イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

椿まつりでお茶を

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 トスカーナ州、ルッカ県には、椿の里とも呼ぶべき美しい村があります。そして、この村の付近には、椿あふれる見事な庭園を持つ館が、たくさんあります。

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 こちらが、椿の里、Sant’Andrea di Compito。毎年3月に、隣村のPieve di Compitoと共に、椿まつりの会場となる村です。数年前も訪れたこの椿の里を、今春は椿まつり開催中の、3月6日、7日に訪れました。

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 村の中心を流れる川を遡ると、川岸に椿が並ぶ散歩道に出ます。

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 橋の左手に咲くこの椿の名は、Bonomiana。同じ木に咲く花の色も模様も、さまざまで美しく、夫は今回の椿まつりで、この椿の鉢を購入しました。
 
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 やはり小川沿いに咲いているこの椿の名は、Mrs.Tingley。

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 こうした看板が椿の近くにあるので、一つひとつの椿の品種やその歴史が分かります。

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 川に沿って歩いて行くと、やがて左手に、広大な椿園が現れます。

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花の色も模様もさまざまな300種以上の椿が並ぶこの椿園では、700以上の品種を集めようと、 少しずつ拡大作業が行われています。

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 わたしは知らなかったのですが、椿はお茶の木の仲間であり、そのため、椿まつりでは、お茶に関する展示や催しもありました。上の写真は、Sant’Andrea di Compito村にあるVilla Orsiという館で催されたお茶会の様子です。有料ですが、世界の3種類のお茶を、数々のお菓子と共に、説明を聞きながら、おいしく味わうことができました。中には、紅茶や抹茶を使って作られたお菓子もありました。お茶をおいしく入れる方法も詳しく教えてもらいました。

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 お茶会の会場は、この見事な椿並木に囲まれていました。わたしたちはお茶会の後、桜の花入りの緑茶とお茶会で飲んで気に入ったモーリタニアの紅茶を購入しました。

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 一方、こちらが椿まつりの中央会場です。「Antiche Camelie della Lucchesia」(訳すと「ルッカ地方の歴史ある椿」)と書かれた大きな看板のすぐ下には、村の催し物会場や散歩コース、椿園の場所などが、地図に示されています。一方、一番下の看板には、会場となる二村を含むCapannori市の地図があり、椿の美しい庭園を持つ数々の館が図示されています。

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 展示会場には、さまざまな品種の椿が並んでいます。椿の花や村と椿の関わりを説明した展示や、お茶の販売コーナーもありました。奥に見える、椅子の並ぶテント内では講演が行われ、わたしたちも、世界の茶の歴史や千利休の人生についての講演を、興味深く聴きました。

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 カパンノリ市内の椿の美しい館も、いくつか訪ねました。こちらは、Tenuta dello Scompiglioの庭園に生える見事な椿です。有料で、庭園を案内してもらいました。

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 ブドウ園の向こうに広がる風景の美しさ、そして、遠くに見える山々の荘厳さに息を飲みました。

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 庭園訪問の料金には、おいしい世界のお茶をお菓子と共に楽しむ料金も含まれていました。本当は1種類だけ味わえるところを、3種類のお茶を少量ずつ味見させてくれました。

 実は、カパンノリには、他に、本当に美しい見事な庭園がいくつもあるのですが、すでに数年前に訪ねているため、今年は行きませんでした。

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 椿まつりでは、数々の美しい椿の鉢植えも販売しており、今回は、夫とわたしがそれぞれ自分の好きな椿を、一鉢ずつ購入しました。今、我が家のテラスでは、この椿たちのつぼみが少しずつ膨らんできています。きっと来春も、今年の春のように、美しい花で目と心を楽しませてくれるであろうと、今から楽しみです。(我が家の椿が美しく花開く様子はこちら

関連記事へのリンク
↑ 椿まつり会場で行われたお茶に関する講演の内容を紹介しています。また、その講演の題名のイタリア語について説明しています。
Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by Acui at 2010-11-24 12:59 x
椿ってイタリアにもあるのですね!
私は、椿は花開く前よりつぼみでうっすら花弁の色がついているものが好きです。丸くて可愛いので。
お茶会素敵ですね。私の近所にもこのような催しがあればいいのに…
Commented by milletti_naoko at 2010-11-24 16:22
Acuiさんへ

