イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

歯医者と神父とクリスマス

 元旦の晩から体調を崩し、ようやく食欲が出てきた数日後、夫の作ったピザを少しだけかじったとき、歯に少し痛みを感じました。痛みが続くので、これはどうしたことかと、舌で歯の様子を探ってみると、なんと大きな穴らしきものがあるではありませんか。虫歯でこれだけ大きな穴が開いたなら、もっと早くから痛みを感じたはずで、きっと詰めものが取れたのだろう、どうかそうでありますようにと、祈りながら、1月8日の朝、歯医者に電話をしました。

歯医者と神父とクリスマス_f0234936_404270.jpg

 予約が取れた翌日の午後5時に歯医者に行くと、愛想のいい歯医者さん曰く、
「クリスマスにはトッローネ(torrone)を食べた? 黒いのが好き? 白いのが好き?」
 クリスマス休暇もとうに終わっているのに、どうしてまたトッローネの話を執拗に続けるのかと思ったら、クリスマス以来、固いトッローネを食べていて歯が折れたと、駆け込んでくる患者が多かったとのことです。わたしの場合は、歯が折れたのではなくて、穴が開いているのだと言って診てもらうと、「穴が開いたのは、詰めものの間にはさまれた本物の歯が折れてしまったから」で、「こういうことは、たまにある」のだそうです。「もし虫歯でこれだけの穴が開いたとしたら、とんでもなく大きい虫歯だけれど、どうしよう。」と心配していたわたしは、それを聞いて、とりあえず、ほっとしました。銀色の金属の詰めものは、ゆくゆく体に悪影響を与えるので、白い詰めものにするよう頼みなさいという夫からの助言どおり、白い詰めものを頼んだのですが、例によって、イタリアでの歯科治療は1度では終わらず、この日は、麻酔をして歯を削り、薬らしきものを詰めて、診療が終わりました。

 詰めものが入り、歯が完治したのは、2度目の治療に行った今日の夕方のことです。おしゃべりしていて、我が家と歯医者さんでは教区が同じだと判明しました。教区司祭の神父さんもまた、この歯医者の患者の一人で、クリスマス頃に、やはり歯科治療を受けたようです。わたしたちは、クリスマスのミサは、例年25日当日に、サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会に行くのですが、歯医者さんは、わたしたちの教区教会でもあるサンタ・ルチーアで、12月24日に真夜中に行われるミサに行くそうで、このクリスマスのミサがいいので、ペルージャの他の教区からも人が訪れ、広い教会に座れず、ほとんどの人が立ったまま参列するのだと教えてくれました。

 治療が終わって尋ねてみると、今回折れた歯を取り囲んでいた詰めものは、少なくとも数年前に入れた古いもので、折れた歯の根元付近には、虫歯も少しあったそうです。例によって、治療費は、今回の一連の治療費、80ユーロを、治療が終わった今日、まとめて払いました。診療を待つ間は、フランス語旅行会話集やフランス語の雑誌を持参するので、フランス語の勉強にもなるし、歯医者さんは、親切だし愛想もいいのですが、「今年は、歯石の除去は別にして、もう虫歯で歯医者に来ることのありませんように。」と思いながら、歯科を後にしました。

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Oggi sono andata dal dentista. E’ simpatico, la cura non mi fa tanto male, ma spero di non dover ritornarci più nel 2013 per le carie.
Aujourd'hui je suis allée chez le dentiste. Il est sympa et le traitement ne me fait pas si mal, mais j’espère ne pas devoir y retourner en 2013 pour des caries.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by KEIKO at 2013-01-18 15:31 x
なおこさん、こんにちは。
虫歯治療が終わってホッとされたことでしょうね。私も病院はどこも嫌いですが、歯医者さんの、あの「キ~~ッン」っていう音には本当に神経が逆なでされたように感じますよね。

娘は一時帰国したら、まず歯医者さんに行きます。そっちでは絶対病院には行きたくないと言います。歯医者さんも、親切で、優先的に必要な回数だけ、毎日でもいらっしゃいと言って予約を入れて下さいます。有り難いです。

でも、こうしてなおこさんの歯医者さんの記事、過去の分も全部読ませていただきましたから、イタリアの病院の仕組みなどがよく分かりました。ペルージャにも優秀な歯科医院があることが分かって、私も、ちょっと安心です。ありがとうござました。でも、行かなくて済むように頑張って歯磨きしてもらいます。(笑)

