畑の巻き寿司と生魚・ツナ缶問題

 イチジク・パーティーの翌日も、急な来客があって、義弟夫婦と協力して、夕食のしたくをすることになりました。久しぶりに会う友人に、巻き寿司を食べてもらおうと思ったのですが、具は、何にしよう。

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 畑で採れたキュウリ、そして畑の隅で鶏が産んでくれる卵を使った卵焼き。以前は他に、ツナを添えたり、スモークサーモンとキュウリの巻き寿司を作ったりすることが多かったのですが、最近は、ツナ缶に使われるマグロの乱獲を危惧して、夫が難色を示すため、ツナ缶をめったに買わなくなりました。

 スモークサーモンは、わたしが好きな上に、オメガ3が豊富で健康にいいというので、値は張るものの、つい最近まで、しばしば買っていました。それが1か月前、イタリアで、魚介類に寄生するアニサキスが問題になっていることを知りました。さらに、8月24日の晩、テレビ番組、『SuperQuark』で、アニサキスによる食中毒についての詳しい説明があり、そのこわさと、ごく身近な問題であることに驚きました。



 加熱すれば死滅するとのことなので、スモークサーモンなら問題ないかと思っていたのですが、ある日、店でスモークサーモンを食べたあとに、気になって調べてみると、生魚はもとより、燻製加工やマリネでも、アニサキスは死なないとのことです。ただ、さらに情報を調べてみて、EU圏内では、アニサキス対策として、スモークサーモンを製造するための鮭やレストランで出す魚などには、寄生虫が死滅するだけの期間冷凍することを課していることが分かって、安心しました。けれども、自宅でアンチョビやイワシのマリネを作ったり、あるいは、店で、魚を冷凍せずに作られた刺身やマリネを食べたりして、アニサキスによる深刻な食中毒を起こす例が、イタリアでも相次いでいるということです。

 EU内でできて、品質証明もあるスモークサーモンなら安心そうですが、業者がすべての法にきちんと従っているかという疑問もあり、また、時々摘発されてニュースで報道されている海賊商品の可能性もないわけではありません。疑い出すときりがないのですが、ひどい場合にはすぐに開腹手術という寄生虫を口にする危険は避けたいし、かと言って、店で買った、すでに冷凍が施されている可能性が高いスモークサーモンを、石橋をたたいて渡るために、マイナス18度で4日間(96時間)以上冷凍すると、変質しておいしくなくなってしまいそうです。

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 結局、畑でよく採れるナスをうまく利用しようと思いつきました。独特の苦味が取れるように、細切りにしたナスを多めの油で、揚げるようにじっくり炒め、最後にごまとしょうゆ、ワインと黒砂糖少々を加えて、さらに炒めてから火を止めました。ナスのしょうが焼き風に、しょうがを切らしていたので、しょうがなしに料理したのですが、かえって巻き寿司全体の味のバランスがよくなったのではないかと思います。

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 早めに巻き寿司を作っておいて、来客が訪れる少し前から、やはり畑で採れたズッキーニとカボチャの花に、てんぷらの衣をつけて揚げ始めました。実は、採れた花はもっとたくさんあったのですが、コモの友人たちが予定より早く到着し、義弟宅で作っているパスタがまもなくできそうだというので、途中で揚げるのをやめ、やはり畑で取れたレタス、トマト、キュウリでサラダを用意して、夫と二人で料理を手に、上の階の義弟宅を訪ねました。

 コモに暮らす友人たちは、夏に南イタリアを訪ねることが多く、その帰り道にペルージャに寄って、あいさつをしてくれるのですが、今年も、ローマからの帰りがけに顔を見せてくれました。

 最近では、すっかりカメラの調子が悪くなり、10回近く撮影とレンズの収納を試みて、撮影と収納がうまく行くのがそれぞれ1回ずつという具合なので、カメラを他の人との撮影に使うこともできず、いつまでも動かず辛抱強い植物や料理や風景だけが撮影の対象になっています。というわけで、残念ながら、友人たちとの会食の写真はありません。

 共通の思い出話や互いの近況とおしゃべりがはずみ、十二支の質問がきっかけで始まった日本語の説明にも興味を持ってくれ、コモでは珍しいらしい、なんちゃって日本料理もとても喜んでくれて、うれしかったです。おみやげに、おいしい当地のワインとリキュールを贈ってくれ、皆で夜遅くまで楽しく過ごしました。翌朝は早起きして山に行くつもりだったのですが、お開きになったのは午前1時40分のことでした。

