イタリア最古の民族

 イタリア古代の民族と言うと、とかくエトルリア人やローマ人に脚光が当てられがちで、ペルージャ外国人大学で、イタリアやイタリア語の歴史を詳しく教わったときでさえ、他の民族には、さらりと触れただけでした。イタリアという国が、ローマ人が築いた古代ローマ帝国を誇りとし、ペルージャも、かつて優れた文化を持ち、古代の井戸や城壁、門が今も町に残るエトルリア文明を重んじているからでしょうか。

f0234936_824868.jpg
Amelia 29/1/2010

 それで、ひどく驚いたのです。2010年1月に、アメーリア市立考古博物館で、掲示を読んで知ったときには。

f0234936_83770.jpg
Museo archeologico comunale di Amelia 29/1/2010


なんと、イタリア最古の民族と考えられているのは、ウンブリア人だと言うのです。

"Plinio il Vecchio, vissuto nel I secolo d.C., affermava che gli Umbri erano il popolo più antico d’Italia (gens antiquissima Italiae) e che il loro nome derivava dal fatto di essere sopravvissuti all’ombros, il “diluvio” universale, episodio mitico divenuto patrimonio comune di molte popolazioni antiche." (Dalla bacheca del Museo archeologico comunale di Amelia)

 読み進めると、さらに、すべてを覆い尽くす「大洪水」(ombros)に耐えて、生き延びた人々であるために、「ウンブリア人」(Umbri)と呼ばれていると、書かれています。そして、この伝説の大洪水は、多くの古代民族の共有財産になったそうです。掲示には、この後も続いて、古代ギリシアの歴史家たちによると、かつてはラヴェンナやリミニ、ファーノ、サルシナ、サッソフェッラートやセニガッリアまでが、ウンブリア人の領域であったと書かれています。

 当時の日記には、こんなふうに記しています。

「考古学博物館に入ったのは雨がどしゃぶりだったのがきっかけだったけれど、Umbriの活躍やローマとの争いなど、おもしろい展示があり、博物館の人が親切に展示資料までくれた。」

f0234936_84270.jpg
Museo Archeologico Statale di Spoleto 15/4/2012

 テベレ川とネーラ川に挟まれた、アドリア海岸まで続く広い領域に、かつてはウンブリア人が住んでいたのだと読んだのは、ペルージャの国立考古博物館でだったような気がしますが、ウンブリアの町で言うと、たとえばグッビオやアッシジ、スポレートなどが、ウンブリア人が暮らしていた地域です。いつか記事にしようと温めすぎて、記憶があいまいになりましたが、確かアメーリアでも、スポレートでも、博物館には、古代ウンブリア人たちの残した道具や装飾品がいろいろと展示され、当時の暮らしの様子が推測されていて、展示を見ながら、農耕を好む、穏やかで平和な民族だったばかりに、後から来た民族に侵略されて、目立たない存在になってしまったのかなと、思ったように覚えています。侵略してきた古代ローマ人と、結局は和解して、うまく共存していったと、展示にあった気がします。館内では撮影禁止とあったので、スポレートでは、興味深い展示があっても、写真は撮りませんでした。

f0234936_842045.jpg

 ちなみに、このスポレートの考古博物館は、国立美術館や博物館などが無料になる文化週間を利用して、訪ねました。

f0234936_844277.jpg

 この日は、同じくスポレートにある城塞、Rocca Albornozianaも、無料で訪ねられると楽しみにしていたのですが、無料なのは、城内にある国立博物館だけで、城塞は、割引ではあっても有料だと知って、後日時間のあるときに訪ねることにしました。(下記リンク参照)

 この城塞は、現在放映中のドラマ、『ドン・マッテーオ9』では、刑務所という設定になっています。現実には、今は観光施設なのですが、夫によると、数十年前までは、刑務所として使われていたそうです。

f0234936_852328.jpg
Museo Archeologico Nazionale dell’Umbria, Perugia 22/4/2012

 その翌週には、やはり文化週間を利用して、ペルージャにある国立ウンブリア考古学博物館も訪ねました。

f0234936_854111.jpg

 この博物館は、ペルージャの中心街からも鐘楼が見える、サン・ドメーニコ教会の隣にあります。名前に「ウンブリア」を冠しているだけあって、一地域に重点を置いたアメーリアやスポレートの博物館に比べると、ウンブリア各地域について、説明や展示があるものの、大切な要素だけを抜き出してざっと説明してあるだけという印象を受けました。

f0234936_855898.jpg

 ペルージャに多くの足跡を残したエトルリア文明に関しては、さすがに展示内容が充実しています。

f0234936_86203.jpg

 ウンブリア州という名前そのものが、もともと「ウンブリア人の住む国」を意味する言葉に由来するのに、エトルリア文明や古代ローマの遺跡ばかりに焦点が当てられているのは、やはり勝者、強い者、優れた文明を持つものを、よしとする思いからでしょうか。州都のペルージャが、エトルリアの地だったからでしょうか。

