滞在許可証イタリア法外な発行料撤廃その後、EU市民家族用滞在証&ローマからパリに飛んでも入国審査

 イタリアが滞在許可証発行料と称して、外国人移民に課している80・100・200ユーロは高すぎて不当であると、昨年9月に欧州連合司法裁判所が判断を下し、それを受けて、今年5月には、ラッツィオ州行政裁判所が、2011年の省令で定められたこの発行料金を撤廃するという判決を下したことは、5月の記事でもお知らせしました。その際に、今後は手数料として、収入印紙(marca da bollo)用に16ユーロ、電子情報カード作成に30.46ユーロ、さらに、イタリア郵便局への手数料、30ユーロの合計76.46ユーロを支払えば、申請が受けられるようになったこともお知らせしました。

 残念なのは、料金が値上がりするときには、すぐに新料金での徴収を始めるくせに、値下がりとなると、そのためか行政のただでさえ重い腰がなかなか上がらず、「80~200ユーロの発行料は不要で、手数料は合計でも76.46ユーロで済む」という連絡が、申請キットを受領する郵便局や、実際に滞在許可証を発行する警察署に行きわたらず、結果として、いまだにイタリア各地で、必要と言われて、申請のために不当とされて不要のはずの発行料を、移民が払わざるを得ない状況が続いていることです。その後、さらに、移民が過剰に支払った発行料は返還されることになったというニュースがあったときに、あえて記事にしなかったのも、実際にそうした措置が取られるまでにかかる歳月を思ってのことです。

 判決を無視して、警察署が移民に発行料の支払いを強要し続けたため、移民の苦情を聞いた保護協会や市町村からの問い合わせが相次ぎ、判決から約2か月が過ぎて、


ようやく内務省から、「5月24日の判決を受けて、滞在許可証の発行・更新の申請に際して警察署が利用する情報システムを更新したので、関係各機関が、発行料の振り込みの確認なしに、発行・更新に取りかかれるようになった。」という通達があったとのことです。(詳しくは、上記リンク先の記事参照)ただし、そうやって書いて知らせるでけでは不十分なのであって、上記記事に記者が記しているように、もう80・100・200ユーロの発行料は不要で、計76.46ユーロの手数料のみでいいのだということを、警察を通じて、移民や郵便局に知らせるべく努め、さらに、不当に受け取った発行料を移民に返還するべきでしょう。

 とにもかくにも、亀の歩みではありますが、不当と判決が下され、支払うべきと定めた法がとうに取り消された過剰な発行料を、ようやく移民が支払わずにすむ日が、近づいています。

 ちなみに、EU市民の家族用の滞在証(Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE)の発行については、EU法に基づいてできた別の法で定められていて、発行料は無料、ただし身分証明書発行と同程度の手数料は請求できるものとするとなっています。また、家族用滞在証は、郵便局を通さずとも、発行を担当する警察署(Questura)で直接申請することができることになっています。

 ただ、2007年にこう法律が変わってからも、郵便局や警察などで、相変わらず勘違いをして、申請手続きが簡素なEU市民家族用滞在証ではなく、非EU圏出身の家族と共に暮らすための家族用滞在許可証(Permesso di soggiorno per motivi familiari)の申請や、EU市民の家族ではない外国人用の無期限のEU滞在許可証(Permesso di soggiorno UE per soggiornanti di lungo periodo / Carta di soggiorno per cittadini stranieri)の申請に必要な多くの書類や手数料を要求される場合が、いまだに時々あるようですので、皆さん、くれぐれもご注意ください。配偶者がイタリア人であるのに、申請時に収入証明や貯金の残高を示す書類を提出するように言われた場合には、担当官が勘違いをしている可能性が大いにあります。この件についても、関連記事へのリンクを記事末に載せてあります。

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Aéroport de Paris-Charles de Gaulle 11/6/2016

 また、欧州各国に留学していて、まだ申請中で滞在許可証の実物を受け取っていない方には、「シェンゲン協定国間の移動であれば、入国審査はないだろう」と軽く考えて、ヨーロッパの他国への旅行を検討することのないようにおすすめします。(下記リンク参照)テロ事件を受けて、各国とも警備が厳しくなり、わたしたちが今年6月半ばにローマからパリに飛行機で到着した際にも、本来はないはずの入国審査が、わたしに対しても、イタリア人の夫に対してもあったからです。この件に関しても、詳しくは下記リンク先の記事をご覧ください。

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Sorpresa all'Aeroporto di Parigi Charles de Gaulle 11/6/2016

- Siamo arrivati da Roma, da un altro Paese Schengen,
eppure ci attendevano i controlli passaporti e poi...
フランスのどこに行きますか?
Al controllo passaporto, il poliziotto mi ha chiesto in GIAPPONESE
quali città francesi io pensassi di visitare!!!
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参照リンク / Riferimento web
- Stranieriinitalia.it - Tassa sul permesso, le Questure si adeguano: "Non si paga più" (21/7/2016)

関連記事へのリンク
- 撤廃! 80~200ユーロのイタリア滞在許可証発行料
- EU市民家族用滞在証 / Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE
- 紙の滞在証でも入国の権利あり
- フィンランド国境警備からの返事、紙でも大丈夫
- EU国滞在許可証申請中の帰国、入国・搭乗拒否のおそれあり~欧州留学・移住とシェンゲン協定1
- EU国滞在許可証申請中の帰国、入国・搭乗拒否のおそれあり~欧州留学・移住とシェンゲン協定2