 ちなみに、ツナ缶をイタリアで販売する業者については、マグロの漁獲の在り方をグリーンピースが評価して、時々公表しています。

マグロ漁獲の環境と魚に優しい度ランキング 2012年3月グリーンピース発表
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Immagine presa dalla pagina, Greenpeace Italia – Tonno in Trappola
Per più dettagli si veda
Greenpeace Italia – La Classifica “Rompiscatole” Marzo 2012

 表では、海の環境と生態系を守る、持続可能な漁業を行っているかどうかを示しています。残念ながら、「Bene!」(よくやっているね!)という賞賛に値する企業は一つもないのですが、その下のオレンジ色の、「Non è abbastanza」(努力はしているけれども、十分ではない)という部分に、半分の業者が集中しています。残念ながら、残りの半分の業者は、「Non ci siamo!」(これじゃあいけないよ!)という、赤いゾーンに属しています。そうして、うち緑の星印がついているのは、釣り竿を使って獲れたマグロ(Tonno pescato a canna)を使った商品です。

 網を使い、漁の目的ではない他の魚まで大量に収獲して死に追いやる業者も多い中で、この数年に、消費者の信頼を取り戻そう、環境により優しくと、漁獲の在り方を改めた業者もあります。実は、わたしは昔から、知っている人が皆、おいしいと言って使っていたので、よくRio mareのツナ缶を買っていたのですが、数年前に、下の2010年発表の表を見てから、Rio mareの商品は一切買わず、Coopのツナ缶を買うようにしていました。

マグロ漁獲の環境と魚に優しい度ランキング 2010年6月グリーンピース発表
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Immagine presa dalla pagina web,
il fatto alimentare – Tonno in scatola: Greenpeace boccia le marche italiane. Bene Coop, As do Mar e Mareblu (21/6/2010)

 その後、Rio mareは企業努力をして、2012年3月には、環境に優しい業者第2位になっていたのに、わたしがそれを知ったのは、つい数日前のことです。ツナ缶は、おいしさと環境もですが、値段も考えて買いますので、これまでわたしが買ったことがあるのは、たいていRio mareかCoopの商品なのですが、わたしの知らぬ間に、Rio mareは、おいしいだけではなく、優しい漁獲を試みる業者になっていたわけです。情報はこまめに確認する必要があるなとつくづく思いました。

Una serata con amici di Como 6/9/2013

- una serata molto piacevole, tanti sorrisi, ricordi di una volta ...
Purtroppo, ormai la mia machina fotografica funziona molto di rado e poi spesso non si muove più. Quindi, posso fotografare solo gli oggetti che non hanno bisogno di muoversi né mangiare. Quindi nessun foto della festa...

- Stavolta ho fatto i makizushi, involtini di riso solo con verdure & frittata di uova,
perché..
Rischio anisakis - Via il Salmone affumicato,
Pesca poco sostenibile - Via le Scatole di tonno.

Ora i prodotti di Rio mare sembrano più eco-friendly rispetto a quelli della Coop. Hanno fatto molti sforzi dopo il 2010, ma l'ho saputo solo di recente ed evitavo sempre le scatole di Rio mare. Bisogna continuare ad informarsi.

関連記事へのリンク
- 旬食の宴とタンゴ、イノシシ (6/9/2013)
- 古き良き時代のコーモ ~遠来の友人からの贈り物 (28/6/2010)
↑↑ たとえばトリノやミラノは、イタリア語の発音に忠実にと考えれば、トリーノ、ミラーノなのですが、もうトリノ・ミラノという地名が日本で定着している気がします。ベネチアは、イタリア語の原音に忠実に従うと、ヴェネッツィア、日本語に従来ある音や呼び方ならベネチアです。ただ、「ベネチア」と言っては、イタリア人にはまず通じないと知りつつも、最近見かけることが多くなったヴェネツィアは、原音にこだわって「ヴェ」と「ツィ」を使いつつ、zが二重子音でなく単子音になっているのが中途半端な気がして、だったらいっそのこと「ベネチア」と呼んだ方が、筋が通っていそうな気がします。外来語の発音や外国の人名・地名については、ブログなど、個人が自由に世界各地から多数の人に発信することにできるようになった今では、日本での従来の呼び方に従うか、原音表記に忠実に表記するかは個人の自由と趣味に任されている感がしますし、実際、内閣告示においても、「外国語の表記」のよりどころを示しているだけで、「様々な表記を否定しようとするものではない」としています。以前は、コモは地名としてそれほど知られていないかなと考えて、イタリア語の発音に近い「コーモ」にしたのですが、最近は、「コモ」という表記をよく目にするため、今回は「コモ」と書きました。

