旅立ちの前に~「心中のヤリタイ」?

 10月15日土曜日は、翌朝からのリエーティ・ローマ間の巡礼に備えて、ペルージャ(Perugia)からリエーティ(Rieti)まで移動しました。フランチージェナ街道(Via Francigena)は、英国のカンタベリーを起点とし、中世以来、多くの信者が、聖地ローマを目指して歩いた巡礼路です。フランチージェナ街道には、いくつか通り道があるのですが、中でも、ウンブリア州とラッツィオ州にまたがり、アッシジの聖フランチェスコゆかりの地を多く含む巡礼路は、聖フランチェスコのフランチージェナ街道(Via Francigena di San Francesco)と呼ばれています。わたしたちが今回歩いたのは、この聖フランチェスコのフランチージェナ街道の最後の100kmあまりの道のりです。

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Statua di San Francesco, Stazione di Terni 15/10/2011

 リエーティに行く途中、電車を乗り換えたテルニ(Terni)の駅にも、聖フランチェスコの像があり、早くも、わたしたちの巡礼を祝福してくれているようでした。

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Cattedrale di Santa Maria Assunta, Rieti 15/10/2011

 ペルージャの自宅を出発したのは、午後1時過ぎだったのですが、それからバスに乗って、電車の駅に着いてからの待ち時間が長く、さらに、テルニ駅では、土曜日であったため、乗り継ぎが悪く、1時間以上待ったため、ようやくリエーティ市内に到着したのは、午後6時頃のことでした。

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Istituto Divino Amore, Rieti 15/10/2011

 宿泊先は、修道女たちが、信者や巡礼者などのために運営している宿、Istituto Divono Amoreです。夫が呼び鈴を鳴らすと、すぐに修道女が扉を開け、予約していた部屋まで、案内してくれました。30分ほどしてから、リミニから車で来た友人たち5人も、宿に到着しました。修道女がわたしたち7人に用意してくれた部屋は三つで、どの部屋にも、ベッドが三つ並んでいました。あいさつとおしゃべりのあと、どの部屋に誰と誰が泊まるかを決めて、荷物を整理。修道女の経営とは言え、部屋にはテレビこそないものの、トイレ・シャワーつきで、タオルなども用意されています。一人あたり一泊25ユーロで、設備も値段も二つ星ホテルのようでした。

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 修道女が夕食にと勧めてくれた店は、宿のすぐ近くにあったのですが、大きなテレビがサッカーの試合を映し出していて、にぎやかだったため、わたしたちは、しばらくリエーティの町を歩き、町の人からおいしいと聞いて、こちらの店に入りました。

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 翌日からの巡礼を前に、赤ワインで一同乾杯したあと、ピザを食べました。ピザの生地がとても固く、具も妙に塩辛くて、友人たちも、おいしくないと、後でこぼしていました。ただ、こちらの紙のランチョンマットに、ラッツィオ州(リエーティ?)の方言のことわざがいろいろ書かれていて、食事が運ばれてくるのを待つ間に、皆で楽しみながら、読みました。ウンブリアとラッツィオは州が隣り合っているからか、リミニ勢には理解できない方言も、夫はちゃんと分かっていて、皆に解説をしてくれました。たとえば、終わりから3行目には、「Se bo vive senza pensieri, sta lontano da finanza e carabinieri.」(訳すと、「心配ごとなく暮らしたいなら、税務機関と国防省警察官には近づくな。」)と書かれています。

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 夕食のあとは、リエーティの町を、しばらく散歩しました。

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 夜明かりに照らされた石造りの町並みが美しく、こんなおもしろい街灯にも出くわしました。

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 先ほどの方言のことわざと言い、笑いの絶えない夜だったのですが、この晩、わたしが吹き出したのは、広場の壁に彫られたこちらの日本語を見たときです。

「心中のヤリタイ」!

