カボチャ日本語イタリア語

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 ある日、昼食にカボチャを食べた直後に、日本語で「カボチャ」と言い、夫に「どういう意味か分かる?」と尋ねると、当然ですが首をかしげています。zucca(イタリア語で「カボチャ」)という意味よと教えると、「ああ、そう言えば、発音がcapocciaに似ているし、capocciaもzuccaも頭っていう意味があるよね。」とうれしそうです。

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Dal sito www.treccani.it

 イタリア語で「頭」と言えば、testaという単語をすぐに思い浮かべる方が多いと思いますが、capoとも言います。ごく親しい間柄では、くだけた場で、少しふざけながら、capocciaと言う場合もあります。

 カボチャと発音がよく似たcapocciaは、「頭」という意のcapoから派生した語で、上記のように「頭」を意味するのですが、一方、イタリア語で、野菜の「カボチャ」を表すzuccaという単語も、カボチャの形が頭に似ていることから、やはりくだけた場で、「頭」を意味する用法があります。

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Dal sito www.treccani.it

 イタリア語のzuccaを意味する日本語のカボチャの発音が、zucca同様にくだけた場で「頭」の意で用いられるcapocciaと似ていておもしろい。ひょとして、日本語の「カボチャ」という単語も、イタリア語、いやいやラテン語起源なのではないか、と夫が言い始めるではありませんか。

 そんなことがあるはずないでしょうと答えたものの、念のためにウィキペディアで調べてみると、なんとカボチャも、南北アメリカ大陸原産の野菜だそうで、名の由来にはいろいろな説があるようですが、いずれにせよイタリア語のcapocciaとは何も関係がないようです。意味はまったく違う単語の発音が、異なる言語どうしで、こんなふうに妙に似通っている場合があるのが興味深いです。

 Treccani.itのオンライン伊伊辞典では、zuccaを「頭」の意味で使う用例として、なんとダンテとボッカッチョの作品を引用しています。そこで、わたしが知っている作品かしらと思って調べてみたら、『神曲』、『デカメロン』からの引用ですから、イタリア語の父二人が著した、イタリア文学を代表する古典的傑作に、すでにそういう用法があるわけです。13・14世紀に生きた文人、ダンテ・ペトラルカ・ボッカッチョの三人がイタリア語の父であるということは、イタリア語の歴史やイタリア文学の授業でたびたび学びましたが、今こうやって例文の典拠を確認して、そのことを改めて実感しました。『神曲』、『デカメロン』の、オンライン辞書の用例として引用された箇所を読みたいという方は、記事末にリンクを付しておきますので、ご利用ください。

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"かぼちゃ (kabocia), così si dice zucca in giapponese."
"Si assomiglia a 'capoccia'! Anche la parola zucca significa 'capo, testa'. Allora, quella parola giapponese è derivata dal latino!"
Invece, diversamente da come ha pensato mio marito,
la parola, かぼちゃ non deriva dal latino, ma sì, la pronuncia è simile a quella di capoccia, la parola italiana, 'zucca' vuol dire anche 'testa'; è interessante.
Poi ho scoperto che la parola, 'zucca' è usata con il significato di 'testa' già nella Divina Commedia e nel Decamerone!!
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- イタリア語学習メルマガ第20号「イタリア語の歴史と3人の父、ダンテ・ペトラルカ・ボッカッチョ / Storia della lingua italiana e i suoi tre padri (4/9/2009)
- イタリア語学習メルマガ第18号「ダンテ『神曲』 / Divina Commedia di Dante」(14/8/2009)
- 日焼け、日本語・イタリア語 / Abbronzarsi Giapponese vs. Italiano (26/8/2015)
- 雪の下にはスキーかな / Kanji 雪 che significa ‘neve’ contiene gli SCII! (27/5/2015)
- -iteはいてえよイタリア語 / INFIAMMAZIONE italiano vs. giapponese (17/11/2015)

参照リンク / Riferimenti web
- Treccani.it – Sinonimi e Contrari – ‘capoccia’
- Treccani.it – Vocabolario – ‘zucca’
- 日本語版ウィキペディア - カボチャ
- Dante Online – Commedia – I - xviii
- ClassiciItaliani.it – Boccaccio – Decameron – Giornata quarta. Novella seconda

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-12-18 23:48 | Lingua Italiana | Trackback | Comments(10)
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Commented by kazu at 2015-12-19 10:20 x
なおこさん、こんにちは。言葉の語源や言い方の検証など愉快でした。そういえば以前、zucca pelataという熟語?が出て来て何故testaじゃないのかと頭をひねったことがありましたが、なおこさんの今回の記事で腑におちました。

私は神戸が生まれ故郷なんですが、祖母はかぼちゃではなく、なんきんと言っていました。かぼちゃはカンボジアから入ってきたから、かぼちゃ、なんきんは中国の南京からやってきたからなんきん、というそうなんですが、華僑が多い神戸の町はそう呼ぶのかなとその昔納得したことがありました。日本でも地域によってこの野菜の呼び方は変わるのでしょうね。言葉ってほんとに面白いです。
Commented by Masami at 2015-12-19 17:09 x
なおこさん、こんにちは♪
カボチャとCapoccia、関係がありそうで無いのですね~!
ちょっと思い出せませんが、イタリア語と日本語の単語には音が似ていて意味も同じというようなモノがあったように記憶していますが、こちらは何の関係も無いとはやはり興味深いですね!

