イタリア語、トイレの入り口要注意

 イタリアでも他のヨーロッパの国でも、たいていの場合、男女用のトイレの区別は、スカートをはいた女性やスーツを着た男性のシルエットといった図で示されているため、うっかり間違ったトイレに入ってしまうということは少ないと思います。

 ところが今晩、初めて訪ねたレストランのトイレのドアには、こんなふうに男女の別が文字だけで示されていました。

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 さあ、皆さん、いかがでしょう。どちらに入ったらいいのか、お分かりになりますか。

 単に旅行でイタリアを訪ねるという方や、イタリア語を勉強し始めたばかりの方には、入るべきトイレを選ぶのが難しいのではないかと思い、また、今晩は夕食時にワインを飲んでしまって、昨日までの記事の続きを書くのは難しい状態なので、今日はトイレの入り口のお話とします。実際、他国からの旅行者が来るレストランやピザ屋では、皆がイタリア語をしっかり勉強しているわけではないので、男女別が文字だけ、言葉だけで記されたトイレでは、たまに間違って入ってくる外国からの観光客がいて、とまどうことがあります。

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 たとえば、以前よく通っていた湖畔のピザ屋では、男女別に二つのトイレがあったのですが、どういうわけか、男性用トイレ入り口のドアには何も書かれておらず、女性用トイレ入り口のドアにだけ、DONNEと記されていました。donneは、イタリア語で「女性」を表す名詞、donnaの複数形です。ですから、こう書かれた右側は女性用で、何も書かれていない左側が男性用となっていたのですが、イタリア語をまったく知らない外国人観光客は、何も書かれていないドアは業務用で、何か書かれている方が客用のトイレだと思うからでしょうか、女性トイレで手を洗っていたら、時々男性客が入ってきて、慌てたものです。

 トラジメーノ湖畔には、夏には特に、イギリス・ドイツ・ベルギーなどからの観光客が多いのです。あまり頻繁にそういうことが起こったので、店の人に話したら、その後しばらくしてから、トイレの男女別が、絵を見て分かるような表示に変わっていました。

 それはさておき、では、冒頭の図のような表示がされていた場合、皆さんはどちらのドアから入ったらいいのでしょうか。イタリア語は勉強したことがないという方もおいででしょうから、ヒントをさしあげましょう。下の図をご覧になって、さらに考えてみてください。

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 マウスを使って絵を描いたので、顔の線が揺れてしまっています。

 男性の方は左のSIGNORIと書かれたドアから、女性の方は右手のSIGNOREと書かれたドアから入ることになります。単数形は、「男性、紳士」がsignoreで、「女性、婦人」はsignoraなのですが、トイレのドアの表示は複数形で書かれるため、男性用はsignori、女性用はsignoreと書かれているのです。

 「女性、婦人」の複数形と、「男性、紳士」の単数形が、どちらもSIGNOREとそっくり同じつづり・発音であるために、うっかり勘違いしてしまう方がいるかもしれないと思って、今日はこの話をしてみました。

 以上の男女を表すイタリア語の発音を知りたい、勉強したいという方は、次のリンク先にあるラルース伊英辞典のページで、発音を聴いて、練習することができます。

  uomo  donna   signore, signor, signori  signora

 ちなみに、イタリア語のGNのつづりは、舌の中央を盛り上げ、べったりと口蓋(口の上の部分)にくっつけて、鼻から息を出して発音する音です。日本語のニャ行に近い音ではあるのですが、試しに日本語の「ニャ」を発音して、そのときの舌の位置を確認すれば、舌先の一部だけが口蓋に触れていて、GNを発音するときとは、舌の位置と口蓋との接触度がかなり異なることがお分かりかと思います。

 伝統的な標準イタリア語の発音では、GNは母音にはさまれているときには二重子音となるため、bagno 「トイレ」、signoreの発音は、原音に近い片仮名表記を試みると、それぞれバンニョ、スィンニョーレとなります。一方、北イタリアでは、二重子音をすべて短子音で発音する傾向があり、最近はイタリア語が経済的優位にある北伊の発音に影響されつつあるため、近年では、北伊風のバーニョ、スィニョーレという発音も、標準イタリア語の発音として認められるようになってきています。

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Stasera al ristorante ho trovato le porte dei bagni
indicate come disegnato qui sopra.
Con le indicazioni così i turisti stranieri potrebbero
entrare da una porta sbagliata;
il plurale della parola, 'signora' è 'signore, ma temo che
ai signori stranieri la parola, 'signore' sia conosciuta soprattutto
con il significato di 'uomo', 'man, Mr.'...
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関連記事へのリンク
- ドイツ語、トイレでどうしよう&独伊英仏語Dame談義 (10/10/2015)
- イタリアの便座もこれなら座れるか (20/9/2015)
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-10-09 23:44 | Lingua Italiana | Trackback | Comments(2)
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Commented by ayayay0003 at 2015-10-10 08:33
おはようございます^^
エッ^^;、字だけのトイレがあるとは驚きでした!
多分、私、間違えそうです~(笑)
ツアーだと添乗員さんがいるとはいうものの、皆さん急いで行くから、たいていは前の人についていくという感じです(笑)
もし、間違えて入った人が出て来たとしたら、勘違いすること間違いなしです(笑)
今日の説明を見て、スペインでセニョリータと言われたのをちょっと思い出し、なんか似てるなあ・・・と思いました!
私は、どちらも全然わからないのでよけいにそう思うのかもしれないです(笑)
pcの絵、お上手でビックリです。私は書いたことないです(^-^)
Commented by milletti_naoko at 2015-10-10 18:28
アリスさん、文字だけの表示は、トイレのようにどうしても行かなければいけないところでは、困ってしまいますよね。アッシジなど観光地に近いバールでは、観光客がいっせいにトイレに来るので長い列がという光景に、わたしも時々出くわします。時間もないし、皆で行動するのが効率もいいですが、確かに皆が間違えたら大変ですよね。

イタリア語もスペイン語ももともとラテン語から発展・変容してできた言葉なので、別々の土地で長い歳月を経て、語彙や文法が変わっていっいても、互いに似通ったところがいろいろとあるんです。おかげでイタリア語を知っているとスペイン語の勉強は楽ですが、必ずしも同じような語形の言葉が同じような意味とは限らないので注意しておかないといけません。

ありがとうございます。昨晩は時間がないので、マウスを使って描いたのですが、そう言っていただけて、ほっとしました♪
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