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-07-22 22:12 | Sistemi & procedure | Trackback | Comments(6)
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Commented by ayayay0003 at 2016-07-23 07:11
なおこさん、日本であれば、そうした法律が改正になれば、直ぐに施行されて、間違うということはめったにはないと思うのですが、イタリアという国のみならず、海外へ出ると日本の常識が通じないところが多いということを肝に銘じてないといけないということをひしひしとなおこさんの記事から感じる今日この頃です!
そして、ヨ―ロッパ内の移動であればEU市民は、ジェンゲン協定により入国審査が・・・でしたが、そうですか?テロ対策でそれも今は違うのですね!
そう言われてみれば、最近は、EU諸国でパスポートに印を押してくれないところが多かったのに、最近は押してくれるところが多いし、先日ドイツの空港で久しぶりに、入国の時、日本人が質問されていました!滞在日数とか簡単なことですが!私の番の時は、残念ながら質問なしでしたが(笑)
そういうことも、テロとは無関係ではないような気もしました!
ためになる記事をありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2016-07-23 07:28
アリスさん、法律ができてから数年経っても、いまだにきちんと適用されないために、申請時に不必要な書類を要求される場合があるということは、新聞記事にもありましたし、わたし自身がイタリア在住の日本の方のブログ記事を読んで、これは担当係りが勘違いをしていると気づき、連絡をする場合も少なくないのです。警察だから役所だからと、うっかり相手を信用できず、信用したらしたで、関係機関や担当官によって言うことが違ったりもするので、困ったものです。

EU諸国でのパスポートへの印は、シェンゲン協定国外から/への移動であれば、確か法律上は不可欠で、ないと困ったことになる可能性もあったような気がするのですが、旅行者であれば、これまではなあなあの部分があったのかもしれません。アリスさん、質問の答えも準備されていたでしょうに、それは残念でしたね。

こちらこそ、長い記事を読んでくださってありがとうございます。警備については、実際には、フランスでもベルギーでも、テロの主犯は国外からではなく国内で生まれ育っていて、国内にいる場合が多く、また、フランスは、車でイタリアなどから来る観光客に対しての国境警備がなく、イタリアと違って、宿泊施設でパスポートなどの身分証明書の提示を求められる場合がとても少ないので、空港での入国審査強化だけではいけないのではないかと感じています。
Commented by とすかーな at 2016-07-24 00:20 x
なおこさん、こんにちは!なおこさんの法律関係・手続関係の記事はいつも本当に役に立っています。どうもありがとうございます。ものによっては、EU法とイタリアの法律と両方チェックして、主張する必要があったりするので、いつもリンクが助かっています。

書かれているとおり、本当にビックリするくらい変更事項がいきわたってないですよね(笑)町によって必要書類が増えたり。
そろそろイタリアも当たりはずれのような対応がなくなるといいのですが、きっとこの国はあと20年後もあまり変わらないような気が。。。
Commented by milletti_naoko at 2016-07-24 05:59
とすかーなさん、こんばんは! わたしの方こそ、お役に立てていると知ってうれしいです。ありがとうございます♪ イタリアだけだと法がしばしば変わったり施行が遅くなったり、不当な法律が放置されたりしかねないのですが、こういう点では、EUがはっぱをかけてくれるのは、ありがたいですね。

もうずいぶん前の話ですが、laRepubbica紙が時々、移民に必要な情報を満載したMetropoliという付属新聞のようなものを発行して、店頭でも販売し、ペルージャやシエナの外国人大学などでは無償で提供していた時期があるんです。その頃の記事に、いかに法律の解釈が各地で一致せず、法の変更が行きわたらずに、享受できるべき権利を移民が享受できずにいるかも、しばしば詳しく書かれていました。いつかブログかメルマガのネタにしようと思ったまま、古いこの新聞がかなりタンスの奥で眠っているので、わたしも気合を入れて片づけをしなければ!

ナポリ出身でトリノの大学で教えている先生から、同じ大学でもナポリと違ってトリノでは、頼んだことや決めたことがすぐに、しかもきちんと実施されるので感動したと、ずいぶん前ですが、聞いたのを覚えています。イタリア語は、テレビ放送と共に、兵役によってイタリア全土からあちこちへの移動・交流があったおかげもあって、イタリア全国に広まったと言いますが、北イタリアの仕事ぶり(もちろん南や中部でもちゃんと仕事をする熱心な人は多いのですが)、どうかそういうよい習慣がイタリア全国に広がってほしいものです。なのに実際は南の悪い慣習が全国に広がりつつあると、北部出身のジャーナリストが書いた本を、数年前に読んだところではありますが。
Commented by London Caller at 2016-07-24 06:23 x
今年のヨーロッパ、たいへんですね!
ニースのテロ事件、
そしてドイツの電車事件、
今はミュンヘン銃撃事件!!
難民の問題はまだ解決されていないので、
EUはうまく行かないでしょう。^^;
Commented by milletti_naoko at 2016-07-25 07:11
London Callerさん、難民の問題は、自分や子供の命を守るために生命を賭して移動しなければいけない難民の方たちにとっては命に関わる大切な問題ですが、欧州諸国にとっては、そもそもかつては帝国の植民地支配、今は、利益だけを求めて地元の人々の暮らしや命を損なう多国籍企業の搾取や環境汚染や政争への加担、人道的支援という名の多数の市民の命を奪う爆撃など、自分たちが自分で首をしめているのに、それを移民のせいにしているような、そんな気がわたしはしています。
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