エレベーターでうっかり

 日本語では、地面の高さと同じ階が「1階」で、それより一つ上の階が「2階」、さらに上の階が「3階」なのですが、イタリア語では、地面の高さと同じ階、つまり日本語の「1階」に当たる階はpianoterra(構成する語をそれぞれ直訳すると「地面の階」)、そして、そのすぐ上の階がil primo piano(構成する語の直訳は「第1の階」)、さらに上がil secondo piano(第3の階)となります。イギリス英語で、日本で言う「1階」をthe ground floorと呼び、その上の階、つまり日本で言う「2階」がthe first floor、「3階」がthe second floorとなり、日本語とは1階ずつ、階の呼び名がずれるのと同じです。

f0234936_557575.jpg

 上は、金曜日の日本語の授業の際の板書です。教科書の会話で、ワイン売り場はどこですかと尋ねる客に、店員が「地下1階でございます。」と答える場面がでてきたので、こんな図を書いて、日本語とイタリア語では、階を呼ぶ際の数字がずれることを説明しました。説明しながら、「地下」(イタリア語ではsottoterra)という言葉は、日本語でもイタリア語でも、「地面」(terra)と「下」(sotto)を意味する語を、二つ組み合わせてできていることに気づいて、おもしろいなと思いました。

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Basilica di San Francesco, Assisi 3/4/2014

 さて、ふだんの生活では、イタリア語で話すときは、イタリア語で、日本語で話すときには日本語で考えるのですが、通訳の仕事の際には、この二言語を同時に頭の中で処理しなければいけません。

 4月3日、アッシジでお客さんが滞在するホテルに同行したとき、「イタリア語と日本語では階の呼び方が一つずつずれるので、ご注意ください。」と、お客さんに言いました。フロントで、お客さんの部屋があるのはil secondo pianoだと聞き、荷物を抱えたお客さんと共に、エレベーターに入ります。頭でイタリア語だけで考えていれば、迷いもせずに「2」と書かれたボタンを押したと思います。それが、お客さんに「il secondo pianoというのは、日本語で言う3階のことですよ。」と説明したからか、うっかりして、「3」のボタンを押してしまったのです。il secondo piano、イタリア語で言う「第2の階」は、日本語の「3階」に該当はしますが、エレベーター内のボタンでは、イタリア語の「第2の階」は当然「2」で表されているのに、うっかり日本語とイタリア語を混同してしまったのです。

 しかも、そのとき、冷静な頭で考えれば、もう一度、エレベーターの「2」のボタンを押して、il secondo piano(3階)で下りればよかったのですが、フロントの人の「Il secondo piano!」と言う声に慌てて、荷物を抱えたお客さんと一緒に、エレベーターで着いたil terzo piano(4階)から、階段でil secondo piano(3階)に降りてしまったのです。チェックインを済ませたあとは、昼食を取って休んでいただけたからいいものの、長旅でお疲れのお客さんに、わたしのうっかりで、階段を余分に歩かせてしまって、申しわけなかったです。

Attenzione!

    in giapponese               in italiano

1かい (pronuncia /ikkai/, 'piano uno')  =  pianoterra
2かい (/ni-kai/, 'piano due')        =  primo piano
3かい (/san-kai/, 'piano tre')        =  secondo piano
4かい (/yon-kai/, 'piano quattro')     =  terzo piano

Di solito non mi sbaglio, cioè quando voglio salire al secondo piano con l'ascensore in Italia, penso in italiano e premo il pulsante '2'. Ma il 3 aprile quando ho accompagnato tre signore giapponesi alla loro camera del secondo piano dell'albergo, gli ho spiegato in giapponese che la loro camera si trovava nel '3 kai' e nell'ascensore ho premuto il pulsante '3'!!!

