バレンタインデーの思い出1

 イタリアではバレンタインデーは、恋人や夫婦が二人で一緒に祝ったり、お互いに贈り物をしたりする日です。ですから、カレンダーの2月14日の日づけには、この日を記念して祝う聖人、聖ヴァレンティーノ(San Valentino)の名前があることもあれば、「恋人たちの祭日」(Festa degli Innamorati、Festa dei Fidanzati)と書かれている場合もあります。(イタリア・世界のバレンタインデーについて、詳しくはこちら

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 わたしと夫が初めて出会ったのは2003年の12月。それから2か月後のバレンタインデーの頃には、お互いのことが気になりながらも、二人でおつきあいをするというのではなく、他の友人たちと一緒に、映画を見に行ったり、食事をしたりしていました。

 イタリアの大学は、大学にもよりますが、新学年と前期の授業が10月に始まり、クリスマス休暇のあと、1月と2月が試験期間であるところが多いのです。2004年の手帳を引っぱりだして見ると、この年のバレンタインデーには、2月16日には、ラテン語・ラテン文学の試験、3月4日に、異文化教育学の試験を控えていました。というわけで、2月14日も、時々掃除をしたり友人に電話したりして息抜きをしながら、朝から晩まで、試験勉強に追われていました。

 そうしたら、午後11時近くに、急にルイージから電話があったのです。そのとき、彼が何を言ったかと言うと、「通告する。本日の君の勉強時間は終了した。」そうして、友人たちと、近くのワインバーに飲みに来たから、君も一緒に来なさいと言うのです。アパートの同居人で、わたしと夫を引き合わせたフィロメーナは、うれしそうににこにこしながら、わたしの背中を押して、アパートから送り出しました。

 当時わたしが住んでいたのは、ペルージャの中心街、Corso Cavour近くのアパートの最上階。エレベータなどない建物の長い階段を駆け下りると、夫とその友人たちがわたしを待ち受けていました。アパートからすぐ近くにあるワインバー(イタリア語ではenoteca)で、おいしいセミフレッドを食べながらおしゃべり。バレンタインの日に、ルイージに会えたのが、うれしかったように、ぼんやりと記憶しています。でも、一番よく印象に残っているのは、エレオノーラの少し戦闘的にも思えた、質問攻撃なのでした。

 ワインバーの中には、わたしがすでに顔をよく知っていたルイージの友人、アントーニオとコッラードの他に、やはりウンブリア州庁で働いているという同年代の女性が3人いました。初めてだれかと会うとやはり、最初はいろいろ質問をしたりもするのですが、何でまた、この人こんなにいろいろ聞いてくるのだろう、何だか質問攻めされているような、というのが、初めてエレオノーラに会った、この晩の印象でした。

 皆でとりとめもなく、他にもいろんなおしゃべりをして、バーをあとにしたのが、真夜中過ぎです。イタリアでは友人どうし、時には知人どうしででも、両頬を互いに合わせて、あいさつをすることが多いのですが、ルイージが、「君の文化を尊重して」と、握手でだけあいさつをしたのが、何だか寂しかったのも、このときではないかと思います。一方、「いや、ぼくはイタリア風のあいさつをする」と言ったのは、コッラードですが、何でも友人の日本人男性を、あるとき駅で再会の喜びのあまり抱きしめたら、相手にすっかり硬直されてしまった(「石になって固まっていた」というのがコッラードの言葉です)と言っていました。

 というわけで、今は、わたしにとっても大切な友人なのですが、わたしのエレオノーラに対する第一印象は、あまりいいものではなかったのです。後になってから、どうしてエレオノーラが、わたしを意地悪な質問攻めにしたのか分かりました。ルイージにとっては最も話せる女性の友人と言うことで、恋の相談相手になってくれていたのが、エレオノーラだったそうです。大切な友人とつきあうのにきちんとした相手だろうか、エレオノーラがわたしを質問攻めにしたのは、そういうルイージを思う気持ちからであったようです。結婚式で、ルイージが証人を頼んだのは、このエレオノーラと彼女のだんなさん。いつもブログに載せている写真は、エレオノーラたちが結婚祝いに贈ってくれたデジタルカメラで撮影したものです。

