『風の谷のナウシカ』10月イタリア公開

 宮﨑駿監督の映画、『風の谷のナウシカ』が、10月5日・6日・7日の3日間、イタリアの映画館で上映されます。今日、日本語の授業中に、生徒さんから教えてもらって、今、オンライン記事で確認しました。

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Immagine presa da www.lastampa.it

 イタリアの新聞紙、『La Stampa』の8月27日付の記事に、作品や上映日時について詳しい説明があります。リンクは以下のとおりです。

- La Stampa – A ottobre arriva al cinema “Nausicaä della Valle del Vento” di Miyazaki (27/8/2015)

 日本で公開されたのは、1984年3月ですから、今回のイタリアでの劇場一般公開は、何とその31年後です。ただし、上に記事によると、1987年にはイタリア語音声吹き替えでテレビ放映され、2010年には、ローマ国際映画祭で、字幕付き日本語音声で上映されたとありますから、これまでイタリアで、まったく上映されていなかったわけではありません。

 イタリア語版の予告編は、映画自体の内容には触れず、宮﨑駿氏やスタジオジブリにとっての本作品の重要さや、ようやくイタリアで公開されるということしか述べていません。そのため、ブログを見てくれるイタリア人の友人および日本語の旧・現教え子のためにも、まずは、英語版予告編を紹介します。英語字幕付き日本語音声になっています。



 漫画、『風の谷のナウシカ』冒頭で語られる、世界と人類の陥った恐ろしい状況は、Wikipediaイタリア語版に、原語である日本語と、イタリア語の両方で書かれています。以下はそれを書き写したものです。

   « — ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は数百年のうちに全世界に広まり巨大産業社会を形成するに至った。大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明は1000年後に絶頂期に達しやがて急激な衰退をむかえることになった。『火の7日間』と呼ばれる戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化したのである。その後産業文明は再建されることなく永いたそがれの時代を人類は生きることになった。 » 

   «Una potentissima civiltà industriale, diffusasi dalle propaggini occidentali del continente eurasiatico, nel giro di qualche secolo si diffuse in tutto il mondo privando la Terra delle sue ricchezze, inquinando l'aria e plasmando a suo piacimento le varie forme di vita. Questa civiltà mille anni dopo la propria nascita raggiunse il suo apice, a cui seguì un declino improvviso. Nella guerra nota come I sette giorni di fuoco, le città furono incendiate da nuvole di vapore velenoso. La tecnologia complessa e raffinata del passato era ormai completamente perduta. La quasi totalità della superficie terrestre era divenuta sterile e improduttiva. La civiltà industriale non risorse mai più, e gli uomini si adattarono a vivere lunghi anni di crepuscolo. » (Incipit di Nausicaä della Valle del vento)

 今の日本や世界の状況を考えると、これは決して遠い未来の架空の話ではなく、「大地の富をうばいとり大気をけがし、生命体をも意のままに造り変える巨大産業文明」は現実に存在し、人類は今まさに、「戦争によって都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し、複雑高度化した技術体系は失われ地表のほとんどは不毛の地と化」す状況にいつ突入しかねないとも限らない、危うい状況にあるような気がします。

 連載されていた漫画を楽しみにしていたのも、映画を見たのも、もう30年も前の話で、筋をすべてはっきり覚えているわけではないのですが、今予告編や内容解説を読んでいて、この映画こそ、今の日本に、そして世界にとって必要な警鐘ではないかと感じました。どうか多くの人が見てくれますように。もちろんわたしも見に行きます。
 


Sigla del film, “Nausicaä della Valle del Vento” ↓↓


0:51-1:27
「やさしさは 見えない つばさね   遠くから あなたが 呼んでる
愛し合う人はだれでも 飛び方を知ってるものよ」

La gentilezza è un’ala invisibile. Da lontano tu mi chiami.
Tutti coloro che si amano sanno come volare.

2:12-2:47
「花や木や小鳥のことばを   あなたにも 教えてあげたい
なぜ人は傷つけ合うの  しあわせに 小石を 投げて」 

Vorrei insegnare le parole dei fiori e degli uccelli anche a te.
Perché le persone si feriscono a vicenda
gettando sassi alla felicità?

