ペルージャ、死者の市

 今日、11月2日は、イタリアでは「死者の日」です。この日の前後に、人々がお墓参りをする慣習があり、ちょうど日本のお彼岸に似ています。死者の日当日は、墓地周辺の渋滞が目に見えています。そこで、お墓参りは明日以降と決め、今日は、ペルージャの一大行事である「死者の市」(Fiera dei Morti)を訪れることにしました。(詳しい歴史はこちら

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 今年の開催は、11月1日から11月6日までの6日間で、会場は、ペルージャの中心街と郊外にあるピアン・ディ・マッシアーノです。今日わたしたちが訪れたのは、ピアン・ディ・マッシアーノ(Pian di Massiano)。ミニメトロ(Minimetrò)の終着駅と無料駐車場があるところです。上の写真では、右手に駅と出発するミニメトロが見えます。ふだんは広大な駐車場に、市の開催中は、出店がびっしりと立ち並んでいます。

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 中世には、死者の市の目的は、秋の収穫物を売ることと、長く厳しい冬に備えて、食糧を手に入れることでした。そのため、中世の市で売られていたのは、農作物と家畜。今もやはりイタリア各地から、さまざまな食料品を売りに来た出店が並んでいます。こちらの店では、ウンブリアで有名な玉ネギの産地、カンナーラの玉ネギを販売しています。(カンナーラの玉ネギ祭りについてはこちら

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 一方、現在の死者の市では、ありとあらゆる商品が売られています。こちらの店では、骨董品を扱っています。

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 靴屋、衣類を売る店、そして、生活用品を扱う露店もたくさんあります。デパートの実演販売のように、巧みな口上で人を呼び寄せて、ちょっと変わった便利な道具(掃除道具、調理器具などなど)を宣伝し、売っている店も、かなりありました。

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 わたしは、こちらの室内履きを購入しました。最近は、made in italyと書いてあっても、外国の工場で作った製品を、イタリアで箱詰め、あるいは最後の仕上げを施して、「イタリア製品」とうたった品も多いのですが、こちらの靴は、箱や説明書を見るかぎり、「すべてイタリア国内で作られた」と書いてあります。

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 工芸品を扱う店もあります。この店には、まな板や木をくり抜いて作ったかごを始め、木を使った製品がところ狭しと並んでいました。

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 シチリア独特の、色とりどりのおいしそうなお菓子がたくさん並んでいます。シチリアやサルデーニャ、ピエモンテなど、遠くからはるばる特産品を売りに来ている店もたくさんありました。お菓子にお酒、瓶詰めの保存食品などなど、地方食あふれる品が並んでいました。

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 一方、ウンブリア州内やトスカーナの露店には、地方名物の各種サラミを店頭に並べるところがたくさんありました。

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 字が隠れていますが、PANINOTECA TOSCANAと書いてあり、パニーノ(panino)を販売しています。希望のサラミやチーズを入れて、作ってもらったパニーノを食べ、腹ごなしをすることができます。看板の下のショーケースには、見えにくいのですが、大きなポルケッタがあります。

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 ポルケッタ(porchetta)を販売する店は、他にもあちこちに出ていました。こちらは、ペルージャ北方にあるウンベルティデの店です。好きな量を切り分けてもらって、家に帰って昼食のおかずにする人もいれば、パニーノを作ってもらって、その場で食べる人もいます。エミリア・ロマーニャからも、立ち食い用のピアディーナを焼いて販売する出店が来ています。

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 気楽に立ち食いできる駄菓子も、あちこちで売られています。上の写真で、一方通行の標識の白線のすぐ右側にあるお菓子は、アニス風味で、夫の好物です。

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 子供だって楽しみたい、というわけで、おもちゃの店や、ゲームを通しておもちゃを獲得することができる露店もたくさんあります。

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 色とりどりのアトラクション、大型遊具施設。平日の昼間とあって、子供が遊べる回るティーカップやメリーゴーランドなど、ごく一部のアトラクションだけが動いていました。

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 他にも、玉ネギや生活用品をいろいろ買って、昼食前に帰宅すると、「死者の日」の義母の家の慣習ということで、ソラマメをじっくり煮込んだスープを、わたしたちにも用意してくださっていました。ソラマメは、我が家の畑で春に収穫して、冷凍してあったものです。そこで、伝統の豆スープをおいしく、ありがたくいただきました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-11-02 15:52 | Feste & eventi | Trackback | Comments(16)
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Commented by (mstk)a.it at 2010-11-03 03:28 x
この時期に空豆ですか。時期外れの作物が伝統料理に入るのは不思議な気がします。元々は乾燥豆のレシピでしょうか。葉物も見えるのでコンタディーニ料理のスカファータに似ていますね。
興味深いブログ いつも楽しみにしています。
Commented by desire_san at 2010-11-03 06:24
こんにちは。
時々訪問させていただき、写真や記事を楽しみにしています。
今回のような現地の生活感が伝わってくるような写真がいいですね。
海外旅行に行った人の写真は、名所の建物ばかり撮っていて、
そこに住んでいる人間を感じさせない写真が多くてつまらないと思っていました。
ブログの写真を拝見し、現在今そこにいるような気分になれました。

