非道理が通るイタリア、裁判で撤廃となった滞在許可証発行料が6月9日以降半額ながら復活

 2017年6月9日から、昨年、裁判所の判決によって撤廃となった滞在許可証の発行料が、かつての半額ではありますが、復活しました。



 今回の記事は、上のリンク先の記事および以下のリンク先の記事を参照にして書いています。

- ASGI - Stabiliti i nuovi contributi per il rilascio e il rinnovo dei permessi di soggiorno (14/6/2017)

 2017年6月9日に有効となった内務省の通達(原文へのリンクはこちら)で定められた発行料は、
a) 有効期間が3か月以上1年以内であれば、40ユーロ、
b) 1年を超え2年以内であれば、50ユーロ、
c) 非EU圏からの移民用の長期滞在許可証、経営者・専門職用の滞在許可証については、100ユーロ
となっています。

 なお、6月9日以降は、この通達が有効となる2017年6月9日より前に、すでに申請を終えている場合でも、まだ滞在許可証の発行を受けていない場合には、上記の申請料を払わなければならないこととなっています。
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 そうして、この通達には、倫理的、また法の実施において、大きな問題があり、いずれも上のASGI (Associazione per gli Studi Giuridici sull'Immigrazione)の記事に書かれています。

 一つは、そもそもかつての法外な発行料は、裁判所の判決によって、外国人市民の人権行使を妨げるものとみなされて、撤廃となり、この通達が出る以前の手数料合計70.46ユーロでさえ、まだ高すぎるとされていたのに、今回の通達によって、その70.46ユーロ(内訳は、収入印紙16ユーロ、電子情報カード作成料30.46ユーロ、イタリア郵便局への手数料30ユーロ)に加えて、有効期間に応じて、40・50・100ユーロをさらに払わなければいけなくなったことです。

 もう一つは、6月9日までに申請を終えた移民の中には、かつての高すぎる発行料(80・100・200ユーロ)を支払い、その返還要求資格がある人もいれば、発行料が無料のときに申請したために、受け取りが6月9日以降であれば、新たに40・50・100ユーロを支払わなければいけない人もいるため、支払うべき料金について、混乱が生じる可能性があるということです。と言うのも、2016年5月24日の判決で、発行料が撤廃となったあとも、かつての発行料をしばらくの間徴収し続けた警察署があり、実際に徴収が廃止された日にちが地域・警察署によって異なる上に、イタリア政府が昨年9月16日に財政難を理由に「発行料撤廃判決の差し止め」を要求し、国務院がその要求を却下した10月26日までの間は、80・100・200ユーロの発行料が徴収されたため、現在滞在許可証の受け取りを待っている移民の中には、すでに過剰に支払った発行料金の半額を請求する資格のある人もいれば、手数料の70.46ユーロのみしか払っていないために、新たに40・50・100ユーロを支払わないといけない人もいるのですが、イタリアの警察署の窓口の担当者が、それぞれの移民が、いくら支払ったかを、一件ごとにきちんと調べて、必要なだけ請求できるだろうかという疑問があるからです。

 わたしたちがアブルッツォ旅行に出かけた前日、6月9日に、イタリアにおける滞在許可証発行料について、思いもかけないどんでん返しがあったことを、今日になって知り、驚きました。半額になったとは言え、かつて裁判所が判決を下したように、移民に不当な支払いを強いる金額であることに、変わりはありません。再び裁判で争うとなると、また歳月がかかり、イタリア政府はそれをねらっているのではないかと思いますが、いつかまた、この判決が覆ることを願っています。ただし、残念ながら、しばらくの間は、今回の通達に基づいて、この発行料を支払う必要があるかと思います。

 ちなみに、イタリア人あるいはEUの他国の市民の配偶者である場合には、滞在許可証(Permesso di Soggiorno)ではなく、家族として、家族と共に、EUに自由に移動・移住する権利があるとされ、EU市民家族用滞在証(Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE)の申請となるために、上記の発行料は不要です。詳細はこちらの記事をご覧ください。

 夏が近づき、せっかくイタリア、あるいはヨーロッパに住んでいる間に、他のヨーロッパの国に旅行をしよう、または、夏に日本に一時帰国しようと思う方もいるかと思います。有効な滞在許可証が手元にあれば問題ないのですが、万一申請中である場合には、搭乗や再入国の拒否に逢う可能性が、特にテロ事件で、入国審査の厳しい今は、大いにあります。申請中で、まだ滞在許可証を受け取っていない方は、下記リンク中、最後の三つの記事を参考にしてください。

