アグリトゥリズモの夕宴

 農場を営む夫妻、エーレナとブルーノから、7月7日、夕食に招待されました。この農場・アグリトゥリズモ、プレッジョ(Preggio)は、以前にもご紹介したように(記事はこちら)、ペルージャ北方の村、プレッジョにあります。

 緑の丘に囲まれたアグリトゥリズモに到着すると、エーレナが愛犬たちと共に、わたしたちを迎えてくれました。
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 さっそく農場内をいろいろと案内してくれたのですが、見ていてとにかく微笑ましかったのは、卵からかえったばかりのヒヨコたちです。
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 小さくかわいいヒヨコたちは、母親が歩き出せば、列をなしてしずしずと後についていき、母親が立ち止まれば、一斉に止まって、辺りをキョロキョロと見回します。この「刷り込み現象」は、遠い昔に生物の授業で習いましたが、こうやって振る舞う小鳥たちを見るのがこんなに楽しいとは思いも寄りませんでした。
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 写真左手前にはローズマリーがあり、その奥にオリーブの木々が並んでいます。のんびりとくつろぐ犬たちの右手奥には、ブドウ畑が広がっています。
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  敷地内には、ミツバチの巣箱もあります。そもそもわたしの夫がエーレナと知り合ったのは、今年の春に同じ養蜂の講習会に参加したからです。
 
 今回、エーレナがわたしたちを招待してくれたのは、夫が彼女にトマトと花の苗をたくさん贈ったお礼です。

 夫がかつて会員であったCiviltà Contadina(「農民文化」と訳せるでしょうか)という協会は、イタリアに伝統的に栽培されてきた農作物を、次の世代に伝えていくことを目標の一つに掲げており、そのために、希望する会員がいれば、そうした農作物の種を無料で配布しています。この在来種のトマトを、夫が種から育てたものを、昨年の夏に食べたのですが、パスタに使うトマト・ソースにすると、ほどよい甘みとコクのある非常においしいソースができ、生で食べても、味わいが深くて、それはおいしかったのを覚えています。
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右にあるのが、この従来種のトマトです。撮影は昨年8月。今年はまだ熟していません。

 見かけが少し不恰好で、さらに最近の品種に比べて病気に弱いこともあって、最近はこの伝統的な従来のトマトが姿を消しつつあるのだと思うのですが、夫は、エーレナが有機農業を志していることを知って、昨年収獲したトマトの種から育てた苗を50本ほど贈ったのです。この日の晩、エーレナは譲り受けたトマトの苗すべてを植えつけた畑も案内してくれました。
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 いよいよ夕食です。ワインは、ウンブリア州自慢のグレケット(Grechetto)。イタリア北部出身で味にうるさいブルーノと質にこだわるエーレナが選んだだけあって、さわやかでおいしかったです。
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 前菜には、プレッジョ産のサラミソーセージ、そして、ペコリーノチーズにソラマメのクリームを添えたものをいただきました。
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 プリモは、エーレナ手作りのラザーニャ。目にも留まらぬ速さで、次々と皿に盛りつけていきます。エーレナは、今年8月に滞在を予約した日本人女性から、料理講習を頼まれていて、引き受けたのはいいけれど、英語で大丈夫だろうかと、ひどく心配しています。英語とイタリア語しか説明のないサイトを見て申し込んだくらいだから、英語でも大丈夫なはずだと、励ましました。
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 セコンドの肉料理も、付け合わせのズッキーニと玉ネギも、味がしっかり素材に染み込んでいて、おいしくいただきました。今回は友人として招かれたので、エーレナ自身が腕をふるってくれましたが、アグリトゥリズモに宿泊する場合には、料理を専門に担当する女性が、夕食を支度することになります。

 一つひとつの部屋の設備も豪勢なため、わたしたちから見ると、宿泊費が非常に高いのですが、エーレナによると、夕食に関しては、希望する宿泊客全員に提供していると、現在の料金ではむしろ赤字になってしまうので、今年いっぱい様子を見てから、来年以降どうするかを考えたいということでした。イタリア各地で、アグリトゥリズモやホテルに泊まってみると、規模の小さいところでは、夕食は週末やイベントのある日のみ、あるいは客の人数が多いときのみというところも多く、他の日には、近所のおいしいレストランを紹介してくれることも多かったのは、そういう事情があるからか、と思い至りました。
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 これはエーレナが、すべての仕事を法に則り、税金もきちんと払った上で、客においしく質の高い食材を提供し、料理人にも相応の給料を払おうとしているためでもあります。アグリトゥリズモやホテルの経営者の中には、エーレナと同じように、質のよいサービスを法に則って客に提供しようとする人も多い一方、残念ながら、ふつうの家庭料理と大差ない素朴な夕食を法外な値段で提供するアグリトゥリズモもあれば、客に領収書を渡さない、つまり、本来払うべき税金をごまかそうとするような宿の主人もいます。

 最近は、地方料理をうたう店でも、経営者や給仕がその地方出身ではなかったり、イタリア人ではなかったりということも、増えてきた気がします。ただし、今月旅行していて思ったのですが、外国から来た料理人の方が地元のコックよりも、よっぽどおいしい地元料理を作る場合もあるので、皆さんも、イタリアを旅行する際には、料理人や給仕の国籍や出身地に目くじらを立てないようにしてくださいね。
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 最後のデザートは、わたしの夫手製の、パイナップルとココナツのティラミスです。マスカルポーネの代わりに、クリームに生クリームを少々加えてあり、ビスケットにはパイナップルの果汁がたっぷり染み込んでいます。さわやかな夏の味がおいしく、エーレナとブルーノも喜んで食べていました。

 こうして、おいしいものを味わいながら、皆でおしゃべりを楽しむうちに、夜が更けていきました。

 上の写真にはブルーノ、エーレナとわたしだけで、撮影した夫が写っていないこともあり、ティラミス作成中の夫の真剣な姿をご披露して、締めくくりとします。
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-07-23 23:27 | Umbria | Trackback | Comments(0)
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