日記で外国語学習

 学校での日本語の授業も4週目に入り、月曜日から、動詞の学習を始めました。休み時間にバールに行っても、生徒さんは、「わたしはジュースを飲みます。石井先生は何を飲みますか。」と、日本語で言えるのが、とてもうれしそうです。

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 来週は、軍外国語学校も、復活祭休みで授業がありません。休みに入る前に、動詞の導入を一通り終えておこうと、今週はやや駆け足で授業を進めています。明日、木曜日の授業では、「~ました/~ません」と、過去形も勉強します。そうして、復活祭休みの宿題として、こちらのプリントに、自分の1日の生活と週末にしたことについて、日本語で書いてくるように言うつもりでいます。1では「~ます」を、2では「~ました」を使い、それぞれ、日頃の生活習慣や週末にしたことを、日本語で表現する練習になります。プリントは、こちらの教科書の課題に、家で一人で取り組みやすいように、わたしの方で、作文に必要な語彙や表現を書き加えたものです。

 このプリントは、基本的には、ペルージャ外国人大学で教えていた頃に毎年使っていたものと同じで、その頃に作った枠組みの、日付やページ数を変え、違う絵を添えているだけです。

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 日本の高校で教えていた頃から、生徒に授業やHRで何か感想を書かせたときは、そのうちのいくつかを、教科通信やHRだよりに載せて紹介していました。外国人大学で教えていた頃は、教えていた学生の人数が少なかったこともあり、提出された宿題を添削し、コメントを添えて返すと共に、その全部あるいは一部を、日本語新聞に載せて、配布していました。自分が書いたものが活字になって、皆に見てもらえると励みになるし、友人たちが自分で調べて使っている言葉は、頭にも入りやすく、自分も頑張ろうという気持ちにつながると考えたからです。

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 中には、漫画やアニメで、すでに日本語を独学で勉強していて、授業では習っていない漢字を、たくさん使っている学生もいます。新聞には、わたしが添削して直した文を載せていますが、毎年、この宿題を集めて添削すると、それぞれの学生の日本語の習得状況がよく分かりました。例年、動詞は、たいていの場合正しく使えているのですが、習ったばかりの助詞、で・に・へ・をなどの間違いが目立ちました。作文の出来具合には個人差が多く、てにをはに、まれに間違いがある程度で、あとはほぼ完璧な文章を書いてくる学生もいれば、まだまだ似ている平仮名や片仮名を混同して、仮名の習得がおぼつかない学生もいます。

 もう約20年も前のことですが、社会人になって英語を再勉強しようと考えたとき、ヒアリングマラソンや実用英検対策の問題集、英語での読書と並行して、しばらくの間だけですが、英語で日記をつけたことがあります。自分の身の回りの物やできごと、日常の行為をどんなふうに言えばいいのか、辞書を調べながら書いて、語彙を増やし、英語で言いたいことを表現する練習ができました。まだそれほどインターネットが普及していない頃で、正しく書けたかどうかも確認できぬまま、それでも、そうして英語で発信する練習ができ、語彙も増えたという意味で、英語力の向上に役立ったのではないかと思います。さらに、自分で文章を書いている、たとえば本で読んだり、耳から入ってきたりする表現も、「ああ、こんなふうに言えるのか」などと、アンテナで感知しやすく、記憶に残りやすくなります。

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 そういうこともあって、4年半前にイタリア語学習メルマガを発行し始めた頃から、日本語の授業で使っている冒頭のプリントを、日本人学習者のイタリア語学習教材としても利用できそうだと、ずっと考えていました。日常生活で行う動作や、手にする食品や物についての語彙が一覧になっているので、イタリア語を勉強している日本の方が、自分の生活習慣や身の回りのできごとを、イタリア語で表現する練習をするのにも、役立つだろうと思っていました。

 特に日本でイタリア語を学習していると、「掃除をする」・「洗濯をする」・「ビスケット」など、日常生活で当たり前に行ったり、目にしたりしているものごとを表現する語彙を学ぶ機会が、なかなかないと思います。そして、名詞から順に説明が始まる入門書を1冊終えなければ、イタリア語で書くことができないような錯覚に陥りやすい気もします。けれども、1か月だけ日本語を学習したイタリアの人が、語彙や学んだことに助けられて、自分の毎日や週末にしたことを、日本語で書けるように、日本人の皆さんも、動詞の直説法現在や名詞の性・数、冠詞の用法と、基本的な語順さえ頭に入っていれば、上の表を使って、自分なりに、1番で指示されているように、毎日の生活習慣をイタリア語で書くことができるはずです。近過去の学習が済んでいれば、2番にあるように、週末にしたことを、イタリア語で語ることもできるはずです。そうやって、イタリア語で日記をつけるための一歩、イタリア語で自分の毎日を語り、書けるための一歩が踏み出せるはずです。

