モヤシが食べたければ

 日本に住んでいた頃は、モヤシを特に好んで、買ったり食べたりしていたわけではありません。にも関わらず、ここイタリアでは、スーパーなどで、缶入りのモヤシを見かけると、夫の抗議をふりきって買うことがよくあります。ふだん見かけない希少品なので、目に入るとほしくなる、ということもあるかもしれませんが、家で、「日本の味」と懐かしみながら食べることになります。

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 ただし、夫が反対するのは、モヤシが嫌いだからではありません。わたしが、

「モヤシは健康にもいいんだから。」と言うと、

「モヤシを食べたければ、種から育てるんだね。生のモヤシはともかく、こんな缶入りのものでは、栄養価も低いし、何が添加されているか知れたものじゃない。」

と夫が切り返すのが、わたしがモヤシの缶に手を伸ばすたびに、ほぼ確実に繰り返されるやりとりです。それでも買うときと、あきらめるときとどちらかが多いかと言うと、買うときの方が多いかと思います。

「種を買うって、一体どこで大豆の種が売っているっていうのよ。」
が、わたしの決めの一言でした。

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(確かに、原材料をよく見ると、砂糖・塩・酢に加えて、食品添加物も二つ並んでいます。)

 イタリア語では、モヤシを「大豆の芽」(germogli di soia)と呼び、しょうゆは「大豆のソース」(salsa di soia)と言います。大豆(soia)を使った食品が日常生活と切り離せない日本では、「モヤシ・しょうゆ」という独自の名前を持った食品が、イタリア語では「大豆の」(di soia)という形容を伴って呼ばれるのは、やはり、これまで食されることのなかったものだからでしょう。

 一方、豆腐や味噌については、すでにイタリア語でも、tofu、misoという言葉が浸透しつつあります。ただし、「豆腐」を知らない人に説明するのに、「大豆で作ったチーズ」(formaggio di soia)と書いてあるのも、よく見かけます。

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 イタリアにも、豆類は豊富にあります。我が家の野菜畑にもあるソラマメ(fave)や豆が育つ前に青野菜として食べるサヤインゲン(fagiolini)。ウンブリア州の南にあるカステッルッチョ(Castelluccio)産のものがおいしいとされるヒラマメ(lenticchie)。(豆類の名は、複数形で使うことがほとんどなので、すべて複数形で記しています。)

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 除草剤を使わないため、ヒラマメの花と共に野の花も美しく咲くカステッルッチョ。(2008年6月26日撮影)

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 他にも、ヒヨコマメ(ceci)に各種のインゲンマメ(fagioli)など、食卓に上り、店で見つける豆類の種類も豊富です。しかし、そういう豆類の中に、ごくまれにazuki(なぜか緑色の小豆)を見かけることはあっても、大豆(soia)を見かけたことはありませんでした。

 というわけで、先日も、「他に食べる方法がないんだから、仕方ないでしょう。」と、夫の反対を押し切って、モヤシの3缶パックを買ったところでした。

 それが、なんと昨夕、夫が園芸店で、モヤシを育てて食べることができる大豆(soia)の種を、見つけて買ってきてくれたのです。

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 二人で裏面の育て方を見てみると、手間はかかるけれども、それほど複雑ではなく、5日間ほどで、種からモヤシが育つようです。そこで、

「イタリアで新鮮なモヤシが食べられるなんて! さあ、今にも栽培を始めましょう。」と提案したら、

「この間買った3缶を食べ終わってから。」

ともっともな反論をされてしまいました。

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 というわけで、今日からさっそくモヤシ3缶の消費に取りかかりました。

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 大量消費のために、まずは昼食用に一缶開けて、水気を切り、サニーレタス、ニンジン、トマトやゆで卵と共に、ミックスサラダを作りました。

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 一人で食べる昼食なので、サラダと玄米ごはんですませました。ちなみに、イタリアのレストランでは、サラダにレタス以外にもトマトなど他の野菜が加わったものを、insalata mista(ミックス・サラダ)と呼び、これにさらにたんぱく質を含むチーズ、ゆで卵あるいはスモーク・サーモンが加わった場合は、店独自の名前をサラダにつけたり、あるいはinsalatona(直訳は「大型サラダ」?)と呼んだりしています。

 旅行中に食べ過ぎて、おなかがもたれたり、夜遅くにピザ屋に行ったりしたときに、わたしがよく頼むのが、このinsalatonaで、パンもついてくるので、野菜もたんぱく質類も、そして穀類もバランスよくとることができます。

 我が家では、夫も昼食を取るときは基本的にパスタを作りますが、夕食ではセコンドと野菜料理を用意し、夫はパンと、わたしは玄米ごはんと食べるようにしています。時にはリゾットやチャーハン、巻き寿司などを作るので、そういうときには夫もごはんを食べるのですが、白米や玄米のごはんだけを食べることには抵抗があるようです。週に1、2度は、たんぱく質の豊富な豆類のスープをセコンドの代わりに食べるのですが、そう言えば、夏は暑いので、最近は豆スープを作っていませんでした。

 どうも話がそれましたが、今晩のハンバーグもモヤシ入りにして、できるだけ早くモヤシを食べてしまって、モヤシ栽培に移り、皆さんに結果をご報告できたらと思っています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-09-08 17:30 | Gastronomia | Trackback | Comments(2)
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Commented by ゆん at 2010-09-10 13:11 x
もやしの缶詰、初めて見ました!
新鮮な袋詰めを見慣れているせいか、缶詰もやしに関してはご主人の意見に同感してしまいますが、貴重な日本の食材ですもんねー。なおこさんのお気持ちもよくわかります。
あちらは缶詰野菜が日本よりはるかに充実してますね。
旅行中スーパーをのぞくと、種類の豊富さに驚きます。

もやしの種、見つかって良かったですね。
私は入りゴマや豆板醤・ごま油・おろしにんにくと和えて、ナムル風に作ったりしますが、いかにも食材が東洋的ですね^^;

insalatonaと言うのですね。
次回(いつかわかりませんが)の旅行の為に覚えておきます!
Commented by milletti_naoko at 2010-09-10 15:54
もやしは中華風に料理するのも好きなのですが、ゴマ油も非常に値段が高いので、買ったり使ったりするのに、ついつい躊躇してしまいます。ゆんさん風もやし料理も、いつか作ってみたいと思います。ただ、外国の調味料がとにかく高いので、選択するとなると、厳選して日本の酒やしょうゆ、みりんを買うことになります。

insalatonaはどの店もたいてい下に、かっこ入りでサラダに入っている具の名前が列挙してあります。サラダ菜やトマトまでは定番で、よく見るのがトウモロコシやニンジン、オリーブ、ゆで卵やツナ、パルミジャーノ。クルミが入ったりしている店もあります。店によっては、盛りだくさんのサラダの種類がたくさんあって、insalata nizzardaとかinsalata caraibi(ニース風サラダ、カリブ人のサラダと言っても、本当に各地でそういうサラダを食べるかは不明)などさまざまなサラダがメニューに並び、この場合も、サラダ名の下に材料名が列記してありますよ。
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