さらばラヴェルナ1

 この十字架の立つ丘のはるか向こう、写真の左端に見える山は、ペンナ山。聖フランチェスコが聖痕を受けた聖地、ラヴェルナは、この山の上にあります。

f0234936_19494531.jpg

 晩年、ペンナ山(Monte Penna)を旅立った聖フランチェスコは、ここ、フォレスト山(Monte Foresto)の頂近くまで歩いて来て、

f0234936_19135090.jpg

一目ラヴェルナ(La Verna)を見ようと振りかえり、生前最後の別れのあいさつを贈ったと言われています。

f0234936_19501729.jpg

“Addio, monte di Dio, monte santo […] Dio Spirito Santo ti bendica! Restati in pace; che più non ci vedremo!” - Parole citate nella traduzione italiana della Vita Secunda del Celano, (Roma, 1880).

「さらば、神の山、聖なる山よ、(中略)神、聖霊の祝福が、聖なる山の上にありますように! いつまでも平和に満ちた場所でありますように。これが最後の別れだ!」 (わたしの意訳です)

f0234936_19503678.jpg

 聖人の聖地との別れを記念して、後にこの地建てられたのが、こちらの庵、Eremo della Casellaです。この庵の最古の記録は、1522年の文書に見え、18世紀の記述には、この庵が、聖フランチェスコ自らの望みで建てられたとさえ、あるそうです。

f0234936_19514536.jpg

 庵の中には、こんなふうに、聖人を偲びつつ、祈りを捧げられる場所もあれば、大きな暖炉やテーブルが並んでいて、大人数で食事ができる部屋もあります。

f0234936_19521032.jpg

 昨年秋にも訪ねたこの庵を(下記、最初のリンク参照)、5月5日土曜日に、別の場所から歩いて、再び訪ねました。この日は、うれしいことに、梨の木が、純白の美しい花をいっぱいに咲かせていました。そうして、その梨の木のはるか彼方に、この地から、聖フランチェスコが別れを惜しんだというペンナ山が、よく見えました。

f0234936_1952553.jpg

 聖人はペンナ山だけ見て、山の上にそびえるラヴェルナを心に偲んだと思うのですが、夫は、ペンナ山を見るだけでは満足できず、ラヴェルナの教会と修道院も一目見ようと、こうして高い高い木の上に登ったのでありました。

f0234936_1953947.jpg
Maggiociondolo & Chiesa di Fragaiolo 5/5/2012 17.45

 さて、この日、5月5日土曜日は、このフラガイオーロの教会に車を置き、午前11時半頃から歩き始めました。朝は辺り一体が薄暗い雲に覆われていたのですが、わたしたちがちょうど山頂の庵に着いた頃にどしゃぶりの雨が降り、夕方この出発地点に戻った頃には、こんなふうに青空が広がっていました。イタリア語ではmaggiociondolo(直訳は、「5月のペンダント」)と呼ばれるキングサリの花が、日の光の下で、いっそう美しく見えました。

f0234936_19535034.jpg
L’immagine presa dalla carta affissa nella bacheca vicino all’Eremo

 ミケランジェロの生家のあるカプレーゼ・ミケランジェロ(下記リンク参照)から出発するのが本来のコースなのですが、天気も悪いし、高低差もかなりあるので、わたしたちは途中地点のフラガイオーロ(Fragaiolo、 714m)から出発しました。

f0234936_19542768.jpg

 なだらかな道を少しずつ登っていくと、色とりどりの美しい花が、そこかしこに咲いていました。村の近くでたくさん見かけたのは、こちらのラン(orchidea)の花です。

f0234936_19555780.jpg

 白く小さいイチゴ(fragola)の花にも、時々出会いました。

f0234936_1956209.jpg

 庭や道沿いの土手を、タイム(timo)などの野の花で飾った家があって、すてきだなと思いました。

f0234936_19564068.jpg

 おとぎ話に出てくるような、こんな門構えの家もありました。坂を登るにつれて、家がまばらになり、

f0234936_19572931.jpg

栗の木(castagno)が姿を現し始めました。

f0234936_19575172.jpg

そうして、このみごとな古い栗の木たちに出会いたいというのも、今回の散歩の目的の一つでした。

⇒ 記事、「さらばラヴェルナ2」(リンクはこちら)につづく。
 Continua all'articolo, Passeggiata verso l'Eremo della Casella - parte 2"

