歌い演じる元旦の夜

 人物あてゲーム(記事はこちら)が終わり、いよいよ待ちに待った夕食です。テーブルには、おいしそうな料理が、夕食準備班のメンバーから運ばれて来ました。

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 このとき、すでに午後9時45分。でも、わたしも一員である出し物準備班からは、食事開始に「待った」がかかっていました。というのも、食事前に準備していた出し物があったからです。

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 まずは右手のロージーが、立って、"Aggiungi un posto a tavola che c'è un amico in più♪”「テーブルに席を加えなさい、友達がもう一人増えたから」(「 」内は石井訳。以下も同様)と歌い始めます。続いて、左手のマウリッツィオ、ヴァレンティーナが、それぞれ立って、与えられた節を、”se sposti un po' la seggiola stai comodo anche tu” 「少しいすを動かせば、あなたも心地よく座っていられる」、“gli amici a questo servono a stare in compagnia” 「友達が役に立つのは、こうして、一緒に時を過ごすため」と独唱します。

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 4、5節目からは、出し物班全員と有志が立ち上がり、みんなで一緒に歌を歌い続けます。手で拍子を取りながら、歌う人もいます。1970年代のイタリアのミュージカルにでてきた歌ということで、わたしの夫も、メロディーはよく知っているけれども、歌詞はうろ覚え。そこで、わたしたちは、食事前の練習のときと同様、歌詞が書かれた紙を見ながら、歌いました。

「仲間が増えると、喜びも倍増」と歌い上げるこの歌は、言葉も、みんなで過ごす夕べにぴったりで、メロディーも陽気で楽しく、歌っているうちに、皆で盛り上がりました。興味のある方は、インターネットに、歌詞が掲載され、歌も聴けるページ(リンクはこちら)がありますので、ぜひどうぞ。

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 歌い終わって、皆で一斉に拍手を送りあったあとは、いよいよ待ちに待った夕食です。網で焼いた肉に、ロースト・ポテト、そして、キノコ料理。どれも、とてもおいしかったです。子供たちも、うれしそうに食事を始めています。

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 食後のデザートは、イタリアでは1月6日の主顕節(Epifania)までは、クリスマスの祝いが続くため、パンドーロとパネットーネです。一緒に飲むのは、もちろんスプマンテ。

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 わたしはパンドーロの方が好きなのですが、特に好きなのは、右手に見える、チョコレートのパンドーロ。わたしを始め、みんなの手が次々に伸びて、あっという間になくなってしまいました。

 食後のデザートが終わると、いよいよ準備していた出し物の開始です。

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 劇が始まりました。スピーディ演じるニュースレポーターが、テレビの中から、ニュースを伝えます。”Clamoroso Gesù Bambino ha annunciato uno sciopero per la notte del 24 Dicembre.”「大変です! 幼子イエスが12月24日の晩に、24時間のストライキを予告しました。」

 左手では、ヨセフとマリアの衣装をまとったヴァレンティーナと夫のレオナルドが、プレゼーペを演じていますが、まだ幼子イエスの姿はありません。

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 衝撃のニュースに驚いた子供たちのセリフが続きます。「ストライキをするくらいだから、幼子イエスは、きっと本当に怒ってるんだよ。」「みんなクリスマスにはいい子にすると約束するけど、年中その約束を忘れてしまうものね。」「労働者に耳を傾ける人がいないのだから、抗議してもだれも聞かないよね。」

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セリフを覚えるのが難しい小さい子供には、マヌエーラの助け舟


 「このストライキのおかげで、幼子イエスが、今のわたしたちに満足してないってことが分かる人がいれば、いいんだけど。」

 子供たちはやがて、労働者や移民たちの窮状に思いをはせ、自分たちのために、そして、すべての人々のために、「どうか戻って来てください」と、口々に、幼子イエスに呼びかけ、そして、祈りの言葉を捧げます。

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 そして、再びテレビニュース。「幼子イエスがストライキを撤回したというニュースが届きました。今年も大人と子供に幸せを贈るために、地上を訪れることでしょう。」

