映画『沈黙-サイレンス-』イタリア公開、日本上映は21日

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 遠藤周作の小説、『沈黙』を映画化した『沈黙-サイレンス-』が、イタリアでは日本より一足先に、昨日、1月12日に公開されたのを、今夜映画館に見に行きました。遠藤周作は好きな作家で、20歳の頃にいろいろな作品を読み、小説、『沈黙』に感動したのを覚えてはいますが、もう30年近くも昔のことです。興味はありつつも、内容が重いこと、そのため、ただでさえ空がどんより重く、雨が降り北風が吹きすさぶ日に見に行くのはどうかと思う上に、原作が日本の小説とは言え、アメリカが制作する映画で描かれる日本の映像や歴史解釈には疑問があり、2週間ほど前に予告編を見たものの、自分から行こうというつもりはありませんでした。

 それが、「今日は天気がひどく悪いから、駐車場があるシネマコンプレックスで上映される映画を見に行こう、『沈黙』はどう?」と夫に誘われ、最初は断ったのですが、日本での評価をインターネットで調べると、評価が高い上に、すでに大切な賞も日本から受けているようです。そこで、映画への興味もあり、また、日本語や日本文化を教える立場として、早いうちに見ておいた方がよかろうと、見に行くことに決めました。

 小説をご存じの方ならお分かりと思いますが、人生や宗教の究極の問いを突きつける上に、残酷な場面も多い作品です。夫は作品そのものの主題よりも、主人公たち、ポルトガル宣教師に見える西洋至上主義などに嫌悪感を抱き、あまりよい印象を持たなかったようですが、わたしは見てよかった、胸や見る目・心に重いものはあるけれども、いい映画だと思いました。ただ、どうして当時の日本政府がカトリック教徒を迫害し始めたかなど、日本人読者を対象とした小説では必要のなかった説明が、日本の当時の歴史について知識がほぼ皆無であるイタリアの観客を対象とする映画の場合には、冒頭に数行の文字の説明でもいいから、あればよかったのではないかという気も、わたしはしました。

 英語音声日本語字幕付きの日本向けの予告編、イタリア語音声のイタリア語版の予告編を以下にご紹介します。舞台設定が日本で、登場人物の大半が日本人ですから、日本語の音声もところどころにあり、その中には、イタリア語版では字幕のないセリフがいくつかありました。





 迫害は、イタリアおよびヨーロッパでは、古代ローマ時代に、ローマ帝国がキリスト教徒に対する残酷な迫害を続け、中世以降はカトリック教会が異端派とみなす宗派や、魔女と呼んだ無実の女性たちなどに恐ろしい迫害を行っているため、過去の日本でのカトリック教徒への迫害を知って、だから日本は野蛮だとみなすイタリア人は、よほど無知な人でなければいないはずです。

 詳しい感想は、まだ小説を読んだことのない方もいるかもしれませんので、映画の内容が分からないように、ここでは伏せておきます。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2017-01-13 23:59 | Feste & eventi | Trackback | Comments(2)
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Commented by ayayay0003 at 2017-01-14 11:58
なおこさん、遠藤周作さんの作品は、いくつか読んだことはありますが、こちらはありませんでした!
おそらく当時の若かりし私は、宗教に対してあまり興味がなくて、宗教色の強いものは避けていたからだと思います。
今、日本語の予告編を見て観て、日本で上映が開始されたら見に行ってみたいと感じました。
私たちのところでは21日からのようです。
アメリカ制作の映画、確かに、少し違うんじゃない?的なことは見ててよく感じるところであります。
なおこさんもそう思ってらっしゃることを知れて嬉しかったです!
Commented by milletti_naoko at 2017-01-15 09:29
アリスさん、ありがとうございます。21日からだと調べていたのに、どういうわけか14日からと書いていました。日本全国で21日公開のようです。

他の国の人が作ると、どうしてもいろいろな意味で偏見がニュース報道や映画でも入りがちになるのだというジャーナリズムの論文を読んだこともあります。イタリアで以前は日本の捕鯨を糾弾するニュース報道の姿勢にあまりにもひどいものがたまにありました。
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