バラに思う

 昨日、お義母さんに誘われて、野菜畑に行ったとき、ふと思いついて、奥に植えてあるバラたちを訪ねてみると、

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 美しい花を咲かせているバラが、二株ありました。こちらのピンクのバラは、夫の母方の祖父母が暮らし、母が生まれ育った村、レスキオに生えていたものです。トスカーナとの州境に近い、この小さな村に、数年前、1年ほどの間、夫と二人で暮らしました。

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 こちらの真紅のバラも、夫が20年近く暮らした家の庭に咲いていたのを、移し替えたものです。まずはレスキオに、そして、今住むペルージャ郊外にと、二度移し替えたこちらのバラ。去年は今ひとつだったのですが、今年は、かつてレスキオで咲いていたときのように、紅の鮮やかなみごとな花を、咲かせています。顔を近寄せると、それはかぐわしい香りがします。

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 レスキオに住んでいた頃は、庭の中央に幾株も植えて、それは大切にしていたバラの花たちを、ここペルージャ郊外に越してきたとき、夫はなぜか、広い野菜畑の奥に植え替えました。

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 このところ、天気が悪いことが多く、仕事に追われ、また家を離れたりもして、もう長い間、野菜畑に足を運んでいませんでした。

 というわけで、このバラの花たちは、わたしが見ていない間にも、いつからか、美しい花を、次々に咲かせていたのです。長い冬に耐え、雨水や土から養分を取り込みながら、花を咲かせる準備をしていたわけです。

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 バラの美しさと香りの高さを愛でつつ……、バラを見るたびに、いつものように、『星の王子さま』の中の好きな言葉たちが、頭に浮かび、心に迫ってくるのでした。
「肝心なものは目で見えない。大切なものは、心でなければ、見えないんだよ。」
「君がバラの花を大切に思っているのは、君がバラのために時間を費やしたからなんだ。」
「ずるそうなふるまいばかりしているけれど、本当は優しいんだということに、ぼくは、気づかなかったんだ。ぼくはバラの花を後にするべきではなかったんだ……」

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 忘れたくない、しばしば心に言い聞かせたいこうした言葉が、美しいバラの花を眺めていると、すっと心に入ってきます。すでに花の開いているバラの花を摘み取って、室内に飾って楽しむことにしました。花瓶代わりに酒どっくりを使っているのですが、花の色と妙に調和している気がします。

 こうして、バラを眺めながら、『星の王子さま』の教えを、心にかみしめたいと思います。目には見えないものを心で感じ取れるように。大切ないろんなことや人のために、時間を費やして、より大切なものにしていけるように。ふとした態度や言動に傷ついてしまわずに、その奥にある優しさや繊細さに気がつけるように。そして、自分を過剰に守るために、ずるそうに見えるふるまいをしてしまわないように。

*あとがき
 以前に、イタリア語学習メルマガで、『星の王子さま』の文章を、読解と聞き取りのための学習教材として、使ったことがあります。興味のある方は、メルマガ、『もっと知りたい! イタリアの言葉と文化』の第25号(リンクはこちら)をご覧ください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2011-05-05 17:55 | Fiori Piante Animali | Trackback | Comments(8)
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Commented by MIKA at 2011-05-06 01:28 x
うわあ、きれいに咲いてるね。
私もここ数年、すっかりバラにハマっています。
そう、彼女たちと過ごす時間がきれいな花をつけたとき、報われるのよね。
ああ、頑張って良かったって思う。
彼女たちを置いてはいけないって私も思ったばっかり
Commented by milletti_naoko at 2011-05-06 05:00
MIKAさんへ

かつて一時期夫がバラに熱中していた時期があって、我が家にも、いろんな種・色の花があります。その中でも、今年真っ先に咲いたこの花たちは、夫とその家族にとって、とても思い出の深い大切な花です。他の花たちが植え替えに苦しんでいる中、みごとに根を下ろし、実は場所の問題もあって、少し放置され気味なのに(バラさん、ごめんなさい!)、美しい花を咲かせてくれました。

何でも手をかけ、心と愛を込めることで、すてきなものに仕上がっていくのですよね。MIKAさんのバラたちも、どれもとってもきれいですね。
Commented by クロちゃん at 2011-05-06 06:24 x
なおこさん、おはようございます。♪
薔薇は見事に咲きましたね。
真紅のバラが目を惹きます。
酒どっくりとぴったり~。
花は色んなことを思い出させて教えてくれるものでもありますね。(^^)/
Commented by ムームー at 2011-05-06 08:42 x
なおこさん
お花の香りがこちらまで届きそうですわぁ。
思い出のあるお花達、こんなに綺麗に咲いて
いたのですね。
庭にはびこる雑草にも言葉をかけたくなります。
お花が咲いたあとに、ごめんねといいながらぬきます。
星の王子さまの教え~
素敵ですね~
Commented by milletti_naoko at 2011-05-06 17:17
クロちゃん、おはようございます♪

実はこの二株のバラ、大きなオークの木の下にあって、昨年まであまり育たず、夫は木の影になるからではないかと心配していたのです。逆に今年はこの木が春先から照りつけていた強い日ざしから、バラたちを守ってくれたようで、このバラたちが一番勢いよく、美しい花を咲かせてくれています。
ちょうどよい花瓶がないので、あるもので間に合わせたのですが、不思議にバラの花や周囲の風景になじんでいますよね、この酒どっくり。イタリア人作のこの和風陶器をこちらで買って以来、まだお酒は入れたことがないので、最初に入れたのが、バラの花と相成りました。
Commented by milletti_naoko at 2011-05-06 17:20
ムームーさんへ

夫やその家族の思い出に深く関わる土地に育っていて、長い間その生活の一部であった花たちが、今もこうして、毎年咲いてくれているというのが、不思議な気がします。レスキオのバラは繊細、真紅のバラはあでやかで香りが高く、どちらもそれぞれの美しさで、春の野菜畑(どうして庭に植えなかったのでしょうね)を彩ってくれています。
『星の王子さま』、大好きなんです。何度読んでも、心に響くものがあって、読むたびに、これからはと心がけるのに、つい毎日の中で忘れてしまいがちになります。
Commented by mie at 2011-05-06 23:18 x
なおこさんこんにちは。
「星の王子さま」は私がはじめて手にしたイタリア語の本です。スペイン語が堪能な友達がイタリア旅行をした時に、お土産に買ってきてくれました。その友達もはじめてスペイン語で読んだ本なのだそうです。
私もキツネと王子さまとのこの場面は大好きです。このCDはいいですね!イタリアに行く機会があったら探してみます。
Commented by milletti_naoko at 2011-05-07 07:57
mieさん、こんばんは。

『星の王子さま』は大好きで、英語版にドイツ語版と、新しい外国語を習うたびに、そうした言語に翻訳されたものを購入したりもしていました。
何度読んでも新しい発見や心に響くものがあって、また、会話の部分が比較的に優しいので、何度も何度も繰り返し聞きながら、外国語を学ぶのにも適していると思います。YouTube上にも、このイタリア語版のCDから音声を取って作り上げた映像がいくつもありますので、ぜひ本も使いながら、視聴してみてください。単なる朗読ではなく、それこそラジオ劇のように皆が声や話し方を巧みに工夫して、すばらしい演技で聞かせてくれる、すてきなCDです。旅行の際には、ぜひ見つけて、購入してみてくださいね。
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