試練のあとに

 さて、この日、モンヴィーゾ(Monviso)の高峰を間近に眺め、すばらしい眺めを楽しんだのは、これまでお話したとおりなのですが、

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行きはリフトで上ったものの、それからさらに山を登り、そのあとはリフトの出発点まで、道を迷いつつ、歩いて山を下ったため、その時点で、わたしはかなり疲れていました。

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 友人たちの中にも、やはりもう疲れたという人がいて、そのためキアナーレ(Chianale)を散歩したときには、村の隅々までくまなく歩く「お元気組」と、中心街や主な観光名所だけ訪ねて、あとは座って休む「お疲れ組」に分かれて行動しました。ただ、上の写真で教会の前を歩くお元気組の3人が、このあと、村の外れを歩きに行ったまま、いつまで待っても戻らないので、わたしたちも途中から、お元気組の散歩に、参加しました。

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 午後5時頃、キアナーレを後にしたわたしたちは、車で、カステッロ(Castello)に移動しました。東西に長いカステッロ湖(Lago di Castello)の、これまでは西のほとりで宿泊したり、リフトを利用して山を歩いたりしていたのですが、カステッロの集落は、湖の東端のダム堤防がある側にあります。

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 この日、7月31日火曜日の宿は、駐車場から20分歩いた森の中にあると聞いていました。そこで、駐車場で、1泊に必要なものを大きなリュックサックにつめ込んで、宿へと向かう準備をしました。

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 登り始めた道の奥に、もう山小屋が見えて、「ああ、こんなに近かったのね。」とほっとしたのですが、わたしたちが宿泊する山小屋は、かなり急な山道を、ひたすら登りに登ったところにあったのでした。

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 カステッロ(Castello、1590m)から、宿泊先、山小屋、Rifugio Grongios Martre(1745m)までの高低差は155m。ふだんから苦手で、つらく感じられる登り坂が、この日はことさらに長く、厳しく感じられました。前日の長距離ドライブと、当日のそれまでの散歩で疲れていた上に、背中には寝袋入りの大きな重いリュックを背負っていたからです。

 それでも、木々の間から見える、山並みや湖に励まされ、

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道の傍らに見つかったラズベリー(lampone)の茂みに歓声を上げたりしながら、少しずつ山を登って行きました。先の方からは、一行唯一の子供、エリーアが、「まだ着かないの? こんなに遠いところ、行きたくない! どうしてこんな宿を選んだんだよ。」と嘆く声が聞こえてきます。(3~7枚目の写真は、翌々日の朝、山を下りた際に撮影したものです。)

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 どんなに果てしなく続くように思える坂道も、一歩一歩歩き続けていけば、必ず目指す場所にたどり着けます。先を歩くマヌエーラに、「登り道が大変なだけ、目的地に着けたときの喜びも大きいのよね。」と励まされながら、登って行きます。

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 宿までの標高差や距離を知ったのは、後になってからの話で、このときは、「20分と聞いていたのに、45分歩いても、まだたどり着けない。」と、いったいどのくらい遠いのか、見当もつかなかったので、ようやく宿が見えたときには、本当にほっとしました。

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Rifugio Grongios Martre    31/7/2012 18.12

 そうして、この宿が、この地域独特の石と木を使った造りで、外装がすてきだった上に、

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 夕食に趣向が凝らされていて、どれもこれも本当においしかったので、うれしかったです。こちらは、この日の夕食の前菜です。ズッキーニの花の中には、ひき肉や野菜がつめてありました。

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 パン粉と共に、ヒナゲシの種(semi di papavero)をいっぱいにまぶし、油で揚げた牛肉も、とてもおいしかったです。サラダの野菜は、山小屋の前にある畑で採れたものです。

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 部屋の壁も床も、木の板で覆われています。ベッドの上に、寝袋を広げて、眠りました。

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 唯一残念だったのは、わたしたちの泊まった部屋だけは、急に宿泊にあてられることになったため、準備ができておらず、たとえば他の部屋にはあったドライヤーがなかったり、部屋の隅のソファーや椅子が、宿全体の物置と化して、たくさんの布団やタオルでふさがっていたことです。初日だけならそれでもいいのですが、宿が気に入って、2晩泊まり、わたしたちも皆と同じ料金を払ったのに、2日目もやはりソファーも椅子も布団でいっぱいで、物を置く場所がないので、困りました。

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 宿代は、寝袋を使って眠ったためか、サイトには一人一泊、朝食・夕食込みで、55ユーロとあるところが、50ユーロでした。宿を営む夫婦、ルーカとライラはとてもいい人たちで、ヴァラーイタ渓谷やマイラ渓谷の登山情報に加えて、いい宿やおいしい店についても、いろいろ教えてくれました。

 疲れ果てたあとに、待っていた山登りはとてもつらかったのですが、登ったあとに、こんな温かい宿とおいしい夕食が待っていてくれて、とてもうれしかったです。

関連記事へのリンク / Link agli articoli precedenti
- 夏のアルプス山歩き1 / Valle Varaita & Alpi Piemontesi – Parte1
- 夏のアルプス山歩き2 / Valle Varaita & Alpi Piemontesi – Parte2
- おとぎの村、キアナーレ / Chianale, paesino da favola
参照リンク / Riferimenti web
- Rifugio Grongios Martre - HOME

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2012-08-11 16:39 | Piemonte | Trackback | Comments(12)
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Commented by かや at 2012-08-12 02:23 x
なおこさん、こんばんは☆
お元気組と、お疲れ組ですか(笑)
登りはリフトを使っても下りは歩いて下ることって結構あると思うんですけど、意外に疲れるんですよね。

