『ベファーナ物語』 前編

ルイージ・ミッレッティ作、石井直子訳 ~原文は、こちらです~

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(アッシジのプレゼーペの中で、東方の三博士のらくだが、小屋の近くにいた羊飼いに、こっそりうちあけた話を、そのとき、運よくプレゼーペの前にいて、聞くことができたわたしが、一言ももらさず、ここに書きうつしたものです。)

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 遠いむかし、今から2000年以上も前に、かしこい3人の王さま、メルキオッレ、バルダッサッレ、そして、ガスパッレが、はるかに遠い国から、旅に出かけました。3人は、それぞれ、なぞの多い土地、ヌビア、豊かな地いき、バビロニア、そして、伝説の国、タルシスから、出発しました。

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 3人のかしこい王さまは、星の言葉を知っていました。3人は、星たちから、偉大な王さまがガリラヤの地にお生まれになることを知り、そこで、この偉大な王さまをうやまい、おくりものをささげるために、旅に出ることにしたのです。おくりものは、王の黄金、神々におくられる乳香、そして、人々の苦しみをいやす、にがい没薬でした。3人の王さまは、星にみちびかれて、たくさんの国々をわたりました。どの土地をたずねても、人々は、王さまたちを見て、興味を引かれて、かけよってきました。そうして、そのうち何人かは、王さまの旅の道連れとなりました。

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 おかしなことだと思われるかもしれませんが、3人の王さまたちは、おたがいのことを、まったく知りませんでした。どの王さまも、ほかの二人のことを何ひとつ知らなかったのです。けれども、3人のゆく道は、やがてひとつに交わることになっていました。3人のかしこい王さまが、おたがいに出会ったとき、聖なる町、エルサレムはまだ遠く、何日もなんにちも、歩いた先にありました。出会った3人は、おたがいにあいさつをしました。そうして、ちがう言葉を話していたのにもかかわらず、おたがいの言うことが分かり、同じ星にみちびかれて、同じ行き先に向かっていることに、気づきました。こうして、3人のかしこい王さまは、いっしょに旅をつづけました。

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 もはや年も終わりに近づいていました。旅は何か月もつづき、だれにとっても、たいへん苦しい旅になっていました。突きささるような寒さのために、三博士の体は弱ってきました。3人の進む荒れ野原には、木が1本もありません。一面が草におおわれ、ごくまれに、しげみがあるばかりです。ある夜、冷たい風が、雪を王さまたちの顔に吹きつけていたとき、降りしきる雪の中で、遠くの方に、かすかな明かりが見えました。3人はその明かりに向かって進み、ぽつりと1けん建った、みすぼらしい小さな家の近くまで、たどりつきました。そうして、一晩とめてくださいとたのむために、戸をたたきました。

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 ぎしぎしと音を立てながら、戸が開くと、その後ろには、小さなおばあさんがおりました。おばあさんは、みごとな衣しょうを身にまとった王さまたちを前にして、少しおそれ多い気持ちになりました。そうして、「こんなにりっぱな方たちを、おもてなしできるような家ではありませんが。」と言いながらも、家にまねきいれ、わずかながら、大切にとっておいたものを、すべて使って、できるだけ十分に、おもてなしをしようと努めました。のこっていた最後のまきで、だんろに火をおこし、ありったけの野菜を使って、とてもおいしいスープを作りました。この家で、こんなにりっぱな人たちをもてなしたことは、これまで一度もありませんでした。小さなおばあさんは、これまでも、いつも心おだやかに暮らしていました。次の日にはもう何も食べるものがありません。けれども、このとき、おばあさんは、幸せでいっぱいでした!

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 東方の三博士も、いっしょに旅をつづける人々も、ようやく温かい中で夜を過ごすことができました。次の朝、再び力をとりもどした王さまたちは、小さいおばあさんにお礼を言い、エルサレムへの道をたずねました。なぜ旅をしているかも説明し、ぜひいっしょに王の中の王をたずねに行きましょうと、おばあさんを、さそいました。

⇒「『ベファーナ物語』後編」につづく(リンクはこちら

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2011-01-23 23:58 | Feste & eventi | Trackback | Comments(2)
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Commented by mihodiary at 2011-01-24 20:02
なおこさん、こんにちは!

はじめ、原文で記事が投稿されていたときは、何やら、物語のようではあるけれど、いったい何が書かれているのかな。こういうとき、イタリア語がわかるといいなぁ...などと思っていたのですが、ご主人さまの書かれた物語なのですね!
子どものように、つづきが愉しみになっています(笑)
...なんだか、子どもの頃、読み聞かせてもらったような、古い絵本の香りがするような、そんな懐かしい雰囲気のある、あたたかいお話ですね。小さなおばあさん、このあとどうなるのでしょう! ご主人の、愛情深いお人柄までもが、伝わってくるようです。
Commented by milletti_naoko at 2011-01-24 20:42
みほさん、こんにちは!

つづきを楽しみにしていただいて、ありがとうございます。もともと土台になる話はあるのですが、ちょっとした言葉づかいや、おばあさんのもてなしの心を描いたくだりなどが、ほほえましく温かくて、とてもすてきな話に仕上がっていると思います。「あまり物がなくても、できるだけのことをして、もてなそう」というおばあさんの様子が、夫を反映している気がします。

昨年1月6日、主顕節でベファーナが子供たちにお菓子を贈る前の日の晩に、マヌエーラの発案で、ベファーナの劇を上演したのですが、その際、夫が脚本として、苦労しながら、また、楽しみながら書いた物語です。赤に身をまとって物語を読み上げるのがマヌエーラで、星や東方の三博士、ベファーナ役が、物語の進行に従って動いていくという、ちょっと日本の能に似た上演方法だったのですが、実は、うちの夫、赤いターバンを頭に巻いた博士の一人も演じているんですよ。
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