 イタリアの方が、てにをやの使い方や動詞のマス形に手こずる一方、日本の皆さんが文を書き始めてみてとまどうのは、動詞の活用はもとより、冠詞や名詞の単複、使うべき前置詞は何かということではないかと思います。日本の大学や語学学校で、イタリア語を勉強したのに、いざイタリアに留学してみると話せないというのは、文法を学びはしても、その文法を使って、実際に自分で、自分の身の回りのことでいいから表現してみるという訓練ができていないからだと思います。自動車教習所でいくら車のつくりや交通規則を学んでも、路上教習なしでは、運転ができないのと同じことです。教習所と違って、独学なので、だれも添削してくれる人がいないという方もいることでしょう。けども、たとえ先生やインターネットなどで見つけたイタリアの友人に、添削を頼めなくても、間違っていてもいいから、自分が言いたいことを、こんなふうに書いたらいいのではないかと表現し続けること、書くために辞書などを調べることは、勉強になります。作文する際、前置詞や冠詞の使い方については、例文の豊富な小学館の伊和中辞典や- 和伊中辞典が役に立ちます。それに、たとえば、「こういう表現ができるだろうか」と思ったとき、その表現をインターネットで検索して、正しいかどうか確認する目安にすることもできます。ただし、日本語のら抜き表現のように、文法的には間違ったとされている表現が、ネット上に多数見つかる可能性もあることは、意識しておく必要があります。

 イタリア語を学習中の方に、このプリントを作文や日記を書くための手助けとして使っていただければと思って、今回の記事を書いてみました。そんなこと言うのであれば、わたし自身もフランス語で日記を書けばいいのですが、最近はすっかりフランス語の勉強をさぼっている上、毎日日本語でつけていた日記も、もう1か月も書いていません。毎日少しずつ続けることが、大きな力につながります。お互いに頑張りましょう!

Questa settimana si imparano i verbi e il nostro allievo è lieto di esprimersi in giapponese. Avendo imparato i verbi, riesce a dire molte cose!

Questo è il compito per le vacanze pasquali; dopo 4 settimane di lezioni sarà in grado di scrivere in giapponese la sua routine quotidiana e un diario.

LINK
- Manuale di Giapponese

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2014-04-16 22:16 | Insegnare Giapponese | Trackback | Comments(12)
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Commented by クロちゃん at 2014-04-17 06:45 x
なおこさん、おはようございます。♪
縦書きの文字に、日本語らしさを感じます。
新聞は縦書きが読みやすいです。
そして、ひらがなが多いのも良いです。(^^)/
Commented by nagisamiyamoto at 2014-04-17 12:33
なおこさん、おはようございます。
生徒さんたちは結構難しいレベルを勉強されてるように素人目には見えるのですが、日本語を勉強したいと他国の人間が思うってとてもスバラシイことだと思いますし、そのお手伝いをしているなおこさん、素敵ですね。そんな私も知人の娘さんに日本語を教えてあげて欲しいといわれているのです。免許もないし、私から日本語を教わったら娘さん(かなり優秀な女の子です)が可愛そうだと断っているのですが、大体始めに何をどうすればいいのかこっちも分からないのに・・・フィレンツェでプロの家庭教師を探しています(涙)
Commented by ayayay0003 at 2014-04-17 13:39
こんにちは。
今、電車の中でなおこさんの記事を楽しく読ませていただき、なるほど語学の学習には、日記をその学習している言葉で書けば良かったんだ…とつくづく反省しています(^^;日記を書くのは大好きで、若い時は、欠かさずつけていたのに日本語でした~(^-^)。今日の記事を読ませていただいて生徒さんたちの努力に感動しました~??
やっぱり語学学習は、習うより慣れろ!といいますものね♪
Commented by とすかーな at 2014-04-17 20:56 x
生徒さんに「先生、何を飲みますか?」と日本語で言われたら、嬉しくなりますね~。日本語新聞、すっごくいい!これ、生徒さんの励みになりますね。自分が日本で教えていた時に作ればよかったなぁと思いました。
私も英語で日記書きました!見えた物を英語で言ってみたり。イタリアでは、日記を書く気にならないんですが(笑)だから英語と違って、イタリア語がまだダメなんですけど。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-17 20:56
クロちゃん、こんにちは。教科書が基本的に横書きなので、縦書きにも慣れてもらおうという意図もあって、新聞ですし、縦書きにしています。ひらがなで一生懸命書いてくれているのが、うれしいです♪
Commented by keiko at 2014-04-17 23:55 x
なお子さん こんばんは。 

昨年の11月に、「テレビでイタリア語」という、週1回25分の番組を見つけました。なんとか自分で勉強してみようと思い、勉強を始めました。番組は9月開始で、半分近くが終わっていたのですが、何回も繰り返し見ることで、少しずつ耳や目が慣れてきて、簡単な文くらいは読めるようになりました。(意味はほとんどわかりませんが・・・・)
毎回、番組の初めに、「今日のフレーズ」を出演者の北村一輝さんという俳優さんが書くというコーナーがあります。正しく書ける時や、間違う時もあり、とても参考になりました。