 写真は、昨年の結婚記念日の朝に、夫が庭で摘んで、贈ってくれたバラの花です。

⇒「バレンタインデーの思い出2」につづく。(リンクはこちら

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2011-02-03 15:35 | Feste & eventi | Trackback | Comments(10)
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Commented by Delfino at 2011-02-04 02:22 x
いつものように、優しいですね、ルイージさん。
こういう、花を贈ってくれるというさりげないところがステキ!
イタリア人って日本人よりも花を贈ってくれる回数が多いように思います。美意識が高いからかなぁ。

日本では「男女間の友情はない」みたいなところがありますが、イタリアは性別にこだわらず深い友情ってありますよね。
時に、口出し過ぎてうっとおしい時もありますが(特にイタリア女子)自然な人間関係だと思います。
日本は、カテゴリーわけが強いから、男性の親しい友人がいるというと、ものすごく驚かれます。

日本人は肌の接触が少ないので、挨拶でハグしたり、頬にキスしたりするのに抵抗があるんでしょうね~。
私は、イタリア式の挨拶の仕方が大好きです。
今は、北米の社員が多いので、そういう挨拶もハグもなく(握手は多いけど)、寂しいです。
Commented by milletti_naoko at 2011-02-04 02:34
Delfinoさん、こんばんは!

コメントとってもうれしいのですが、またこんな時間に、体調は大丈夫でしょうかと少し心配もしているわたしです。相変わらずお仕事がお忙しいのですね。

夫が初めて贈ってくれた花もやはり自分が育てているバラの花でした。特に香りの高い花を選んで、大切に大切に育てている花だと知っているので、よけいにうれしかったです。

この性別にこだわらず深い友情って、確かにありますよね。わたしはかつて職場に男性が多かったこともあって、男女の区別なく大切な友人や先輩がたくさんいたので、その点ではありがたかったなと思っています。

肌の接触には不思議な安心感、そして相手を信頼しているんだというメッセージもあるような気がします。会ってから親しくなるまでの時間も、互いの物質的な距離も、確かにイタリアの方が日本よりも近いですよね。北米のドラマでもハグはよく見かけたような気がするのですが、やはりビジネスの世界では少し勝手が違うのでしょうか。周囲のことを考えながら、一生懸命働かれているDelfinoさんのまわりで、少しずつ温かいあいさつや人間関係、きっと増えていくと思いますよ。
Commented by mayumi-roma at 2011-02-04 08:31
まぁ、naokoさん、いいお話だわ~♪
真面目なnaokoさんのこんな話を聞くと、なんだか嬉しくなりました♪
可愛い女性ではないですか~!!
ご主人様もイタリア人にしては控えめで可愛いですね。

抱き合うとかキスの習慣がない日本で、私が1年ぶりに両親に会っても、抱きしめたりキスしない様子を見て、夫はいまだに「考えられない・・」と言います。
日本の街角でキスだけはしないでね、と毎回言いくるめていますが、最近の日本の若者は欧米化しているようで、けっこう平気でベタベタしていますよね。

私のブログ、ミーハーで、naokoさんには合わないかな~と思っていたのに、遊びに来てくれてありがとう!
でも、たまには真面目な事も書いてますよ~
リンク頂きますね♪
よろしく~
Commented by Yuka at 2011-02-04 10:22 x
なおこさんのこういう記事読みたかったですよー笑