関連記事へのリンク / Link per gli articoli correlati
- 奥山に枯れ葉踏みしめ / Verso l’Eremo della Casella in autunno (26/11/2011)
↑↑ 昨年秋、別の場所から庵を目指して散歩。途中、ラヴェルナがきれいに見える地点あり。
- ラヴェルナの夕日 / Tramonto alla Verna (26/11/2011)
- ミケランジェロの生家を訪ねて / Casa natale di Michelangelo (9/10/2010)
- 聖金曜日のラヴェルナ / Venerdì Santo alla Verna (22/4/2011)
↑↑ ラヴェルナの修道院、教会、聖なる森、ペンナ山を写真で紹介。
- 夏のラヴェルナ / La Verna in estate (10/7/2010)
↑↑ ベッチャからラヴェルナまでの参詣路の進み方と地図。
- ラヴェルナの秋 / Clori d’autunno alla Verna (17/10/2010)
↑↑ Chiusi della Vernaの観光案内所からラヴェルナまでの散歩。紅葉がみごとでした。
- ラヴェルナ大冒険2 / La Verna al tramonto d’inverno (15/1/2011)
↑↑ 修道院の土産物屋店内の写真あり。薬草を使ったリキュールやクリーム、ラヴェルナのガイドやトレッキング用地図、カトリック教関係の置き物や書籍などを、販売しています。
- 雪のラヴェルナ1 / La Verna con la neve – parte1 (26/2/2011)
↑↑ ラヴェルナ周辺のトレッキングコース。クロッカスやマツユキソウに出会えました。

参照リンク / Link utili per visitare l’Eremo della Casella
- Cammino di Assisi – Eremo della Casella
- Cammino di Assisi – Caprese Michelangelo
- InValtiberina Toscana.it – Le tracce di San Francesco in Valtiberina
- Touring Club Italiano – Vie della Toscana: 4&5. Sasso della Regina – Eremo della Casella – Fragaiolo - Caprese Michelangelo
- R.E.V. - Rete Escursionistico della Valtiberina: Da Eremo della Casella a Caprese Michelangelo
- turismo.intoscana.it – I percorsi di San Francesco D’Assisi - 4° giorno: Caprese Michelangelo – Eremo della Casella – La Verna
- Sentiero Italia – 159a tappa: Pieve Santo Stefano – Chiusi della Verna
↑↑ Questa tappa comprende il tratto Caprese Michelangelo – Fragaiolo – Eremo della Casella.
- Girotondo di San Francesco: 09. La Verna – Eremo della Casella, 10km
- Girotondo di San Francesco: 10. Eremo della Casella – Anghiari, 28km
- Girotondo di San Francesco - HOME
- Il Sentiero di Francesco.it – Camminare con i piedi

Articolo scritto da Naoko Ishii

 この記事いいなと思ったら、応援の1クリック(↓↓)をお願いします。
Cliccate sull'icona (↓) se vi piace il blog.
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
NihonBlogMura Blog Ranking

こちらのランキングもクリックをお願いします↓↓ ありがとうございます!
Cliccate anche su questa icona. Grazie!

Ninki Blog Ranking

by milletti_naoko | 2012-05-08 12:59 | Toscana | Trackback | Comments(10)
トラックバックURL : http://cuoreverde.exblog.jp/tb/17517438
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by bianchi_saitoh at 2012-05-09 00:34 x
なおこさん、日本には歌にもありますが栗の木の幹の太さスゴイですね。栗でこんなに太いなんて見たこと無いです。
というより知りません!カナ?

イタリアではユベントスがリーグ優勝を決め年齢も近いA・デルピエロがJUVEラストシーズンと言われていた中での事なのでなおさら嬉しい出来事になりました。
Bに降格した時も移籍せずに支えたブッフォンやデルピエロなどのオジサン達のストーリーに感激です!

ゴールデンウィークが終わった日本ですが竜巻で大変な事になりました。
私も近くのつくばみらい市にゴルフ観戦に行っていて雷雨にあいましたが試合の終わったあとで数名の観客だったのでクラブハウスの軒先に非難させてもらいました。
そしたら数分で1cm前後の雹が降ってきて目の前の芝生が一面白くなってしまいました。明日も注意が必要らしく大変な5月になってます。
Commented by クロちゃん at 2012-05-09 06:43 x
なおこさん、おはようございます。♪
そうか!w(゚o゚)w
あらためて発見です。(*^^)v
遠くを見るのに木登りの方法がありましたね~。
子供の頃は良く木登りしましたが、今はすっかり忘れていました。
私も今度真似してみましょう。o(*^▽^*)o~♪
今でも登れるか心配もありますが…。(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2012-05-09 15:45
bianchi_saitohさん、大きいみごとな栗の木がたくさんありました。昔むかしは、栗が大切な生計の糧かつ食糧だったようで、イタリア中部には、みごとな古い栗の木がたくさん生えた栗林があちこちにあるんですよ。ここでは、今も栗を育てて収穫しているため、林がきちんと手入れされていました。

おお、日本でもこうしてイタリアのサッカーリーグを、手に汗握ってご覧になっていたんですね。優勝、おめでとうございます!

