ああイタリアの信号よ

 赤信号で止まっている車の助手席や後部座席に置かれたカバンなどを、目にも止まらぬ早わざで、開いた窓から、あるいは窓を壊して盗むという盗難がイタリア各地で起こっているというのは、しばしば聞いていました。学校の授業がある間は、今年は毎朝車で通勤したのですが、ペルージャの中心街や駅の周辺には、いくつも信号があります。

f0234936_3341616.jpg
Tramonto al Lago Trasimeno, Spiaggia Giramondo
San Feliciano (PG) 2/7/2015

 その信号の中に、渋滞のために待ち時間がむやみに長い信号が一つあって、そのため、この信号には、毎朝ほぼ必ず、掃除道具を片手に、身ぶり手ぶりで「フロントガラスをきれいにしましょうか」と問いかける男性がいました。こういう人にガラスをきれいにしてもらう場合には、後からお駄賃に、いくらか小銭を渡すのが慣習になっています。ただ、わたしとしては、信号が変わったらすぐに発車したいという気持ちと、小銭を渡すために開けた窓から財布を奪われる可能性があるかもしれないという気持ちから、いつも首を横に振っていました。

 そうやって断っているのに、この交差点とほかの交差点で、向こうが拒否を無視してガラスを磨いたことがあります。そういうときは払わない方が、こういう人たちが調子に乗って運転者の意図を無視して行動に出ることが少なくなる気もすると思いつつ、きれいにしてくれたのだから仕方がないかと、手持ちの小銭から、50セントや20セントだったのではないかと思いますが、支払いました。

 ペルージャの鉄道駅の周辺には、片道3車線の道路がいくつかあり、そのいくつかは日本の道路ほど表示が親切ではないために、交差点の直前にならないと、自分の行きたい方向に行くにはどこを走らなければいけないのかが分からないような道もあります。そうして、道を知らないでそういう交差点に差しかかった人が、交差点の直前でかなり無理な割り込みをすることがあります。また、イタリアでは、平気で歩道に乗り上げて駐車をしてある車を見かけることが多くあります。交差点直前の歩道に駐車された車があることもまれではなく、通りかかったときに、そういう車に運転手が戻るのを目撃して、急にこちらに出て来られたらどうしようと思うこともあるし、そういう車に人がいないかどうか、路上に出てくる可能性があるかどうか確認する場合もあります。

 さらに、近年イタリア各地で、財政難に苦しむ市町村が収入を上げようと、黄信号の時間を短縮して、赤信号で渡る車が多く出るようにして、多数の市民から信号無視の罰金をむやみに徴収するというのが問題になっています。信号を赤で渡った車を撮影して、市町村に知らせる業者は、市町村が得た罰金に比例する謝礼というか料金を、受け取ることになっていて、「業者と結託して市町村が儲けようとしている、交通安全のためではなく、かえって事故が増加しそうな仕組みだ」と、市民から多数苦情が出たり、裁判沙汰になったりしていました。それが最近になって、「3秒しかない短い黄信号でも時速50kmで走っていれば止まれるはずで、だから違反をした人は罰金を払うように」という判決が、日本の最高裁判所にあたるイタリアの裁判所で下されたため、ペルージャでも、この信号・罰金問題は、新聞の地方記事に出ていたようです。

 わたしは極力安全運転に努めていて、車間距離は夫にあきれられるほど十分に取っていますし、周囲の状況をよく見て運転するように気をつけているつもりです。それが一度、学校の帰りに、交差点に差しかかる前に信号を見たときは青か黄になったばかりだったので、これは行けると思って、停止線から車の頭を出し、わたしの顔が信号の直前あたりに来たときに、赤に変わったことがあります。ひょっとしたら、脇の歩道に駐車した車のライトがついたので、一瞬信号から目が離れたのかもしれませんし、左手に窓ガラス掃除兄さんがいるのに気づいて、どうかこちらに来ませんようにと、左方向に気を取られて、右手にある信号の変化に気づくのが遅れたのかもしれません。