私のイタリア人のイメージは押せ押せだったのですが、ルイージさんは硬派なのですね!
でももしかしたら真剣だったからこそ安直に行動できなかったのかもしれないですね。
握手での解散も、相手に気持ちがあればちょっとさみしかったりする気持ちもすごく分かります。
こうして2人の思い出を振り返る機会があるって大事だなーと感じました。
パートナーと共有できる思い出があればあるほど幸せですね!
Commented by ゆん at 2011-02-04 13:41 x
素敵なお話ですね~
試験勉強を夜遅くまで頑張ってるなおこさんに会いたくて仕方ないルイージさん、呼び出すところなんて映画のワンシーンみたいじゃないですか(≧∇≦)/

そして、なおこさんを尊重してあえて握手で済ますのも、なおこさんがそれを寂しく思うのも、まるで小説を読んでいるようでワクワクしちゃいましたよ。 
思いやりがあって、優しくて、それでいて控えめなところもあるルイージさんだからこそ、なおこさんのハートを射止められたんじゃないかしら、と思ったりもしています^^
Commented by milletti_naoko at 2011-02-04 17:36
まゆみさん、こんにちは♪

ありがとうございます。実は、夫が握手だけであいさつをすませたのは、ちょうどこの日の晩に、コッラードが例の日本人男性抱擁の件と共に、「日本人の女の子どうしって、親友どうしが何年ぶりに会っても、頬も寄せないし、抱擁もしないんだよ。信じられない!」という話をして、わたしが日本ではイタリアに比べて、対人距離が少し長いし、身体的接触が少ないのだと説明をしたばかりだからでもあります。ふだんは頬を寄せ合ってのあいさつは、ルイージも含めて男性の友人たちと当たり前にしていたので、それでよけいに寂しい気持ちがしてのでした。ただ、傾向として、人前でなくてもあまりべたべたしない人なので、少し寂しいなと思うことは、今も時々あります。

まゆみさん、こちらこそありがとうございます。わたしもリンク貼らせていただきますね。わたしも最近はちょうど日本優勝があって、張り切って少し固いことを書いていたような気がします。性格や嗜好が少し違っても、まゆみさんが紹介されているものはすてきだなと思うし、何より杏さんとお友達でいらっしゃいますものね。こちらこそ、よろしくお願いいたします。
Commented by milletti_naoko at 2011-02-04 17:39
ゆかさんへ

バレンタインデーについて書こうと思ったら、この一緒に過ごした初めてのバレンタインデーを懐かしく思い出したので、何だか恥ずかしいなと思いながら、忘れてしまわないうちにと思って、書いてみました。喜んでいただけて、うれしいです!

もう7年も経っていますので、すでにかなり思い出の霞がかかっているのではありますが……
Commented by milletti_naoko at 2011-02-04 17:44
ゆんさんへ

ありがとうございます♪ 「通告する」と訳しましたが、このとき、ルイージ、少しふざけながら、警察や軍隊が犯人や敵を包囲して、投降を呼びかけるような、有無を言わさぬ口調と言い回しで、「通告」してきたのです。ふつうに誘い出されるより、何だかそれがよけいにうれしく、楽しかったのを覚えています。

夫はとても日本人的というか、自分の気持ちを伝えるのが意外と無器用な人なのです。それでとまどうことが今もありますが、そういうところが魅力だし、そのおかげで、わたしに会うまで、独身でいてくれたのかなとも、思っています。
Commented by bianchi_saitoh at 2011-02-04 23:07 x
いい話しですね。
日本人の夫婦は一般に年々トーンダウンしていってしまいますね。
自分はならないと思っていたのに、すこーしなっているような?
出会った頃を思い出してみよーかなァ~。

ご主人のようなさり気ない優しさがいいですね。
Commented by milletti_naoko at 2011-02-05 03:09
bianchi_saitohさんへ

ありがとうございます。ぜひ、出会った頃を思い出されてみてください。贈り物でなくとも、さりげない服装や髪型、お料理に関するほめ言葉とか、ねぎらいの言葉、優しい一言が、奥さまもうれしいのではないかと思いますよ。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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