サンティアーゴが呼んでいる?

 数年前から、わたしたちの親しい友人たちが、繰り返し、スペインのサンティアーゴ・デ・コンポステーラに巡礼しています。

f0234936_15151100.jpg

 夫の幼なじみのフランコに至っては、昨年、リミニの自宅から、サンティアーゴ、そして、最西端のフィニステーラまで、約3千kmの道のりを、3か月かけて歩きました。もちろんこれは特異な例で、他の友人たちは、フランスやポルトガルを起点とする古典的な巡礼に挑戦しています。

f0234936_1522765.jpg
Capo d’Arno, Forsete Casentinesi (purtroppo senza acqua) 7/10/2010

 わたしたちは、まだサンティアーゴまで歩いたことがないのですが、おととしの秋には、聖フランチェスコが聖痕を受けたという聖地、ラヴェルナ(La Verna)まで、90kmの道のりを6日間かけて歩く巡礼に参加しました。写真は、アルノ川の源、Capo d’Arnoで撮影したものなのですが、残念ながら水が涸れていました。

f0234936_1531426.jpg
Spello 16/4/2011

 今年4月には、友人たちが、ラッツィオ州のポッジョ・ブストーネ(Poggio Bustone)からアッシジ(Assisi)までの1週間の巡礼を企画しました。夫は合唱団のコンサートのために1日だけ途中でペルージャに戻ったものの、その他はすべての行程を歩き抜きました。わたしは平日は日本語の授業があったため、巡礼最終日の土曜日のみの参加でした。それでも、スペッロ(Spello)からアッシジ(Assisi)まで、約25kmを歩きました。

f0234936_1533348.jpg

 こうして自然の中を歩く楽しみを知った上、サンティアーゴへの巡礼を果たした友人たちからは、そのすばらしさを繰り返し聞いていました。今年2月には、そうした巡礼の旅の写真や巡礼者証(credenziale)の展示会と、巡礼を描いたドキュメンタリー映画を見る機会もあり、わたしも、いつかサンティアーゴまで歩いてみたいとは、感じていました。

f0234936_1535924.jpg
San Giacomo di Entracque   20/7/2011

 そんな中、今年7月のマリッティメ・アルプス旅行の終わりには、まるで、サンティアーゴがわたしたちを呼んでいるのではないか、と思われるようなできごとが重なりました。7月20日から2日間滞在した村の名は、サン・ジャーコモ(San Giacomo di Entracque)、泊まった宿の名も、山小屋、Rifugio San Giacomo。このサン・ジャーコモは、日本語では、聖ヤコブ、スペイン語では、サンティアーゴであり、まさに、サンティアーゴ・デ・コンポステーラに遺骸があるとされる聖人の名なのです。

f0234936_1545712.jpg

 それだけなら偶然かもしれないのですが、次に宿泊したパランフレ(Palanfré)にある唯一の教会は、聖ヤコブ(San Giacomo)を崇めていて、教会正面の壁画の左手には、ホタテ貝で飾られた杖を持つ聖人が描かれ、内部にも、やはりホタテ貝を身につけた聖ヤコブの像がありました。そして、7月25日が、カトリック教会で聖ヤコブを記念する祝祭日であるため、村では7月23日から25日にかけて、聖ヤコブ祭りがあり、わたしたちが宿泊した22日の昼間から、テント設営など、祭りの準備が行われていました。

f0234936_1552438.jpg

 23日にパランフレを後にして、これで聖ヤコブともお別れと思ったら、とんでもありません。7月24日日曜日に、ピエモンテを発って、ペルージャまで帰る途中に一泊したカッラーラのかずこさんのB&B近くの村、ベルジョラ(Bergiola)の教会にまで、聖ヤコブの像がありました。聖人のシンボルである杖、ホタテ貝、ひょうたんがあることから、聖ヤコブだと分かります。

f0234936_1554810.jpg

 大理石の山の美しいB&Bに到着すると、かずこさんのご友人夫婦が、お子さんとともに、かずこさんを訪問中でした。

f0234936_156825.jpg

 かずこさんが、一同を、日本料理の夕食に招待してくださり、わたしは、かずこさんのお友だちと一緒に、ズッキーニの天ぷらを揚げました。

f0234936_1562663.jpg

 夕食にいただいたかずこさんの手料理は、かんぴょうの味のしっかりきいた散らし寿司も、

f0234936_1564878.jpg

鮭と生野菜がたっぷりのサラダも、とてもおいしかったです。畑で採れたてのズッキーニの天ぷらも、おいしくて、いつまでも手が伸びました。

f0234936_1571095.jpg

 デザートにと、わたしたちは、再びベルジョラの村に戻り、老人会らしき建物内の店で、アイスケーキを買いました。写真には他にも、先日ご紹介したマリッティメ・アルプスの特産品であるgenepìのリキュールと、ラヴェンダー入りクッキーが写っています。

