秋の庭と「amore」考

 実りの秋。我が家の庭でも、いろいろな木々に、果実が実っています。

 こちらは、リンゴの木(melo)です。

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 ほとんどのリンゴ(mela)がよく熟れて、美しい赤い色をしています。ただし、薬をまったくやらないため、ほとんどのリンゴが一部、虫に食われてしまっています。そこで、ナイフで茶色い部分を取り除きながら、食べることになります。

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 こちらはオリーブの実(oliva)です。まだ青いのですが、これから収穫時期の11月に向けて、少しずつ熟していき、色が黒ずんでいきます。我が家では、家の周囲に植わったオリーブの木(olivo)に加えて、夫の生まれた村、ミジャーナにもオリーブ園があります。(詳しくはこちら

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 イチジクの木(fico)も2本あります。この写真に写っているイチジクは、皮が濃い紫色になって初めて、実が十分に熟して、おいしく食べられるようになります。

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 椅子に登って、いくつかイチジクの実(fico、実も男性形です)を収穫してみました。ちょうど前夜に、友人宅でよく熟れた黄緑色のイチジクを食べておいしかったので、少し青みが残るものも摘んだのですが、後から、こういう青いイチジクはまだ熟していないので、おいしくないことが判明しました。イタリアのことわざが言う、”Sbagliando s’impara”、「人は間違いを重ねながら学んでいく」を、身を持って実践しました。

 生ハム(prosciutto crudo)をメロンと共に食べることをご存じの方は多いと思いますが、イチジクと一緒に食べてもおいしいのです。この時期のレストランのメニューには、前菜として、「生ハムとイチジク」(prosciutto e fichi)が、「生ハムとメロン」(prosciutto e melone)と共に並んでいることも、よくあります。

 9月9日木曜日は、姪っ子たちが、義父母のもとで1日過ごしました。まだ学校が始まらず、両親は仕事がある間は、両親の仕事が終わるまで、おじちゃん(nonno)とおばあちゃん(nonna)が、孫の面倒を見ることになります。姪たちはトーディに住んでいるため、休みの大部分は、近所に住む母方の祖母の家でいとこたちと過ごすのですが、週に1、2度はペルージャの義父母宅で過ごし、同じ二世帯住宅に住むわたしたちのところにも、時々遊びに来ます。

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 ジャスミンと竹で作ったアーチに、咲きほこる朝顔の下で、写真撮影。「花がきれいだから、花と一緒に撮りましょう」と言っていたのに、まだ小さい姪っ子たちは、撮影が終わってから、初めて朝顔の花に気がついたようです。

 姪たちが身に着けているエプロンは、海辺の町、リッチョーネで2週間を過ごした義父母からのおみやげです。

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 エプロンには、大きく「AMORE DI NONNA」と書かれています。「愛」という意味でご存じの方が多いであろうこのamoreという言葉は、「愛する人、愛する対象」を指すこともあり、恋人や配偶者、幼い我が子や孫に「amore」と呼びかけるほかに、小さくかわいい子供を見かけると、自分の子供や孫でなくても、「amore!」と呼びかける人もいます。

 ですから、エプロンの言葉は、「おばあちゃんの宝物(愛する孫)」とでも訳せるでしょうか。

 人によって、ある言葉を口にしやすい、しにくい場合があるのですが、こういうamoreという呼びかけを、うちの夫は使いません。「ありきたりの言葉よりも」と、自分自身でいろいろなわたしの愛称を考え出しては、そうやって呼ぶわけですが、でもやはりロマンチックな感じがするので、amoreという言葉で、夫を呼んでみたいようにも、呼ばれてみたいようにも思うのです。けれども、夫はそう呼ばれるのも好きではないようで、結局、わたしも夫に話しかけるときは、名前や自分が考え出した愛称を使っています。

 わたし自身、日本語で、「好きです」は言えても、「愛しています」と言うのは何だか気取っているようで、抵抗があります。照れて言いにくいのと、言葉が使い古されて陳腐な感じがするというのが、夫がこういう呼び方を好まない理由かと思います。周囲を見ていても、恋人どうし、夫婦どうし、あるいは小さい子に、「amore」という言葉がすぐ出る人と、まったく使わない人に分かれる気がします。昨年金婚式を迎えた義父母がいつも仲睦まじく、こんなふうに寄り添いあいながら、二人歳を重ねていけたらと思うのですが、考えてみると、夫の両親も、いつも名前で互いを呼び合っています。

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 ちなみに、うちの夫も、好きな歌を歌うとなると、何のてらいもなく、この呼びかけを口にできます。たとえば、『La prima cosa bella』という歌では、さびの部分で、「amore amore amore」と、「愛しい人よ」という呼びかけが、3度も繰り返されます(記事はこちら)が、メロディーも言葉の響きも美しい部分なので、すっかり乗った気分で歌っています。

 わたしがもともと夫に魅かれたのは、そういう気取らないところでもあり、言葉で飾らない誠実な優しさや思いこそ大切で、それを見抜く目と感謝する心がなければ、と思うこの頃です。

 こんなピザを焼いてくれたり、

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 バレンタイン・デーに、こんな美しいケーキを手作りして、贈ってくれたりする優しい夫ですから。

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 いずれも今年2月の写真です。バレンタインがちょうど日曜日で、大家族がそろって昼食を取ったため、ケーキは皆で分け合って食べました。シチリア名物の赤いオレンジをうまく使った美しい赤いバラが、本当にうれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-09-22 15:10 | Famiglia | Trackback | Comments(2)
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Commented by ゆん at 2010-09-24 16:08 x
ハートのピッツァにバラのケーキ(≧∇≦)/
なんて優しい旦那様でしょう。
お幸せですね^^



フランス語のamourも、みんながしょっちゅう口にするのかと思ったら、人によるし、意外と使わない人も多いと聞いてへえ~と思いました。でも、日本語の愛と西洋のamoreやloveは少しニュアンスが違うというか、「愛してる」という概念や言葉遣い自体が近代以降に入ってきたものなので、日本人は言い慣れないのだと聞いたことがあります。
Commented by milletti_naoko at 2010-09-24 18:00
はい、幸せです。ゆんさんたちご夫婦と同じように。わたしもゆんさんと同じで、怒ったりもめたりしたときのことは記事にしないので、ブログ上では、優しいすばらしい夫である面が強調される形になります。:-) (←右に90度傾けて見る、イタリア式スマイル・マークです)

ステレオタイプで言うと、愛情表現に関してはうちの夫はむしろ日本人に近い気がします。「星の王子さま」のバラの花じゃありませんが、言葉や表面的な態度ではなくて、してくれていることや、いつもそばにいてくれることに目を向けて、夫と今ある幸せに感謝し続けながら、生きていけたらと思います。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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