繰り返してはならぬ悲劇

 アウシュヴィッツの強制収容所にとらわれたユダヤの人々が、旧ソビエト軍によって解放され、ようやく自由の身となったのは、今から70年前、1945年1月27日のことです。この1月27日を、イタリアではGiorno della Memoria(直訳は「記憶の日、追憶の日」)と呼び、こうした恐ろしい悲劇が二度と繰り返されぬようにと、この日の前後には、さまざまな催しが行われ、今夜はテレビでも、関連の映画や歴史特集の放映が予定されています。

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Dal film, “La Vita è Bella”

 ショアを扱ったイタリア映画は数ありますが、多くの人々の幸せと命を奪い、残酷な死に追いやる恐ろしさを描きながら、なおかつ子供の笑顔を守ろうと必死な父親の、その愛や生き方が心を打ち、希望とユーモアが散りばめられた『ライフ・イズ・ビューティフル』(原題は『La Vita è Bella』)が、わたしはとりわけ好きです。


 ただ現実には、今でも、世界各地でこうした虐殺や戦争が相次ぎません。イタリアには、ナチスやファシズムに追われるユダヤの人々の命を救った人をたたえ、ショアを糾弾する一方で、移民排斥を訴え、差別に満ちた発言をする政治家や市民もいますし、パリの新聞社襲撃事件以来、残念ながら、イスラム教の人々に対する差別的言動が、イタリアでも増加しています。ヒトラーもムッソリーニも、民主主義国家の中で、最初は国民の支持を得て、のちに独裁者となったのです。日本でも、原発が多くの人のかけがえのない命を奪う可能性があることを知りつつ、そうして、基地建設には反対という沖縄の人々の思いを知りつつ、行政が、そうした地元住民の意思や生活を、ないがしろにしています。「自爆テロ」のことを、イタリア語ではkamikazeと言うのです。一触即発の様相を呈してきた世界で、過去の過ちを二度と繰り返さぬためにも、この日は、世界中で、ショアと共に、宗教や人種、肌の色など、あらゆる差別や迫害について、そうして、自国がどれだけ民意を尊重しているかどうかについて、考える必要があると感じています。

*******************************************************
Mondo senza pregiudizi, persecuzioni, guerre
E’ una base fondamentale per non ripetere gli errori dell’umanità.
Mussolini e Hitler, prima di diventare dittatori, una volta
Ottennero il consenso dei popoli dei Paesi democratici.
Ricordiamo la tragedia sofferta dal popolo ebraico,
Impediamo la nascita, crescita di discriminazioni di qualsiasi tipo,
Affinché tutti possano vivere in pace.
*******************************************************

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 21世紀の独裁者 / Dittatore del XXI secolo
- 人生にほほえめば / la Vita è Bella – Noa, “Beautiful That Way”
↑↑ 『ライフ・イズ・ビューティフル』の名曲に美しい歌詞をあてて、ノアが歌います。歌は英語、YouTube映像の字幕はイタリア語で、記事ではわたしが前半部を日本語に訳しています。
- 生きるに値しない命
↑↑ ナチスの虐殺の対象は、ユダヤ人だけではありませんでした。
- amazo.co.jp - 映画、『ライフ・イズ・ビューティフル 』[DVD]
- おすすめのイタリア映画

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-01-27 13:42 | Altro | Trackback | Comments(6)
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Commented by ayayay0003 at 2015-01-27 23:22
こんばんは^^
1月27日はそういう日だったんですね~
私はちょっと違うかもしれませんが、戦場のピアニストが好きです♪主人公のウワディストワがピアニストだったため、ドイツ人将校は彼のピアノに感動してかくまってくれ、その数週間後に終戦が来るというものでしたが、あの映画の中で主人公が弾く曲は3曲でいずれもショパンの曲というのもいいですね~♪その中でも将校の前で実際に引いたのが「ノクターン20番嬰は単ハ短調「遺作」」だそうです。映画の中では「バラード一番」になっているらしいです。
なおこさんの記事にある『ライフ・イズ・ビューティフル』はまだ観たことがないのでそのうちに借りてみたいと思います♪良い記事をありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2015-01-27 23:32
アリスさん、こんにちは。そうなんですね。『戦場のピアニスト』、まだ見たことがないのですが、いつかきっと見てみたいと思います。ショパンの曲が映画の展開や主人公の命の鍵を握り、かつ映画を彩ってくれるとはすてきですね。映画と共に音楽も楽しめそうです。