この4月からは、ラジオの「まいにちイタリア語」のほうも聞いています。こちらは今までの復習にもなり、毎回とても楽しんで聞くことができます。でも、なかなか覚え切れません・・・・

なお子さんの今日の文章を拝見して、間違っても良いからどんどん書いたりすれば良いとのお話に、ちょっと安心しました。なお子さんの今日の文章は、今の私にとっては最高のタイミングと内容です。とっても参考になりました。これからは、イタリア語で日記を書いてみようと思います。習うより慣れよ、ですね。

Commented by milletti_naoko at 2014-04-18 04:15
なぎささん、この教科書は、身の回りに必要なことから徐々にコミュニケーションができることを視野に入れて、それと難易度を考案して学習内容の順を決めているので、4週間の授業の後でも、個人差はありますが、かなりいろんなことが書けるようになるんですよ。もっとフィレンツェが近かったら、わたしもお教えできるのにと残念です。イタリアという遠い国で、日本に興味を持って、日本語を学ぼうとしてくれる人たちがいるというのは、わたしもうれしいです♪ 
Commented by milletti_naoko at 2014-04-18 04:19
アリスさん、そう言えば、小学校で書くのを学び始めた頃に、学校の宿題で休みに絵日記を書いていたのを思い出しますが、あれも、先生方には、書く習慣と書く力をつけさせようという意図があったのでしょうね。日本語でも日々の記録をつけることは、大切だと思います。もう1か月ほど書いていないので、再開しなければ! 生徒のみなの頑張り。わたしもフランス語の勉強、頑張ります!! 習うことと慣れること、両方が大切なのだと思います。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-18 04:32
とすかーなさん、生徒さんが頑張っている様子、わたしもうれしいです。ありがとうございます。とすかーなさんは日本で日本語を教えられた経験がおありなんですね! そして、とすかーなさんも、英語で日記を書かれたんですね! わたしもイタリア語では日記を書いた記憶がないのですが、ある程度力がついてから、イタリア人の友だち数人とメールを交わしていました。イタリアには逆に住んでいるために、日常生活で接する機会が嫌でも多いからと、なかなか日記まで書こうという気にならないということもあると思います。ただ、会話だと言いたいときに言葉が見つからなかったり、言いたいときに言葉が間に合わなかったりするのに、日記だと、じっくり考えて、自分の身近な生活を表現するための語彙や文章を構成することができるので、そういう力が身について、それが話すときや聞くときにも生かされてくると思いますよ。
Commented by milletti_naoko at 2014-04-18 04:39
けいこさん、イタリア語を勉強されているんですね! まずはリズムや読み方が分かるようになると、うれしいですよね。フレーズがちゃんと書けるか書けないかというコーナーがあるなんて、おもしろいですね♪

ラジオの方が、かなり学習内容が充実していると聞いています。どの外国語でもですし、今の日本語の授業でも生徒さんには繰り返し言っているのですが、何もかもをすべて覚えないといけない、そうでないと先に進めないのではなくて、とりあえずその課その課で一番大切な文法項目や表現を覚えたら、他のことや言葉は、らせん階段を上るように、以後いろんな課や文・会話・表現などを習うときに、しばしば繰り返し出てくるので、そうやって土壌に水や肥料が徐々にしみこんで豊かになるように、ゆっくり焦らず、力を少しずつ蓄えていけばいいのではないかと思います。

けいこさんのお役に立てたようで、わたしもうれしいです。わたしもフランス語をもっと勉強しなければいけないし、フランス語で書くようにしなければ。本当に「慣れる」ことが大切ですよね。来週は学校が休みで、時間に余裕があるので、フランス語で時々ツイートするから始めてみましょうか。お互いに頑張りましょう!
Commented by oliva16 at 2014-05-03 02:47
いつもながらの丁寧なアドバイス、ありがとうございます。
6月のCILS試験まではとにかくイタリア語をたくさん読み、聞き、書こうと思います。C1レベルは周りの優秀な人たちも4回くらい受けてようやく合格、とか、とても大変そうですが、試験勉強をすることで自分の今の状態よりは向上するはず、と思って頑張ります!日記、と思うと私の場合は気負ってしまうけれど、とにかく文章を1つでも暗記し、書いてみる、ということを積み重ねてみます。
Commented by milletti_naoko at 2014-05-06 01:06
Olivaさん、C1は、大学を卒業した、特にイタリア語を専門としないネイティブのイタリア語力が、読む・書く・聞く・話す・会話に要求されるので、特に日本に押住まいの場合は本当に難しいと思いますが、一つひとつクリアーしていけばきっと大丈夫。頑張ってくださいね! 文章の暗記よりは、あまり肩肘の張らない、興味のありそうな本をたくさん読まれた方がいいかもしれません。Olivaさんの場合、お仕事でたくさん精読をされているので、むしろいろんな分野、そしてたくさんの量を読まれるのが大切かな、と。わたしもフランス語、頑張らなければ~!!


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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