イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ライアンエアーでロンドンへ

 出発はペルージャ郊外にあるSant’Egidioの空港です。その新しい正式名称は、Aeroporto Internazionale San Francesco d’Assisi di Perugia。訳すと、ペルージャのアッシジの聖フランチェスコ国際空港です。

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Aeroporto Internazionale dell’Umbria-Perugia – “San Francesco d’Assisi” 2/12/2011 15.58

 確かに、空港はむしろアッシジ(Assisi)に近く、午後4時前、搭乗直前に空港で撮影した上の写真でも、右端に、スバージオ山(Monte Subasio)とその中腹のアッシジの町が、茜色を帯びて、写っています。

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Cappella delle rose della Basilica di Santa Maria degli Angeli, Assisi 17/4/2011

 ローマのフィウミチーノがレオナルド・ダヴィンチ、ピサ国際空港がガリレオ・ガリレイの名を冠するなら、ウンブリアでも地元出身の敬愛される聖人、アッシジの聖フランチェスコの名を、空港につけようということでしょうか。

 わたしたちが今回利用した便の出発予定は、12月2日金曜日の午後4時10分で、ゲート閉鎖は午後3時40分。搭乗券には、EU非加盟国の国民は、空港でのセキュリティチェックを受ける前に、荷物を預ける以外にも、旅券を確認し、搭乗券に判を押してもらうため、別の列に並ぶ必要があると書かれています。出発のどのくらい前に空港に行かなければいけないかを調べてみると、EU加盟国の国民なら1時間でいい(ただし、「ライアンエアーのハブ空港には、2時間前への到着が必要」との但し書きあり)とか、ライアンエアーは2時間前に来ることを奨励しているとか、情報はさまざまです。EU非加盟国である日本のわたしとしては、この別の列なるものに並ぶのにかなり時間がかかることを心配して、出発2時間前には空港に到着しなければと言ったのですが、夫はペルージャの空港は小さいし、冬は便数も少ないから、1時間前に行ったので十分と主張します。まあ、日伊の国民性の違いに基づく、こういう意見の食い違いは、よくあることです。結局、この日は夫が少し早く仕事を切り上げて帰宅し、車で空港に到着したのは、午後2時半、便が出発するちょうど1時間半前のことでした。わたしの心配とは裏腹に、特に別の列に並ぶ必要はなく、荷物を預ける前に、夫とわたしの身分証明書を共に確認した係員が、わたしの搭乗券に、旅券確認の判も押してくれました。機内への荷物を預け、セキュリティーチェックが終わったのは、午後3時のことで、それからは長い間、出発ゲートで搭乗時間を待ちました。

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Aeroporto Internazionale dell’Umbria-Perugia – “San Francesco d’Assisi” 7/12/2011 10.43

 ただ、テントで天井と壁を覆った出発ゲート(ピンクの矢印で記した部分)の椅子はわずかで、早く着いたおかげで、席に座って、搭乗を待つことができました。

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2/12/2011 16.45

 搭乗時間は予定より遅れましたが、飛行機は、午後4時半頃にはペルージャの空港を発ち、おかげで、夕焼けに染まる美しい空を、機内から見ることができました。

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 機内では、夫は、前の座席の背面に網ポケットがないのを、不便がっていました。非常事態のためにどう行動するかという説明を、別の紙に印刷するのではなく、座席の背に貼りつけたり、座席上部の手荷物収納棚に、広告があったりするのは、おもしろいなと、わたしは思いました。

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 料金は安いけれど、ライアンエアーの機内では、飲み物や食事は有料です。それは知っていたのですが、わたしたちは、昼食を取る間のないまま、飛行機に乗り込みました。ペルージャの小さい空港では、セキュリティチェック後に、自動販売機で飲み物を買うことはできますが、何か食べられるような店がありません。少々料金が高くとも、機内でサンドイッチや飲み物を買うことができて、助かりました。

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 わたしたちは購入しませんでしたが、機内では、空港からロンドン市内に移動できる特急電車、Stansted Expressの乗車券も、格安の値段で販売していました。買わなかったのは、わたしたちの宿泊するホテルが、特急電車終着駅からは、地下鉄の接続が不便なところにあったからなのですが、特に往復で購入する場合には、非常にお得な上、わざわざ駅に復路の乗車券を買いに行く必要もないので、とても便利だと思います。ただ、ロンドンで滞在する場所によっては、空港から市内へはバスを利用した方が、安い上に、便利な場合もあります。

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London Stansted Airport2/12/2011 17.45

 ペルージャの空港からは、20分遅れて離陸したものの、ロンドン・スタンステッド空港への着陸は、予定時刻より5分早く、午後5時半。そのため、録音されたトランペットの音が、祝いを告げるように高らかに鳴り響いたあと、「最も時間に正確な航空会社である当社の飛行機は、今回も予定時刻どおり到着しました。」と、機内放送がありました。初めて利用したので、不安が多かったライアンエアーでしたが、スムーズにロンドンの空港に到着できて、安心しました。機内に預けたスーツケースには、夫もわたしもロックをつけ、鍵をかけておいたのですが、税関がそのロックを壊して、代わりにプラスチックで、荷物が開かないように閉じていたことだけが、残念でした。