『ライフ・イズ・ビューティフル』、本当にすばらしい映画だと思います。機会があれば、ぜひご覧ください。
Commented by nagisamiyamoto at 2015-01-28 13:08
なおこさんおはようございます。
私は戦争映画を見ると、それが特にフィクションだとしても感情移入してしまって、とてもつらいんです。
祖父母から、さらに両親から戦争の話を聞いていたからかもしれません。でもこのような現実、事実を伝えるのには映像はとても便利な手段です。
今現在でも悲しい対立や出来事が世界のいたるところで起きています。どうかうまくいきますように。
Commented by milletti_naoko at 2015-01-28 17:30
なぎささん、おはようございます。わたしも、戦争映画や、だれかが身体的、精神的に虐げられる映画、残虐な場面、暴力の多い映画は苦手です。ホラーもそうなんですが、見ていてつらいし(目をつぶったり、うちだと途中で見るのをやめたり)、後々まで引きずってしまうからです。なぎささんは、そうやって幼い頃から戦争の話をよく聞かれていたんですね。わたしは、こちらに来て、義父母から聞くまでは、あまり具体的な話を直接耳にする機会がありませんでした。そういう理由で、昨晩放映されていた映画は見なかったのですが、『ライフ・イズ・ビューティフル』は、焦点が主人公の愛や人生賛歌にあてられているので、だからこそ戦争やショアのおそろしさが浮かび上がる一方、全体の雰囲気としては不思議と明るいのです。映画を通して、ニュースではあまり伝えられない戦争やその残虐さを、最近は目にすることが多くなりました。日本もヨーロッパも、市民もできるだけ目をしっかりと見開いていないといけないと思い、選挙権がイタリアではなく、日本でも行使が難しい(大使館から投票案内のメールが前日に来ていましたが、見逃しました… 平日なので直前では予定が動かせなかったでしょうけれども。)のが歯がゆいです。
Commented by kazu at 2015-01-28 23:35 x
なおこさん、こんばんは。日本は今「イスラム国」の話題で持ちきりですが、BSなどでは、ホロコーストの映画や生き延びた方達のドキュメンタリーがあったりして、この解放の記念日を伝えていました。昨夜このドキュメタリーを少し見たのですが、やはり生き証人の語るお話は凄絶でした。

そうそう「ライフイズビュティフル」は、いい映画ですよね。観るたびに心を打たれる場面が変わって、また違う感想を抱きます。悲惨なお話なのに、なおこさんが言われる通り、見終わった後は切なさと温かさが交錯する不思議な映画です。同じような背景で無垢な子供が登場する「縞模様のパジャマの少年」という映画があるのですが、こちらは、もう胸が潰れるような結末を迎えます。なおこさんはもう見られているかもしれませんね。いつだって、戦争は罪のない弱者が犠牲になる、あっすいません、映画のお話になると、ついのめり込んでしまいます(^^)
Commented by milletti_naoko at 2015-01-29 02:51
かずさん、こんばんは。おとといイタリアでは歴史番組で、「ルネサンス期におけるアラビア人」という切り口から、イスラム文化が、いかにヨーロッパがギリシアの古典、特にアリストテレスやその思想の再発見、数学・科学の発展に貢献したかが取り上げられていました。再放送をあえて昨日意図的にこの時期にしたのではないかと思いますが、ずいぶん前に収録されたであろうその番組の中でも、歴史の先生が、「イタリアのマスコミは、一部の特殊なイスラム教徒の中の特殊な宗派の、さらに特殊な人々だけを取り上げて拡大するので、偏見が蔓延するのであって、多くのイスラム教徒やイスラムの国では、欧州諸国とほぼ変わらぬ生活をし、科学技術も発達しているのだ。」と言っていたのが印象に残りました。イスラム教徒に会う機会も多いイタリアでさえこうなのですから、日本ではどれだけ偏った報道がなされているかと、大部分の穏やかな、平和を愛するイスラム教徒の方のためにも気にかかっています。こうしておそろしい思いをしたユダヤの人々が、パレスチナの人に対してどうしてまたあれだけ残虐な行動に及ぶことができるのか、自民族の痛みは他民族の痛みへの共感につながらないのかと、ホロコーストの恐ろしさを思うと共に、いぶからざるを得ません。

この映画、わたしも大好きです。昨夜、どうして放映されなかったのか、残念です。テーマがテーマだけに哀しい、恐ろしい結末の映画も多いですよね。いえ、わたしもそれを心に刻みけること、声高に叫ぶことが大切だと思います。弱者が犠牲になる戦争は決して起こしてはならない、と。


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