山小屋もステキな外観ですね。
美味しいお食事が食べられて良かったですね。

凸d(^ー^)pochi!
Commented by milletti_naoko at 2012-08-12 06:01
かやさん、こんばんは。後から荷物を抱えて、こんなに登らなければいけないなら、たとえ怖くてもリフトで降りればよかったと後悔しました。ただ、歩かないと見えない花や蝶、眺めを楽しむことができたし、結果的にはとても大変でしたが、歩いてよかったなと思っています。

友人が、地の利がいいからと予約した宿で、当の本人も食事がこんなにおいしいとは思いもしていなかったので、驚いていました。応援のポチをありがとうございます。
Commented by クロちゃん at 2012-08-12 13:07 x
なおこさん、こんにちは♪
1枚目の画像、この構図は私好みです。d(-。∂)good!!
どんなに長い道のりも一歩一歩、歩いていればいつか着きますね。
そして、歩いた時間の分、喜びも大きいでしょう。(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2012-08-12 16:42
クロちゃん、おはようございます♪ 1枚目は夫が撮影してくれたものです。お気に召したようでうれしいです。少しずつ前に進めば、かならず目指す場所に着けるというのが、登山をしていると実感するのですが、人生もそうですよね。着いたときは、そうして、おいしい夕食を口にしたときは、本当にうれしかったです。
Commented by ムームー at 2012-08-12 17:07 x
なおこさんこんにちは~
わぁ~歩く時間が随分違ったのですねぇ。
でも途中で見られる景色やお花に励まされて良かったですわぁ。
お宿も食事も素晴らしい~
こういうのを食べてみたいですわ、イスが使えないのは
困りましたね。
素敵な写真ばかりです~
Commented by milletti_naoko at 2012-08-13 06:54
ムームーさん、こんばんは。前菜やヒナゲシの種をまぶした牛カツがおいしかったので、うれしかったです。お優しいコメントをありがとうございます♪
Commented by ぷー at 2012-08-13 09:08 x
なおこさん、こんばんは。 
お料理もよくって清潔な宿って、ポイント高いですよね〜。
でもこんなにシーツを置かれてたなら、50ユーロから更に5ユーロ引いてもらえなかったのかしら…。なんて。
このシーツの山はちょっと…ですね。
ピエモンテでは私たちも似た感じの町を散策しましたよ。
アチコチ雰囲気が似てるところが多いんでしょうね。
ピエモンテは食べ物も美味しくてしかも安いのでいいですね〜。
Commented by milletti_naoko at 2012-08-13 10:12
ぷーさん、こんばんは。夫や友人たちと旅をすると、なりゆきで宿を決めることも多いので、残念な宿や料理に当たることも時々あり、それだけに、すてきな宿やおいしい店に出会うとうれしいものがあります! 確かにピエモンテでは、料金が他の地域に比べると安いですよね。シーツの山は、夫には「気になるなら言えばよかったのに」と言われましたが、宿泊する部屋は客が使うものなのだから、言われなくても取り除くのが当たり前とわたしは思ったのでした。まさか存在に気がつかなかったとか?
Commented by Masami at 2012-08-14 00:01 x
なおこさん、こんにちは!
昨日無事にドロミテから戻ってきました。

散々歩いた後に、更に宿まで45分歩いたとはさぞかし疲れたことでしょうね~!でも、お友達も言っていたように、目的地に着けた時の感動は何よりもですよね^^!

お宿もアットホームで良い感じですね~。
お料理もオリジナリティが溢れていてどれも美味しそう!!
パン粉とヒナゲシの種で揚げた牛肉は珍しいですね?!
この辺りの郷土料理ですか?!
この内容で一泊、朝食・夕食込みで50ユーロとは嬉しいですね^^!
Commented by milletti_naoko at 2012-08-14 00:13
まさみさん、おかえりなさい! 最後の最後は、頭の中を『巨人の星』や『水戸黄門』のオープニングが流れていました。「行くが」女の「ど根性」、「泣くのがいやならさあ歩け」♪ それだけに、着いたときと夕食がおいしかったときの喜びは大きかったです。いろいろ変わった料理が多くておもしろいのですが、宿の主人が好きでいろいろ、いろんな料理を試しているので、特に郷土料理ということはないようです。中に一人、菜食主義者の友人がいたのですが、その辺りも、快く対応して、やはりおいしいメニューを考えてくれました。安くていい宿って、うれしいですよね。たどり着くまでにちょっと体力と度胸が要りますが、これから行かれる方には、あまり体力を消耗しないうちに、宿を目指すことをお勧めします。ちなみに宿の人は、荷物なしだと片道15分で、上ったり下りたりできるそうです。わたしたちも、下山するときは荷物があっても、下りは楽なので30分弱で下りることができました。
Commented by oliva16 at 2012-08-17 11:55
こんにちは。いつもどおり素敵な写真なのですが、私が一番反応したのは「ズッキーニの花」!イタリアでしか食べたことがありませんが、おいしいですよね・・・いや、たしかおいしかった記憶が…あれ?!っていうくらい昔のことで(苦笑)。めいっぱい歩いてめいっぱい食べる、というのは健康的ですね。
Commented by milletti_naoko at 2012-08-20 05:42
olivaさん、こんばんは。ズッキーナの花は衣をつけて揚げたものがおいしいのですが、うちではたくさん採れるので、もったいないとは思いつつ、パスタや炒めごはんの具の一つにしたりもしています。おいしいし、彩りもとてもきれいなんですよ。今晩、数日続いた友人宅めぐりからようやく戻りました。お返事が遅くなって失礼いたしました。
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