- Parole del testo Takashi Matsumoto, Traduzione Naoko Ishii

*********************************************************************
Il 5, 6, 7 ottobre al cinema, film di Hayao Miyazaki, “Nausicaä della Valle del Vento”

Un film molto bello, il tema è molto attuale - "Una potentissima civiltà industriale, [...] si diffuse in tutto il mondo privando la Terra delle sue ricchezze, inquinando l'aria e plasmando a suo piacimento le varie forme di vita.[...] La quasi totalità della superficie terrestre era divenuta sterile e improduttiva. La civiltà industriale non risorse mai più, e gli uomini si adattarono a vivere lunghi anni di crepuscolo. " (Dall'incipit del fumetto di Miyazaki su cui è basato il film.)
*********************************************************************

LINK
- Uta-Net - Parole del testo della canzone, 風の谷のナウシカ (Nausicaä della Valle del Vento)
- it.wikipedia - Nausicaä della Valle del Vento (film d’animazione)
- it.wikipedia - Nausicaä della Valle del Vento (manga)
- La Stampa – A ottobre arriva al cinema “Nausicaä della Valle del Vento” di Miyazaki (27/8/2015)
Amazon.co.jp – Fumetti, DVD di Nausicaä & CD delle Canzoni dei film di Ghibli / ナウシカの漫画・映画・ジブリの歌
- Fumetti di Nausicaä - ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)
- 風の谷のナウシカ [DVD]
- STUDIO GHIBLI SONGS [CD]
Amazon.it - DVD dei Film diretti da Hayao Miyazaki / 宮﨑駿監督映画
- Lupin III - Il Castello Di Cagliostro / ルパン三世 カリオストロの城 (1979)
- Il Castello Nel Cielo / 天空の城ラピュタ (1986)
- Il Mio Vicino Totoro / となりのトトロ (1988)
- Kiki Consegne A Domicilio / 魔女の宅急便(1989)
- Porco Rosso / 紅の豚 (1992)
- Principessa Mononoke / もののけ姫 (1997)
- La Citta' Incantata / 千と千尋の神隠し (2001)
- Il Castello Errante Di Howl / ハウルの動く城 (2004) 
- Ponyo Sulla Scogliera / 崖の上のポニョ (2008)
- Si Alza Il Vento / 風立ちぬ (2013)
↑↑ Tutti questi DVD - Audio: Italiano, Giapponese, Sottotitoli: Italiano, quindi sono molto belli ma anche strumenti utili per italofoni che studiano il giapponese e per i giapponesi che apprendono l’italiano.
 いずれも音声はイタリア語・日本語、字幕はイタリア語なので、イタリア語を学習する日本の方にも、日本語を勉強するイタリア人にも、言語学習に使えます。
ただし、日本語の授業や独学の学習教材として使うのに適しているのは、日本語学習・教育であれば、『となりのトトロ』と『風立ちぬ』でしょう。と言うのも、舞台が日本であり、他の作品に比べると、実際には存在しない空想の世界の産物が少なく、日々の暮らしや人生の軌跡を核として、物語が展開するからです。
参照リンク
- アマゾンイタリア ~ おすすめのイタリア語学習教材と購入方法

*追記(9月8日)
 ただし、ヨーロッパ向けのDVDは、日本のパソコンでは見られても、日本で一般に販売されているDVDプレーヤーでは見ることができず、DVDプレーヤーならリージョンフリーあるいはマルチリージョンのプレーヤーでないと見られないという問題があります。
参照リンク
- 龍・通信 - 読めて聴ける英語 - 海外のDVDを見るには?(リージョンコードについて)
- Amazon.co.jp - リージョンフリー DVDプレーヤー

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-09-03 23:58 | Film, Libri & Musica | Trackback | Comments(9)
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Commented by ayayay0003 at 2015-09-04 07:47
おはちょうございます^^
風の谷のナウシカってそんなに前だったのですね(^_-)-☆
日本では、もっと頻繁にテレビでは観れると思いますが
イタリアでは、そんなに久しぶりなんですね!
でも映画館で観れるのはいいですネ☆私、映画は基本映画館で観るというのがモットーです。モチロン、そう度々というわけにはいかないですが・・・。そのかわり、映画館で観ると記憶にしっかりと残るような気がします。
↑がイタリアで上映される時は、字幕がイタリア語なんですか?それとも、イタリア語吹き替えのみなんですか?
ちょっと興味があります(^^♪