 ペルージャの博物館でも、わたしは、古代のウンブリア人、エトルリア人とローマ人の関係に注意しながら展示を見ました。テベレの右河畔にウンブリア人が、左河畔にはエトルリア人が暮らしていたと、絵や文章で示されています。

“Due popoli divisi dal fiume
[…] due popoli, Umbri ed Etruschi, che hanno abitato il territorio, in larga parte identificabile con gli attuali confini regionali. Le due etnie occupano rispettivamente la sponda sinistra e quella destra del fiume Tevere” (Dalla bacheca del museo)

f0234936_86387.jpg

 ウンブリア人がとても古い民族であることや、その領地の広がりを記した、古代ギリシアや古代ローマの文献の該当箇所が紹介されています。

f0234936_865925.jpg

 この二つの民族が、どういう経緯を経て、ローマ人に征服されていったかも、詳しく説明されていました。その詳細は、また、機会があれば取り上げるつもりでいます。

f0234936_871638.jpg

 ペルージャの博物館からミニメトロの駅に向かう途中、丘の斜面いっぱいにヒナゲシの花が咲いていて、うれしかったです。

Sapevate? Sono stata molto sorpresa quando ho letto queste spiegazioni sulla bacheca del Museo archeologico di Amelia. Quanto ai popoli antichi, a Perugia parlano quasi esclusivamente dei Romani e degli Etruschi, però...

"Plinio il Vecchio, vissuto nel I secolo d.C., affermava che gli Umbri erano il popolo più antico d’Italia (gens antiquissima Italiae) e che il loro nome derivava dal fatto di essere sopravvissuti all’ombros, il “diluvio” universale, episodio mitico divenuto patrimonio comune di molte popolazioni antiche."

"Il geografo Strabone, più tardi, menzionava come umbre le città di Ravenna, Rimini, Fano, Sarsina, Sentino (attuale Sassoferrato) e Senigallia"

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- アメーリア、考古学博物館とプレゼーペ / Amelia, Museo archeologico & Presepi (22/12/2010)
- スポレート大冒険 / Avventura a Spoleto (15/4/2012)

Riferimenti bibliografici & web
- Schede illustrative del Museo archeologico comunale di Amelia
- Umbria Segni Etruschi - L’Umbria e gli Etruschi. Umbri, Etruschi e Romani
- Università degli Studi di Siena – Il Popolo degli Umbri – Un viaggio alla scoperta della Gens Antiquissima Italiae
- Treccani.it – Umbri. Enciclopedie on line
- Treccani.it – Umbri. Enciclopedia Italiana (2012)
- UmbriAvanti – Le Origini dell’Umbria – “Umbri Grandi Fondatori delle Nostre Città”
- Perugia.com – Storia della città – Periodo Etrusco

Articolo scritto da Naoko Ishii

 この記事いいなと思ったら、応援の1クリック(↓↓)をお願いします。
Cliccate sull'icona (↓) se vi piace l’articolo.
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
NihonBlogMura Blog Ranking

こちらもクリック↓↓ ありがとうございます!
Anche su questa icona. Grazie!

Ninki Blog Ranking

by milletti_naoko | 2014-01-29 23:59 | Umbria | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://cuoreverde.exblog.jp/tb/21347369
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by ayayay0003 at 2014-01-30 14:33
なおこさん、私は、ウンブリア人という人が存在したことすらなおこさんのブログで初めて知りました(*゚∀゚)
やっぱりいつの時代でも、どこの国でも、強いもの、勝者、優れた文明を持つものがよしとするものなのですね、。
そのようななか、資料としてなにかしら残っているというのは、真実味があるし、興味深いことだと思います。
後世に生きる私達は、先人に学ぶべきことは、たくさんあると思いますし、そういう歴史を学ぶのは素晴らしいことだと思います。
是非またそういったことをブログで紹介して下さいませ(*⌒∇⌒*)
いつも大変お勉強になり、ありがとうございます♪


Commented by milletti_naoko at 2014-01-30 17:24
アリスさん、地域に深く関連した歴史であっても、その一部しかもっぱら語られないのは、何だか不思議だなと思いました。信頼性を確認しなければいけませんが、次の記事には、ペルージャもそもそもは古代ウンブリア人が建国したのだとさえあります。
http://www.perugia.com/storia_della_citta/periodo_etrusco.htm
次のページには、古代ウンブリアも、宗教や政治、立法において発達した国で、独自の言語やアルファベットも有していたとあります。
http://www.segnietruschi.it/MEDIACENTER/FE/CategoriaMedia.aspx?idc=2&explicit=SI

ウンブリアは、まずはエトルリア、そして、古代ローマ、後世にはローマ教皇の支配下となり、ペルージャでも、そしてグッビオやスポレートでも、残る古代遺跡は後から来たエトルリアやローマのものなので、足跡を大きく残した民について語られるということもあるのでしょう。いずれにせよ、考古学博物館では、あちこちで説明されているのに、歴史や観光案内ではウンブリア人について語らないことにも驚きました。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


by なおこ

プロフィールを見る
画像一覧

Chi scrive

Naoko Ishii
Insegnante di
Giapponese & Italiano
Interprete Traduttrice
IT-JP-EN Fotoblogger
Pellegrina @ Perugia
Umbria, Italy

Per Lezioni, Servizi di
Interpretariato,
Traduzioni, contattate
via email.