f0234936_1573496.jpg

 おいしい食事と楽しいおしゃべりに、時間があっという間に過ぎていきました。夕日に染まる、この美しい大理石の山の写真を撮ったのは、午後8時45分。とっぷり日が暮れ、遅くなるまで、話し続けたのですが、なんと、このかずこさんのご友人夫婦が、初めて出会ったのは、サンティアーゴへの巡礼の途中だったのです。二人とも、特にだんなさんの方は、瞳を輝かせて、その巡礼の魅力を語ってくれました。

f0234936_157554.jpg

 そうして、かずこさんと別れを惜しみ、カッラーラ(Carrara)の町を散歩してから、ペルージャへの帰途についたのが、7月25日月曜日。そう、7月25日は、聖ヤコブを記念する日です。こうして、マリッティメ・アルプスのすばらしい自然を訪ねる旅の終わりには、サンティアーゴへの巡礼へのいざないを思わせるようなできごとが、いくつもあったのでした。

LINK
- 「サンティアーゴ巡礼、2600kmを歩く旅」
- 「聖なる森林の山道(2)、聖フランチェスコ」(ラヴェルナへの巡礼)
- 「アッシジへと歩く旅」
- 「サンティアーゴ巡礼、上映会」
- 「お気に入りの山の宿」(サン・ジャーコモの村と宿)
- 「壁画が語る暮らしと信仰」(パランフレの教会と聖ヤコブ、マリッティメ・アルプスのおみやげ)
- 「大理石の山に向かって」(カッラーラ、かずこさんのB&B)

Articolo scritto da Naoko Ishii

 この記事いいなと思ったら、応援の1クリック(↓↓)をお願いします。
Cliccate sull'icona (↓) se vi piace il blog.
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

こちらのランキングもクリックをお願いします↓↓ ありがとうございます!
Cliccate anche su questa icona, per favore!
人気ブログランキングへ

by milletti_naoko | 2011-09-26 19:05 | Cammino di Santiago | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : http://cuoreverde.exblog.jp/tb/16608585
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented at 2011-09-27 08:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-27 16:52
鍵コメントの方へ
実際に巡礼をした友人たちからは、道連れになったり、宿を共にしたりする他の巡礼者たちとの出会いの喜びや、何か精神的なものを得たということを聞くことが多いのですが、わたしもこの記事中に言及もした映画を見て、自然や風景の美しさにも、魅かれました。コメントを拝読して、ますますすてきなところなんだろうなという気持ちが強まりました。「サンジャックへの道」という映画、そういう巡礼の道筋の美しさを十分にとらえているんですね。機会があれば、ぜひ見てみたいと思います。愛読とコメントをありがとうございます。
Commented by ぷー at 2011-09-27 17:38 x
なおこさん、こんにちは。
サンティアゴ・デ・コンポステーラには、ちょうどパスクアの頃に行ったことがあります。たくさんの巡礼のグループが、どんどん到着して、そのたびにグループの楽器を鳴らす音が、町に響いていました。私は信者ではないけど、ず〜っと歩いて歩いてってした後、絶対何かが変わっているであろう、心の状態に興味があるので、サンティアゴでなくとも、何日間か歩くだけの旅というのは是非してみたいと思いますっ。
最後から2番目の写真の山に反映した太陽のオレンジが綺麗ですね〜(まさか赤土じゃないですよね)。
Commented by ムームー at 2011-09-27 18:26 x
巡礼をされる方々は何と崇高で敬虔なことでしょう~
無宗教に近い私からはお遍路さんもまだ経験したことも
なくてせいぜいお寺や神社で手を合わせることだけです。
生活の中で自然に出来ることが長い歴史があるからなんでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-27 21:04
ぷーさん、こんにちは。世界中から巡礼者が訪れる聖地ですから、復活祭の頃は、きっとことさらににぎやかだったことでしょうね。友人の中には、最初の巡礼からすっかり人が変わったようになり(わたしは巡礼後に初めて会ったので、その変化は分からないのですが)、以後、しばしばサンティアーゴまで歩いているという人もいます。やっぱり長い間一つの場所を歩き続け、それを大勢と共有すると、自分の中の何かが変わるだろうと、わたしもそう思います。

夕焼けに染まった同じ山を、ほぼ同じ角度から、まだ日が高いときに撮影した写真が、記事の中ほどにありますので、見比べてみてください。ふだんは大理石を削り取ったところが白く見える岩山が、夕陽を浴びて、茜色に染まっていたんですよ。
Commented by milletti_naoko at 2011-09-27 21:04
ムームーさん、もちろん敬虔な気持ちからサンティアーゴを訪れる人は多いのですが、フランコを初め、単に歩くのが好きなのでという理由で、あるいは、自分に挑戦してみたいという気持ちから、巡礼をする人もかなりいるんですよ。それでも、長い間道を歩くうちに、精神的、宗教的なものを感じることが、フランコにもあったそうです。
ふだんからお寺や神社をしばしば訪れて手を合わせるのも、りっぱな信仰で、長い歴史が毎日の生活や町の中に自然に溶け込んでいるのだと、わたしは思いますよ。
<< カボチャも芸術 壁画が語る暮らしと信仰 >>