 信号無視は決して言いわけしていいことではないのですが、いろいろと注意しすぎて、かえって肝心なことを見落としたとも言えます。ただ、わたしとしては、わたし自身の体がさしかかったときに赤になったように覚えているのです。そうして、法律では、そういうときにもきちんと停車しなければならず、車の頭と停止線の間が1メートル未満であれば、罰金は払わなくていいということです。市警察から送られてきた文書に記されたリンク先のサイトには、赤信号を通るアイゴの写真があるのですが、あそこで止まっていれば、1メートル以内ではなかったかという気がするのです。そうして、そのときはひどく焦ったものの、停止線を越えたときは黄信号だったし、後続車もあったしで、止まらずにそのまま右折してしまったのです。後から夫には、後続車に追突されてでも(そんなこと言われても)、それは後続車の責任であって、君が知ったことじゃないと言われました。

 アブルッツォ旅行から帰った6月24日の日曜日の晩に、わたしを待ち受けていたのは、この交通違反および罰金支払い要求の通告書だったのでありました。文面には受け取ってから5日以内であれば、罰金が3割引になるとあり、夫や義弟からは不服申立てをしてはどうかと言われもしたのですが、義母が18日に受け取ったという署名をしているため、いろいろと調べたあげく、翌日罰金を支払いに行きました。

 今月は車検にお金が要るとは知っていたのですが、まさか赤信号の罰金まで払うことになるとは思いませんでした。罰金はなんと128.40ユーロです。これを機にさらなる安全運転に努め、これからは信号が黄色に変わったらそこでブレーキをかけて止まることにしようと心に誓ったのでした。通知を受け取ってから60日以内に、車を運転していたのがだれかを報告しなければならず、そうしないとさらなる罰金が課せられますので、この報告もできるだけ早くしに行くつもりでいます。

 写真は、うれしい赤、昨日トラジメーノ湖で見た夕焼け空です。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-07-03 20:34 | Altro | Trackback | Comments(4)
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Commented by ayayay0003 at 2015-07-04 10:35
おはようございます^^
なおこさんが、先日から「罰金」?と言う言葉を頻繁に使われてたので、もしかしたら、このようなことでは?と思ってました(>_<)
しかし、5日以内だと30%引きとはさすがイタリアですね!
128.40ユーロは、高いですが、ビデオに撮られててはいたしかたありませんね(-_-;)
こういう場合の裁判は、おそらく罰する側に有利に働くと思うので、時間の無駄になると思うので正解ではないでしょうか?
家の夫は、よく覆面パトに高速道路で捕まるので、今では、覆面の色と車種を控えてて、私が隣に乗る時は、追い越す車のソレと、警官が運転してたら制服を着てるので、その確認をしてからでないとスピードを速めて追い越さないよう努めています(笑)
笑い話のような本当の話であります(^_-)-☆

イタリア旅行中は、観光バスでも、窓ふきの人をみかけたことはありますので、なおこさんの言うことよく理解出来ますよ(*^_^*)

トラジメーノ湖の夕陽は、格別きれいですね☆
ありがとうございます。
Commented by oliva16 at 2015-07-05 21:10
まあ、綺麗な夕日!と思って読み始めたら、大変なお話でした。私は自分が運転に向いていないということを嫌というほど自覚しているので、免許取得以来一度も(!)運転していません。ましてや海外で運転だなんて、とんでもない…なおこさん、尊敬します。
Commented by milletti_naoko at 2015-07-07 02:04
アリスさん、こんにちは。そうなんです。こういうことだったんです! 割引があって、そうして、割引に間に合ってほっとしました。

久しぶりに見られた湖の夕日がとてもきれいでうれしかったです。こちらこそ、いつもありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2015-07-07 02:09
Olivaさん、最初は罰金通告の封筒の写真を載せようと考えたのですが、夫に、「そんなことを記事にするなんて」と言われそうなので、赤い夕日の写真にしました。尊敬だなんて、ありがとうございます。これからはさらに注意をしながら運転します。Olivaさん、東京は公共交通機関も発達しているし、駐車場は高いし、渋滞もありそうで、あまり車や免許証が必要ない、ない方がひょっとしたらいい町なのではないかという気がします。わたしは一度日本で、日曜日には店が皆閉まり、平日も閉まるのが早くて、仕事の後では買い物ができず、近くの鉄道駅までのバスの便が1日に数本しかない、そういう町に住んだことがあるので、車は必需品だったのです。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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