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 この言葉が書かれているのは、この広場の奥に見える壁の左手に見える白い部分です。実は、リエーティはイタリアの中心、Ombelico d’Italia (Centro d’Italia) とみなされていて、上の言葉は、それを日本語に訳したものです。

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 ひとしきり笑ったあと、友人たちに、「心中」と「ヤリタイ」の意味を説明してから、ふと、本来横書きなので、左から右に向かって書くべきものを、右から左に書いているだけなのだ、と気づきました。ただ、額に書かれた書ではないし、1861年のイタリア統一後に彫られた日本語でもあり、正しくは左から右に向かって書くべきである上に、上下に並ぶ外国語の言葉が、左から右へと読むものであるために、ついつい、左から右に向かってだけ、読んでしまったのです。逆さまに読んでも別の意味に読めるという言葉遊びがあった気がしますが、何はともあれ、「心中のヤリタイ」と読んだときには、しばらく笑いが止まりませんでした。ちなみに、この場所を教えてくれたリエーティの住民が、外国語の訳に間違いが多いと言っていたので、どうもこういう間違いは、この標示では、日本語に限ったものではないようです。

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 ちなみに、我こそイタリアの中心なりと、名乗りを上げているのは、ラッツィオ州のリエーティの町だけではありません。ウンブリア州の南にあるナルニ(Narni)の町も、目抜き通りに、誇らしげに、Centro d’Italiaという標示を掲げています。

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Narni 6/3/2011

 ご覧のように、ナルニの標示には、ちゃんと左から右に向かって、「イタリアの中心」とかかれています。

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Rieti   15/10/2011

 こうして美しい町や月を愛でながら、おしゃべりや散歩を楽しみ、門限であった午後10時より少し前に、宿に戻り、翌朝からの巡礼に備えて、すぐに床についたのでした。


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・ブログ・メルマガの関連記事
- (ローマ・リエーティ間の巡礼に)「いってきます」
-「ローマ到達」
- メルマガ第24号、「聖なる森林の山道(2)、聖フランチェスコ」
・聖フランチェスコのフランチージェナ街道 / Via Francigena di San Francesco
- La Via di Roma. La Via Francigena di San Francesco
- La Via di Roma. La Via Francigena di San Francesco - Gli ultimi 100km per Roma
- La Via di Francesco: il cammino sui passi di Francesco d'Assisi. Tappe: Citerna - Stroncone (Cammino in Umbria, oltre 270km)
- Cammino di Francesco - HOME
・フランチージェナ街道 / Via Francigena
- Via Francigena – a cura della Associazione Europea delle Vie Francigene
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- Autoservizi Troiani – Orario Autobus, Terni - Rieti
- APT Rieti – Ospitalità – Istituto Divino Amore

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2011-10-24 22:47 | Via di Roma (RI-RM) | Trackback | Comments(11)
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Commented by ムームー at 2011-10-25 13:54 x
なおこさんこんにちは~
美しく落ち着いた街並み素敵ですねぇ~
これから巡礼に行かれるのにふさわしい場所なんですね。
映画のワンシーンか雑誌の表紙のようなリエーティの町が綺麗で
見とれています~
面白い日本語ですね、逆さに読みますねぇ。
Commented by mayumi-roma at 2011-10-25 18:32
なおこさん!
まぁ、驚きました!
「いってきます」の後、しばらく更新がなかったのいで(まぁ、当然ですが)、どうしてるかなぁ・・と思っていましたが、す、す、すごいです!
既にローマまで歩いて、宿泊したあと、ペルージャに戻られていた~
こういう経験はなかなか出来るものではありません。
ご主人とお友だちと良い経験が出来ましたね♪
ちなみに、なおこさんは、カトリック信者さんですか?
Commented by milletti_naoko at 2011-10-25 21:22
ムームーさん、こんにちは! 夜街灯に照らされた石造りの町には、独特の不思議な魅力があります。ひどく寒い晩だったのですが、散歩が楽しかったです。つい逆さまに読んで、笑ってしまいました。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-25 21:47
まゆみさん、そうなんです! 巡礼者を迎えるローマの宿で、スイスやロシアからローマまで歩いて来た人にあったり、サンティアーゴからローマまで巡礼した宿泊者がいたと聞いたりもしたので、100kmくらいではいばれないとは思うのですが、リュックを背にこんなに長く歩いたのは、わたしにとっては初めてだったので、思い出に残るいい経験になりました。

わたしたちがローマ市内に入る前に、ちょうど大雨が降り、大変だったと聞いていたので(心配した義父が電話してきました)、帰ってから、まゆみさんの記事をいろいろ拝読しました。テヴェレ川も長いのですが、ミルヴィオ橋からサンタンジェロ橋、さらに、宿に近いスブリーチョ橋まで、ずっと川沿いに歩いたので、ひょっとしたら、お宅の近くを通ったかもしれません。せっかくローマに行くのだから、まゆみさんとお会いできたらとは思ったのですが、今回は友人たちとずっと一緒に行動したため、断念して、ご連絡をしませんでした。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2011-10-25 21:47
まゆみさんへ(上からのつづきです。)