LINK
- Berlitz - THE (FIRST) FLOOR (1)階(アメリカ英語)、(2)階(イギリス英語)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2014-04-12 22:58 | Lingua Italiana | Trackback | Comments(12)
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Commented by クロちゃん at 2014-04-13 06:10 x
なおこさん、おはようございます。♪
国によって階の数え方が違うんですか。
これは紛らわしい~。
私の場合、正しい階にたどりつけないかもです。(^<^)
もういーかい~。
もういいよー。
かくれんぼになりそうだ。(^^)/
Commented by milletti_naoko at 2014-04-13 07:09
クロちゃん、こんばんは♪ 国によって、階の数え方も違うし、車が道のどちら側を進むか、ハンドルが車のどちら側にあるかも違うし、気をつけないといけないことが、いろいろあります。

すぐに「いいかい」(いい階)にたどり着くのは、日本を旅するヨーロッパ人観光客にとっても、イタリアやイギリスを旅する日本人観光客にとっても、簡単そうで、難しい場合もありそうです。
Commented by ayayay0003 at 2014-04-13 12:03
こんいちは。
ヨーロッパ旅行に行くといつも困るのがこれです!
何度行っても慣れません(笑)。この階の表記の違いは、あなどることなかれですよね!旅行中は、とにかく動きまわり疲れてホテルに到着して
います。たいてい説明はしていただいて。それぞれが自分で自分の部屋へ行くのでその時皆が同じ階(ツアーの仲間)なら問題ないのですが
だいたいが小さい規模のホテルなので階がそれぞれ違うのです。疲れているのにエレベーターのボタンを押し間違うこと多々あり、時には父とけんかになりそうになったりします(笑)。ということは、何度も間違えているということです(笑)。私のうっかり度もなおこさんに負けてないということです(笑)。こうして記事で紹介していただくと、ヨーロツパ旅行される方助かると思います(^^)。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-13 15:12
アリスさんも、旅行で間違われることがあるんですね! エレベーターも建物も、日本と同じように、階をアラビア数字で表記しているのに、その数字が意味するものや階を呼ぶときの数字が、ヨーロッパでは日本とは違うのは、紛らわしくて困りますよね。エレベーターに乗って、ボタンを押すなんていうのは、日頃慣れから、頭でそれほど考えずに自動的に行っている動作だから、逆にそれだけ、いきなりふだんとは勝手が違う国にくると、間違えてしまうのは、旅行中でお疲れのこともあり、起こりがちなのではないかと思います。確かに、旅行中ようやくエレベーターに着くときというのは、すっかりお疲れのときですから、そういうときに間違うとつらいですよね。お気持ち、お察しします。わたしの場合は、こちらに長く住んで、慣れているはずなのに、それでもやっぱり、一瞬でも日本語の頭で考えると、エレベーターのボタンを正しく押せないなんて! il secondo pianoをお客さんが「2階」だと思って、階段で上がろうとされると、3階まで歩くくとになって大変だと思って、一言添えたのですが、おかげで逆に、1階分階段を歩いて下りていただくことになって、申しわけなかったです。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2014-04-13 15:13
アリスさんへ(上からの続きです)

自分の足で階段を上れば、こういう違いにもすぐ気づけるのですが、日本のホテルは高い建物にあって、エレベーターがあることが多いので、イタリアやイギリスからの旅行客で、階を間違えて困る方も多そうです。どなたかのお役に立てば幸いです。
Commented by nagisamiyamoto at 2014-04-13 16:43
なおこさん、日々私たちが当たり前に考えていることが、意外と観光客の方々には不思議に思えるものです。階数の数え方も日本の方が「ナンデ?」と思うように、イタリア人にとって日本のそれは「ナンデ?」なんでしょうね。私はこれら数多くの同じ質問を毎日違うお客様に向けて処理しつづけるのです。「何故、イタリアにはコンビにがないのですか?」という質問もそれらのひとつでしっくりした言い訳(笑)がどうも浮かびません。日々お勉強の毎日です・・・
Commented by kazu at 2014-04-13 19:41 x
エレベーターの階はなおこさんも間違われることがあるのですね。私はしょっ中です。特にロビーやレストランのある階をよく間違えて上がったり下りたりです。旅行はいつも一人なので気を付けているのですが、日本語頭になるとだめですね。先のロシアでは、部屋のカードをエレベーター内のモニターにかざして、自分の部屋の階のボタンを押さないと部屋のある階には行けなかったのですが、自分の部屋の階を覚え間違いしていて大変でした。何しろカードには何も書かれてなくて、自分の部屋の階以外には行けないものだから、エレベーターの中で迷子でした。エレベーターに限らず、この手の失敗や恥はよくやらかしますので、ホテルネタはいっぱいあって、なおこさんのこの記事にも、私のことが書いてあると笑いがこみあげました。(笑)
Commented by milletti_naoko at 2014-04-14 00:42
なぎささん、ところ変われば品も風習も食事も、いろいろと変わってくるのを、住んでいると慣れるのですが、特に初めて海外を訪ねるお客さんにとっては、驚かれることも多いのでしょうね。コンビにが日本にあるのは、逆にそれだけ、ふつうに店が営業している時間帯に、仕事のために買い物に行けない人が大勢いるという日本社会の労働システムの悪習慣のためのような気も、わたしはしています。と思ったら、アメリカなど他国にもあるようですね!
Commented by milletti_naoko at 2014-04-14 00:52
かずさんも、そうすると、海外旅行中に階を間違えて苦労されたことがあるんですね! しかしロシアのホテルのカードは、自分の部屋のある階にしか行けないとは、確かに関係ない階でうろうろ騒がしくしたり、不審な行動があったりしないという点ではいいのでしょうが、階を間違えると大変ですよね。お疲れさまでした。階段やエレベーターの数字は、利用法や数字の使用などほとんどが似ているのに、階の数だけ一つずれるので、かえって間違いやすいのだと思います。ふだん考えずにさっと体がボタンを押すように、無意識にしがちな行動だけに、かえってうっかり自国と同じように考えて手が動いてしまうのではないかなと。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2014-04-14 00:52
かずさんへ(上からの続きです)