実は、最近分かったんですが、娘が初めてペルージャに行ったときに、どなたかのブログに高速バスの乗り方がとてもわかりやすく写真入りであったのを私が見つけて、娘もいつもバスで帰るそうです。なおこさんだったんですね。改めてお礼申し上げます。おこさんのブログと出会ったことにいつも感謝です!!
Commented by milletti_naoko at 2013-01-18 19:27
けいこさん、こんにちは。歯医者はできれば、行きたくないところの筆頭に上がりますよね。今後はきちんと歯磨きをして、歯の健康を守りたいと思います。そうすると、お嬢さんは、かなり長い期間、イタリアに留学されているんですね。わたしも最初の頃は、日本に帰った機会に、歯医者に通っていました。ただ、いいお医者さんが見つかったこともあり、今は、すぐに診てもらえるし、せっかくの日本滞在中に歯医者通いをしなくてすむという利点もあって、こちらの歯医者で治療を受けています。

ローマ・ペルージャ間の高速バスは、ちょっとローマに行くときにも、大荷物を抱えて、空港に向かうときにも、とても便利なのですが、ローマやペルージャに住むイタリア人にも、意外と知られていません。長くローマに住むお友達がペルージャに来てくれたときに、参考になればと書いた記事なのですが、他の方にも役に立ったと分かって、うれしいです。こちらこそ、お優しい言葉を、いつもありがとうございます!
Commented by kazu at 2013-01-19 01:37 x
なおこさん、こんばんは。歯の治療、2日で済んで良かったですね。以前私も虫歯が進行しているのに痛みがなかったから気がつかず、半年も通院になって大変な思いをしました。人間の身体って痛みを感じないと怖いものだなと、その時つくづく思いました。それにしてもお近くにいい歯医者さんが居て下さって安心ですね。海外にいる私の友人も日本に帰るたび歯医者に行ってる人がいます。治療が不安なのだそうです。

ところで、あの歯医者さんの様子の絵はなおこさんが書かれたのですか。お上手ですね。こうしてフランス語を勉強しておられるのですね。さすがだなぁと感心しています。あっあれは「犬」ではない?のですね。辞書を引いてみました。あっそっか~そんな意味もあるのですね(^^)
Commented by milletti_naoko at 2013-01-19 03:13
かずさん、こんばんは。半年も通院とは大変でしたね! 気がいい上に、イタリアの他の歯科医に比べるとかなり安いようで、助かっています。

絵はわたしがかきました。いやあ、あのまぶしい照明と歯医者の器具には、やっぱり恐怖を誘われます。犬? ああ、わたしのくせ字です。CANEではなくて、CARIEです。虫歯は、イタリア語でもフランス語でもCARIEなのに、発音がそれでも違うのがおもしろいですね。
Commented by Masami at 2013-01-19 05:33 x
歯医者さんって、行くまでk、診てもらうまではヒヤヒヤしますよね~(笑)
まずはあまり大きな処置が必要ではなく良かったですね!
それにしても、
歯を削ったり詰め物を入れて80ユーロはとても良心的な金額ですね♪
Commented by milletti_naoko at 2013-01-19 07:12
まさみさん、歯医者は行けば、治療のあとは楽になるのが分かっていても、治療がつらいので、やっぱり行くまでは嫌な気分になりますよね。2度で治療が終わり、歯がそれほど削られたわけでもなくて、ほっとしました。ウンブリアの中でも、この歯医者は、親切で治療もうまいし、値段も良心的なので、ありがたいです。
Commented by fusello at 2013-01-19 10:56
naokoさん、こんにちは。
歯医者さんのイラストお上手ですね、イラスト入り伊仏日常単語便利帳とかなんとかというタイトルを付けて本にまとめられそう♪

歯医者さん、行きたくないですね。音もそうですが私は真上から顔を見下ろされるのが耐えられません。無防備で抵抗出来ないという意識が働くのか、、、
Commented by ムームー at 2013-01-19 16:20 x
なおこさんこんにちは。
歯医者さんはぴったり当てはまる所がなかなかなくて
、娘たちは子供の頃からの歯医者に通っています。
2回で良くなって安心ですね。
親切で治療がうまいって有難いですねぇ~
いつも優しい言葉をかけて下さってありがとうございます。
Commented by milletti_naoko at 2013-01-19 16:27
Fuselloさん、おはようございます。ありがとうございます。昔から古典の授業中はよく黒板に絵を描いていました。今は日本語の授業中に、日本語の言葉に、イタリア語での意味を添える代わりに、よく絵で代用しています。

