イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

海の底から神秘の島へ

 先ほどようやく、『海底二万里』を読み終えました。これで、ジュール・ヴェルヌの小説を、2冊読み終えたことになります。

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 驚くほど大きい潜水艦の中には、さまざまな珍しい、美しいものに満ちた広間があり、潜水艦を操るのは、謎の多い人物、ネモ船長。スエズ運河の完成前に、自ら見つけた海底の道を通って、紅海から地中海へと抜け出たり、むやみに動物や原住民を虐げる輩に憤ったり、航海中、次々に、ネモ船長のさまざまな顔が明らかになります。海洋生物を研究する学者である主人公は、潜水艦の旅のおかげで珍しい海底生物を観察できることを喜び、その詳しい記述に余念がありません。主人公と同様、潜水艦での生活を余儀なくされた連れのうち、ネッドは血の気が早く、コンセイユはいつも鷹揚に構えていて、そうした二人の性格や行動の対照が、次々に起こる事件を通して描かれ、時に笑いを誘います。

 おそらくは日本語やイタリア語で書かれていても、知らないものが大半であるだろう海の生物たちの名前や様態が、時々延々と、1ページ、あるいは2ページ近くにわたって書かれているため、学習中のフランス語では、魚の形状や行動が把握しにくいこともあって、読んでいて疲れることもありました。

 けれども、ネモ船長の謎や主人公たちの行く末が気になって、最後まで読書を楽しむことができました。ただ、読み終わっても、ネモ船長の正体が謎のままであるのが気になるのですが、それは、明日からようやく読書を再開できる『神秘の島』で明かされるはずと、期待しています。と言うのも、わたしは先にジュール・ヴェルヌの前作、『神秘の島』を読み始めたのに、あと数十ページというところで、ネモ船長が登場し、自らの人生を語り始め、サイラスの言葉や注を読んで、どうやらこのネモ船長は、前作、『海底二万里』の登場人物らしいと分かったため、『神秘の島』の読書を中断し、『海底二万里』を読み始めたからです。(下記リンク参照)

 読むのはしょせん、語学学習としては受動的な活動で、それだけでは、実際に話す力や書く力には結びつきません。もう長い間、フランス語は音声CDをながら聞きして、本を読むだけという状況で、今回の旅行で一泊だけしたフランスでは、観光案内所で、簡単なことを言うのに、言葉が出てくるまでにとても時間がかかって苦労をしました。登山で言うと、ずっと地図や登山案内の本を眺めるばかりで、町でさえ歩くということをしなかったので、足に筋力がまったくついていない、そういう状態と言えるでしょうか。少しずつでも、きちんと歩いて訓練をすること、フランス語の文法書を見なおしたり、DELF対策問題集を解いたり、『bien-dire』のバックナンバーを、聞き流すだけではなく精聴したりする必要があるなと、旅行中に反省しました。イタリア語や英語の助けもあって、とは言え、いったん軌道に乗ると、いろいろ口から出てくるのではありますが、たとえば今回この本を読んだことを日記に記そうとしたときにも、何も見ずに書いたら、題の出だしのvinghtという単語の、NとGの順番を間違えてしまっていました。

 読書中には、イタリアでは猛暑が頂点に達しているときに、潜水艦が南極で氷に閉じ込められて、読む本の中でだけは極寒の世界にいたり、イタリアでも天気が崩れやすいこの数日に、潜水艦が嵐に出会って、悪天候に関する表現が学べたりして、そういう点でも興味深かったです。ただ、今のところ、わたしがジュール・ヴェルヌの小説で一番おもしろいと感じているのは、『八十日間世界一周』です。

 今夜から、『神秘の島』の読書を再開し、島に生きる主人公たちの行く末とネモ船長の正体を、今度こそ突き止めたいと思います。

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Finita la lettura di "Vingt mille lieues sous les mers" di Jules Verne!

Mi sorprende l'immaginazione di Jules Verne nell'epoca in cui sarebbe stato
impossibile vedere le immagine degli abitanti del mare profondo.
Ma chi è il Capitano Nemo? Me lo farà scoprire la lettura di "L''Île mystérieuse"
la quale ho interrotto quando il capitano ha cominciato a raccontare la sua vita.
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- 806ページ目の悲喜劇 (30/6/2014)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2015-08-20 19:05
なおこさん、こんばんは^^
『海底二万里』をフランス語で読み終えたのですね。
海洋生物の専門用語は、難しいでしょうね!
私も、日本語で書かれていても多分わからないと思いました(笑)
「神秘の島」、最近映画で似たようなストーリーのがあったような気がしますが、全然別のお話だったかもしれません。
これから読む物語、ワクワクしてきますね(^^♪
Commented by milletti_naoko at 2015-08-21 00:02
アリスさん、こんにちは。きっと当時のフランスの読者も知らない生物が多いからでしょう。色や形、生態について詳しい説明がいつまでも続くのですが、そのたびに物語が中断されて、困りました。『神秘の島』に似た映画が最近あったんですね! そう言えば、数か月前、どういうわけか、ジュール・ヴェルヌの小説について書いた記事のアクセス数が一気に急増したことがあり、アクセス解析で検索キーワードを見ると、何かの映画がきっかけのようでした。

さっそく昨晩からネモ船長の告白を少しずつ読み始めました。続きが楽しみです♪
by milletti_naoko | 2015-08-19 23:44 | Film, Libri & Musica | Comments(2)