 幼子イエスを演じる小さいダヴィッドが、シルヴィアに手を引かれて舞台に登場します。現代イタリアの深刻な社会問題の数々を巧みに盛り込んだ、この脚本を、インターネットで見つけたのは、幼稚園の先生であるシルヴィアです。監督を務めたのはマヌエーラ。脚本すべてが載っている、作者、Maestra Rosalbaのサイトへのリンクは、こちらです。幼子イエスのストライキ、という発想も、イタリアらしい独特の発想で興味深いです。

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 幼子イエスの登場と共に、わたしたち、出し物準備班の有志が、散歩中から何度も練習していた、
"Gloria in Excelsis Deo”を歌いました。神を称えて歌うこの歌は、歌詞が劇の内容に即している上に、リフレインのgloriaの部分のメロディーがとても美しいのです。Andrea Bocelliがこの歌を歌う映像はこちら、歌詞はこちらにあります。

 そして、劇は、子供たちが共に読み上げる、幼子イエスへの美しいメッセージで幕を閉じます。

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 劇のあとは、合唱。わたしが子供たちの間に混じっているのがお分かりですか。歌っているのは、日本語の「きよしこのよる」("Kiyoshi Konoyoru” – versione giapponese di “Astro del Ciel”)です。

「"Astro del Ciel”を日本語で歌いましょう!」と、夕方子供たちに呼びかけ、わたしと夫の部屋で、練習。みんな両親共にイタリア人で、日本語を知る子供はだれもいませんが、わたしは、イタリア人学生や姪っ子に日本語の歌を教えるのに、慣れています。子供たちは、「それはおもしろそう!」と興味津津です。

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まずは音声だけで、わたしが少しずつ歌っては、あとに続いて、繰り返させて、言葉とリズムを覚えさせました。歌詞が長く、やはりすべて覚えるのは難しそうだったので、何度も練習したあとで、ローマ字書きした歌詞も与えて、子供たちが自信を持って歌えるようにしました。

 特にわたしのすぐ右横にいる、アリーチェ・トーマスの二人と、一人置いて左手にいる金髪のラケーレは、練習にとても熱心で、集中力の続かない他の子供たちに、うまく呼びかけながら、皆で歌うことに成功していました。

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 子供たちが元気いっぱい上手に歌えたこと、そして、なんと日本語で歌いとおしたことに、両親を含む大人たちも感動して、盛大な拍手を送ってくれました。子供たちも、皆で美しい合唱を歌えたという確信と、思いもかけない拍手喝采に、うれしそうないい顔をしています。もともとは、散歩中に「きよしこのよる」を歌ったときに、マヌエーラから、「異文化を知るいい機会だから、ソロで歌うように」と頼まれていたのですが、わたしの方で、せっかくだからと、子供たちも巻き込んで、一緒に歌うことにしました。達成感に満ちた子供たちの顔と誇らしげな両親の顔を見ながら、わたしも、とてもうれしかったです。

 翌日は、大部分の人は昼食まで修道院に残ったのですが、わたしと夫は少し体調を崩したので、朝ペルージャへの帰途に着きました。大勢と過ごした休日も楽しかったのですが、家に帰ったらやはり落ち着いて、一息ついて、ゆっくりと休むことができました。

参照したサイト・LINK
Il Paese dei Bambini che sorridono – Aggiungi un posto a tavola
Crescere Creativamente di Maestra Rosalba - Testo per una recita di Natale: Dialoghi intorno al presepe di Rosalba 25/11/2009
YouTube - Gloria in Excelsis Deo (Andrea Bocelli)
TraLyrics – Andrea Bocelli – Gloria In Excelsis Deo

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2011-01-05 17:13 | Feste & eventi | Trackback | Comments(6)
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Commented by Delfino at 2011-01-06 02:07 x
イタリア人、人が集まるとよく歌いますよね~♪
みんなでこうやって歌うと一体感も生まれてすごく良いと思います。

