逃げた白いハト

 捕鯨問題ではありませんが、食用とする動物には文化によって違いがあります。イタリア、ウンブリア州の料理も、義母の料理も、わたしは基本的に好きなのですが、どうしても食べられないものが一つあります。それは、ハト(piccione)の肉です。

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 我が家では、ウサギ(coniglio)やメンドリ(gallina)と共に、ハトも飼育していて、こうした動物たちの肉が、時々食卓に上ります。たいていの場合は、大家族が全員そろう日曜日の昼食時に、セコンドの肉料理として出され、肉の処理は義父母が、料理は義母が担当します。ローズマリーなどの香草やニンニク、オリーブ・オイルを使って、オーブンで丸焼きにして、食べることが多く、上の写真はこうして調理されたハトの肉の写真です。

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今年4月に、花盛りのリンゴの木と撮影

 生きている姿を見かけるのは、メンドリたちも同じことなのですが、鶏の肉は日本でも食べるためか、それとも食卓では肉を小さく切り分けてあるためか、食べるのに抵抗がありません。ウサギの肉にしても、最初はとても抵抗がありましたが、やはり小さく切り分けた肉が食卓に上るためか、食べられるようになりました。

 ただ、ハトの肉だけは、日本で食べる習慣がないことに加えて、皿に盛り付けてあっても、生きていたときの姿が生々しく想像できるために、わたしはまだ食べたことがありません。上に載せた今日の食卓に上がったハトは、大きかったために、切り分けてありますが、もっと小さいハトの肉がその姿のまま焼かれて、皿に盛られていることの方が多いのです。

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 さて、9月8日水曜日の夕方のことです。我が家で飼っていた4羽のハトたちが、義父が目を離したすきに、一羽残らず逃げてしまいました。寝室を片付けていたわたしは、突然白いハトが飛んで来て、窓の下枠に止まったので、びっくりしました。

 そこで、隣の部屋にいた夫を呼ぶと、「小屋から逃げたようだ」と言って、すぐにハトを捕まえようと試みます。ところがハトは、夫が近づく気配を察すると飛び立って、隣にある居間のテラスへと飛んで行きました。

 夫も部屋を追いかけてテラスへと行き、今度は慎重に、後ろからハトに忍び寄ります。(上の写真)

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 今回は、見事ハトを捕まえることに成功して、ハトを運んで行きました。そして、義父から、ハトが4羽すべて逃げてしまったことを聞きつけました。義父自身も1羽は捕まえたのですが、後の2羽はまだ見つかっていないとのことです。

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 そこで、家中を回って、窓から外を見渡すと、逃げたハトの1羽が、隣の家の赤い屋根の上に止まっているのが見つかりました。屋根の左下の隅の、オリーブの枝葉の間に、ハトが見えます。

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 空を自由に飛び、景色を見渡せることが、うれしいのでしょう。しばらくたたずんで、周囲を見回していました。そして、やがて飛び去って、わたしたちの視界から消えてしまいました。

 結局、この逃げた2羽のハトは戻って来ませんでした。

 今日の昼食の食卓で、義母言わく、「伝書バト(piccione viaggiatore)なんだから、方向感覚はありそうなものなのに、まのぬけたハトたちね。うちに帰って来られないなんて。」

 「うち」と言っても、下手に帰って来れば、死を迎えるまで、狭いおりの中で暮らすだけです。頭がいいから帰って来ないのではないか、とわたしは思ったのですが、それは言いませんでした。

 猫や犬、ハトの肉を好む人間など、周囲に天敵はたくさんいます。逃げ出したハトたちに、せっかく得た自由を存分に楽しんで、末永く生きてもらいたい、と思うのでした。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-09-12 18:20 | Fiori Piante Animali | Comments(2)
Commented by ゆん at 2010-09-16 21:34 x
ご主人、捕獲大成功ですね!
さすがっ(*^^*)
Commented by milletti_naoko at 2010-09-16 22:22
お義母さんも大喜びしつつ、「一体どうやって捕まえたの」とびっくりしていました。

わたしはハトには逃げてほしかったのですが、夫によると、外で自由に生きるのに慣れていないので、逃げても苦労しただろうとのことです。
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