日本語とイタリア語の非対照、「も」編

 助詞「も」の説明や、「サントスさんはブラジル人です。マリアさんもブラジル人です。」という例文の載ったプリントを、生徒さんに渡していました。

 それぞれの文はイタリア語では、

  Santos è brasiliano.
  Anche Maria è brasiliana.

となります。

 この「も」は、「はるがきた」の歌に、「のにもきた」、「のにもさく」と出てきたほかに、すでに授業でも出てきていたのですが、今朝学校に行くと、真っ先に、この「も」について、生徒さんから質問がありました。

  Sia Santos sia Maria sono brasiliani.

とイタリア語では表現できるけれど、日本語でも、2文に分けずに、1文で表現することができますかというのです。ちなみに、sia A sia B は、「AもBも」という意味です。

 それで、「文構成が複雑なので、かなりあとで学習するのだけれど」と前置きして、
「サントスさんもマリアさんもブラジル人です。」
と言えることと、「も」が一つだけ使われる場合と同様に、助詞の「は」は、「も」が使われるときは、姿を消すことを説明しました。

 教科書では、今学習しているページより、100ページも先に、文法の説明が載っています。ついでに、そこにある例文を生徒さんといっしょに読んでいて、今さらながらの気づきがありました。


 日本語では、
「わたしもマイクさんもブラジル人ではありません。」
と否定文の場合にも、「AもBも」と、肯定文の場合と同様の表現が使われるのに対し、そう言えば、イタリア語では、

  Né io né Mike siamo brasiliani.

と、否定文では使用する表現が変わることです。


 質問を聞きながら、答えながら、あらためて日本語とイタリア語の違いに気づくことも多いので、たとえば、「マルコさんはイタリア人ですか。」という問いに対して、日本語では、「イタリア人」という言葉を繰り返さないためには、「はい、そうです。」と、「そう」という副詞を使うのですが、

イタリア語では、

  Lei è italiano?

という問いに対して、sì/no(英語のyes/no)だけで返事を終わらせず、かつ、italianoという言葉を繰り返さないためには、

  Sì, lo sono.

と、italianoという言葉を、中性代名詞loで置き換えるのです。

 言語学では、言語の類型から見て、日本語と中国語は、イタリア語と最も異なる言語であると言われています。ですから、日本人と中国人にとっては、イタリア語の学習がことさらに難しいし、表現や文法が、イタリア語と日本語とでは、異なる点が多いのですが、熱心な生徒さんの質問を通して、これまであまり意識していなかった違いにも、気づくことができて、興味深いです。

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 昨日は同行通訳として、お客さまたちと共に、アッシジを歩いたのですが、明日も、やはり同じお客さまたちと、ペルージャを散歩します。明日は、夕方までずっと雨が降るという予報が出ているのですが、せっかく遠く日本からお越しになったのだから、雨が降りませんように、降っても小雨でありますように。

Giapponese vs. Italiano, Visita di Perugia

- Scopro diverse asimmetrie tra il giapponese e l'italiano, rispondendo a molte domande del nostro allievo. Molto interessante!

- Anche domani accompagno come interprete le tre signore giapponesi, questa volta nel Centro storico di Perugia. Purtroppo, l'Arco Etrusco è ancora coperto da impalcature e secondo il meteo domani piove. Tuttavia, ci sono molte altre cose da vedere :-)))

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2014-04-04 23:34 | Insegnare Giapponese | Comments(10)
Commented by ayayay0003 at 2014-04-05 08:40
おはようございます♪
なおこさん、イタリア語と日本語って本当に遠い言語なんだなというのがなおこさんの今日の説明でよく分かりました(^-^)
今までも何となく感じてましたが、そんなに違うのか!と思いました。日本でも国語の先生をされていたなおこさんだからこそ、生徒さんに解りやすく教えることができるのではないかと思います。(^-^)
表現の方法が違うのは、文化やその国の習慣が違うので当たり前と言えばそうなのでしょうが、その国で暮らしたこともなく言葉だけを先ず習うというのはなかなか難しいものはありますね!だから、歌などを交えながら教えるというのは、理にかなっているのでしょうね♪
Commented by クロちゃん at 2014-04-05 17:08 x
なおこさん、こんにちは♪
春は天気が不安定になりますが、晴れましたかー。o(*^▽^*)o~♪
こちらは桜満開となりました。
でも、寒気の影響でちょっと寒い日となっています。
↑この日本語は大丈夫でしょうか。(^^)/
Commented by suzu-clair at 2014-04-05 21:23
続けてのコメントで失礼します。

このあたりの文体の成り立ちの違い、
私も外国語を学んでいるとき、
とても興味深く感じた部分でした。

日本語というのは、
つくづく複雑で細やかな成り立ちをしていますよね。
言語や表現方法というのは、国民性や思想の傾向などを、
とても反映した形でできあがっていると思います。
だからこそ、
知らない言葉を学ぶことはおもしろいし、
いろんな文化や思想の違いを知っていくきっかけにもなって、
世界が広がりますよね。

