手作り、セルペントーネ

 セルペントーネ(serpentone)は、ウンブリア州、ペルージャ県の伝統的なお菓子です。蛇がくねって描く円が、古い年が去り、新しい年が訪れる年のめぐりを象徴するそうで、主に、クリスマスから年末年始にかけて食べられます。セルペントーネは、「大きい蛇」(serpente「蛇」+拡大辞-one)という意味で、我が家では皆がこう呼ぶのですが、トルチッリョーネ(torciglione)という別名もあります。

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 昨日の午後は、夫を中心に、皆で協力して、このセルペントーネを作りました。数年前に亡くなった伯母が、いつもそれはおいしいセルペントーネを作っていたそうで、夫や義弟が、その際、伯母を手伝うことも多かったようです。夫は、今年はその味を再現しようと、アーモンドの実を買い、温水暖房のラジエーター(termosifone)の上に1週間ほど置いて、乾燥させました。伯母は、アーモンドを乾燥させるのに、薪ストーブの上に、天井から吊り下げて、1週間置いていたそうです。

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 こうして乾燥させた約500gのアーモンド(mandorla)を、こちらの器械で挽いていきます。わたしが少しずつ、上の穴の部分にアーモンドの実を入れていき、それを夫が挽いていきました。

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 後で片づけていたとき、この器械が、実は肉を挽いて、挽肉にする器械だと知って、驚きました。

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 アーモンドは、こんなふうに、荒く挽き上がります。

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 夫は、砂糖400gを量り、わたしは卵の白身を泡立てました。二つ分だけ泡立てたのですが、あとで、もう一つ分必要だったと判明しました。

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 荒挽きにしたアーモンドに、砂糖と泡立てた白身を加え、よく混ぜ合わせます。右手には、アーモンドの実が三つ、コーヒーの豆が二つ見えます。コーヒーの豆は、蛇の目、アーモンドの実は、うち一つを蛇の舌として使います。

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 よく混ぜ合わせた生地を、十分にこねたあと、生地を転がしながら、左右に長く伸ばしていきます。

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 紙袋の底に残ったアーモンドの粉を、鳥たちが食べられるように、庭に払い落としました。子猫が、その様子をじっと見つめ、

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 手を差し伸べると、体をすり寄せながら、周囲を回ります。人懐っこくて、かわいらしいので、よくなでてかまったり、一緒に遊んだりします。

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 さて、そうこうしている間に、セルペントーネも、それらしい形になりました。蛇の形を作るため、手を湿らせるのには、泡立てた白身が必要だということで、手前には、そのために新たに泡立てた、卵一つ分の白身が見えます。

 オーブンの深皿に、お義母さんがホスチアを並べていきます。

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 ホスチア(ostia)は、店で買うこともできたようですが、今回は、うちで作りました。小麦粉(farina)を水(acqua)で溶いて、

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 それを、ホスチア作り専用のこちらの道具の先端に入れて、火で焼くのです。この道具がひどく重たいということで、途中で、義弟が、お義母さんに代わって、ホスチア作りを担当しました。

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 オーブンに入れる前の最後の仕上げとして、コーヒー豆とアーモンドで顔を作り、夫と二人で、松の実(pinoli)で、さらに飾りつけました。

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 オーブンに入れてから、約1時間。ようやくセルペントーネができあがりました。

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 夫が指揮をとって、セルペントーネを作ったのは、今回が初めてです。いろいろなレシピを参考にしながら、伯母を手伝ったときの記憶を頼りに作ったようですが、とてもおいしく焼き上がりました。全体に表面が固く、下側が焼けすぎているきらいがあるので、次回は、蛇の背を低くし、オーブンの中ほどに置き、焼く時間を短くしようと、夫は、次のセルペントーネ作りを目指して、すでに考えをめぐらせています。

 店で買ったものや他の人が作ってくれたものと違い、自分たちで時間をかけて、協力して作ったこともあって、食べてうれしい、特別なセルペントーネができました。

Ieri abbiamo fatto un SERPENTONE a casa!

- Il serpentone (torciglione) è un dolce tipico umbro del periodo natalizio.

- Mio marito voleva riprodurre un serpentone buono buono che una sua zia faceva. Con consigli di mia suocera e la nostra collaborazione ci è riuscito. E' molto buono!

LINK
- TaccuiniStorici.it – Torciglione umbro

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2012-12-20 11:24 | Gastronomia | Trackback | Comments(8)
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Commented by クロちゃん at 2012-12-20 21:18 x
なおこさん、こんばんは♪
時間をかけて手作りの味は格別でしょう。
ちょっとユニークなお菓子にも思えて、子供にも人気がありそうです。
共同作業で味の再現、これも美味しい時間ですね。(^^)/
Commented by KEIKO at 2012-12-21 00:43 x
なおこさんこんばんは!

ご家族の皆さんで協力して焼き上げたお菓子、セルペントーネ、とっても変わった形だけど、美味しそう!

