カエデの巨木と聖母、フランコ訪ねて3

 この大きなカエデの木と隣に見える教会は、遠い昔に起こった奇跡をきっかけに植えられ、建てられたものです。

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 14世紀には、ここは大きなカエデ(acero)が1本立つ草原であり、木の幹には、聖母マリア(Madonna)の姿を描いた版画が貼られていました。ある日、耳と口が不自由な少年たちが羊の群れを世話して雷雨に遭い、この大きなカエデの下で雨宿りをします。すると、悪天候のさなかに聖母マリアが現れ、少年たちに聴力を与え、話すこともできるようにしました。

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 この伝説がもとで建てられたのが、このSantuario di Madonna dell’Acero(訳すと、「カエデの聖母マリア教会」)です。聖母出現をきっかけに、まずは1358年に小さな聖堂が建てられ、その後、現在の教会が建立されたのは、16世紀から17世紀にかけてであるということです。この地の名も同じく、Madonna dell’Aceroで、ボローニャ県の南西、アッペンニーニ山脈の1200mの高みにあります。

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 当時聖母の姿が掲げられていたカエデは切られてしまったものの、教会の祭壇には、今も、そのカエデの幹が、聖母の絵姿と共に祀られています。

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 ここには、イタリア語で、聖母の画像は、かつて聖母が出現した、その樹齢数百年のカエデの幹にはめ込まれていると、説明してあります。

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 聖母出現のあった地ということで、聖母に祈願を捧げ、祈りをかなえていただいたお礼にと捧げられた奉納物(ex voto)(記事はこちら)が、教会の壁を覆っています。

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 現在、この教会の傍らに立つカエデの木は、14世紀に小さな聖堂が建てられた後で、植えられたものです。今では、このカエデも樹齢数百年を誇り、幹周りが4.75m、高さが10メートル。イタリアの巨木を集めて解説した次の本にも、写真と説明が載っています。

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 数年前に病気のため、木の病んだ部分を切り取らざるを得なかった、と1990年に出版されたこの本に書かれているのですが、その生々しい痕が、20年以上発った今も、よく見えます。

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 8月16日月曜日、朝ペルージャを発って、正午頃にボッカディリーオの聖処女マリア教会を訪ねたわたしたち(記事はこちら)は、その後、巡礼中のフランコと合流しようと、スカッファイオーロ湖畔の山小屋に向かいました。

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地図は、ボローニャ県立コルノ・アッレ・スカーレ自然公園の立て看板から借用

 ところが途中で道に迷ってしまい、結局午後8時前に到着したMadonna dell’Acero村のホテルに滞在することになりました。というのは、フランコが滞在する湖畔の山小屋までは、車でしばらく進んだ後、さらに40分ほど山を歩いて登る必要があったからです。

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 こちらが、わたしたちが宿泊したHotel dell’Acero(リンクはこちら)です。フランコの滞在地に最も近い宿だからと選んだのですが、ブナの森林に囲まれた、静かな場所にあって、すぐに気に入りました。ここが、聖母出現の地であり、そのために建てられた教会が、ホテルのすぐ近くにあることは、宿の人から聞いて初めて知りました。

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 幸い、夕食もおいしかったです。こちらは、鹿の肉を焼いたもの(cervo alla griglia)で、山ならではの新鮮な肉の料理を味わえました。

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 こちらのブルーベリーとラズベリーのタルト(crostata di mirtilli e lamponi)も、少し酸味のあるベリーが甘いクリームとほどよく調和して、それはおいしかったです。

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 宿泊した部屋にも、枕もとの壁に、カエデの聖母マリアの像が飾られていました。前日の8月15日が、聖母マリア被昇天の祝日であり、「祈りや苦しみは聖母マリアに委ねて」とミサで説かれたその翌日に、聖母マリアの出現を機に建てられた地を、二つも訪れたその不思議を、つくづくと思いました。

 苦しみも理解しがたいことも、すべて穏やかに、神を信じて受け容れた聖母マリアのように、辛いことも、どうしようもないことであれば、落ち着いた心で受け容れていけたらと、まだカトリック教徒ではないのですが、感じました。

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 翌朝、ホテルで朝食を取った部屋の一角にバールがあったのですが、そのカウンターでは、採れたてのブルーベリーが売られていました。高い山では、ブルーベリー(mirtillo)ラズベリー(lampone)があちこちで熟れて、ちょうど食べ頃、収穫の時期でした。

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 ブルーベリーが豊富に取れる地域なので、ブルーベリーのジャムに加えて、ブルーベリーのグラッパ(grappa con i mirtilli)も、販売していました。左手の透明な器に入った液体は、ブルーベリーのジュースかと思ったら、こちらもグラッパでした。

 この後、すぐ近くにある教会、Santuario di Madonna dell’Aceroに行くと、ちょうど朝のミサが始まる時間帯だったため、教会内には参列しようとする人々が大勢いました。大きなカエデの木と教会を訪れた後、Madonna dell’Aceroの村に別れを告げます。ちなみに、この「カエデの聖母マリア」を意味する村の名前を、あえてカタカナで表記すると、マドンナ・デッラーチェロとなります。

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 Madonna dell’Aceroから、車で坂道を登り、コルノ・アッレ・スカーレ山(il Corno alle Scale)(1945m)の山頂が見えるところまで、やって来ました。8月も半ばだというのに冷たい風が吹きすさび、山頂に霧がかかっています。冬にもスキーに来る旅行客の多いこの地域一帯は、山と同名の県立自然公園、Parco Regionale del Corno alle Scaleとなっています。

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 写真に見える湖のほとりには、カヴォーネの山小屋(Rifugio Cavone)(1424m)があって、宿泊はできませんが、バールとレストランがあり、食事もできます。閉店が18時で、夕食には予約が必要と、サイト(リンクはこちら)に書いてあります。

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 うれしいことに、湖の周囲には、ラズベリーの木が茂っています。よく熟れた赤い実を選んで、摘み取って食べました。

 こうして湖のまわりを歩いてから、コルノ・アッレ・スカーレを後にして、この日こそフランコに合流しようと、モデナの聖湖(Lago Santo modenese)へと、車での長い旅に出発したのでした。

 この晩にフランコと会って、翌朝しばらく巡礼の旅につきあった際の様子は、すでに記事、「フランコ訪ねて1、森の幸満つ湖」(リンクはこちら)でお話しました。

 次回は、「フランコ訪ねて」編の最終回。フランコと別れた後、ペルージャに帰り着くまでに訪れた興味深い場所について、お話しするつもりです。

 ちなみに、フランコは現在フランスのルルド付近に達し、目的地であるスペインのサンティアーゴ・デ・コンポステーラには、11月2日頃に到着する予定だということです。

 先週はマヌエーラとサブリーナが、フランスの、フランコが到達した地点まで車で行き、5日間彼と巡礼の旅を共にしました。土曜日に帰宅したマヌエーラによると、フランコはまだ元気も体力もいっぱいで、巡礼を続けているということです。

 がんばれ、フランコ! 

参考にした本とウェブページ
-AA.VV., “Gli alberi monumentali d’Italia - Il Centro e il Nord”, 1990, Edizioni Abete, Roma.
-Parco Regionale del Corno alle Scale – Santuario di Madonna dell’Acero

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-09-29 23:30 | Emilia-Romagna | Trackback | Comments(0)
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