そうなんです! 椿やアジサイなど、日本でよく見かけた花をこちらで見ると、うれしく懐かしくなります。イタリアでは土壌がアルカリ性であることが多く、酸性土を好む椿やアジサイは育ちにくいのですが、時々こんなふうに酸性土壌の土地があると、あちこちに椿やアジサイが植えられ、花が咲いていて、見ていてうれしくなります。我が家の土壌もアルカリ性なので、椿は鉢植えです。

本来お茶の文化のなかった国なので、逆に世界中のさまざまなお茶に興味を持って、輸入し、味わい、お茶文化を伝える協会があるのだと思います。思いがけない産地のおいしいお茶を味わえたりして、おいしかったし、興味深かったです。
Commented by かや at 2010-11-24 21:51 x
こんばんは☆
たくさんの椿の木があるんですね~。
日本の花のような気がしていましたが、ヨーロッパにも広まっているんですね。
調べてみたら「カメリア」というのは椿の英名なんだそうで。

うちの会社にも1本、椿の木があって、毎年たくさんの花を咲かせています。綺麗なんですけど、葉っぱが虫に食われやすいので、防虫のためにこまめに消毒をしないといけないらしいです。面倒なので、うちではやっていませんけど…。

凸d(^ー^)応援pochi!
Commented by milletti_naoko at 2010-11-24 22:46
かやさん、こんばんは。

アジアからヨーロッパに伝わったのは、18世紀のようですが、他の花が咲かない冬に咲く点などから貴族に愛され、さまざまな新しい品種が生み出されたようです。花にしても庭造りにしても、日本ではそのままの自然の姿を生かそうとするのに対し、ヨーロッパでは人間の好みやデザインにあうように、自然にかなり手を加える傾向があるかと思います。

わたしも勤務先の高校の中庭に生えていた椿を懐かしく思い出します。幸い我が家の椿には何もしなくても虫が寄りません。こちらでは水道水が硬水なので、ためた雨水で水やりするように、気をつけています。

いつも応援ありがとうございます。:-)(←右に90度傾けて見るイタリア式スマイル)
Commented by ゆん at 2010-11-24 23:57 x
椿というと、白い雪の中に凛と咲く赤い寒椿が念頭に浮かび、日本の花のようなイメージを持っていました。でもよくよく考えれば、椿姫しかり、欧州でも親しまれている花なのですね。

Mrs.Tingley、まるでダリアのような華やかさ!

花びらの質感まで感じられるような写真に魅入ってしまいました。なおこさんの写真の腕前が良いのですね^^
Commented by milletti_naoko at 2010-11-25 00:06
ゆんさんへ

わたしの椿のイメージも、まさにゆんさんのイメージと同じだったので、春先に色も模様もさまざまな、あでやかな椿の花を目にして、びっくりしました。

おほめの言葉、ありがとうございます! 実は、美しい椿の花はいくらもあったのに、写真は今ひとつのものが多く、載せられそうなものを選んで選んだ末の記事です。お茶会のお菓子の写真も、ピンぼけが少し悲しいのでした。それだけに、励ましがうれしいです。
Commented by ensyuu at 2010-11-25 01:26 x
 椿祭りと、お茶祭りが一緒に楽しめるお徳な催しですね。
 おいしい世界のお茶をお菓子のコーナー、行ってみたいです。
 茶の木は、今頃、白くて小さな花を咲かせています。本当に椿に似ています。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-25 01:44
ensyuuさんへ

アジアからヨーロッパに広がり、世界に広がったお茶の文化。味わい方も好みも、世界各国でさまざまに違うのに、やはり世界中の国で中国語の「茶」に由来する名前で呼ばれ、親しまれていると知って、興味深かったです。お茶の木の花は白くて、今花を咲かせているんですか! 教えていただくことがたくさんあります。

