イタリアの歯医者と保険その2

 まずは以前の記事、「歯医者でびっくり、日伊の違い」(リンクはこちら)の訂正、補足です。

 千穂さんのコメントを受けて、インターネットの記事を読んだり、夫や知人に話を聞いたりして調べていたのですが、その結果、「ペルージャにも、普通の虫歯に保険の利く私立歯科医院が存在する」ことが分かりました。

 ただし、この場合の保険は、留学保険や海外旅行傷害・疾病保険の保険ではなく、イタリアの国民健康保険のことです。留学保険については、契約した保険会社にもよると思いますが、わたしがかつて契約していた保険会社では、歯科治療・通院は保険の対象外でした。

 長くイタリアに在住、あるいはイタリア人の伴侶がいて、イタリアの国民保険、つまり、国民保健サービス機構(SSN、Servizio Sanitario Nazionale)に加入されている方は、十分ご存じだと思うのですが、SSN加入者であれば、原則的に、地域保健所(ASL、Azienda Sanitaria Locale)の専門科の受診や治療は、無料あるいは小額の事故負担金(ticket)を払うだけです。また、各地域に保健所と提携を結んだ専門科の私立病院があり、そこでは診療・治療代が割安になります。

 SSNに加入すると、まずは自分のかかりつけの一般医(medico di base)を選び、専門科にすぐ行くのではなく、まずはこの医者に診療を受けて、どの専門科に行けばいいかを指示してもらいます。保険が利くようであれば、この一般医から、ASLの診療(投薬・治療・入院)許可証(impegnativa)を受け取って、この許可証とSSNのカードを中央統一予約センター(CUP、Centro Unico Prenotazione)に提出し、診療の予約を入れてもらいます。このCUPは、ペルージャではASL内にもある上、薬局の窓口でCUPの出張所となっているところもあります。風邪など一般医の診療だけで済む場合には、診療は無料で、これも医師の処方箋と発行してもらった投薬許可証(impegnativa)を薬局に持っていけば、病気や薬にもよりますが、基本的に割安で薬を購入できます。

 よくよく話を聞き、調べてみると、歯科治療やその料金の扱いも、ASLでは他の専門科と同じ、つまりSSN加入者であれば、ASL内の歯科医に、どんな虫歯も無料あるいは格安料金で治してもらうことができるし、ASLと保険契約を結んだ私立病院では、お得な料金で歯科治療が受けられるということです。

 実は、ペルージャでも、ASL(地域保健所)内に歯科医がいて、以前、義弟が無料で歯科治療を受けていたそうです。ただし、かぶせ物が何度も取れてしまうような腕の悪い医者であったため、夫の家族はその後、二度とASLの歯科治療は受けなくなってしまったということです。

 また、夫自身も何年も前に、ASLと提携しているペルージャの私立歯科医院で割安の治療を受けたことがあるそうです。が、今となっては覚えていない理由で、以後は私立歯科医院を利用しているようです。

 前回、そして今日わたしが歯科治療を受けた私立歯科医院の場合は、ASLと保険契約を結んでいないために、ごく一部の治療を除いては、保険が利かないということなのでしょう。

 ちなみに、この「イタリア国民健康保険と歯科治療」については、medicina-benessere.comの記事(リンクはこちら)に詳しく書かれています。

 安く歯科治療が受けられるにも関わらず、「イタリア人の8パーセントだけが、公の歯科治療サービスを利用し、あとの92パーセントは、私立病院を選ぶ」理由を、記事では、私立病院の方がすぐに予約を入れることができるから、としています。

 実際、地域にもよるでしょうが、専門科によっては、予約がいっぱいで、2か月先でないと診療が受けられないということがまれではなく、そのために、すぐに予約が取れる私立病院に駆け込む場合もあります。

 さて、訂正・補足が長くなりましたが、今日は、イタリアで2度目の歯科治療に行って参りました。

 なんと前回は、まだ虫歯をすべて削り終わっていないことが、今日の午後になって分かりました。前回歯に薬を詰め込んだのは、患部が治療中痛まないように麻痺させるためだそうです。

