死者のソラマメ、死者の市

 イタリア語、fave dei mortiを訳すと、「死者のソラマメ」となります。響きは物騒ですが、実は、ビスケットの名前です。

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 ファーヴェ・デイ・モルティ(fave dei morti)は、ペルージャの伝統的なお菓子で、死者の日である11月2日前後に食べられます。ペルージャでは、死者の市が近づくと、あちこちの店で、売られています。

 「死者の市」(Fiera dei Morti)は、ペルージャで、毎年11月1日から数日間にわたって催される大がかりな市場です。死者の市の歴史は長く、中世にさかのぼります。ただし、当時は、「諸聖人の市」と呼ばれていました。

 11月1日は、カトリック教では「諸聖人の日」という祝日で、イタリアでは国民の休日でもあります。その翌日、11月2日「死者の日」であり、死者のために祈りを捧げる日とされています。死者の日の前後には、大勢の人々が、手向けの花と共に、家族や親戚のお墓参りをします。

 中世のペルージャでは、死者の市で、農産物と家畜を売買していました。11月の初めに市が立ったのは、秋に収穫された農産物が豊富にあり、かつ、厳しい冬に入る前で、食糧を蓄える必要がある時期だったからです。現在の死者の市では、衣料、おもちゃ、家具など、さまざまな品が売られています。途中で腹ごしらえできるように、手軽に食事を取れる露店もあります。ポルケッタ、サラミ、チーズやパニーノを売る店もあれば、チョコレートやパイ、ケーキなどの甘いものも売られています。

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 死者の市は、例年、ペルージャの中心街と郊外で行われ、近隣の町からも、大勢の人が訪れます。郊外の会場は、ピアン・ディ・マッシアーノ(上の写真)で、ここには、ミニメトロの終着駅と巨大駐車場があります。(ミニメトロについての記事はこちら、10月1日に、切符が1ユーロから1.50ユーロに値上がりしたので、ご注意ください。)

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 中世には、死者の市の開催にあたって、雄牛狩り、槍競技などの伝統競技も行われていました。現代では、こうした競技に代わって、大がかりなアトラクションやサーカス小屋が、立ち並びます。

 祝日はかなりの人手で、歩くのがやっとですから、興味のある方は、ぜひ期間中の平日に訪ねてみてください。規模の大きい市場で、さまざまな商品が売られていますので、眺めながら歩くだけでも、おもしろいと思います。遊園地のお好きな方は、この時期だけ設置される、さまざまな大型のアトラクションを楽しむこともできます。

 さて、再び、「死者のソラマメ」(fave dei morti)に話を戻しましょう。死者の日の頃に食べられる、このビスケットは、ソラマメの形をしています。ソラマメは、古代ギリシャ時代から、死に関わる儀式で用いられていたそうです。このビスケットは、とても甘いお菓子で、アーモンドや卵白で作られています。名物ですので、この時期に見かけたら、ぜひ食べてみてください。

 ちなみに、義母が生まれ育ったのは、ペルージャ県北部、トスカーナとの州境にあるレスキオ(Reschio)という村ですが、ここでは、死者の日にソラマメを料理して食べる習慣もあったとのことです。昨年の11月2日には、お義母さんがソラマメのスープを作り、わたしたちにも分けてくださいました。

 今回の記事は、昨年書いたメルマガ第26号(リンクはこちら)と、かなり重複しています。イタリア語学習中の方は、ぜひこちらもお読みください。語彙と読解力の向上に役立つはずです。

*本日未明に、イタリアは夏時間から冬時間に突入。日本との時差は8時間に。
 現在、10月31日日曜日の真夜中過ぎは、イタリアではまだ夏時間ですが、今日午前3時に時計の針が1時間戻ります。こうして冬時間に入ると、日本との時差がこれまでの7時間から8時間になります。イタリアに在住、留学、旅行の方はご注意ください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-10-31 00:10 | Feste & eventi | Comments(2)
Commented by mihodiary at 2010-11-02 19:40
なおこさん、こんにちは!
死者の日、というものがあるのにも驚きですが、ソラマメが死にかかわる儀式で使われてきた...ということにも、びっくりしました。なおこさんも「物騒」という言葉を使われていましたが、初めて聞く言葉に、ギョッとしました。
本当に、国によって、さまざまな文化があるんだなぁ...と、なおこさんのブログを拝読するにつけ、勉強になります。
実は、ソラマメは私の大好物。あの、大きなさやの中に、ふかふかの綿のようなものに包まれて、大事に入っている様子も、なんだかいいのです。きっと次の夏からは、ソラマメを食べるたびに、こちらの記事を思い出しそうです。
死者のソラマメのビスケット、いつか機会があったら食べてみたいです。もちろん、祈りを捧げながら...。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-02 21:52
みほさん、こんにちは!

今日の昼食にもお義母さんがソラマメのスープを作り、わたしたちにも分けてくださいました。ソラマメと死者の日の関係については、昨日の昼食時、「ソラマメを植えるのは伝統的に11月1日だから、そのために死者の日とソラマメの連想が生まれたんだ」という説も飛び出しました。夫が信憑性がないというので、ただいまできる範囲でそれが本当かどうか調べているところです。

よく考えてみると、死者の日は、日本のお彼岸と、名前も行事としての意味も似ている気がします。「彼岸」も本来は「あの世」という意味ですし。こちらでは畑で取れたてのソラマメを生で食べて、ビールのつまみにしたり、サラミと一緒に食べたりもします。みほさんのソラマメの描写、とてもすてきです。
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