そう言えば、このときのお客さんとペルージャの店で昼食を取ったあと、お客さんが、トイレの水をどう流していいか分からずに、具合が悪くなったことを知らせるための呼び鈴を鳴らすひもを引っ張ってしまったので、店主が慌ててトイレに駆け込み、わたしが、「水洗用のひもと間違えた可能性が高いと思います。」と言いつつ、同行したということもありました。非常用の呼び鈴は、わたしもかつてどこかのトイレでうっかり鳴らしてしまったことがあります。ホテルやトイレによって、水洗の仕方や電気のつけ方が違うので、こちらに住んでいても分かりにくいことや、間違えることは、たまにあります。というか、デザインばかり重視して、どう使っていいのか分からない、困った蛇口やスイッチが、多すぎる気がします。
Commented by suzu-clair at 2014-04-14 02:08
階の数え方は、
本当に混乱しますよね。

英語でも、アメリカとイギリスでは違いましたよね、確か。
昔、「えーと今は、イギリス式?アメリカ式?」と一瞬頭で考えてから処理するワンテンポが必要で、混乱した記憶があります。

同時通訳のお仕事は、
耳と、口と、頭とをそれぞればらばらに働かせながら言語を処理していかなければならないから、
すごく大変だとお聞きしたことがあります。
思わずうっかりも、無理もないことかもしれませんね。

↓の記事、
本当に、日本は外国語の取り入れ方が、適当なところがありますよね。
私がコメントで書いたファッション誌の件、
もう慣れましたけど、
昔、「マストアイテムなビジュー」なんて表現に、目が点になったことがありました(笑)。

言葉や文化が違うことや、時代とともに文化が変化することには、
それを理解して、柔軟に対応していくことが求められますが、
日本は、
もう少し自国と他国の文化を深く理解して、
自分の国の文化や言葉も大切に扱いながら海外の文化を取り入れられたらいいなと思いますね☆
Commented by milletti_naoko at 2014-04-14 05:13
すずさん、お箸がナイフとフォークになったり、家や宿には土足で上がったりと、目で見て明らかに違いが分かるものは、意識がしやすいのですが、ほとんど同じなのに、数字だけ一つずれるというのが、階段のやっかいなところですよね。すずさんも困られたことがあるんですね! そう言えば昔、わたしが使っていたワープロと、勤務先で使わなければいけなかったワープロの操作の方法が微妙に違っていて、別のワープロを使うたびに、それに慣れるまでに時間がかかって大変だった覚えもあります。

すずさん、わたしも同感です。日本に昔存在しなかった衣類の名前はともかく、コーディネートなど、日本語で十分に表現できそうなのに、片仮名ばかり使っている場合が多すぎるのではないかと。外国語を学ぶ必要があることと、日本語でむやみやたらに外来語を使ったり、外国の原音に近づけようとしたりすることは、別の次元の問題だと、わたしは思います。他国の文化を学ぶことは、意外と改めて自国の文化を見つめ直す機会にもなるのですが、やっぱりまずは、自国の文化や言葉を大切にすることが必要で、そうして初めて、他国の文化を受容し理解できる土壌ができるような気がします。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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