 虫歯はかなり深かったようで、麻酔注射を打たれ、治療が始まりました。

 事の真偽は今から調べなければいけないのですが、夫がどこからか「水銀を含む合金の詰め物をすると、体内に少しずつ蓄積されて、健康に害を及ぼす」と聞いてきて、わたしにも、合金ではなく白い詰め物を頼むように、強く言っていたので、今回は白い詰め物をお願いしました。

 実は先週の治療の後に、夫は、「歯科医が自分に聞きもせずに、希望に反して、水銀入りの合金の詰め物をして。」と言って、ひどく立腹していたのです。

 どういう詰め物にするかは、わたし自身も、日本の歯科医からも治療前に選択を迫られたことがなく、歯医者によって、白かったり合金だったりしたので、わたしは、歯科医が最適と思うものを選んだろうくらいに軽く考えていました。

 この歯科医に言わせると、「保健省が認めているくらいだから、健康に支障はないはずです。どちらでも値段は変わりませんが、白い歯は美容上いいけれども耐久性がなく、合金の方が2倍長持ちするから、合金を使ったんですよ。」ということです。

 恥ずかしながら、わたしは歯並びが悪いだけではなく、かつて治した虫歯も多いのです。今回の虫歯は、すでに治療した2本の虫歯に挟まれていて、しかもこの日本での治療が合金でされていたため、妙に責任感の強い、あるいは美的感覚にうるさい歯医者さんは、「銀の詰め物をした2本の歯の間に、一本白い詰め物の歯が入ること」が、美的に(?)に許せなかったようで、わたしが何も知らずに口を開けている間に、今回の虫歯を削り取ったあと、この両側の2本の合金の詰め物もすべて取り除いて、この三つの穴に、すべて白い詰め物を詰めてくれたのです。

 ずいぶん長い間いつまでも口を開けていなければならず、しかも何だか日本でよりもその口の開け方がひどく大きくて、つらくて仕方がありませんでした。でも、イタリアでは、治療時間がこうも長いものなのかと思っていました。幸い歯そのものは、麻酔注射以後は痛みませんでした。

 初めに聞いてくれていたら、他の2本の合金は放ってくれておいてよかったのに。善意のお医者さんを恨んでいいのか、白い詰め物にこだわった夫を恨んでいいのかよく分からないまま、記事を書いています。

 午後4時10分頃から始まり、治療が終わって病院を出たのが、午後5時10分ですから、実に長い間治療が続いたことになります。あ、でも、こんなに長い治療はあくまで例外だと思います。最後の10分くらいは、夫と歯科医が「歯の詰め物論議」を尽くしていましたし……(治療後の話です)

 前回、夫の虫歯1本の治療は80ユーロ。わたしの今回の治療も、本来の虫歯は1本だからか、とにかく2回にわたった虫歯の治療が、80ユーロですみました。歯石の除去(la pulizia del tartaro)が必要だと聞いたので、さっそく来週木曜日に予約をしました。こちらは60ユーロだそうです。「代金は来週でいいから」ということで、まだわたしは一銭も払っていません。本当は、「夫の代金も一緒に来週払ったのでいい」と言われたのですが、各自自分の治療費を払いますということで、夫は本日支払いを済ませました。

 ちなみに、同じ歯医者で夫が抜歯をしたときには、100ユーロかかったということです。

 虫歯1本の治療が、夫の父や弟がかかるエルチェ(Elce)の歯科医院では100ユーロ、以前に夫が通っていたウンベルティデ(Umbertide)の歯科医では60ユーロと、値段にかなりばらつきがあります。

 というわけで、わたしの歯医者の冒険はまだまだ続くのでありました。

 最後になりますが、SSNには、学生さんでも自営業の方でも、residenzaさえあれば、それほど高い金額を払わずに加入することができます。長期の滞在をされる場合は、保険料も日本で入る留学保険に比べて格段に安く、滞在先の火災保険や盗難などにこそ対応していませんが、病気にかかったときには、心強いと思いますよ。ちょっとした風邪や怪我のとき、気軽にかかりつけの一般医に診てもらって、薬も安く手に入れることができます。特に南部には、公立病院で問題が起こることが多くはあるのですが……、いろいろ情報収集をしたて、検討してみてください。

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by milletti_naoko | 2010-09-18 00:31 | Sistemi & procedure | Trackback | Comments(0)
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