そんなひどい竜巻や雹が日本を襲うとは、本当に大変な事態になりましたね。どうか外出時は十分にお気をつけて。こちらでも時々雹は降って、主に農作物に害を及ぼしますが、そんなに大きい雹は、身体にも危険ですね。
Commented by milletti_naoko at 2012-05-09 15:51
クロちゃん、おはようございます♪ そうなんです! ラヴェルナのある部分がちょうど木に隠れていて見えないと分かったとたん、夫ときたら歩き始めたので、何をするのかと思ったら、高い丈夫な木を見つけて、登り始めたのでありました。夫の場合、木登りが好きなので、ふだんから、単に木に登りたいからという理由で登ることも、時々あります。夫は平気でするする登っていくのですが、下で見ているわたしの方が、無事に地上に戻ってくるまで心配です。クロちゃんも、登られる際には十分に安全に気をつけてくださいね。『徒然草』で「高名の木登り」が言っているように、「下りるときに油断せずに、地面に降りるまで気をつけること」が大切だと思います。
Commented by かや at 2012-05-09 21:18 x
こんばんは☆
丘の十字架?と青空とか、山の風景も良いですね♪
花も綺麗で、良いお散歩になったみたいですね。

竜巻と言えば、被害が出たのは、うちの栃木県や隣りの茨城県です。
ちょっと竜巻の起こった場所が違っていたら、こちらも大変なことになっていたんだなと……ニュースで見てゾッとしました。
地震にしても津波にしても、天災は、対岸の火事ではないですね。心の準備・知識も必要だなと思いました。

凸d(^ー^)pochi!
Commented by ぷー at 2012-05-09 21:22 x
うわ〜おっ、ルイジさん、すごい高いところまで登るんですね!
しかも足をかけている枝が、結構細く見えるんですけど…。以外と丈夫なものですね、木って。
私も子供の頃は木登り好きだったけど、いつの頃からか高いところが苦手になってしまったので、今は無理です。登りたいけど…。

花々の写真、いつも素晴らしいですね。
最近カメラ持参でのお出かけが中々出来ていないので(雨降りも続いたし)、羨ましい限りです!
Commented by milletti_naoko at 2012-05-09 22:32
かやさん、こんにちは。ここでは聖フランチェスコゆかりの地だということもあって十字架が立っているのですが、イタリアでは山の頂上などに大きな十字架が立っていることが、よくあるんですよ。天災人災が相次いで心配ですね。茨木は栃木のお隣ですよね。どうか予報に注意してくださいね。応援のポチをありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2012-05-09 22:36
ぷーさん、下から見上げてもずいぶん高くに登っているのが分かったんですが、今写真で見ると、本当に高いところまで登っていますよね。わたしも「その木細いけど大丈夫なの?」と聞いたのですが、「がっしりしていて丈夫だよ。」という返事が返ってきました。確かに、はるかに下から見上げるので、太い枝も細く見えたのでしょう。わたしも高いところは苦手なのですが、夫は岩の上でも、「危ないのではないか」と思うところまで、ひょいひょい歩いていくことがよくあるので、見ていていつもはらはらします。

ありがとうございます。朝はひどく天気が悪かったのですが、一雨降ってからきれいに晴れて、いい写真が撮れました♪ 
Commented by ムームー at 2012-05-10 09:59 x
なおこさんおはようございます。
気持ちが良い季節になりましたねぇ~
うっ、高い木に上られたのですか、見晴らしはいいですが、とっても
身軽ですねぇ~
お花が咲き素敵な門があるお家など楽しむものが多くあって
出向いた価値がありますね。
いつも素敵なお出かけにうっとりします~
Commented by milletti_naoko at 2012-05-10 14:55
ムームーさん、おはようございます。野の花がきれいで、散歩の楽しみの多い季節になりました。夫も高いところからはまた、きっと違った景色が楽しめたことと思います。
山の上には、まだ桜が咲いているところもあったんですよ!