LINK
- Wikipedia日本語版 - アニサキス
- 食品生成の窓、東京都の食品安全情報サイト - アニサキス (Anisakis) 線虫類
- CIBO360.it – Pesce crudo: il rischio anisakis
- il fatto alimentare – Salmone affumicato: tutto quello che bisogna apere quando si consuma pesce crudo. Il problema Listeria (10/12/2012)
- Eurofishmarket.it – L’Anisakis a Superquark (6/9/2013)
イタリアのツナ缶の漁獲の在り方への配慮度、得点と成績順位
- Greenpeace.it – Tonno in Trappola – La classifica – Marzo 2012 (pdf)
↑↑ イタリアで販売されている14の業者のツナ缶について、漁獲の在り方を10点満点で評価し、1位のAs do Mar(6.1点)から最下位のNostromo(1.4点)、MareAperto、Conad、Maruzzella(1.3点)までを順に並べた表あり。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2013-09-10 17:55 | Gastronomia | Trackback | Comments(7)
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Commented by patata at 2013-09-11 07:22 x
なおこさん、こんばんは♪
とっても美味しそうなお料理の数々、それに各品、丁寧ですね!
特にズッキーニの天ぷらの完成度の高さに感動しました。私はズッキーニの天ぷらを揚げるとふにゃふにゃ、かりっと揚がりません、なおこさんのように揚げるのは何かコツが必要なのでしょうか?教えて頂ければ嬉しいです。
ツナ缶の話、恥ずかしながら全く知りませんでした。ただ単に美味しいからという理由でコープのものを購入していましたが、結果、上位に位置していて安心しました(汗)
ツナ缶のように、1商品を多くの企業が出しているという現象は多くありますし、そのような状況の中で、消費者も出来る限り環境に配慮した商品選びが出来る、という、この選択基準は私にとって新たな発見となりました。ありがとうございました。
Commented by milletti_naoko at 2013-09-11 16:04
Patataさん、完成度の高さだなんて…… 炭酸水を使ったり、天ぷらの衣が冷たくなるように、冷水を使ったり、氷を入れておいたりというのが、からっと揚げるのがこつだと聞いていて、うちでは炭酸水を常備していない(飲むのはいつも水道水です)ので、衣に一つ二つ氷を加えておいて、揚げている途中に溶けて水になったら混ぜ合わせるということを繰り返しています。天ぷらには、同じ材料を同じように使っても、うまくできるときとできないときがあるのですが、このときはきれいに揚がってうれしかったです。

ツナ缶については、たとえばイタリアで人気も高く、よく売れているRio mareが2年後に上位に上がったのは、やはり、グリーンピースの発表を見て、買い控えた人が多いからであって、消費者の力も、小さいようでいて実はまとまるととても大きいのではないかと思います。グリーンピース2012年発表の図の下に二つリンクを貼っていますが、この下の方のリンクでは、図中のツナ缶をクリックすると、(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2013-09-11 16:06
Patataさんへ(上からの続きです)

各業者のツナ缶について、漁獲の在り方やマグロの購入方針、どういう種のマグロを使っているかなどを詳しく説明し、かつ見やすいように、それぞれの項目でも、環境への配慮度を緑(よし)や赤(落第)で色分けしてあります。Coopは、他の商品でも、環境や健康、フェアトレードに配慮した商品が多いし、値段が財布に優しいのでありがたいのですが、Rio mareに比べると、努力不足が歴然としていますね。前回の評価からすでに1年以上経っているので、今はどうだろうと気になるところです。