昨日の記事の関連の教会見させて頂きました!ボローニャとフィレンツェの間にあるのですね(^_-)-☆
ツアーでも、近くは通りましたがこのような教会へは連れて行ってくれないので、見れて嬉しかったです(*^_^*)
祈願成就に感謝しての奉納物というのは、日本のお寺や神社でもあるので同じかな?と思いました(^^♪
ただ、日本の場合は、食べ物が多いかな?(笑)
ボッカディリーオ、素敵なところですね☆
9月なので、ちょうど5年前ですね。ポルチーニ茸の料理のことも、興味深かったです(笑)
Commented by spacesis at 2015-09-04 19:05 x
なおこさん、こんにちは。
作者の思想とは相容れないところがあるわたしですが、このアニメは、ジブリアニメの中でも大好きな一本です。子供たちと繰り返し見たものです。マンガ本ももっています。ラストシーンには、何度みても胸にジンときます。

これを劇場で観るのはいいですね!
Commented by suzu-clair at 2015-09-04 20:02
世界的に人気のあるジブリ映画の中でも、
ナウシカは、かなり人気の高かった映画ではないかと思うのですが、
イタリアでの劇場一般公開がこれまでほとんどなかったとは、意外でした。
思わず、なにか理由でもあったのだろうか・・・などと、
うがった見方をしてしまいそうです^^

昔は、
勝手に私は、ジブリは子供が見るアニメだろう、
と決めつけて興味をもっておらず、
なかなか見る機会がなかったのですが、
大人になって、いろんなことがわかるようになってから、
初めてジブリ映画が社会へのメッセージ性の高いものが多いことを知り、
さまざまな形のファンタジーを用いてそれを表現する斬新さなどに感心しています。

ナウシカは、私が見ていないだけかもしれないのですが、
最近あまりテレビで放映される機会がないような気がします。
なので、まだ私は見ていなくて…
そういう内容だったのですね。

夏休みになると、
日本ではよくジブリ映画をテレビで放映していて、
それで私はようやく見ることがあるのですが、
先日観た作品も、
「子供のころはただ楽しいだけと思って観ていたけど、
 こんなメッセージをもった作品だったのかと改めて観て驚いた」
といった感想を持つ人も多かったようです。
そして、その映画も、もう20年近く前の作品だったのに、
今の日本にまさに必要なメッセージが表現されていて、
むしろ今こそ人々に理解できる映画ではと、
そんな昔からそれを題材として作品化した宮崎駿さんの着眼点に驚いたりしました。

残念ながら、戦後70年となる今年の夏には、
日本ではナウシカは放映されませんでした。
70年だから、ということだけではいけませんが、
本当に今こそ日本でもみんなに観てもらいたいですね。

イタリアの方たちも、
どんなご感想をもたれるか、興味があります。
またぜひなおこさんのご感想をお聞かせくださいませ。
Commented by Kei at 2015-09-04 20:05 x
なおこさん、こんばんは♪
風の谷のナウシカ、日本ではもう何度も再放送されていますが、色褪せない名作ですね。漫画(原作)も好きでした。

腐海には実は浄化の一面もあるので(詳しくは言いませんが)、現実世界で核戦争が起こって放射能汚染でほとんどの場所で人が生きられなくなってしまったらもっと悲惨で絶望的ですね。
核兵器も原発も減らしていかなければいけません。

凸ポチ!
Commented by milletti_naoko at 2015-09-04 22:42
アリスさん、おはようございます。実はこの情報を知ったのは、日本語の授業中に、わたしの宮崎さんの絵のナウシカの下敷き2枚を見た生徒さんが、「あ、その映画は……」と教えてくれたからなのです。高校生の頃は宝物で、眺めて喜ぶだけだったナウシカやカリ城の下敷きを、大人になった今は見て楽しみ、かつ時々使っています。イタリア風に、鉛筆ではなくボールペンで紙に書くので、下敷きが汚れないからでもあります。確かに日本では、宮崎作品はしばしばテレビで放映されるので、時の感覚が分かりにくくなるかもしれませんね。上に紹介したオンライン記事に、La versione che sarà in sala a ottobre propone un nuovo doppiaggio italiano. (da www.lastampa.it) とありますので、第3回目の今回は、イタリア語音声のみで、前回の上映時から、翻訳を一新しているようです。イタリアでは、たいていの場合、映画はイタリア語吹き替えになる上、アニメ映画なので子供も見るため、イタリア語音声になっているのでしょう。