私のブログにもコメントいただき、ありがとうございました。
Commented by ムームー at 2010-11-03 06:45 x
なおこさん
珍しい写真に釘付けになっています、日本で言えばお彼岸やお盆にあたるのでしょうか。
こういう市が開かれるのですね、素敵な物がありますね、飾り棚いいなぁ。
国が違い文化が違うって素晴らしいですね。
そら豆のスープも美味しそうですねぇ。
見せて貰ってわくわくしました~ありがとうございます。
Commented by misoji at 2010-11-03 10:12 x
おはようございます!

購入された室内履き、とっても素敵ですね♪♪♪

スペインで感じたのですが、
そちらのお祭りは収穫や収穫を祈ったものが多いのでしょうか。
(無知ですみません!!!)

スープ、とってもおいしそうですね♪

丹精込めて育て、収穫したソラマメで、
行事を祝うって、私、とっても素敵だと思いました。

また、更新、楽しみにしています♪
Commented by Delfino at 2010-11-03 15:51 x
いつも思いますけどこの露骨な表現、すごいですねぇ。魂と体に対する考えが一体の日本とは違う考え方のせいでしょうか。

直子さんが購入した室内履き、内側がもこもこしていてあったかそう♪これならコツコツと足音もしないし、周りにも優しいですね。

日本で売られているイタリア製品も、タグ付けのために中国工場からイタリアに運ばれる、名ばかりのMade in Italyがずいぶんと増えました。なので、イタリア製品=高品質のイメージが崩れた感じがします。

わたし、イタリアの市がとっても好きです。日本のお祭りのお店のような雰囲気や、活気があるところ、なんといっても美味しいものが食べられるから(笑)あ~、ポルケッタのパニーノ食べたいっ♪♪
Commented by Rosa at 2010-11-03 16:27 x
一応私もクリスチャンなので、11月2日が死者の日だってことは知ってますが、「死者のソラマメ」とか「死者の市」っていうネーミングは日本語で聞くとやはりドキッとしますね(笑)
それにしても、このソラマメのスープはホントにおいしそうですね~。ぜひいただいてみたい一品ですね。体も温まりそう!
写真では殻ごと煮込んであるみたいですが、そのまんま食べちゃうんですか?
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 18:07
(mstk)a.itさんへ

さすがシェフですね!確かに、今お義母さんが年中活用している冷凍庫は、昔はありませんでした。やはり、「元々は乾燥豆のレシピ」だと思いますが、義母に聞いてみますね。「葉物」は畑にあるフダンソウだと思います。ソラマメスープはウンブリア北部で育った義母の家の伝統としても、ソラマメの形をしたビスケット、fave dei mortiは、ペルージャのあちこちの店で売られており、とにかくソラマメとこの死者の日は切っても切れない関係にあるようです。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 18:15
desire_sanさんへ

お祭りでは日本でもイタリアでも、おもちゃや食べ物など似たような店も並ぶので、後から、「単なるお祭りの出店かしら」と少し不安になったのですが、こうしてこちらの「生活感」まで感じ取っていただけて、とてもうれしいです。

こちらこそリンクを貼っていただき、ありがとうございます。わたしの方も貼らせていただきますね。
Commented by lacasamia3 at 2010-11-03 18:16
今年の11月は意外と暖かいですね。それでも少しずつ寒くなってくるのでしょうか・・・。室内履き、暖かそう・・・。私もいつも家に帰るとすぐに靴を履き替えます。リンク、有難うございました。私も頂いていきますね。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 18:30
ムームーさんへ

興味を持っていただけて、うれしいです!「死者の日」は日本で言えば、まさに「お彼岸やお盆にあたる」と思います。

市も珍しいもの、かわいいものがたくさんありました。夫がすたすた歩いて行くのと人が多いので、写真を取り損ねた店もいくつかあります。飾り棚を始め、オリーブなどの古い木をそのまま周囲を彫って作り上げた美しい品の数々に、思わず目が留まりました。ソラマメスープも、我が家で採れた野菜や香草がたっぷり入っていておいしかったです。こちらこそ、うれしいコメントをありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 19:58
みそじさんへ