*追記(7月5日)
 わたしが上記の滞在許可証発行料の復活を知ったのは、次のフィレンツェ在住のまいこさんのブログの滞在許可証取得関連の一連の記事がきっかけです。まいこさんご夫婦は、ちょうど発行料金が復活した翌週月曜日に、滞在許可証を取りに行かれて、急に追加料金を郵便振り込みしなければいけないと知り、当日は英語による説明もいっさいなく、大変な思いをされています。外国人の滞在者も多く、比較的警察が機能していると思われるトスカーナのフィレンツェでさえ、こういう事情ですから、他県ではまだ対応が遅れ、料金は徴収するものの、その理由や方法が受け取りに来た申請者には伝わらず、新たに同じような苦労をされる方がいるかもしれません。まいこさんはご自身のご経験を語られているほか、後に警察署が掲示した英語版・中国語版の発行料金復活についての案内を撮影した写真も掲載されています。興味・必要のある方は、読んで参考にしてください。

- 私の夫は研究者です ーイタリア・フィレンツェ編ー - 夫の滞在許可証が取れました&申請料金が変わった!! (29/6/2017)

 滞在許可証発行については、元となる法律は全国共通のはずが、各県の警察署によって、必要な書類や手続きが異なる場合が多々あります。また、こんなふうに突然法律が変わり、法律変更の通知と同時に、その変更した法律に則って、発行手続きが行われるようになることが少なくありません。以前の発行料撤廃の記事を書いたあとで、わたしの方に、ご自分がお住いの地域での必要書類・料金について問い合わせのメールなどが数件あり、それは地域の関係者にお問い合わせくださいとお返事しました。

 イタリアでは残念ながら、法律の変更や本来あるべき手続きの在り方が、末端まで行きわたらず、きちんとした書類をそろえながらも、手続きができなかったり、間違って、不要な書類までそろえるように警察や郵便局で指示されたりする場合が、いまだにあります。そういう理不尽な状況に、日本の方が苦しまれることのないように、こうした滞在許可証関連の新情報はできるだけ早く、分かりやすくブログの記事でお伝えするようにしてはいますが、個々の警察署での対応が異なり、また法が変わる可能性もあり、わたしの方に、ご自分の地域での滞在許可証の申請方法などを尋ねられても、多くの方に共通する問題であればともかく、個々の質問にはお答えしかねます。ご了承ください。

 なお、上述のわたしに他県での発行料金について問い合わせをされた方は、後日地域の知人に尋ねて、発行料金は申請の際には不要と分かり、払わずに済んだのですが、受け取る際には法律が変わって、払うことになったという連絡をいただいています。

関連記事へのリンク
- 撤廃! 80~200ユーロのイタリア滞在許可証発行料 (25/5/2016)
- 滞在許可証手数料70.46€のみで発行料撤廃~政府負け道理が通ったイタリア (13/12/2016)
- EU市民家族用滞在証、イタリアの場合 / Carta di soggiorno per familiare di cittadino UE (27/6/2012)
- EU国滞在許可証申請中の帰国、入国・搭乗拒否のおそれあり~欧州留学・移住とシェンゲン協定1 (5/5/2016)
- EU国滞在許可証申請中の帰国、入国・搭乗拒否のおそれあり~欧州留学・移住とシェンゲン協定2 (18/5/2017)
- 要注意! クリスマス旅行で行ける海外の国は滞在許可証次第、イタリア・ヨーロッパ (12/12/2017)

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2017-06-28 23:59 | Sistemi & procedure | Trackback | Comments(6)
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Commented by まいこ at 2017-06-29 18:45 x
なおこさん、こんにちは!
私のブログを読んでいただき、コメントくださってありがとうございます。