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


by なおこ

プロフィールを見る
画像一覧

Chi scrive

Naoko Ishii
Insegnante di
Giapponese & Italiano
Interprete Traduttrice
IT-JP-EN Fotoblogger
Pellegrina @ Perugia
Umbria, Italy

Per Lezioni, Servizi di
Interpretariato,
Traduzioni, contattate
via email.

- CV e contatti
- Twitter
- Facebook
- Instagram

I miei articoli su Japan-Italy Travel On-line↓↓
Perugia Lago Trasimeno Assisi Montefalco Oli d’Oliva & Trevi Gubbio Piediluco Terremoto Centro Italia

Mio articolo su
Huffingtonpost.jp
- Tre settimane dal Terremoto Centro Italia   

*Giù in basso
Categorie in italiano


Copyright©2010-16
Fotoblog da Perugia
All rights reserved

イタリア、ペルージャ在住。
日本語・イタリア語教師、
通訳、翻訳、ライター。

イタリア語・日本語の授業、
産業・会議通訳、観光の
同行通訳、翻訳、イタリア
旅行・文化・イタリア語に
ついての記事執筆など
承ります。メール
お問い合わせください。

- 履歴・連絡先
- ツイッター
- フェイスブック
- インスタグラム
- イタリア語・イタリア文化情報サイト
- イタリア語学習メルマガ
- 多言語オンライン辞典
- イタリア天気予報
JAPAN-ITALY Travel On-lineメルマガに執筆↓↓
- 連載魅力のウンブリア



画像一覧

最新の記事

花の絵彩る中世の町 スペッロ..
at 2017-08-18 23:28
バルセロナ テロ死者13名、..
at 2017-08-17 23:59
森の木も枯れる水不足、イタリ..
at 2017-08-16 23:51
見晴らしすばらし小さな村
at 2017-08-15 23:45
バールなき行きずりの村、イタ..
at 2017-08-14 23:41

記事ランキング

タグ

(581)
(508)
(312)
(270)
(208)
(186)
(160)
(155)
(144)
(131)
(130)
(117)
(111)
(93)
(88)
(86)
(84)
(68)
(51)
(33)

検索

以前の記事

2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
more...

カテゴリ

Famiglia
Feste & eventi
Film, Libri & Musica
Fiori Piante Animali
Francia & francese
Giappone
Gastronomia
Giappone - Italia
ImparareL2
Insegnare Giapponese
Inteprete Traduzioni
Lingua Italiana
Notizie & Curiosita
Poesia, Letteratura
Regno Unito - UK
Ricordi
Sistemi & procedure
Viaggi
Abruzzo
Emilia-Romagna
Lazio
Liguria
Marche
Piemonte
Puglia
Toscana
Trentino-Alto Adige
Umbria
Valle d'Aosta
Veneto
Via di Roma (RI-RM)
Cammino S.Benedetto
Via degli Dei(BO-FI)
Cammino di Santiago
Vivere
Altro

ブログジャンル

日々の出来事
語学

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

最新のコメント

アリスさん、アッシジのサ..
by milletti_naoko at 03:30
そうなんですね~ この..
by nonkonogoro at 16:30
なおこさん、おはようござ..
by pintaro23 at 09:38
アリスさん、ありがとうご..
by milletti_naoko at 22:27
なおこさん、またヨ―ロッ..
by ayayay0003 at 12:07

お気に入りブログ

A piece of P...
フィレンツェ田舎生活便り2
彩風便り 
花が教えてくれたこと
イタリア・絵に描ける珠玉...
Facciamo una...
VINO! VINO! ...
SOL LUCET OM...
文殊の綴り絵
カッラーラ日記 大理石の...
黒い森の白いくまさん
イタリアの風:Chigu...
dezire_photo...
梨の木日記
PASQUARELLIの...
フィレンツェのガイド な...
ローマより愛をこめて
日々是呼吸
田園都市生活
英国発!美は一日にしてならず
Mrs.Piggle-W...
ひっそりと生きる
Osteria TiaL...
リカのPARIS日記♪
イタリアちゅうねん
トンボロレースと日々のこと
コントリ!(コントラバス...
IL PARADISO ...
アリスのトリップ
毎日の楽しいを集めてハッ...
ボローニャとシチリアのあ...
カマクラ ときどき イタリア
トスカーナの海より リボルノ編
ととやふくろう
40代の悪あがき日記
ミセス サファイア 静け...
小さな窓から
斗々屋ふくろう

外部リンク