聖母関連の記事も、見てくださったんですね! 聖地には、ラヴェルナやスビアーコに限らず、こんなふうに人里離れて、祈りや瞑想にいそしみやすい自然の豊かな場所が多い気がします。そのため、大きな町からは遠く、交通が不便で行きづらいのではありますが。おっしゃるように、確かにこれも、一種の「祈願成就」ですよね。日本では食べ物が多いのですか! イタリアでは後で形として残るものが多い気がしますが、この教会に飾られた奉納物の絵は、どういう状況で恩恵を受けたのかを、如実に絵で表しているあたりが、興味深いですよね。
Commented by milletti_naoko at 2015-09-04 22:56
Spacesisさん、こんにちは。そうなんですね。わたしは高校生・大学生の頃に見た作品も多いので、純粋に物語として楽しんで見ただけの作品が多いかもしれません。ナウシカは、漫画は連載当時読んでいたものの、映画は日本での劇場公開時に一度見たきりなので、今度見るのはもう31年ぶりで、とても楽しみです。漫画もお持ちだなんて!! 
Commented by milletti_naoko at 2015-09-04 23:30
すずさん、日本のアニメは、テレビ番組のハイジ、キャンディ・キャンディ・グレンダイザーなど、ずいぶん昔からイタリアでもテレビ放映されています。一方、映画である宮﨑駿監督の作品は、日本では2001年、イタリアでは2003年に公開された『千と千尋の神隠し』が、国際的に高く評価されたことをきっかけに、イタリアで多くの人に知られるようになったのではないかと、推測しています。『千と千尋の神隠し』をきっかけに、それい以前のトトロや魔女の宅急便など、筋が明快で子どもが見ても楽しみやすいものからDVDや映画が公開され、『千と千尋』以降の作品は、日本での上映に若干遅れてイタリアでも公開されたのが、ナウシカや『もののけ姫』はかなり以前の作品である上に、主題が奥深く、単純にだれもが楽しめる作品ではないという印象を与えるため、イタリアでの一般公開は、宮崎作品の人気が広まり、評価が確実になった今、ようやく行われるのではないかと…… まあ、テレビでは1987年にイタリアでも放映されているのですが、映画として劇場で一般公開されるというのは、また別の話ですよね。(つづく)
Commented by milletti_naoko at 2015-09-04 23:31
すずさんへ(上からの続きです)

わたしは、高校生の頃に、『ルパン三世 カリオストロの城』とナウシカにはまっていて、だから宮崎映画が公開されると、すぐに見に行っていたのですが、あの頃は純粋に作品として物語を楽しんでいたのであって、ナウシカについても、今になって、解説を読んで、改めて作品の持つ普遍性や時代・世の中への問いかけを感じます。小説の『風と共に去りぬ』も、高校生の頃に読んだときには、筋や主人公の人生や恋だけをもっぱら追って読んだのに、社会人になって、英語の勉強を兼ねて原書で読み直し、米国南部から見た、語られる南北戦争をめぐる状況が、詳細に語られているのを、いわゆる歴史で習う、勝者の北側が語る歴史との違いにも興味を持ちながら、楽しんで読みました。いい作品というのは、何でも、年を重ねるごとに、新たな発見があり、いつの世にも心に訴え問いかける普遍性・社会性があるような気がします。ナウシカはわたしも31年前に映画館で見たきりなので、久しぶりに再び見るのが楽しみです。少しこわいような気もしています。

かつて日本語を教えたイタリア人の生徒さんから、「宮崎作品ではこの映画が一番好きです」というコメントをさっそくもらいました。わたしも映画を見ること、皆の感想を聞くことを楽しみにしています。ブログでも、またご紹介しますね。
Commented by milletti_naoko at 2015-09-04 23:36
Keiさんも、原作の漫画も読まれていたんですね! もうずいぶん長い間、映画も漫画も見ていないので、何だか初めて見るときのように、何だかどきどきしています。主な場面や腐海、王蟲のことは何となく覚えているのですが。

人が住めないような地球になってしまう状況・未来は、ガンダムやマクロスでも描かれていますが、原発・核開発・世界各地での紛争と、今はあの頃に比べてさらにずっと、それが単なる空想上の世界の話ではなくなっているのが恐ろしいと思います。今ならまだ何とかできる、日本もいろんな意味で分岐点に立っているのであって、どうか正しい道に進んでくれますように、そのためにわたしたち一人ひとりには何ができるかと問いかける今日この頃です。ポチをありがとうございます♪


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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