仏映画、『愛しき人生のつくりかた』 / Film, “Les Souvenirs”

 お互いを大切に思っていても、心がすれ違ってしまうことがあり、相手を思ってのつもりが、実は結局は自分のためだけに動いて、大切な人を傷つけてしまうこともある。けれども、愛情はきっと伝わって、心を通わせ、絆を深め、人生をより愛おしく美しいものにしてくれるはずだ。昨晩見た映画は、感動とそういう声援・教えを贈ってくれる、悲しくもほほえましく、美しい、すてきな映画でした。


 邦題は『愛しき人生のつくりかた』、フランス語の原題およびイタリアでの題名は、『Les Souvenirs』です。


 フランス語では、動詞se souvenirが「覚えている、思い出す」を意味し、名詞souvenirは「思い出、みやげ、記憶」などを意味するのですが、イタリア語に入った外来語としてのsouvenirは、「みやげ」の意味でのみ使われます。そうして、フランス語では複数形は語尾に-sがついて、映画の題名にあるようにsouvenirsとなるのですが、イタリア語では基本的に、外来語の名詞は無変化なので、みやげとしてのsouvenirは、いくつあってもsouvenirで、複数形も単数形と形が変わりません。原語では複数形があるのに、外来語としては単複同形という現象は、そもそも原則的に名詞に複数形というものが存在しない日本語でもしばしば起こる現象で、たとえば、イタリア語ではピザが一枚ならpizza、2枚ならpizze、パニーノも、一つならpaninoでも、二つ以上であれば複数形のpaniniになるのですが、日本語では、ピザもパニーノも、いくつあろうとピザ(ピッツァ)、パニーノと言いますよね。

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Étretat, Normandie, France 18/6/2016

 それはさておき、イタリア語のsouvenirの用法から、夫は、「題名は、おみやげという意味じゃないかな。映画の中にも、いくつか贈り物やおみやげが出てくるし。」と言っていて、確かにそういう意味も兼ねてあるかもしれませんが、英語の題名がMemoriesでもあり、かつ、この映画の中で、物語の展開や登場人物たちの喜び・悲しみに関わる重要な役割を果たすのは、「思い出、回想」なので、題名は、「思い出」という意味ではないかと、わたしは考えています。ノルマンディーのエトルタが映画に登場するのも、大切な思い出の町だからです。


 国によって、感動する場面や笑うつぼが違うからか、同じ予告編でも、日本とイタリア、そうしてフランスで、切り取っている場面がそれぞれに異なっているのも興味深いです。

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 すてきな映画ですので、皆さんも機会があれば、ぜひご覧ください。今アマゾンで調べてみて、映画の原作となったフランス語の原書も、アマゾンイタリアで購入できることが分かったので、すぐにも購入しようと思ったのですが、わたしがジュール・ヴェルヌ作品をそろえているこちらの出版社の本は、今1冊買えば2冊目が無料というキャンペーンがアマゾンフランスで開催中なのを知りました。やはりエトルタにゆかりのあるアルセーヌ・ルパンも、フランス語で読んでみたいと思っていたところでもありますし、そういう複数の本をアマゾンフランスで注文して、本代にイタリアへの送料を加えた料金と、アマゾンイタリアで送料がかからぬようにふつうに注文した料金のどちらが安いかを、ほしい本を検討して、よく考えてから注文しようと考えています。ちなみにイタリアへの発送は、一番安いRapide(2~4日)で、発送1件につき6.3ユーロ、かつ1kgあたり0.8ユーロ加算されるとのことです。(詳しくはこちら

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 日本で英語を勉強していた頃は、原作の小説を読んでから映画を見る、あるいは映画を見てから、原作の本、ないしは映画のために書き下ろした本、日本語訳つきの脚本を読むということを、よくしました。今回もその手で行こうかと思ったら、イタリア語音声やフランス語字幕つきのDVDの販売はなく、イタリアでもフランス語でも、字幕のないフランス語音声のDVDのみがあるようです。そこで、まずは原作の本を読んでみて、もう一度映画を見て、フランス語の勉強に役立てたいと思ったら、日本からDVDを取り寄せて、パソコンで見るつもりでいます。

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Film francese, "Les Souvenirs"