 サービスにいろいろ問題があるということは、人にも聞き、インターネットでも調べて知っていたものの、今回ライアンエアーを利用したのは、料金が安いことに加えて、ペルージャの空港から直接、ロンドンへと旅立てたからです。ペルージャ・ローマ間に、いくら便利な高速バスがあると言っても、ローマまでは片道2時間半を要します。(詳しくはこちら) アリタリア航空以外の便を利用して、乗り継ぎがあれば、移動にはさらに数時間かかります。それが、ペルージャの空港ならば、我が家から車で30分足らずで、無料の広い駐車場もあります。空港のホームページには、駐車場は、警備されているわけではないけれど、比較的安全だと書かれています。ちなみに、空港へはバスで行くこともできます。ペルージャ市内や鉄道駅と空港を結ぶバスの便は、ACAPというバス会社によって運営されています。ペルージャの空港には、夏にはバルセロナやパレルモ行きの便もあり、今後は、パリ行きの便も運行されるかもしれないということです。

 今回、わたしたちは、比較的快適に旅ができたのですが、ライアンエアーには、サービスだけではなく、安全面でもいろいろ問題があるようで、そういう情報がインターネット上にも、多々あります。「ライアンエアー、サービス、安全」をキーワードに、日本語や英語、イタリア語で検索すると、満足したという人もいれば、座席がなかった、出発が数時間遅れたのに、飲料水の配布がなかったなどの苦情を寄せる人も多く、安全性に関する問題も多々あるようです。利用を決める前に、こうした情報に十分目を通して、長所・欠点を把握することも大切だと思います。

 ちなみに、今回わたしたちが利用した便は、航空料金そのものは、一人あたり、行きが27.99ユーロ、帰りが12.99ユーロだったのですが、機内に荷物を預け入れる料金、保険料、税金などを加算していくと、最終的には、二人分の料金が、往復231.96ユーロとなりました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ムームー at 2011-12-10 13:46 x
なおこさん、こんにちは。
いつもありがとうございます、支えて貰っています。
今は旅へ行くのに、ネットで調べられるからいいですね、人の
感想は色々ですが、頭に入れておくと役立ちますね。

航空会社も色々とサービスも安全性もありますね。
でもこうして楽しんで来られて良かったですねぇ~
体験されたことが役にたたれる方も多いでしょう~
Commented by milletti_naoko at 2011-12-10 17:39
ムームーさん、おはようございます。こちらこそ、ありがとうございます。同じ料理を食べても、同じ映画を見ても、おっしゃるとおり、人の感想はさまざまですよね。でも、口で、人からおいしいと聞いた店に行くと、そのとおりのことが多いし、まったく知らないホテルやレストランについて、他の人の評価が分かって、とても参考になりました。

同じホテルやレストランについて、時々まったく違う評価をする人もいて、読んでいておもしろいです。確かに、わたしたちがよく行くピザ屋でも、ピザを焼く人によって、あるいは同じ人が焼いても、時によって、おいしかったり、おいしくなかったりしますから、当たりはずれもあるのかな、と思ったり。
Commented by miamiya at 2011-12-11 05:49 x
先日はコメントありがとうございました♫

無事、素敵な旅が出来てよかったですね。

エアライン・・・いろいろありますよね。
いろいろな格安航空会社がある中で、1か月前の話なのですが、彼がNL出張の時、どこのエアラインだったか忘れましたが、当時大雨で大渋滞に合い、ほんの少しの差で飛行機に乗り遅れました。1日2本出ていることをネットで最初から調べていたため、次の時間に乗ろうとカウンターを探し、インフォメーションセンターの方にも聞いたら事務所自体が無く、かな~~~り頭に来たことがあります。

あっ、後、ギリシャからイタリアで船を利用したとき・・・エンジントラブルで、座礁しかかったこともあります。
こういう場合はどうしようもないですからね。。。(苦笑)

私も念入りのリサーチをしますが、なおこさんの情報は、私の知らないことが多いです!!是非参考にさせてくださいね。
Commented by milletti_naoko at 2011-12-11 07:35
miamiyaさん、こちらこそ、うれしい情報とブログ訪問、コメントをありがとうございます♪ わたしは飛行機にはまだ乗り遅れたことがないのですが、渋滞にせよ電車の故障にせよ、どこで何が間違って乗りそこなうか分からないので、最後までいつも何だか不安になります。イタリア人の友人が、東京で乗った電車が二つ故障して、成田空港に遅れて着いたけれど、アリタリアの出発が遅れたおかげで乗ることができたということもあります。お仕事で乗る便に渋滞で乗り遅れるなんて、本当に災難でしたね。船の座礁はこわいですね…… イタリアでは、土砂崩れが起こったり、地震で家が崩れたりして悲劇が起こるたび、あらかじめ分かっていたのに改善を怠ったための「予告された悲劇」(tragedia annunciata)という言葉が、よくニュースで繰り返されますが、まずは事故が起こらないように最善を尽くしてほしいものだとつくづく思います。

わたしはギリシャには数年前一度行ったことがあり、いつかパリに行きたいと思って、つい最近フランス語の学習書や辞書を買ったところです。こちらこそよろしくお願いしますね。
Commented by ゆん at 2011-12-14 14:43 x
なおこさん、こんにちは!
232ユーロ、思わず日本円に換算しちゃいました。さすがに安いですね。

ところで、施錠が壊れていたというお話が気になりました。ヨーロッパでもそういうことが起こり得るのですね。それともイギリスはEU外の国だからでしょうか?

なかなか追い付いていけませんが、旅行記、少しずつ読ませて頂きます^^
by milletti_naoko | 2011-12-09 09:29 | Viaggi | Comments(5)