ローマ軍対ハンニバル、トラジメーノ湖畔の戦い

 トラジメーノ湖畔のトゥオーロは、わたしと夫にとっては、

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Tuoro sul Trasimeno 9/8/2013

マッジョーレ島(Isola Maggiore)行きのフェリーが発着する港があり、湖の眺めが美しく、行きつけのピザ屋がある町なのですが、

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歴史的には、紀元前217年に、古代ローマ軍が、ハンニバル率いるカルタゴ軍と戦って、大敗を喫した場所です。そこで、トゥオーロには、この戦いの跡をたどる歴史探訪コースがあるのですが(詳しくは下記リンク参照)、さらに最近、資料館もできたと聞いていました。

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 8月9日金曜日、わたしたちは、このトゥオーロで、友人たちと気球に乗り、近くのキャンプ場に一泊したのですが、この日の夕方、よさそうなキャンプ場を探して、ドライブしていたら、この歴史探訪コースの案内看板があったので、車を停めました。

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Tuoro sul Trasimeno 10/8/2013

 翌朝は、トゥオーロの中心街のバールで、コーヒーを飲みました。

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 町はちょうど祭りの最中で、四つの地区(rioni)の四色の旗で飾られています。

 白い旗を持つ地区は、Malpasso。ローマ軍が、トラジメーノ湖畔を進む際、一度には少人数しか通れない狭い道、Malpassoがあり、ローマ軍の敗因の一つとなったのですが、この地名が地区名になっています。

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 この日は街角に、二頭立て二輪馬車(biga)が置かれていました。

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 翌週に行われた地区対抗競技で使われることになっていたからでしょう。記念写真を撮っていたら、地元の方が、その競技がどんなふうに行われるかを教えてくれました。

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 帰途につく友人たちと別れを告げたあとは、町はずれにあるトラジメーノ湖畔の戦いとハンニバルの資料センター(Centro di documentazione sulla Battaglia del Trasimeno e Annibale)を訪ねました。

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Ricostruzione tattica della Battaglia del Trasimeno

 小さいセンターで、展示を見るだけなら、1時間もあれば十分です。こんなふうに、ローマ軍とカルタゴ軍がどんなふうに対峙していたかを模型で示したものもあって、興味深かったです。三つの展示室のうち、最初の一つは説明がイタリア語のみなのですが、あと二つには英語での説明も併記されています。

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 展示を見たあとは、トラジメーノ湖畔の戦いを説明した映画を見ました。約1時間ほどの長さだというこの映画を、別の訪問者が見始めたばかりだったので、途中から見たのですが、この戦いに至るまでのローマとカルタゴの関係や、ハンニバル率いるカルタゴ軍の動きも解説され、戦争を再現する映像もあって、興味深かったです。唯一気になったのは、ローマの敗北は、ハンニバルが条約を守らず、戦いのルールを守らずに、あざとくも奇襲をかけたからであるというふうに語り、歴史の解説が完全にローマ寄りであるということです。下記にリンクを挙げてある、二つの日本語のサイトの説明とは異なり、勝ったハンニバルは残虐で、公正に戦をしないならず者、正義のローマが悪人ハンニバルに欺かれて、やむなく敗北を遂げたという説明がされているのです。

 映像と死者や負傷者の具体的な数字を聞いて、それまでは、漠然と歴史上の事実と知っていた戦いが、いかに規模が大きく、膨大な死者と負傷者を出した戦いであったかが分かり、呆然としました。今は、緑と湖の美しいこの平野が、こんな悲惨な戦いの戦場となり、2万人近くもの人が命を落としたとは。

  夏草や兵どもが夢の跡

という芭蕉の俳句が頭に浮かび、芭蕉が平泉で抱いたであろう感慨を、初めて実感として理解できたような気がしました。

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 センターは、まだ開いたばかりで整備中だからか、幸いこの日の入場料は、一人1ユーロでした。入場料を払った部屋には、ウンブリアやトゥオーロの観光案内と共に、ハンニバルやトラジメーノ湖畔の戦いに関する資料も置かれていました。写真の右手、ウンブリアの大きなポスターの下に2冊並んでいる赤い表紙の本は、トラジメーノ湖畔の戦いを漫画化したものです。刊行はつい最近のことで、それを地元のニュースで知ったので、ぜひ買いたいと思っていたのですが、特に映画を見たあとでは、血なまぐさい戦場での描写の多い漫画を見るのに抵抗があり、結局買わないことに決めました。

 いつか、もう少し日ざしが優しくなってから、この戦いの足跡をめぐるコースを歩いてみたいと考えています。

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 トゥオーロの行きつけのピザ屋では、現在のハウスワインが、Annibale(ハンニバルのイタリア語名。発音は「アンニーバレ」)です。この町でハンニバル・ワインを飲みたいという歴史好きの方は、ぜひこのワインを味わってみてください。(下記リンク参照)

Tuoro sul Trasimeno 9-10 agosto 2013

- Paese in festa; bandiere dei rioni & biga.
- Battaglia del Trasimeno, l'esercito romano vs Annibale; Centro di documentaizone & Percorso storico archeologico.