私が1番驚いたのは、菓子作りの道具です。アーモンドを挽く器械が実は・・・・・だったなんて!!私の発想にはない、グッドアイデアですよ~なんて楽しい人たちなんでしょうね。

今夕、娘が帰国しました。早速、「うどんが食べたい!」と、リクエストでした。やっぱりイタリアのこってりした料理の反動でしょうか・・・・

Commented by milletti_naoko at 2012-12-21 04:24
クロちゃん、こんばんは。作業は大変でしたが、それだけにおいしかったです♪ 蛇の形というのがおもしろいですよね。夫によると、もともとトラジメーノ湖周辺で、湖でとれたウナギをかたどっていたのが、そのうち蛇に取って代わられたとする説もあるようです。(どこで見つけたか、わたしはそういう説を提示するページには行き当たらなかったのですが。)

あんまりおいしくできたので、かかりつけのお医者さんにクリスマス前に作って贈りたいというお義母さんに動員されて、先ほど帰宅して夕食を済ませたばかりの夫が、階下に向かいました。わたしも今皿洗いを終えたところなのですが、今から何か手伝えるか、行って見て来ようと思います。
Commented by milletti_naoko at 2012-12-21 04:29
けいこさん、こんばんは。お嬢さんの無事のおかえり、よかったですね。本来はアーモンド用ではないので、たとえばお義母さんは別の器械で挽いていたのですが、夫が、伯母がこれを使っていておいしく仕上がっていたからと言って、物置からこの器械を掘り出してきました。どうやって思いついたのか、不思議ですよね。

うどんですか、わたしもおそばやうどんなど、麺類に限らず、日本でしか食べられない、あるいは日本だとずっと安くおいしく食べられる和食の数々がなつかしいです。うちで作るにも、材料が高いし、日本料理店も多くは中国の人が経営していたり、料金が高かったりで、味の恋しい日本の料理がたくさんあります。お嬢さんも、こってりした料理の反動と言うよりは、母国の味、母の味が恋しいのではないかと思いますよ。
Commented by ムームー at 2012-12-21 06:29 x
なおこさん
おはようございます。
皆さんでこうして作られるのは素晴らしいことですね。
手作りの良さ、協力して作り上げるって素敵だなぁ。
ご主人様の手つきに笑顔がいいですね。
ヘビさんも可愛いです。
ご心配いただいています。
無事に終わりました、今朝から
歩く練習をします、今から病院へまいります。
優しいお心に感謝しています。
Commented by milletti_naoko at 2012-12-21 07:52
ムームーさん、こんばんは。写真の夫の顔、わたしは真剣でなかなかいいと思ったんですが、「言ってくれたら笑ったのに。」と言われてしまいました。義母や伯母が手作りするのを見て育ったからか、夫はパンやピザ、デザート作りは好きなんですよ。腕をふるうのは年に数回なのですけれども。ヘビの顔も、何だか愛嬌があってかわいいですよね。そう言えば、来年はヘビ年ですよね。月曜の授業で、新年も近いので、十二支と年男・年女の話をしたら、「オレ、ヘビ年! 来年はオレの年だ~」と言っている人もいました。

無事に終わって何よりです。どうかムームーさん、ご自身のお体も大切に、難しいとは思いますが、休めるときに十分休養をお取りくださいね。
Commented by kazu at 2012-12-21 17:10 x
なおこさん、ご無沙汰しています。バタバタしていて読み逃げばかりでした。ご家族揃ってこうして手作りのお菓子づくり、素晴らしいですね。日本ではなかなか見かけないです。せいぜいお正月のお餅くらいかな。とてもかわいいへび君が出来上がっていて目を見張りました。

それと生徒さんへのなおこさんの授業ももう感心しています。こんな授業を受けられる皆さん、幸せですね。「きよしこの夜」の一語一語のていねいな解説、イタリア語を私も辞書でひきながら読ませてもらいました。なおこさんが、国語に熟達されているからこそできる授業ですね。あっ、私はいよいよ明日イタリアに向けて出発します。なおこさんに少しだけ近づけて嬉しいです。お天気がやはり今いちなんですが、それも覚悟の上なので楽しんで来たいと思います。
Commented by milletti_naoko at 2012-12-21 17:43
かずさん、こんにちは。いよいよご出発ですね! 時々気になって、ご様子をうかがおうと、ブログを訪ねていました。ヘビ君、なかなかかわいらしく、おいしくでき上がりました。来年は日本もヘビ年ですよね。セルペントーネ、お正月にもいいかもしれません。

ありがとうございます。単にひらがなを練習してもつまらないし、実はクラスの中にはすでに日本語を少し知っている人もいるので、最初から難しいのは知りつつ、教えてみました。「日本語の方が、ドイツ語の原詞に近くていい」など思いがけない感想もあって、とにかくみなが歌うのを楽しんでくれたので、うれしかったです。

どうか楽しいご旅行になりますように。十分に計画を立てたその後は、ハプニングもまた旅の思い出の一つですよね。Buon viaggio! いつかどこかでお会いできる日を楽しみにしています。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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