コメントくださった自分の記事に、こちらのURLを貼らせていただきたいです。少しでも多くの方に拡散できればと思いまして。
いかがでしょうか?よろしくお願いします。
Commented by milletti_naoko at 2017-06-29 19:36
まいこさん、こんにちは。どういたしまして。お役に立てたと知って、わたしこそ、うれしいです。ありがとうございます。こちらの記事へのリンクを、まいこさんのブログでも紹介していただけると、助かります。すでに滞在許可証を申請したけれども、まだ受け取っていない方は多いでしょうし、そういう方に心と財布の準備ができるからです。それに、地域によっては、すでに80・100・200ユーロを払った申請者から、ろくに確認もせずに、さらに40・50・100ユーロを徴収するいいかげんな警察署があったり、担当官がいたりしないとも限らないので、そういうときに事情を知っておけば、対処しやすいかと思うからです。

内務省の通達は各警察署にはすぐに直接届いているはずなのですが、有効となったのは6月9日金曜日ですから、6月8日までに取りに行かれていれば、申請料は不要であり、また、週明けの6月12日の翌日以降は、フィレンツェ県警でも、移民に対する説明が英語などでも行われていたようですから、まいこさんたちは本当に運が悪かったのだと思います。わたし自身も実は、数年前に、就労用の滞在許可証の更新をぎりぎりまでせずにいたら、ちょうどわたしの更新直前に、申請方法が複雑になり、料金も急に高くなったことがあり、こういうことは、本当に運があるのだなと思います。わたしの方も、よろしければ、まいこさんのわたしがコメントを記した記事へのリンクを貼らせていただけると助かります。 よろしくお願いします。
Commented by まいこ at 2017-07-04 09:19 x
なおこさん、早速お返事いただいていたのに、反応が遅くなって申し訳ありません!

やはり制度の転換期に偶然当たってしまうことは、しばしばあるのですね。本当に運ですね。
自分たちには正しい金額が請求されましたが、不当な過剰請求は困りますね!拡散のため、自分のブログ内2記事にリンクを貼らせていただきました。ありがとうございます!

私のブログもリンクしていただけたら光栄です。内容に不具合がありましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね。
Commented by milletti_naoko at 2017-07-05 17:44
まいこさん、どういたしまして。まいこさんたちは、ちょうど発行料金が復活したばかりで、しかもおそらくは土日をはさんだため、通達を警察側が知ったのが月曜朝で、連絡の仕方をどうしようかと警察でも慌てていて、英語での説明も間に合わなかった日で、本当に運が悪かったとしか言いようがないと思います。わたしの記事へのリンク、説明まで加えてくださって、ありがとうございます。わたしもそもそもまいこさんの記事で事態を知ったので、その旨、できれば今日の午前中に書き足してリンクもいただきますね。

前回書いた撤廃記事について、「撤廃のはずが該当地域の警察署のホームページでは料金が依然として存在するのですが」という相談が個人的にあり、地域ごとに対応が違うので、地域の方や警察に問い合わせるように返事をしたら、結局申請時は発行料金は不要だったのに、今回の発行料半額復活のために、受け取り時に発行料金を払う羽目になったと、SNSで後日談をご連絡くださった方もいて、困ったことだと思いました。法律が変わると同時に適用になるのでは、値上げになる前に早く受け取りに行こう、申請に行こうというわけにもいかないので、本当に運としか言いようがないと思います。

苦あれば楽あり、きっとこれからは、どんどんいいことがありますよ!
Commented by まいこ at 2017-07-06 09:14 x
なおこさん、ありがとうございます。
追記していただいた文章も、あたたかいコメントも、嬉しくて力になりました。悔しい思いもしましたが、こんな私の経験が活かしていただけるなんて…よかったです。
この件をきっかけに、なおこさんとお話できたことも幸運でした(^^)

すみません。1点だけ修正お願いします。
私のブログの方に掲載してある写真は、英語と”中国語”の案内です。あちこちにバラバラと掲示してあるもので、肝心のイタリア語版は取り損ねてしまいました。
Commented by milletti_naoko at 2017-07-06 16:22
まいこさん、さっそくありがとうございます。そうそう、お写真は英語版と中国語版だったのですよね。書くときにうっかりしていました。イタリア語については、実は記事中リンクがあるASGIの記事中に、内務省通達原文のあるPDFへのリンクがあるのですが、今新たに、わたしの記事そのものに、通達のイタリア語原文へのリンクも追加しました。今ざっと見ると、各地の警察署や市役所も少しずつ、滞在許可証の新たな発行料金をインターネットで知らせるページを設け始めているようです。

どういたしまして。こちらこそ、これからもよろしくお願いします♪


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


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