恐れるな未知は楽しい冒険だ、ディーパク・チョープラ瞑想講座イタリア語版2日目

 車でイタリア国内や南仏の山を旅行するとき、夫や友人フランコは、最初から宿や行程を決めてしまってはつまらないと言うことがあります。旅行に限らず、わたしが日本人であることや性格もあるのでしょうが、わたし自身は、きちんと決めて準備をしてから出かけたいのに、夫たちがさっと大筋だけ決めてとりあえず出かけてしまおうと言うので、とまどうことがよくあります。

 その方が、自分がよさそうだな、いいなと感じた場所に、それが町であれ宿であれ、滞在できるからいいではないかと言うのです。そのために、結局宿が遅くまで決まらずに、予定より1日早く、深夜にペルージャに戻ったり、よさそうだと思って泊まってみたら、とんでもない宿だったりしたこともあります。けれども、確かに、本やインターネットの情報では思いもかけなかったようなすてきな場所の、すばらしい宿に、お得な料金で泊まれて、それはいい思い出になったということもあります。

 ディーパクの瞑想講座を聞いていると、時々、「夫やフランコが正しいんだよ」と言われているように感じることがあります。人事を尽くして天命を待つと言いますが、ディーパクも瞑想講座で、似たような話をすることがよくあります。結果にとらわれすぎてはいけないのであって、自分にできるだけのことをしたら、後は成果に縛られず、とらわれず、距離を置き、天に任せてみることが大切なのだ、と。

 幸い今晩は、聞き逃してしまったと思っていた2日目分を聴くことができました。ディーパクは言います。未知のことを人が恐れるのは、頭・知性というものが生き延びるために、過去のデータを分析し、将来どうなるかを考えて不安になるからであり、確かに生き延びることは大切だけれども、恐れは、そうやって、過去や将来のことばかり考えて、今現在、今このときを十二分に生きていないことから生じるのだ、と。そうではなくて、未知、自分たちが予期していないことというのは、楽しい冒険だととらえた方がいいのだ、と。と言うのも、

  「わたしはこれがほしい。わたしとはこういう人間だ。
  わたしは、こういうときには、こうすればいいと知っている。
  わたしは、世の中では、こうこうこういうものだと知っている。」

というふうに、もし自分が望むことや自分の世の中の知識などについて、すべて知っているつもりになっていたら、それで自己完結してしまって、せっかく人生や日々を楽しく、驚くべき方向に変えていくいいインスピレーションがすぐ自分の戸口まで来ていても、インスピレーションに対して扉を閉ざし、はじいてしまうことになるのだ、と考えられるからだと話は続きます。

 相変わらず咳で夜眠れなず、寝不足であるために、上滑りに聞いたり、自分なりに解釈したりしすぎてしまっているところがあるかもしれません。1・2日目のいずれも、聴くのが夜遅くなって、瞑想時間は眠いためもあって取れず、ディーパクやプージャ・クリスティーナの教えだけ聴きました。

 閑話休題。最近のディーパクの英語の瞑想講座などで、「本当は自分はどういう人間で、何がしたいのか、そのためにはどうするのが一番いいのだろう」ということが、実はわたし自身がしっかり把握できていないことに気づいたわたしは、この2日目の瞑想講座の教えに、何だか励まされました。「わたしは宇宙からのインスピレーションが受けられるように、自らを開いて態勢を整えます」と、繰り返し念じるようにディーパクは言いますが、逆に言うとそれは、心が揺らいだり、確信が持てないということは、必ずしもマイナスではなく、外からの、天からのインスピレーションや運命の呼びかけに対して、謙虚で柔軟な姿勢が取りやすいということでもあるはずだからです。


 幸せになるための第一歩はsentirsi ispiratiだと、ディーパクとプージャが言います。イタリア語でispiratoと言うのは、単にインスピレーションを得るというより、わたしが思い描くのは、だれかが何かをきっかけに、はずむようなわくわくする気持ちで、何かをしてみたいなと思っている、そういう状況です。何かと言うのは、この人みたいになりたいと思わず感じさせるような師や先輩、人との出会いかもしれないし、ひらめきや天の啓示かもしれません。motivatoに比べて、単に何かをしようという動機づけになるだけではなく、その人の心や魂自体が、目標達成に向かって動き始めている、そういうイメージがあります。inspirare「息を吸う」も、ispirarsi「インスピレーションを得る、着想を得る、感興がわく」のも、どちらも、spirito「精神、霊」を、自分の中に(in)取り込むことなのだという説明も興味深かったです。

 これはこうなんだ、自分の考えはこうだと、自分が自分の考え・感情・偏見などでいっぱいになっていては、外部に、それが人の話であれ教えであれ、美しい風景であれ、何か自分をいい方向に導いてくれるものがあっても、それが入る余地、それを取り込む余地がない。これは、今回のフランス旅行中に、どこかで読んだり聞いたりしたことのように思うのですが、今晩聞いた瞑想講座の教えにはそれに通じるものがあって、予定でも自分の意見や考えでも、ゆるやかに柔軟性を持たせておいて初めて、未知の新しいことがらに出会えたり、学べたりするのだとも解釈できると思います。