- CV e contatti
- Twitter
- Facebook
- Instagram

I miei articoli su Japan-Italy Travel On-line↓↓
Perugia Lago Trasimeno Assisi Montefalco Oli d’Oliva & Trevi Gubbio Piediluco Terremoto Centro Italia

Mio articolo su
Huffingtonpost.jp
- Tre settimane dal Terremoto Centro Italia   

*Giù in basso
Categorie in italiano


Copyright©2010-16
Fotoblog da Perugia
All rights reserved

イタリア、ペルージャ在住。
日本語・イタリア語教師、
通訳、翻訳、ライター。

イタリア語・日本語の授業、
産業・会議通訳、観光の
同行通訳、翻訳、イタリア
旅行・文化・イタリア語に
ついての記事執筆など
承ります。メール
お問い合わせください。

- 履歴・連絡先
- ツイッター
- フェイスブック
- インスタグラム
- イタリア語・イタリア文化情報サイト
- イタリア語学習メルマガ
- 多言語オンライン辞典
- イタリア天気予報
JAPAN-ITALY Travel On-lineメルマガに執筆↓↓
- 連載魅力のウンブリア



画像一覧

最新の記事

木彫りの妖精会える森、トスカ..
at 2017-10-22 23:59
秋色の聖なる森をラヴェルナへ..
at 2017-10-21 23:55
紅葉・霧のミジャーナと改築状..
at 2017-10-20 23:24
朝焼け、乗り換え前の番号メモ..
at 2017-10-19 23:56
海辺の紅葉・ブーゲンビリア、..
at 2017-10-18 23:45

記事ランキング

タグ

(601)
(523)
(333)
(276)
(210)
(189)
(166)
(156)
(147)
(135)
(134)
(119)
(113)
(96)
(90)
(90)
(87)
(68)
(52)
(33)

検索

以前の記事

2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
more...

カテゴリ

Famiglia
Feste & eventi
Film, Libri & Musica
Fiori Piante Animali
Francia & francese
Giappone
Gastronomia
Giappone - Italia
ImparareL2
Insegnare Giapponese
Inteprete Traduzioni
Lingua Italiana
Notizie & Curiosita
Poesia, Letteratura
Regno Unito - UK
Ricordi
Sistemi & procedure
Viaggi
Abruzzo
Emilia-Romagna
Lazio
Liguria
Marche
Piemonte
Puglia
Toscana
Trentino-Alto Adige
Umbria
Valle d'Aosta
Veneto
Via di Roma (RI-RM)
Cammino S.Benedetto
Via degli Dei(BO-FI)
Cammino di Santiago
Vivere
Altro

ブログジャンル

日々の出来事
語学

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

最新のコメント

アリスさん、見頃は過ぎて..
by milletti_naoko at 02:31
なおこさん、ラヴェルナの..
by ayayay0003 at 21:04
クロちゃん、こんばんは。..
by milletti_naoko at 07:39
なおこさん、おはようござ..
by クロちゃん at 06:33
nonkonogoroさ..
by milletti_naoko at 06:21

お気に入りブログ

A piece of P...
フィレンツェ田舎生活便り2
彩風便り 
花が教えてくれたこと
イタリア・絵に描ける珠玉...
Facciamo una...
VINO! VINO! ...
SOL LUCET OM...
文殊の綴り絵
カッラーラ日記 大理石の...
黒い森の白いくまさん
イタリアの風:Chigu...
dezire_photo...
梨の木日記
PASQUARELLIの...
フィレンツェのガイド な...
ローマより愛をこめて
日々是呼吸
田園都市生活
英国発!美は一日にしてならず
Mrs.Piggle-W...
ひっそりと生きる
Osteria TiaL...
リカのPARIS日記♪
イタリアちゅうねん
トンボロレースと日々のこと
コントリ!(コントラバス...
IL PARADISO ...
アリスのトリップ
毎日の楽しいを集めてハッ...
ボローニャとシチリアのあ...
カマクラ ときどき イタリア
トスカーナの海より リボルノ編
ととやふくろう
40代の悪あがき日記
ミセス サファイア 静け...
小さな窓から
斗々屋ふくろう

外部リンク