- E' un film toccante e molto carino.L'abbiamo visto ieri al Frontone.
Nel film compaiono anche bellissimi paesaggi di Étretat.
Nell'articolo potete trovare i trailer del film in giapponese
(sottotitolo JP, audio FR), in italiano e in francese. E' interessante
notare che questi tre trailer scelgono le scene un po' diverse tra di loro.
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関連記事記事 / Link all’articolo correlato
- エトルタの白い断崖青い海、ノルマンディー / Étretat e le sue Scogliere (12/7/2016)

参照リンク / Riferimenti web
- 映画「愛しき人生のつくりかた」公式サイト
- Amazon.co.jp - 愛しき人生のつくりかた [DVD]
- Amazon.it – Libro, “Les Souvenirs” (Francese, Copertina flessibile)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-07-13 18:55 | Francia & francese | Trackback | Comments(4)
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Commented by accaesse at 2016-07-14 09:16 x
見ました!!!
いい映画でしたね!
私も最初「お土産」と思っていたのですが、英題と、フランス語で「思い出」と言う意味を持つという解説を読んで理解しました。

日、伊、仏の予告編の違いが面白いですね
孫息子と、友人やホテルオーナーとのやりとりが結構好きだったので、イタリア編が一番自分の感性に合っている気がします。
祖母を演じた女優さんが素晴らしかったです。
あんなふうに年齢を重ねていけたらいいな、と憧れました。
Commented by ayayay0003 at 2016-07-14 12:27
なおこさん、早速の映画の紹介ありがとうございます(^^♪
日本語の字幕がついてるので、私向けでありました(笑)
凄く、素晴らしい映画のようで、是非見たいと思いました!
おそらくこれからレンタルがあると思うので探してみますね☆

なおこさんと、旦那様でも、ひとつの単語に対する解釈が違うように、翻訳するとどうしてもその方の感情が入ってしまうので、本当は、原語で映画を見たり、本なら原語で読んで、わからないなりに自分で想像した方がいいのだろうなあ~といつも思います♪
たま~に海外旅行中にたまたまつけたTVでおもしろそうな映画を放送してる時に原語で見ることがありますが、結講楽しんで見てる自分がいたりします(^-^)
なおこさんは、映画を見てから、原語で原作を読むという楽しみが増えたようでよかったですね♪
Commented by milletti_naoko at 2016-07-14 15:51
accaesseさんもご覧になったんですね!!! いい映画ですよね。なるほど、日本語での解説に、ここでは「思い出」という意味だとあったんですね。邦題も、映画の内容を上手に表現していて、いい題ですよね。

わたしも、ここまで各言語で予告編が違う映画は、めったにないのでびっくりしました! 予告編を作った会社、人が、それぞれにこれはおもしろい、これなら多くの人が興味を持ちそうだという場面を、原語のフランス語版の予告編にとらわれずに、自由に考えたからなのでしょうね。ホテルオーナーや友人とのやりとりも、いいですよね。本当に、あんなふうに皆に愛されるすてきな老婦人になれたら、すてきですね。

そうそう、今イタリアでは、昼にドン・マッテーオの再放送があります。今ちょうど『Don Matteo 8』の放映中で、昼食中の義父母にあいさつに行くと、二人が見ています。CapitanoとPatriziaの恋物語がようやくまとまりつつある場面を昨日たまたま見かけました。
Commented by milletti_naoko at 2016-07-14 16:01
アリスさん、フランス語は聴き取りが難しいので、わたしも日本語版は字幕があって助かりました。そうそう、レンタルという手もありますよね♪

翻訳は、たとえば一人称単数主語を表す英語の「I」、イタリア語の「Io」一つとっても、日本語では「わたし」、「わたくし」、「ぼく」、「おれ」など、さまざまな一人称の中から、翻訳者や字幕を制作する人が、これだと思う言葉を選ぶので、その選択で、見る人の受け取り方がずいぶん違ってきますよね。実は昔むかし、映画の『ボディーガード』を見たときには、英語では主人公たち二人の関係がこれからも続いていくことが示唆されていたのに、日本語の字幕ではそういう微妙なところが訳されていなかったということを、いっしょに見た友人の英語の先生の指摘で気づいて、その頃から、特に英語の映画をできるだけ原語で理解したいと考えるようになったのではないかと思います。

映画は視覚が理解を助けるので、本と並行して見ると、書き言葉である本と話し言葉を主体とする映画の、どちらも理解と学習を助けてくれて、とてもいい学習教材でもあります。フランス語学習にとどまらず、映画がよかったので、いったい原作はどんな作品かなと気になっているところです♪
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