なおこさんの生徒さんは、
本当に熱心な方々が多いのでしょうね。
とてもやりがいのあるお仕事をなさっておられて、
素晴らしいですね。

日本からお越しのお客様とのお仕事、
天候はいかがでしたでしょうか?
きっとお客様もなおこさんのおかげで、
いい時間を過ごされたことでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-06 02:32
アリスさん、こんにちは。記事に書いたこと以外にも、日本語なら主語が違っても述語は同じなのですが、イタリア語の場合は、動詞も形容詞も形が違ってきますよね。こういう根本的な違いは、目につきやすいし意識もしやすいのですが、生徒さんの質問を通して、ほかにもいろいろ微妙に違うんだなと気づけて、興味深かったです。

わたし自身、イタリア語教育の大家、カテリーノフ先生を質問攻めにしてはMangiagrammatica(文法食らい)というニックネームまでいただいていたので、生徒さんの気持ちも分かるし、質問の着眼点もイタリア語と日本語のこういう微妙な違いもとてもおもしろいです。歌を通して勉強すると、自分が歌ったり、聴覚を働かせたりすので、楽しく学べる上に、記憶にも残りやすいんですよ。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-06 02:35
クロちゃん、こんにちは♪ 朝は降りましたが、午後は幸い雨がやみ、晴れ間が見えました。3人ともご自分たちが「晴れ女」とおっしゃっていたので、その威力かもしれません。日本の満開の桜、みごとでしょうね。クロちゃん、最後の文の日本語大丈夫だと思いますよ。こちらも最近朝晩肌寒い日が続いていますが、ペルージャでは、天気予報によると、明日から気温が上がり、来週は最高気温が20度の日が続き、次の週まだ気温が下がるということです。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-06 02:40
すずさん、日本語は場を、イタリア語は文の構造や体系をそれぞれ重んじている言語だと思います。日本語では話す相手が違うと、言葉遣いが変わってきて、イタリア語でもそれは同じですが、たとえばそっくり同じ文でも、主語が違うと、動詞や形容詞の形が、今回挙げた例文のように、主語に応じて統制を取るかのように、すべて変わってゆくのです。だから外国語学習は難しいのですが、おっしゃるように、それがまた、文化の違いや文化の影響と共に、おもしろいのですよね!

同じ生徒さんは、以前に英語の講座でも、それは熱心に勉強をして、質問をいろいろとされていたようです。言葉も教えることも大好きなので、こうして日本語を教えることができることを、本当にうれしく思い、感謝しています。

今日は、朝は少し降りましたが、幸い午後は雨がやみ、晴れ間も見えました。トスカーナトはまた違うウンブリアの魅力を、お客様も興味を持ち、楽しんでくださったようです。
Commented by nagisamiyamoto at 2014-04-06 04:56
なおこさん
まずはお返事をご丁寧にありがとうございました。私は言葉を扱う仕事についていますが、あくまでも「先生」ではないスタンスにいます。通じることを目的にしているので恥ずかしながらイタリア語の文法がおろそかになるばかりです。時々友人たちにも直されるとやはりバツが悪いですね。原点に戻ってしっかりしたイタリア語を話したいものですが、時間と言うのはどんどん進んでいくもので・・・困りました。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-06 07:50
なぎささん、こちらこそありがとうございます。わたしの場合は言葉自体が仕事の素材で、なぎささんの場合は、おっしゃるように、いかにお客さまにフィレンツェなどの魅力を知って、楽しんでいただけるかが大切なのだと思います。わたしも、大学で勉強したり、教えていたりした頃に比べて、かっちりした話し方をするのに意識が必要だったり、時間がかかるようになったりしてきたので、イタリア語でももっと読んだり書いたりを、意識的にしなければと、反省しています。
Commented at 2014-04-08 22:23
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-08 23:31
鍵コメントの方へ

イタリア語に興味がおありで、勉強を始められたんですね。興味や好奇心から勉強をするのが、楽しいし、続きやすいし、頭にも入りやすいはずですよ。イタリア語は、英語と比べると、文法的にやっかいな点はありますが、発音と表記が一致している場合が多いので、発音や語彙を覚えるのは楽だったり、聴き取りがしやすかったり、難しい語彙になると、かえってラテン語やギリシャ語起源なので、英語と語形が似ている場合が多かったりします。中学校からじっくり学校でも勉強をしている英語に比べると、ゼロからのスタートになるので、自分なりに満足できるレベルまで到達できるには時間や日数がかかりますが、文法を一つひとつ覚えるというよりは、たとえば初めての出会いやあいさつ、日常生活や旅での会話を導入として、語彙や文法を少しずつ学んでいくと、達成感も得やすいし、あまり文法にこだわらず、心を強く持って勉強できるかと思います。イタリア語学習メルマガも書いていますので、よろしければ参考にしてください。
http://www.geocities.jp/naoko_ishii/backnumber.html
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