数世紀前に、ルッカ県のこの地方一帯に椿の栽培を広めた人物の子孫が、村の館、Antica Chiusa Borrini内で、まずは当時の古い椿の品種をよみがえらせ、さらに1990年からは、お茶の木も育て始めて、見事に成功し、世界的な成功を収めるおいしいお茶を生産できるようになったとのことです。美しい椿も多いというこの館、これまで2回とも行けずじまいだったので、ぜひ次回は訪れて、椿を観賞し、その名高いお茶を味わってみたいと思っています。イタリア語ですが、館の説明はこちらです。
http://www.camelielucchesia.it/?p=368
Commented by ムームー at 2010-11-25 15:45 x
あら~なおこさん、イタリアにこんなに立派な椿園があるなんて
知らなかったですわ。
日本庭園に咲くとばかり、美しいですねぇ、手入れが行き届いていても、どこかに大らかさがあり、見てる者に安らぎをくれますね。
知らない事がどんどん入り嬉しいです~
Commented by milletti_naoko at 2010-11-25 17:58
ムームーさんへ

そうなんです! こんなに多種多様な椿やこんなに背の高い椿があるとは知らなかったので、それをイタリアで見つけて本当に驚きました。椿も、これが皆同じ花かしらと思うくらい、いくつもいくつも品種があるのです。椿園では3月末に訪ねた数年前に比べると、まだ咲いていない花も多かったのですが、美しい花をたくさん楽しむことができて、本当に心に安らぎと喜びをもらいました。椿を見ていると、やはり日本が近く感じられますし♪
Commented by mie at 2010-11-25 18:49 x
なおこさんはじめまして。
イタリアで暮らして、素敵なだんな様も仕事も持ってらしてうらやましいです。なおこさんはどうしてイタリアに渡られたのですか?私はイタリア好きでイタリアには旅行で何度か行っていますが、ペルージャにはまだ行けていません。拠点がフィレンツェかローマにすると普通列車に何時間も乗るのかと思うと気が遠くなりそうで…。いつか行ってみたいです。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-25 20:32
mieさん、はじめまして。

アイルランドに語学留学して、知り合った学校仲間のイタリア人たちを通じて、イタリアに興味を持ち、イタリア語を勉強し始めました。そして、語学と勉強が好きなので、新しい世界で自分の力を試してみようと、退職してイタリアにまずは語学留学したのが、イタリアに暮らすようになったきっかけです。

フィレンツェ・ローマとペルージャ間は、便利なバスの便で結ばれています。まずはSulga。ペルージャとローマのティブルティーナ駅、そして、フィウミチーノ空港を結んでいて、スーツケースなど大型の荷物も運んでくれるので便利です。
http://www.sulga.it/
ただし、ローマ・ペルージャ間が毎日あるのに対し、ローマ・フィレンツェ間は月・金曜のみです。
フィレンツェ・ペルージャ間は、SENAというバス会社の便利なバスの便があり、途中シエナに寄りますが、週の便数も、1日の便数も、Sulgaに比べてずっと多いです。ただし、Sulgaに比べて、ペルージャからのバスの出発・到着の遅れが多いのが難点です。シエナ発はなぜかほぼ時間通りなのですが……
http://www.sena.it/ (つづく)
Commented by milletti_naoko at 2010-11-25 20:33
mieさんへ

(つづきです。)今時刻表を見ると、ローマTiburtina駅とペルージャ間は3時間、フィレンツェ・ペルージャ間は2時間半です。大型荷物も預け、電車だと大変な荷物を持っての階段の乗り降り(ペルージャ駅にはエレベーターもエスカレーターもありません!)がないので、とても快適です。ぜひ一度ペルージャも訪れてみてくださいね。

コメントを拝読して、ペルージャと他のイタリア各地を結ぶ交通情報も、ブログで紹介する必要があると分かりました。コメント、ありがとうございます。
Commented by mie at 2010-11-25 22:26 x
アイルランド留学でイタリア人のお友達と知り合ったのですね。
私も日本でですがイタリア語を勉強していました。イタリア語の音が好きです。

フィレンツェ、ローマからのバスが便利なのですね。次回はアッシジ、ペルージャ、オルビエートを回りたいです。情報ありがとうございます。
いつも電車で旅をしているのですが、ローカルな駅で普通電車を待っていると、本当に電車は来るのか(?)ととっても不安になっていました。
Commented by milletti_naoko at 2010-11-25 22:32
mieさんへ

どういたしまして。その不安、とてもよく分かります。実際、不安が、ストライキや故障、事故で現実になることもありますし…… バスも、特にSenaのバスをペルージャで待つと、なぜかいつも30分から1時間近く遅れるので、よく「バス停が変わったのかしら」と不安になりました。
by milletti_naoko | 2010-11-23 23:15 | Feste & eventi | Comments(15)