壁画が語る暮らしと信仰

 7月23日土曜日、山頂の湖を散歩し、地元特産のチーズを購入したあと、わたしたちはパランフレ(Palanfré)の村を後にしました。

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 パランフレの教会には、キリストの使徒の一人である聖ヤコブ(イタリア語では、San Giacomo)の絵が、教会正面に聖母子と共に描かれ、内部にも聖ヤコブの像がありました。聖ヤコブは、スペイン語でサンティアーゴ。スペインのサンティアーゴ・デ・コンポステーラへの巡礼は、本来、この聖人の遺骸が見つかった地を聖地として、訪ねるものです。聖ヤコブ、そして、サンティアーゴ巡礼いずれもの象徴であるホタテ貝が、左に描かれた聖ヤコブが手に持つ杖に、飾られています。

 カトリック教会では、7月25日が聖ヤコブを記念する祝祭日とされています。聖ヤコブを崇める教会を持つパランフレでは、7月23日の晩から25日にかけて、聖ヤコブの記念日を祝う村祭りがありました。村の掲示板には、晩に肉を焼いて食べたり、ダンスをしたり、と祭りのプログラムが書かれていたのですが、何だか静かな村がにぎやかになりそうで、わたしたちは、その祭りが始まる一足先に、村を出ました。

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 そうして、しばらくドライブしたあと、訪ねたのが、このヴェルナンテ(Vernante)の町です。ピエモンテ州のマリッティメ・アルプスの教会には、正面を壁画で装飾したものが多いのに驚いたのですが、ヴェルナンテの町も、同様でした。

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 マリッティメ・アルプスの町や村には、教会だけではなく、家の壁にも美しい絵が描かれていることがありました。

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 ヴェルナンテ(Vernante)は、町中が、ピノッキオ(Pinocchio)の物語を描いた壁画(murales)で飾られています。それは、ピノッキオの重要な挿絵画家の一人であるアッティーリオ・ムッシーノ(Attilio Mussino)が、かつてこの町で暮らしたことがあるからです。

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 わたしたちも、クジラに飲み込まれるピノッキオの絵や、遊びほうけてロバになるピノッキオの絵を見て、楽しみながら、町を歩きました。

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 その晩、わたしたちが宿泊したアンドンノ(Andonno)の村では、家々の壁に、昔の職人たちの仕事ぶりが描かれていて、教会の正面にも、やはり壁画がありました。夕食後の散歩中に撮影したので、暗かったため、絵が見づらくなっています。

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 宿泊先のアグリトゥリズモでは、ラヴェンダー(lavanda)も栽培していました。夕食はおいしかったし、部屋は広かったのですが、建物とわたしたちの部屋が、交通量の多い道路に面していた上、夕食時に、宿泊客であるわたしたちが、食事のみの客に比べて、女主人にひどく冷遇されている気がして、二度と戻りたくないと思いました。

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 7月24日日曜日の朝は、せっかくすばらしい旅行をしたマリッティメ・アルプスを、この宿を最後に後にするのは、後味が悪いからということで、少し遠回りをして、サンタンナ・ディ・ヴァルディエーリ(Sant’Anna di Valdieri)に行きました。この村で、4日間居心地よく過ごしたホテル兼バール(記事はこちら)で、カップッチーノを飲み、宿を経営する人のいい若者と、おしゃべりを楽しみました。

 古来、ライ麦(segale)の生産がさかんで、ライ麦生活・環境博物館(Ecomuseo della Segale)(記事はこちら)のあるサンタンナの村では、家々の壁に、ライ麦の農耕に勤しむ人々の様子や、ライ麦を使った食品などが、描かれています。

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 この店の壁には、村人がライ麦を脱穀する様子が描かれています。ライ麦博物館のほぼ正面にあるこちらの食料品店では、マリッティメ・アルプスみやげや地域の特産品が売られています。みやげの種類は豊富で、菓子類や酒類の他に、絵はがきやアルプスに棲息する動物たちの木彫り作品などもありました。わたしたちは、ラヴェンダー入りクッキーやリキュールのgenepì、genepì入りチョコレート、木彫りの動物などを、購入しました。

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 こちらの壁には、ライ麦のパンを、釜で焼く様子が描かれています。

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 サンタンナの教会も、やはり壁画で装飾されています。

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 この日、サンタンナに着いてすぐ、夫は双眼鏡で、向かいの山にあるカモシカの道を眺めました。狩人がカモシカをおびき寄せるために、塩をまき、カモシカがよく通るので、この名があり、7月19日には、夫が道もない岩山をするする登って、この道を訪ねた(記事はこちら)のですが、この日の朝は、ちょうどカモシカ(camoscio)が2匹いるのが見つかりました。