おはようございます!室内履き、かわいい上にとても温かくて、足も心も温めてくれます。

収穫や収穫を祈るお祭りですか。ブドウの収穫をし、ワインができたらそれを飲みにいける機会があり、キノコの季節には産地でトリュフやポルチーニを買ったりおいしく食べたりできるお祭りあり。カンナーラの玉ネギ祭りを始めとする各地の村祭りにせよ、確かにそれぞれの土地の名産物や収穫期、季節に応じたお祭りが多いですね。旬で採れたばかりのものを、盛大にお祭りして客の方に来てもらい、観光にも役立てようという主催者側の知恵でもあるでしょうが、祭りをきっかけに旅行の楽しみも増えて楽しいです。

ご自分で緑を育てるみそじさんのお料理も、記事を読むと、ささやかなご自身での「大根葉祭り」という収穫の喜びが伝わってきてすてきです。それと同じことを村や町という大きな規模で行っているとも言えるかもしれませんね。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 20:12
Delfinoさんへ

「露骨な表現」、確かにそうですね。我が家でもこの数日は当然のようにmortiという言葉が飛び交っています。「死者の市」と訳すより「故人を偲ぶ日の市」と訳した方が響きが優しいのですが、mortiという言葉の生々しさが出ない気がして、こう訳してみました。「フィエーラ・デイ・モルティ」では何のことやら分かりませんし。イタリアで「死」に関して驚くことと言えば、教会でガラスケースに入れて安置してある聖人や殉教者の遺体です。日本だって家に祭壇があって遺骨の一部があるではないかと言われればそうなのですが、初めて見たときはびっくりしました。

室内履き、履き心地もよく温かくてうれしいです。知人が働く靴の工場でも、生産はルーマニアで行っているのに、イタリア製として市場に出回っています。イタリア国内では安い賃金で働く外国工場や移民に押されて、多国籍企業が伝統のある職人や工場に対しても買値をたたき、働く人にとっても、買い手にとっても、困った状況になりつつあります。

ポルケッタ、わたしも大好きです。今回は豆スープや前日の残りの肉があったので食べませんでしたが、パニーノにもよくあっておいしいですよね。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 20:23
Rosaさんへ

クリスチャンでいらっしゃったんですね。市はともかくビスケットに「死者の」と名づけるところがすごいなとわたしも思いました。それでも皆、縁起をかつぐこともなく、「この時期には欠かせない」と、お気に入りの店で買って、食べているようです。

ソラマメのスープは畑の野菜や香草がしっかりきいていて、本当においしかったです。生にせよ煮たものにせよ、ソラマメは殻もそのまま食べることが、我が家では多いです。ソラマメスープは裏ごししてもおいしいですよ。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-03 20:30
ちほさんへ

ペルージャでは10月に急に寒くなって慌てたのですが、最近ようやく温かくなってほっとしています。寒がりで冷え性なので、以前からお義母さんに「スリッパではなく、かかとの部分も覆われているものを買うように」と勧められていて、ようやく購入しました。足元が温かくて、うれしいです。
Commented by ank-nefertiti at 2010-11-04 00:32
こんばんは!
日本では、言葉は悪いですが、あのなんとも趣味の悪いかぼちゃのお祭りが終わりました>苦笑
あのお祭りというかバカ騒ぎはカソリックの世界とはまるで別物って思います。

こんな市が立つんですね!
死者の日って、日本で言うとお盆のような感じなのでしょうか?
naokoさんが購入された、室内履き、素敵ですねぇ!
暖かそうですね~
この冬は足元があたたかに暮らせますね♪

先日、プーリアのお料理を習いましたが、シェフが乾燥そら豆のピュレを作ってくれました。
凄く美味しかったんですよ。
日本では乾燥ソラマメってないので、今度イタリアへ出かけたら購入してきたいなって思います。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-04 02:12
杏さんへ

特に義父母は、義母の亡き兄君がカトリック教の神父であったこともあり、ハロウィンの祭りやクリスマスの贈り物を持ってくるのが幼子イエスからサンタクロースに取って代わりつつあることを残念に思い、眉をひそめています。幼い姪っ子たちは、日曜日、「今晩は友達と一緒にマンションの家の戸をたたいてまわるのよ。」と楽しそうでした。子供は楽しむのが好きだし、店や業者は売り上げにつながることは何でも利用するしで、古い伝統が少しずつ姿を変えていくのは残念です。外国人大学には、「1980年代からこうだ」と当たり前に受けている若い学生もおり、こうして少しずつ慣習が変わっていくのかなと思います。

死者の日は確かに日本のお盆にあたると思います。アイルランドでは死者の世界と生きる者の世界が近づく日として、晩に墓地一面に火をともして祝う、と本にあります。室内履きは、一目で気に入って、「これだ!」とばかりに購入しました。ソラマメは、他の野菜と共に煮込んだスープが余ると、お義母さんは夕飯にはよくこのスープを裏ごしします。味が優しく消化もしやすくて、このピューレもおいしいですよ。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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