラスで、陽だまりで暖をとっているのか、それと景色を眺めているのか。とにかくとても真剣にしていることに没頭している様子です。
 そうして、しばらくたたずんだあと、テラスから庭の大木に向かって羽ばたいて行きました。
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 イタリアの家庭では、日本人がおかずに合わせてごはんを食べるように、おかずと共にパンを食べます。パンくずが散らからないように、毎回食事のたびに、食卓に布製のテーブルクロス(tovaglia)を広げ、食事が終わるとパンくず(briciole、複数形で使います)を室内に落とさないように庭や庭に面した窓まで運んで、パンくずをテーブルクロスから庭の上に払い落とします。こうして、近所を飛び回る小鳥たちにパンくずをごちそうするわけです。

 我が家の庭にも、パンくずをふるまうことも多く、またサクランボや西洋ナシなどおいしい果物の木もあるため、さまざまな種類の小鳥たちがたくさんいます。毎朝早く、そして今こうして書いている瞬間もにぎやかな小鳥たちの歌声が聞こえてきます。

 けれども、部屋の中やテラスの中を小鳥が歩くのはこれまで見たことがなかったので、しかもそれが2階の部屋・テラスのことですから、この小鳥がのんびりと歩き回ったりたたずんだりしているのを見てびっくりしました。
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 しかも、この小鳥さん、よっぽど日の当たるテラスが気に入ったのか、もうしばらくしてから、再びバタバタとにぎやかな羽音を立てて、テラスに戻ってきました。わたしも再びアイロンがけを中断して、カメラ片手に小鳥を観察します。よっぽどこの位置が気に入ったのか、今回も何やら一心に外の景色を眺めています。

 が、そのうち、トコトコとテラスの中を歩き回り始めました。「あれ! なんて不思議な場所なんだろう。こんな地面や木(壁です)、見たことがない。」とでも言うところでしょうか。好奇心いっぱいにあちこち歩き回り、飛ぼうとして壁にぶち当たってしまったりしています。
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 自分から壁にぶつかっていったのに、壁を巨大な恐ろしい怪物だとでも思ったのでしょうか、今度はスタスタと小走りをして、再びお気に入りの場所まで戻っていきます。このあと、もう一度長い間じっと外の風景を眺めていました。わたしがカメラ片手に近づくと、「あなた、何してるの」とでも言いたげな風情で振り向いたのですが、その瞬間をとらえたのが一番上の写真です。
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 あとに夫に話し、写真を見せると、まだ生まれたばかり、飛び始めたばかりのムクドリ(storno)だろうとのこと。くちばしの形や敵(nemico)と味方(amico)の区別がつかない様子から、幼い小鳥だと分かるそうです。

 わたしは、夫が持っている鳥の図鑑(下の写真)で、この小鳥の名前を確かめることにしました。
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 まずは夫のいうstorno(ムクドリ)がどんな鳥かを図で確認してから、すべてのページをめくって、他の鳥ではないことを確かめたのですが、小鳥の色や、くちばしと体の形などから、間違いなくムクドリだということが分かりました。
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 上の写真で、storno「ムクドリ」のgiovane「若鳥」と説明されている小鳥は、わたしたちのテラスで日向ぼっこをしながら景色を楽しんでいた小鳥にそっくりです。

 我が家の庭には、猫がたくさんいます。猫が増えすぎた近所の家に頼まれて、応援のために、またネズミ対策のために、猫に残飯をやることが多いので、隣人の飼い猫や野良猫でしばしばうちの庭で闊歩したりのんびりしたりする猫もいるし、そうした猫から生まれた子猫も何匹かいます。

 お義母さんは、「猫のおかげでネズミがいない」と喜んでいますが、田舎には多いトカゲ(lucertola、イタリアで見かけるものは薄緑色で日本のものに比べると小ぶりで愛嬌があります)が緑の多い我が家にまったくいないのは、猫が食べるからだと夫は残念がっています。

 夫が庭仕事の最中に、小鳥の巣をねらう猫を遠ざけることもよくあり、「草刈りの最中に、猫が襲って食べ小鳥の頭が、食べ残されて庭に転がっていた。」と夫が憤ることも何度かありました。

 というわけで、我が家の庭や1階のテラスには天敵が多いので、夫は、「まだ、幼いし、右も左も分からず、うまく飛べない小鳥だから、2階のテラスはかえって安全だ。」と安堵するのでありました。

 あんなに真剣にムクドリの子供が眺めていたのは、一体何なのだろう。そう思って、今朝テラスでムクドリの目の位置から、その目がじっと見つめていた方角に向かって撮影したのが、次の写真です。
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 すでに花の散り終わった桜の左側にある大木。実は、小鳥はテラスを去ったときに、2度ともこの大木に向かって飛んで行き、その葉陰に隠れてしまいました。「たぶん、この木のどこかに親鳥が作った巣(nido)があるのだろう。」と夫は言います。

 初めて自分の翼で飛び始めたばかりのムクドリさん。自分の家がある大木や巣を少し離れたところから見てみたかったのでしょうか。それとも、木の上の巣と同じ高さに不思議な平地があることを疑問に思って、思索にふけっていたのでしょうか。単に、のんびり日光浴ができる眺めのいい場所を見つけて、無心にくつろいでいただけかもしれません。

 また帰って来てくれたらいいな、と期待して、わたしも時々テラスを眺めに行くようになりました。

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by milletti_naoko | 2010-05-01 12:00 | Fiori Piante Animali | Trackback | Comments(0)
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