こちらこそうれしいコメントをありがとうございます。わたしも、今回記事を書くことで、今までなんとなく知っていたことを、深く知ることができました。わたしもツナ缶と言うと、あまりにも種類が多いので、これまでは、人の家でよく見かけるRio mareかCoopのものしか買ったことがないのですが、頑張っているAs do Marのツナ缶、今度店で見かけたら、少々高くても買ってみようかなと思っています。多少高くても、スモークサーモンに比べたら割安なはずですし。
Commented by germanmed at 2013-09-12 14:52
こんにちは。
最近Rio mareのツナ缶を発見し、そのおいしさに大感動していたところでした。努力している企業だとわかって、嬉しいです。ツナ缶によってはマグロではなくカツオだったりする(つまりクロマグロの減少とは全く関係ない)ので、もう少し調べてみようと思っていたところです。
寿司・刺身からの寄生虫感染は、近年日本でも増加してきて問題になっていますね。よくよく噛んで食べるのが大事だと言います。
Commented by milletti_naoko at 2013-09-12 16:25
Germanmedさん、おはようございます。Rio mareのツナ缶、おいしいですよね。イタリアに来た頃から、知人が皆このツナ缶を使っていたので、私もあまり考えずに買っていたのですが、近年よく買うCoopのツナ缶よりもおいしいし、ごくたまに安いからと夫が買ってきたツナ缶とは、おいしさが格段に違います。

リンク先の図のツナ缶をクリックすると、Rio mareの具体的な漁獲やツナ缶製造における態度についての評価が分かります。イタリア語で書かれているのですが、なんとRio mareは、ドイツ・オーストリア・オランダでは、種の保存が危惧されるキハダマグロを売らないように企業努力をしているのに、イタリア向けのツナ缶は、まだ大半がこのキハダマグロだということです。同じ企業でも、販売する国によって違いがあることに驚きました。国によって、環境保全のために設けている基準が異なるからでしょうか?

この寄生虫、日本ではずいぶん以前からいろいろとニュースになっていたんですね。アドバイスをありがとうございます。万一食べる機会があれば、よくよく噛んで食べたいと思います。でも、何か進展があるまでは、しばらく寄生虫が潜む危険のある魚は食べないつもりでいます。
Commented by mitsugu-ts at 2013-09-12 23:51
なおこさん、こんにちは!魚が好きな僕としては、とっても気になるビデオでした。むかし、マンガ「美味しんぼ」で、新鮮な鮭の刺身でこの寄生虫の事を扱っていたのを思い出しました(確か軽く冷凍して透き通るほど薄く切り、一枚一枚肉眼で寄生虫がいないか確認する、という方法でした)。トリエステは港街なので鮮魚も出回りますが(値は張りますが・・・)、新鮮なイカや魚を見るとやっぱり少量を刺身で試してたので、真剣に対策を考えようと思います・・・。

街の名前の表記!僕もどうして良いものかしょっちゅう迷います。Veneziaで言えば、日本の方の中には英語からの「ベニス」の方が通りが良い事もあるし、かと言ってAutenticitàを追求?するとVeneto方言では「ヴェネーシィア」。笑。困ったもんです。
Commented by milletti_naoko at 2013-09-13 00:29
みつぐさん、冷凍時の温度に応じて、必要な時間だけ冷凍すれば、寄生虫は死滅しますが、それでも死骸を食べる可能性は残りますよね。EU内では、魚介類に十分な加熱が施されない食材の製造過程や店で客に出す魚料理について、必要なだけ冷凍することを義務づけて、被害を防ごうとしているようですから、個人も市場や店で買った鮮魚を、加熱せずに食べる場合は、しっかり必要なだけ冷凍するのが、残念ではありますが、食中毒を避ける唯一の方法ではないかと思います。海のないウンブリアでは、ふだんから寿司や刺身からは遠い生活をしているので、そういう意味で、私は生魚の我慢がしやすい状況にあると言えるかもしれません。

そうそう、ベネチアではragazzaの発音が「ラガーサ」になるのよと、ずっと昔に在住の友人が教えてくれたのを覚えています。ロマーニャの場合には、従来の標準イタリア語ではロマンニャに近いけれど、ロマーニャの人の発音はロマーニャに近いからそれでいいかと思うのですが、ヴェネトの人の呼び方では、Italiano standardの発音からかなり離れてしまいますよね。こういう揺れや個人のこだわりが表記に垣間見えるのも、それはそれでおもしろいなと思います。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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