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 気球に乗りました / In Mongolfiera a Tuoro sul Trasimeno (9/8/2013)
- 湖畔でキャンプ / Campeggio al Lago Trasimeno (12/8/2013)
- 湖とマッジョーレ島1 / Da Tuoro all’Isola Maggiore (12/8/2013)
↑↑ トゥオーロからフェリーに乗り、トラジメーノ湖に浮かぶマッジョーレ島へ。
- ひみつの散歩道 / Tuoro e Annibale (18/9/2012)
↑↑ ハンニバルとローマ軍の戦いの足跡をたどれる歴史探訪コース(Percorso Storico-Archeologico della Battaglia del Trasimeno)について、コースの写真やリンクつきで説明しています。
- ハンニバル・ワインとピザ / Vino Annibale & Pizza a Tuoro (6/2/2013)

LINK
- Associazione Turistica Pro Loco Tuoro – I Rioni

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2013-08-19 23:59 | Umbria | Trackback | Comments(8)
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Commented by patata at 2013-08-20 18:30 x
なおこさん、こんにちは! 「トラメジーノ湖」 なおこさんのブログで読む度に、聞き覚えがある気がする・・と思っていたのですが、ローマ軍とカルタゴ軍が戦った場所ですよね!!すっきりしました。
ローマの歴史はとても好きで、中でも第二次ポエニ戦争が大好きです。2人の指揮官の取った戦術のぶつかり合いに感服した記憶があります。記憶が確かならば、確かどこかの国の軍隊学校では、ハン二バルが取った有名な戦術が今でも教えられるんだそうですね。

2人が死闘を繰り広げたトラメジーノ湖、いつか絶対に行ってみたいです、模型で布陣を示してくれるなんて、分かりやすく想像力がかきたてられます。こんな風に歴史を伝えてくれる場所は大切ですよね。
正義のローマがハンニバルに欺かれたという描かれ方は、首をかしげてしまいますね。発端ともなった第一次ポエニ戦争では、ローマ側にカルタゴ側が領土を取られる形になり、不利な講和条約を結ばされたと記憶しています、その第一次の主役だった父親からハンニバルは、憎きローマ!と随分と教え込まれたそうですから。
とても興味深い記事をありがとうございました。
Commented by milletti_naoko at 2013-08-20 22:01
Patataさん、こんにちは。本当に歴史がお好きで、よくご存じなんですね! トラジメーノ湖は、日本では、この戦いの解説にはラテン語名のトラシメヌス湖という名で登場するのですが、ラテン語からイタリア語へと言語が変わる途中で、他にもよく見られるのですが、語尾の-sが姿を消し、uがoに変わって、Trasimenoになっています。Patataさんが書かれている「トラメジーノ」は、サンドイッチのtramezzinoとの混同もあるのでしょう。わたしもallegriaをallergiaと読み間違えたことがあり、イタリア人の夫は逆に、allergia(アレルギー)に効くハーブティーだと思い込んで、読み間違いでallegria(陽気さ)をもたらすというハーブティーを購入したことがあります。語中の2字の順序を間違えるのは、昔々、イタリア中世に書物を書き移していた修道士も時々おかした間違いで、こういうこと一つとっても、万国共通、今も昔も同じだなと興味深いです。(つづく)

ローマの歴史、中でも第二次ポエニ戦争がそこまでお好きだなんて! そこまで詳しくいろいろと覚えていらっしゃるなんてすばらしい。Patataさんほど歴史を知っていれば、さらにいろいろと資料館の展示も楽しむことができたかと思います。
Commented by milletti_naoko at 2013-08-20 22:02
Patataさんへ(上からの続きです)

ローマ軍が道が細いために少人数で進まざるを得なかったMalpassoは、今はサイクリングコースになっているのですが、もちろん散歩することもできるようで、歴史探訪問コースを歩けば、たとえばハンニバルが兵を潜めていた場所なども見られるようです。資料館の大部分は、これまでの研究で分かった戦争のときの両軍の隊列の組み方や戦闘服、武器などについて、パネルで簡単に展示してあるだけではありますが、歴史のお好きな方には、いろいろとおもしろい発見も多いと思います。