 まだ軸が定まっていない自分の仕事やこれからに関して、「焦らなくてもいいよ」とにっこりほほえんでもらい、そうして、何でもかんでも予定をすべて立ててしまうのではなく、新たな未知の思いがけないできごとが入る余地を残しておくのも、楽しい冒険だよと、さとされたような、そんな気がしました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-07-03 23:59 | Vivere | Trackback | Comments(6)
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Commented by ayayay0003 at 2016-07-04 12:35
人事を尽くして天命を待つという言いまわしは、私の偏見かもしれませんが、受験の時によく使われますよね!
でも、その言葉は、受験にだけ当てはまらないんだ!ということに気がつきました!あらゆる場面で、使っていいんだ!と。。
日本人は、やはり、決められた行程で宿など確保した上で楽しむという習性があるように思います。
でも、なおこさんの旦那様が仰るようにその時の気分で決めるということも旅の楽しさのようにも感じられますね。
私は、新婚旅行の時、当時のベルリンで宿を決めずに出掛けたという経験がありますから(笑)
今のように簡単にネット予約出来る時代でなかったという事情もありでしたが、なかなかスリリングな旅でした(^^♪
いろいいろなことが勉強になりありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2016-07-04 18:51
アリスさん、そうそう、旅行の宿はやっぱりあらかじめ決めておいた方が安心ですよね。数年前にプロヴァンスを訪ねたとき、どの宿を訪ねても満室と言われて、ようやく宿が見つかったのは午後9時過ぎだったという経験があるので、外国でしかも公共の交通機関を使って移動した今回のフランス旅行では、夫もさすがにあらかじめ宿を決めなければと焦り、二人で事前の宿探しをしました。ただ、山では確かに、実際に行ってみないとどういう場所か分からないことがあり、そう言えばあの、わたしは大好きなカンポ・インペラトーレのまっただ中にあるホテルに宿泊できたのも、夫の30年前の地図に書かれたホテルの案内を頼りに、緑がどこまでも続き、時々馬たちにだけ出会う高原を、長い間車で進んでいて、何だか奇跡のように午後7時半頃にホテルが目前に現れ、しかも宿泊ができて夕食も食べられると分かったからでした。

新婚旅行の先の外国で宿を決めずに出かけられたなんて! その頃の思い出も、それだけに心に残るものがきっとおありでしょうね。わたしは今もそういう意味ではスリリングな旅を時々経験しています。こちらこそ、うれしいコメントをありがとうございます♪
Commented by miwa at 2016-07-04 22:35 x
第六感を頼りに探し当てた宿やレストランで想像以上に良いとより達成感を得られますよね。全く知らない土地を旅する時はある程度のリサーチはした方がいいとは思うものの、それが行き過ぎると旅の醍醐味が無くなるような気がします。未だにスマートフォンを持たない私達夫婦なので、家を離れると何の情報も入ってこないのがかえって心地よく感じています。この度滞在したホテルはテレビ無しの環境だったため、約一週間本当に五感の洗濯ができました。主人が熱心に本を読んでいる時間、私は頭を空っぽにして色んな想像にふけっていました。今日のなおこさんのありがたい解説であらためて、いい出会いがあるよう素直で柔軟な自分でいたいなあと思いました。なおこさん、暑い時期が続きますがどうか今患われている症状が少しでも回復に向かいご主人やご家族と楽しい夏を過ごされますようにと願ってます。
Commented by milletti_naoko at 2016-07-04 23:11
みわさん、そうそう、宿の部屋のテレビは、天気予報やニュースを仕入れるには便利ですが、確かにせっかくの休暇・休息に世の喧騒や混沌を持ち込むというところもありますよね。五感の洗濯、時々便利な機器からあえて遠ざかって、自然や人とゆっくりじっくりたっぷり向き合うことの大切さをつくづく感じています。すてきな休暇を過ごされたんですね♪ ふだんはテレビやWiFiは気にしないで宿を決めるわたしたちなのですが、今回は落ち合う友人たちと相談したりしながら前後の宿をその場で決めていく必要があったため、WiFiが部屋にある宿を選んだら、結果的にどの部屋にもテレビがついていました。夜にはフランスの地方の昔からの慣習や自然が残る地域を紹介するすてきな番組がフランス語でフランス字幕つきであったり、フランスの天気予報やEuro2016騒動などのニュースが分かったりして助かる反面、二人のうち一方は休みたいのに、一方がテレビをつけてという状況もありました。ありがとうございます。みわさんも、どうかお元気でお過ごしくださいね。うれしいことの多い、すてきな夏でありますように。
Commented by London Caller at 2016-07-05 05:58 x
>日本人であることや性格もあるのでしょうが、わたし自身は、きちんと決めて準備

イタリア人の性格、やっぱりなんでも大丈夫でしょうね。
ドイツ人なら、正反対ですよね。
ドイツ人と日本人、いいカップルになりますね。^^;
Commented by milletti_naoko at 2016-07-05 19:05
London Callerさん、国民性や人それぞれの個性があるから、世の中は楽しいし、皆でいっしょに行動すると、自分だけではまず出会わないような冒険に出会えるんでしょうね。


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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