サン・ピエートロの近くに、日曜も開いている日本食品の手に入る店もあったのですね! 今度行くときのために、覚えておきます。11月には、通訳の仕事でローマに行く日があるのですが、この日も日程が、始発・最終便のバスの時刻ぎりぎりで、残念ながらトンボ帰りになりそうです。安い宿があれば、前日ローマに泊まるという手もありますが、同じお客さんの通訳を、前日もウンブリア州でするため、あまり自由時間はありません。

夫の亡き伯父が、カトリックの神父だったこともあり、夫の一家が非常に信心深く、毎週ミサに出かけるため、わたしも結婚式の前に、いずれは信者になるつもりだとは、式を執り行われた神父さんには言ったのですが、今のところは信者ではありません。聖フランチェスコなど、共鳴・尊敬する聖人はいるけれど、教会の姿勢には疑問を感じることも多く、最近は、信者になるかならないか、迷い始めました。
Commented by かや at 2011-10-26 00:39 x
こんばんは☆
(´艸`)ぷぷぷっ!
夜中なのに大笑いしそうになりました。
なるほど、右から左へ書いてしまったんですね。
でも「アリタイ」と書かなかったんだから、確信犯かもしれませんよ(笑)これを見た日本人は一生忘れない思い出になるでしょうけどね。

僕の住む栃木県や隣りの群馬県には「心中のンポッニ」がありますね。

凸d(^ー^)pochi
Commented by milletti_naoko at 2011-10-26 02:44
ふふふっ! かやさんにも、笑いを共有していただけて、うれしいです。外国語の片仮名表記は、今でも「ギリシア」と「ギリシャ」、「ダイアモンド」と「ダイヤモンド」など2種あり、「イタリア」も、「イタリヤ」という表記もされることがあるようです。実際、イタリア語のItaliaの発音も、「イターリア」と「イターリヤ」の中間を行くような発音ですし…… 「イタリヤ」という言葉には、古風な響きがあり、いったいいつどんな人がこの翻訳をしたかに、妙に興味があります。

かやさんの記事を読んで、「日本の中心」を名乗る市町村も、一つではないと分かり、興味深かったです。応援のポチをありがとうございます。
Commented by yukioiwa at 2011-10-26 08:37 x
イタリアの中心!なるほど読んで納得です。
おもしろいですねー。
夜の街を散歩は雰囲気があって素敵ですね。
Commented by ゆん at 2011-10-26 21:11 x
心中のヤリタイ、真剣に考えちゃいましたよ(笑)
気づくのにしばらくかかりました(^_^;
おもしろいですねー

そういえばパリの史跡のどこかで、bienvenueやwelcomeに並んで日本語で「よこそう」と書かれたのを見たことがあります。滅茶苦茶だなとも思いますけど、それよりなんだか微笑ましくて笑っちゃいますよね^^

ローマまで1週間かけて100キロを歩かれたのですね!
お疲れさまでした。凄いなあ
素晴らしい経験をなさいましたね。


Commented by milletti_naoko at 2011-10-26 21:46
yukioiwaさん、ちょっと見方を変えただけで、がらっと意味が変わるのも、おもしろいですよね。最近日が暮れるのが早くなり、夕食後の散歩も、何だか風情があります。10月30日には、夏時間から冬時間に戻り、日没が午後5時過ぎになってしまいます。
Commented by milletti_naoko at 2011-10-26 21:54
ゆんさんもですか! 実は、わたしなど、もともとこの場所が「イタリアの中心」であることを知りながら、この日本語を読んだのに、それでも、まずは大笑いしたあと、しばらく考え込んでしまいました。「よこそう」も、ほほえましいですね! 日本からの観光客にも分かってもらおう、伝えたいと思って、苦労して日本語に訳すのに、うっかりこんなふうに間違ってしまうのでしょう。わたしも時々イタリア語で言い間違えることはあるので、間違いについては他人のことは言えませんが、壁や史跡に彫り込む言葉は、やはりきちんとした言葉であることを、確認する必要があるような気がします。(まあ、気持ちは通じるし、おもしろいのはおもしろいので、いいと言えばいいのですが……)

ありがとうございます。まだ足の水ぶくれが治っていないのですが、もう次の巡礼に(いつか)出かけてみたいなという気持ちになっています。旅に出たくて気がそぞろだった芭蕉の気持ちが分かるような、そんな今日この頃です。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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