あはは!劇の中でもショーペロって、ほんまにショーペロ多すぎ!イタリア(笑)
でも、それだけ、身近なんでしょうね、ストライキが。

同じ歌を外国語で歌ってみるって、すごくいいですね。
みんなの達成感&楽しんだ様子が写真にあらわれていますね。
大人たちが大きな賛辞を送ってくれたから、余計にうれしかったでしょうね。
新しい事に興味津々のところや、イタリア人の褒め上手なところ、すごくいいなって思います。

前の記事の、人物あてゲーム、すごくおもしろいですね!
今度、会社の新年会のときに、やってみようかしら。

とてもステキな集まりでしたね。
イベントや施設で楽しませてもらうのではなく、こうやって、
自分たちで楽しむすべを知っているところはイタリア人ってすごいなぁ。
Commented by milletti_naoko at 2011-01-06 02:40
Delfinoさん、こんばんは!

だれかれとなく、幹事を買って出る人がいて、あれよあれよと、出し物やその運び方が決まっていくのがおもしろかったです。一緒に食べて、歌って、こうして過ごしていくと、やはり一体感が強まって、以前に比べてずっと皆を身近に感じます。

ストライキなんですが、劇の内容には、かなり深刻な労働者の社会的状況が反映されていて、子供たちも、たぶん今は分からない言葉が多いと思うのですが、そういうことを劇を通して学びながら育っていくことが、大切だと思います。子供の親たち、友人たちがもともとみんな左派を支援しているので、こういう劇を選び、劇が喝采を浴びるのではありますが。

人物あてゲーム、楽しいですよ。ぜひやってみてください。日本では、学校で教えていたからか、職場の宴会のときでも、こうやって取り仕切って、にぎやかに音頭を取ったり、何かと工夫して余興をしたりした人が多かったのです。今回、それを懐かしく思い出しました。
Commented by ムームー at 2011-01-06 11:47 x
なおこさん
またまた素敵な笑顔が見えますねぇ。
劇の内容も素晴らしい~
大きくなれば納得できていいですねぇ。

こういうことが家庭でおこなわれるなんて素晴らしい~
孫達にも経験させたいですわ、成績重視の学校からは何が
生まれるのか心配ですわ。

Commented by milletti_naoko at 2011-01-06 17:14
ムームーさんへ

劇は、普段から大人や子供をまとめて一緒に何かをするのが得意なマヌエーラと幼稚園で教えるシルヴィアが中心になって、準備・上演をしたのですが、子供も大人も、みんな、大いに楽しんでいました。劇の作者である幼稚園の先生、Maestra Rosalbaにも、記事へのリンクを紹介したところ、とても喜んでくれたんですよ。「独創性豊かに育ちゆく」という題の、彼女のサイトには、同様の、子供たちが楽しみながら学べるようなアイデアに満ちています。
Commented by ank-nefertiti at 2011-01-06 23:21
naokoさん、こんばんは!
素敵ですねぇ!
日本語で聖しこの夜!
その前のイエスのストライキの劇も素晴らしいですね^^
子どもたちには最高のクリスマスでしたね。
こうやって、世の中が子供を育てているんだなぁって、ちょっとうらやましい一夜です。

↓のゲーム、ときどきイタリア語のレッスンでやるんですよ。
カードを使って!
「ひげが生えてる?」とか「金髪?」とか聞いて、その答えをヒントに当てるというの。
楽しいです。
ゲーム感覚でなら覚えやすいかなって、先生がいろいろと考えてくれるのがありがたいのですが、肝心の生徒が・・・さっぱり!なんですよ>悲
でも、イタリア語のPiano pianoで頑張ります^^
Commented by milletti_naoko at 2011-01-06 23:42
杏さん、こんばんは!

いつも皆をまとめてくれる核になるフランコとマヌーのおかげでもあるのですが、こうして大人と子供が集まって、皆が楽しんで過ごせるのはすてきなことだと思います。自分の子供が「家ではひとりっこなので、こうやって他のたくさんの子供と過ごして、一緒に何かできるのがうれしそう」という友人もいました。

授業中に、ゲームが取り入れられると、楽しいですよね。焦らず、ゆっくり、頑張ってください!


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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