この敗北で敗れたローマの歴史家が語った歴史が元だから、こういうあまりにもローマ寄りの解説になるのでしょうか。10年前の話ですが、マルケの語学学校で、校長がイタリア近代の隣国との戦争について説明したときに、オーストリア人の友人が、あまりにもイタリア寄りに歴史をゆがめて解説していたと、激怒していたことを思い出しました。

トラジメーノ湖は、歴史の足跡をたどり、自然を愛でながら散歩を楽しめる上、湖の魚料理もおいしいんですよ。機会があれば、ぜひお越しください。一緒に、歴史探訪コースを歩いてみましょう♪
Commented by patata at 2013-08-20 22:49 x
なおこさん、大変すみません、ご指摘ありがとうございます。
正しくはトラジメーノ湖なんですね>< 
ここまで見事に間違えきり、恥ずかしいくらいです(涙。
湖のお魚料理とは!!おいしそうですね!
わ~ありがとうございます^^是非いつか伺いたいです、なおこさんと一緒に歴史探訪コースを歩き、ハンニバルとスキピオがが戦った地を肌で感じてみたいです♪
Commented by milletti_naoko at 2013-08-21 00:23
Patataさん、うっかり書き間違い、聞き取り違い、読み違いは、わたしもよくやります。上のコメントにも書きましたように、イタリア人の夫でもするくらいですから、外国の聞き慣れない地名では逆に当然の間違いで、実はかつて、少なくとも二人の方から、ブログやツイッターで、トラジメーノ湖をいつもtramezzinoと混同してしまうというコメントをいただいているんですよ。人間の脳は、語彙を発音を手がかりにして、記憶に刻み込むそうで、だから音が似ている語彙は、記憶の中で混同しやすく、言い間違いもしやすいのです。わたしもいまだに時々船(nave)と雪(neve)、あるいは正午(mezzogiorno)と真夜中(mezzogiorno)を間違えて、言ったあとで自分で気づいて修正したり、夫に笑われて、「あ、またやってしまった」と思うことがあります。知識としては知っていても、何となく話しているときに、間違って近くの別の引き出しにある単語を使ってしまうこともあるわけです。

湖の魚の料理、島にも湖畔にもおいしい店がいくつかあるんですよ。いつかリグーリアかウンブリアでお会いできる日を楽しみにしています♪ 
Commented by mitch at 2013-08-22 03:21 x
2年程前家族でイタリア旅行した際質問させてもらった者です。アメリカ在住です。ハン二バルいいですね。ローマ史に興味があり、関連本をよく読んでいます。強大な敵を相手にしかもアルプスを像に乗って超えた上で敵地に乗り込んで連戦連勝というこれほどロマンを掻き立てる歴史上の人物はいないのでは と思っています。近代史ではチェゲバラも私の好きな人物で、キューバのナンバー2でありながら、その地位を捨ててアフリカ、南米の原野にゲリラ戦を戦う為に命を捧げたという、何か両者に共通するロマンを感じています。最後は二人とも必然としての悲しい死を迎えます。
それにしてもどこの国でも自己の歴史は正しく、相手の行為はけなされるというのは日本も同じですね。なかなか客観的には見れない物のようです。なおこさんのいつも客観的な見る目と人柄に共感を覚える一人です。
Commented by milletti_naoko at 2013-08-22 19:37
mitchさんのようにローマ史に興味をお持ちで、いろいろご存じだと、同じイタリアの各地を訪ねても、観察も感慨もことさら深く、よりいっそう楽しめることでしょうね。わたしも以前に日本語のサイトで、インターネット上で調べたときは、肯定的な評価が多かったのを覚えていたので、今回の映画の解説には驚きました。昔、古代中国の話を読んで、残虐、あるいは淫乱が度を越す古の王の描写に驚いたのですが、このときも、やはり歴史は勝ったもの、後に政権を手にしたものに都合のいいように(王を討ったのはやむをえないという言い訳)書かれるのだろうかといぶかった覚えがあります。このハンニバルの描写には、トゥオーロでは、ハンニバルを観光の売りにして、案内看板にも「トラジメーノのハンニバル」と添えてあるだけに、不思議な気がしました。古代ローマの歴史家の叙述がもとだから、こういう解釈になるのかという気もしたのですが、日本でハンニバルについて書かれている方も、やはり同じ歴史書をもとにしているようですし、機会があれば、原文を(日本語訳かイタリア語訳で)読んでみたいと思いました。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2013-08-22 19:38
mitchさんへ(上からの続きです)

チェゲバラは、わたしも生き方にかなり打たれました。イタリアでも人気があって、Tシャツを着ている人を見かけることもたまにあります。

ありがとうございます。個人のブログなので、やはり主観が多くなりますが、もとになった情報や自分の見方が偏っていないだろうかと、自問自答しながら書くようにしています。


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