ダンテやボッカッチョの作品・・・いつか娘が学校で読むときに私も一緒にチャレンジしてみようかな?(笑)時間が無いを言い訳に、最近イタリア語の読書も怠っている私。なおこさんのブログにはいつも刺激をもらえて感謝です♪
Commented by ayayay0003 at 2015-12-19 18:15
なおこさん、こんばんは^^
今日は、なおこさんのイラストが可愛いので見入っちゃいました!
そしてカボチャ、と頭、ほんとによく似ていますよね(^^♪
そう言う風に思うと言葉は楽しくて面白いです。
イタリア語と日本語、大変違いはありますが、何かひとつそう言う風に似たところを探すと勉強していての興味がわくしいいと思います(^^♪
Commented by patata_lemondrop at 2015-12-20 03:12
なおこさん、こんばんは!
読みながら、あれ?カボチャはアメリカ原産ものだからラテン語では無いのでは?!と思いながら読みました。やはりそうですよね。

日本語のかぼちゃの名前の由来、以前聞いたような気がするな。。。と思いながら、今調べてみたのですが、ポルトガルが「カンボジアの産物だ」として、日本に伝えたことから、カンボジアを意味するポルトガル語が由来だとする説を見つけました、そうです、これです、私聞いたことがあります。
なぜカンボジアの産物なのでしょう・・・??ですね^^;
こちらにリンクを貼りますね。http://gogen-allguide.com/ka/kabocha.html
Commented by Mehreenkhan at 2015-12-20 13:25
naokoさん こんにちは。
かわいい絵からスタート♪こういう風に絵で見ると全く違う意味を持つものでも音とのつながりで覚えれちゃいますね。確かにかぼちゃと頭似ています^^
ちなみに私も「なんきん」と呼んでいました。

世界には日本語と似たような言葉がたくさんありますね。言葉も似たものを探せば意外と面白く学ぶことができるかもです。

ちなみに日本語の「あっらまー!!」とおばちゃんなどが驚くときに使っちゃう言葉。実はマレーシアでも同じく「アッラマー!!」と言い同じような場面の時に使います(笑)最初聞いた時には日本のコントか何かをYou-Tubeで見て面白可笑しく真似をしているのかと思っていましたが、違いました(笑)
Commented by milletti_naoko at 2015-12-20 18:54
かずさん、こんにちは。あら、そんな言い方があったんですね。知りませんでした!

日本でも地方によって、呼び方が変わるのは、本当におもしろいですね。どこを経由して入ってきたかで名前が変わるんですね。以前ご紹介した、本来ラテン語の同じ語を起源とした言葉であっても、江戸時代にオランダを通じて入ったものはゴム、その後アメリカを通して入ったものはガムと、経由した国の言葉が日本での外来語に反映しているのと相通じるものがある気がします。
Commented by milletti_naoko at 2015-12-20 19:05
まさみさん、こんにちは♪ 雨とa me、手とte、目とmeなど、さっと音が似ているなと思いつく語はありますが、カボチャとcapocciaの発音が似ているとは思いもしなかったので、夫の耳にそう聞こえたと知って驚きました。確かに、bとpは音が近いし、ciaと日本語のチャの音も似ているし、二重子音が短子音になってはいても、確かに発音が酷似していますよね。

まさみさん、現代イタリア語は、14世紀のダンテやボッカッチョなどの文学作品を基盤としているので、現代日本語と文語の違いに比べると、ダンテたちの頃のイタリア語の書き言葉(まあ当時はそうは呼びませんでしたが)と現代イタリア語はそれほどかけ離れておらず、結構分かりやすいんですよ。お嬢さんの教科書であれば、きっと語注や解説、分かりやすい絵や図もあることでしょう。機会があれば、ぜひ♪
Commented by milletti_naoko at 2015-12-20 19:16
アリスさん、こんにちは♪ 線がぶれないようにと注意しながらマウスを動かして描いた絵なので、そんなふうにほめていただけて、うれしいです♪ 

言われてみれば、カボチャと頭は、大きさも重さも似通っていますよね。夫の耳と一言のおかげで、わたしも楽しかったし、その発見のおもしろさに、アリスさんも共感してくださったと知って、うれしいです♪
Commented by milletti_naoko at 2015-12-20 19:19
Patataさん、こんにちは! 日本でも食材として日常生活に浸透しているカボチャがアメリカ原産と、わたしは今回初めて知って驚いたのですが、考えるとグローバル化が叫ばれる以前から、いろんな食材や植物は世界の各地に運ばれ、新たに取り込まれているんですよね。呼び方もまた、どこを経由して入ってきたのかなどを反映しているようで、おもしろいです。
Commented by milletti_naoko at 2015-12-20 19:22
めひりんさん、言葉は、その言語を用いる文化で、物をどんなふうに見るか、とらえるかを反映していて、おもしろいですよね。カボチャと頭! 絵を楽しめていただけてうれしいです。めひりんさんも、なんきんと呼ばれていたんですね。

マレーシアでも驚いたときに、「アッラマー!!」と同じように同じ場面で言うんですね。言葉って本当におもしろいですね。「あ」の音は、驚いたときに口から自然に出てきやすいのでしょうが、それにしてもそっくり同じなんて!
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