この歯医者さんでは、椅子の角度が床に対して30~45度なので、歯医者さんは真上ではなく、真横から治療をします。無防備で抵抗できないのが嫌というのは、それでも同じですけれども。
Commented by milletti_naoko at 2013-01-19 16:29
ムームーさん、おはようございます。歯医者は、痛いのは困るし、でも治療はちゃんとしてもらいしで、いろいろと希望に合うところを探すのが大変ですよね。そうなんです。穴が大きくて心配していたので、2度の治療で済んでほっとしました。夫が長年の間いろんな歯医者を身をもって試したあげく、ようやく見つかった、意外と近所の歯医者で、ありがたいです。
こちらこそ、お忙しい中、お優しいコメントをありがとうございます。
Commented by ライラ at 2013-01-19 18:10 x
なおこさん、こんにちは。
イラスト、カラフルで素敵ですね♪
歯医者さんのお話、興味深く読ませて頂きました。
去年、大慌てで日本に帰国して歯の治療をしましたが、
80ユーロなら、明らかにこちらで治療した方が良いなぁと思いました。
なおこさんの歯医者さんはとても感じの良さそうな方ですね!
Commented by kazu at 2013-01-19 19:29 x
なおこさん、早とちりの解釈~お恥ずかしいです。cane、調べたら、固定装置とかはさみ金とかの意味が犬以外に載っていたので、てっきり治療に使う道具なのかと、へえ~と感心してしまいました(笑)。虫歯は確かにcarie dentaria と習いました(^^)失礼しました。それとアリタリアの件もありがとうございました!。
Commented by ゆん at 2013-01-20 00:03 x
なおこさん こんばんは!
良い歯医者さんが見つかって良かったですネ☆ ちょうど私も今通院中ですが、引越しを機に自宅から徒歩圏内で通えるところの中から当たりをつけて、、イチかバチかで行ってみました。結果、なかなか良心的なところでほっとしてます。

ところで、フランス語凄いですね!私の仏語は、昨年始められたばかりのなおこさんにとっくに追い越されておりますが、比べること自体が間違ってるって感じです(笑)もう語学への取り組み方というか、心意気というか、何もかもが最初から違ってますもん。語がこうやって学ぶべきなのでしょうね。尊敬します。

↓仏語関係のいろんなサイト、参考になります^^ラルースには中仏辞典があるんですね。日仏があれば良かったのに。。。。

久しぶりだったので写真も色々拝見しました♪なおこさん少しふっくらされました?お幸せなんでしょうね^^どれもいきいきされた表情で輝いてます♪それにお肌が色白でとっても綺麗!周囲のイタリア女性に負けてません。というか、なおこさんの方がよっぽどお肌綺麗だわ。。。


Commented by milletti_naoko at 2013-01-20 02:27
ライラさん、歯医者通いも、フランス語の語彙増強の機会にしてしまおうと、絵をかいて、ついでに色も塗ってみました。フランス語とイタリア語の表現は、特につづりや文法的に見るとよく似ているのに、細部を見ると、前置詞や母音が違い、発音はかなり違うので、こうやってまとめると、わたし自身にとっても違いを認識しやすくなりました。

虫歯もどういう治療が必要かによって、費用がかなり違ってくるかと思います。ウンブリアはもともと北イタリアに比べると、物価が安いのですが、その中でもさらに安い料金で、しかもいいお医者さんが見つかって、助かっています。
Commented by milletti_naoko at 2013-01-20 02:27
かずさん、どういたしまして。carieのiの上の点に、上のフランス語の発音記号のあとの/が重なって、確かにcaneにも見えます。アリタリア、マイルの有効期限は今年6月末まででも、数か月後の旅行の航空券を予約できるといいですね。わたしも、フランスに行くのに使うつもりでいます。
Commented by milletti_naoko at 2013-01-20 02:40
ゆんさん、こんばんは。歯医者さんは、やっぱり近所が便利だし、初めて通うときは緊張しますよね。いいお医者さんでよかったですね。

私もフランス語の学習ペースはかなりのんびりで、熱心に学習される方のブログを見て、自分にはっぱをかけている次第です。まだまだ入門書の半分を終えた程度なのですが、幸い、フランス語はイタリア語と語彙や文法が似ているので、かなり助けられています。

中仏とアラビア語・フランス語の辞書があるのは、国内に大勢いる中国系・アラブ系の移民と、アラブ圏や中国との貿易と、両方の点から、中国語やフランス語を勉強するフランス人が多いからだと思います。

そうそう、すっかりふっくらしてしまったのは、ダイエットはどこへやら、昨年は肉をつけてしまったからであります。今年こそ!
by milletti_naoko | 2013-01-17 21:49 | Salute | Comments(16)