イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

アプアーノ・アルプス1

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 7月17日土曜日、百の湖自然公園(Parco dei Cento Laghi)を後にしたわたしたちは、アプアーノ・アルプスを訪れるために、車で南東へと向かいました。

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 アプアーノ・アルプス山岳地帯(Le Alpi Apuane)は、トスカーナの北西部、リグーリアとの州境近くに位置し、その山並みは、海岸線に平行してそびえ立っています。

 古代ローマ時代から大理石の採掘が行われ、現在も、その大理石は世界中に輸出されています。あのミケランジェロが、この地域で採れる大理石に魅了され、しばしば足を運んだだけではなく、理想の大理石を求めて、長くとどまったこともあるほどです。

 ペルージャからチンクエ・テッレに向かっていたとき、途中の車内から、アプアーノ・アルプスの山々の高みが、白く見えました。夫に雪かと尋ねたら、大理石の採石場(cava di marmo)だと教えてくれたのですが、それほど数多くの採石場が点在し、山が白い肌をむき出しにしていました。

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 前日、アッペンニーニ山脈の尾根からは、アプアーノ・アルプスが、重なる山並みの一番奥に、遠く雲や霞に包まれて見えていました。

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 車で近づくにつれて、アルプス・アプアーノの威容が、だんだん大きく、そして、はっきりと見えてきます。

 昼食は、途中のジュンクンニャーノ(Giuncugnano)村で取りました。

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Santuario di Nostra Signora della Guardia (Giuncugnano)

 アルジェンニャ山(Monte Argegna)にあるこちらの教会は、1894年9月27日の晩に、民衆の信仰心を高めようという集まりに参加していた二人の神父が、まったく同じ夢を見たことをきっかけとして、建てられました。夢の中で、二人が見たのは、広い草原に立つ小さな教会です。教会には、聖母マリアの像があり、たくさんの巡礼者が列をなして歩いていました。

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 その翌年から教会の建設が始まり、今ではまさにその夢のとおり、広大な草原の中に、小さな教会が立ち、その祭壇には、幼子イエスを腕に抱えた聖母マリアの像が、祀られています。

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 広い草原では、子供たちがボールで遊んだり、人々が木陰に寝そべってくつろいだり、本を読んだりしていました。

 わたしたちが昼食をとったのは、教会のすぐ右横にあるレストランで、その名もCasa del pellegrino(訳すと、「巡礼者の家」)。思いがけず、パスタがとてもおいしかったので、わたしも夫も大喜びです。

 次の宿泊先、滞在先を探しながらの車での移動が続きます。昼食後、二人ともすっかり疲れていたので、道路わきの木の陰に車をとめて、一休みしました。

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 そうして、夕方に訪れたのが、オレッキエッラ自然公園(Parco Naturale dell’Orecchiella)です。写真は、公園内にある山の庭園(Giardino di montagna)で、色とりどりの鮮やかな花が、それは美しかった(記事はこちら)ので、二人とも胸を躍らせながら、散歩をしました。

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 公園内には観光案内所(上の写真)もあり、トレッキングや宿泊の情報が充実していて、お土産も売っていました。ただ、トレッキング・コースがどれも短距離・短時間で、しかも興味深いコースはガイド付きでなければいけないため、自然の中を自由に歩きたい夫は難色を示します。

 というわけで、二人とも疲れ果ててはいたのですが、宿泊先を探して、さらに先へと進みます。

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 山の庭園の向こうに聳え立つコルフィーノの岩壁(Pania di Corfino)を背に出発し、近くのコルフィーノ(Corfino)村に宿泊することになりました。

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 こちらが、その宿の写真です。「眺めがよい」(panoramico)という名を持つだけあって、アプアーノ・アルプスの連峰が遠くにですが、よく見えます。

 こちらの宿に着いたのは、午後7時頃。二人ともすっかり疲れ果て、宿の主人から「満室で貸せる部屋は、ここだけなのだが、いいか」と聞かれて、部屋を見て、了承しました。
 
 広いアパートで寝室以外にも大きな部屋が一つ、そして台所まであるのに、朝食・夕食つきの宿泊代が一人35ユーロとは安いと思ったのですが、後から電気をつけてよく部屋の中を見ると、床にはホコリがたまり、寝室は、朝カビを駆除したばかりで、窓を開け放しても、カビ取り剤の強烈な悪臭が鼻につきます。翌日から宿泊予定の客のために、アパートを準備している最中なので、空室だったわけです。

 結局、ホテルにほうきを借りて、台所を掃除し、台所にあったもう一つのダブル・ベッドで眠ることにしました。やはり行き先や宿泊先を決めずに、旅に出かけると大変だと、つくづく思いました。

 夕食はとてもおいしくて、給仕の青年が日本のアニメのファンだと言って、満面の笑顔で給仕をしてくれました。夕食込みの宿泊の場合、プリモ、セコンドなどが数種類ある中から、自分が好きなものをそれぞれ一品ずつ選んでいく場合が多いのですが、この宿では、客が多いためもあってか、一品だけでなく、何品でも味を見て、好きな料理を好きなだけ頼むことができました。どの料理もおいしくて、とくに最後のデザートでは、いくつでも味を見て、いくらでも食べることができて、とてもうれしかったです。

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 これは、翌朝に宿泊した部屋のテラスから撮った写真です。朝日を浴びて、アプアーノ・アルプスがくっきりと見えました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-08-31 18:10 | Toscana | Comments(0)