2012年 01月 15日
ティファニーの魔法
自分が一生を共にするのは彼女だと信じていたのに……
だれもが、彼女に値するような男ではないと思っていたのに……
小説の題は、『Something from Tiffany's』。
「ティファニー」と聞くと、すぐに、オードリー・へプバーンの映画、『ティファニーで朝食を』を連想される方も多いことでしょう。題だけ読むと、気取った上流社会を舞台にした小説のようで、この本のイタリア語版の表紙を見ると、そういう印象が強まります。
けれど、登場人物は皆、しっかり地面に足をつけて生活している人ばかりです。大学の英語教師、建設業者、共同経営するレストランで働く女性たち。ティファニーの指輪を中心に、繰り広げられる物語と、登場人物たちの恋模様。最初から最後まで、意外な物語の展開に、びっくりしたり、感動したり。
実は、去年新聞を買ったとき、この小説のイタリア語版、『Un regalo da Tiffany』の最初の1章だけを印刷した小さな本が、付録でついていたのです。暇つぶしにと、軽い気持ちで読んだその1章に興味を引かれて、いつか続きが読みたいなと、ずっと気になっていました。けれども、どうせなら、イタリア語よりも、原書である英語で読みたいという気持ちがどこかにあって、書店でイタリア語版を見つけても、買わずじまいでいました。
それで、12月のロンドン旅行(下記リンク参照)の帰りに、空港の書店でこの本を見つけたとき、すぐに買うことを決めました。そうして、たまたまこの本があったのが、「1冊買えば、もう1冊は半額」コーナーだったので、「お得だから、もう1冊買おう」と思って、購入したのが、
以前に記事でご紹介した、こちらの本、『A Season to Remember』だったのです。(下記リンク参照)
それはさておき、アマゾンイタリアで、この小説、『Un regalo da Tiffany』のイタリア語版の書評を読むと、読者の評価がかなり分かれています。一方、英語の原書については、日本のアマゾンにもイタリアのアマゾンにも、まったく感想が寄せられていませんが、イギリスのアマゾンでは、好意的な評価が圧倒的に多くなっています。
わたし個人としては、複雑にからむ恋物語に、サスペンスの様子も加わって、特に数十ページ読んだあとからは、夢中になって、読書を楽しみました。欠点のない、妙に完璧な人物たちがいる一方で、慈悲の余地がないほど問題の多い人物もいて、小説としては、善役と悪役がはっきり分かれすぎていて、深みがないという問題はあるかと思います。最後の結末も、ここまで糸を引いたなら、もう少しはっきりした形で終わらせてほしかったと思う点はあります。
それでも、小説の世界に入り込んで、主人公たちと一緒にやきもきしたり、一喜一憂したり、思いがけない展開にびっくりしたりして、最後まで、楽しんで読むことができました。今日は日曜日でしたが、昼食前、義弟の家族が来るのを待つ間に読み始めた部分が、ちょうど「いよいよ懸案事項が解決される」という場面で、昼食の片づけが終わったあとは、続きが気になって気になって、50ページほど、一気に最後まで読み通しました。
残念ながら、まだ日本語訳は出ていないようです。楽しんで読める英語の小説はないかと探している方がいたら、ぜひ読んでみてください。
関連記事へのリンク
- ビッグベンとウェストミンスター寺院(ロンドン旅行について)
- クリスマスの憂いと喜び(本、『A Season to Remember』を読んでの感想)
この ブログはイタリアから 発信してるんですか?
ティファニーって聞くとやっぱりへプバーンの映画を思い出しますわぁ。
本を片手に家事や育児をしたのは、家康の本でした、伊賀越えの下りはもう面白くて、本はそれぐらい惹きつけられるものですね。
なおこさんの次へ~次へ~という気持ちが伝わってきます。
いつも素晴らしいブログに感激しています。