LINK
- 日本語版Wikipedia – ヤコブ(ゼベダイの子) 
- it.wikipedia - Vernante
- Comune di Vernante - HOME

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2011-09-25 18:36 | Piemonte | Trackback | Comments(8)
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Commented by クロちゃん at 2011-09-26 07:05 x
なおこさん、おはようございます。♪
良く知っているピノッキオの絵はとても興味深く見られますね。
こちら全体が童話の世界のようにも思えます。
>女主人にひどく冷遇されている気がして…。
これも童話の物語になりそうです。(^^)/
Commented by ムームー at 2011-09-26 11:07 x
アルプス山脈が見えて美しい景色のところですね。
家並みがそろってて綺麗、壁画も描かれてるって
素晴らしいですね。
生活を楽しむことがあらわれていますね~
Commented by oliva16 at 2011-09-26 11:47
パランフレ!アンドンノ!かわいい響きの名前ですね~。初めてイタリアに行った時、上着のことを”ジャケッティーノ”、とか、ドイツマルク(ユーロ導入どころか東西分裂時代でした)のことを”マルコテデスコ”と言っているのを聞いて「なんだかふざけたような面白い言葉」と思ったことを思い出しました。イタリア語は響きが楽しくて、意味がわからなくても聞いているだけで嬉しくなる…というのを理由にろくに勉強しないでウン十年、今、試験前の泥縄式で我ながら勢いよく力は伸びて?いますが、何十年を取り戻せるはずもなく、また今週末の試験に間に合いそうもなく…。なんて、本文と全然関係ないことを書いてしまってごめんなさい。このブログの美しい写真にいつも癒されています。ありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-26 16:26
クロちゃん、おはようございます♪
ピノッキオの絵と花に飾られたヴェルナンテの町は、確かにおとぎ話に出てくる町のようでした。童話の物語になりそうですか? そうですね。檻に入れられて、食べられることがなかっただけでも、ありがたいと思わなければ…… たまに、これははずれだと思う宿があるから、いい宿に泊まれたときの喜びも増すのでしょうし。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-26 16:29
ムームーさん、こちらでは新しい住宅を建てたり、建て直しをしたりするときの規制が厳しいので、実際に新築・改築が必要なときは大変ですが、そのおかげで、町並みが昔のままに残ったり、統一がとれたりしているのだと思います。壁画も、町の文化や歴史を大切に伝えていこうという表れで、すてきですよね。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-26 16:47
oliva16さん、外国語の名前や単語って、母国語では思いがけないような音のつながりや響きがあって、新鮮に響きますよね。実は、このあたりは、かつてはフランス領であり、土地の人が従来話す言葉は、フランス語でもイタリア語でもなく、オック語(occitano)です。そのため、どの村の名前も、イタリア語とオック語かフランス語の二つの言語で記されていました。
たぶんolivaさんの場合、検定に受かることも大切でしょうが、イタリア語を向上させるきっかけとして利用されているのだと思うのです。そういう意味では、たとえ泥縄でも、「勢いよく力」が伸びて、うまく受験を学習に生かせていると思います。ただ、やっぱり急にたくさん勉強するより、日頃から少しずつ積み立てていくほうが、身につきやすく、忘れてしまいにくいので、今の頑張りを、その何分の1かでも、これからのお忙しい毎日の中で、継続できればよいのではないかと思います。試験が近づいているんですね。Buon studio e in bocca al lupo!
Commented by かや at 2011-09-26 23:55 x
こんばんは☆
家の壁に壁画、面白いですね♪
2階の壁の絵は描くの大変だったでしょうね。

宿の対応……日本ではあまり感じの悪い宿主さんって少ないでしょうか。
食事だけのお客さんより宿泊したお客さんを大切にするべきですよね~。
応対の良い宿って、多少の不便があってもガマンできちゃったりしますね。

凸d(^ー^)pochi
Commented by milletti_naoko at 2011-09-27 02:11
かやさん、こんばんは。教会内部など、屋内の壁に絵のあるところは多いのですが、町の家や教会の壁が描かれているのは新鮮でした。それに絵も、村の生活や文化に深く関わっているものが多くて、おもしろかったです。それまでの宿では、宿泊客に優しい経営者が多かったので、よけいに悲しかったです。応援のポチをありがとうございます。
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