イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

石橋を叩いていては進めない、イタリア

 学校で来週から始まる新しい日本語の講座は、法律が変わったため、教えるために、partita IVA(付加価値税の納税者登録番号)を取得しなければならなくなり、かつ、そのために、今までずっとチームを組んで教えてきた同僚の先生たちとは、教えることができなくなってしまいました。

 ペアを組んで仕事をするためには、授業の方針や計画など、新しい先生と、まず会って話をしなければ準備が進められないことが多かったのですが、ところが学校からは、いつまで経っても、その先生の名前や連絡先の連絡がいっさいありません。授業開始前に、できることはしておきたいと、学校にメールで問い合わせると、すぐに名前と連絡先を教えてくれました。もしわたしが連絡しなかったら、授業初日にいきなり顔を合わせることになったのだろうか、でも、連絡先が分からなければ、時間割の分担も決められなかったのだけれどと、少し疑問が残ります。

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Ponte Pietra sul fiume Adige, Verona 26/4/2008

 とりあえず新しい先生とメールを交わし、時間割案を決めて、学校側にメールで送付し、その許可が出てから、詳しい時間割や授業の予定表を作成しようと思っていたら、いつまで待っても学校側から、メールの返事がありません。先週は、イタリアの国民の休日や、授業関係の担当者で有給休暇を取る人が多かったため、今週月曜日に、新しい同僚と二人で学校を訪ねると、その時間割を問い合わせた担当者は、「メールは受け取る数が多いので、学校で会ったときに、あの時間割でいいという返事をしようと思っていたんです。」と言うではありませんか。いつまでも返事がないので、先週は何度か電話でも問い合わせたのですが、数度の試みの後で、他の人に尋ねたら、週の後半は休暇で休みとのことだったのです。いずれにせよ、ようやく時間割が確定して、ほっとしました。

 ところが一昨日、新しい先生の都合で、時間割を組み直すことになり、新たに時間割表を作成して、再び担当者にメールを送りました。前回会ったときのことを考えて、「後から、念のために、これでいいかどうか確認のお電話をします。」と、メールの最後に書き、さて、その数分後から、何度も学校に電話をしたのですが、だれも電話に出ません。おとといから昨日にかけて、10回以上は電話をしたことと思います。直通の番号では返事がないからと、学校の代表電話にかけたり、業務用の携帯電話にかけたり、同じ部署で仕事をしている人にかけて、所在を確認したりもしたのですが、返事がありません。そこで、昨日の午後、「何度もお電話したのですが、お話しできませんでした。メールで、昨日送付した時間割でいいかどうか、お返事をくださると助かります。」と、再びメールを書いたら、4時過ぎにようやくメールで、提出した時間割でいいという返事がありました。

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 これまでは、何かあったら、すぐに対応してくれる人という印象を持っていたので、今回はどうしたことだろうと、考えていて、ふと思い当たりました。ひょっとしてひょっとすると、いえ、きっと、学校側は、もし不備があった場合にだけ折り返し連絡をするだけなのではないだろうか、と。何も返事がなければ、それは問題がないということだと、わたしが考えるべきだったのでしょう。

 そう言えば、これまでは、時間割の提出については、ずっと同僚の先生に任せていて、わたしはしたことがなかったのです。わたしは今回、学校側が作成したエクセルの時間割表の様式を使って、時間割を作ったのですが、それをそのままワードの文書に貼ると、ページ内に収まらないため、スクリーンショットで画像として撮って、文書に貼り、メールで送りました。そのため、まずは、画像を使って文書に貼りつけるという方法でよかったのかどうか、さらに、学校側の指定とは違う若干不規則な時間割の組み方をしているけれども、例年どおりではあるとは言え、それでいいのかどうか、その確認を得たかったのです。送った時間割でよいかどうか、先月メールで問い合わせたときには、メールの返事が来なかったので、今回は、電話で確認を得ようとして、何度も何度も電話した挙句、最後にようやく、メールで再び督促して、返事を得ることができたのですが、確かに、各言語の教員、全員にいちいち「これで大丈夫です」と返事をするのは、時間と手間がかかります。「便りがないのは、よい便り。」ということなのでしょう。

 おそらくは、以前時間割送付をお願いしていた同僚の先生や、他の教科の先生たちは、時間割を送って、学校側から特に返事がなければ、はいこれで大丈夫と判断していたのでしょう。「念のために、万一のこともあるから」と考えて、さらに授業の計画や準備を続ける前に、学校側の了承を得たかったのですが、ひょっとしたら学校の担当者も、「いちいち電話やメールで問い合わせがあったり、了承したというメールを書かなければいけなくて、めんどうだ。」と考えているかもしれません。

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 記事の題名に合わせて、「石の橋」が写った写真を使おうと思って、グーグルフォトで、古い写真の中からponte di pietra(イタリア語で「石の橋」)というキーワードで検索すると、ヨーロッパで撮影した石の橋は多いはずなのに、なぜか冒頭のヴェローナの橋の写真ばかりが、検索結果に挙がりました。どうしてかと思って、地図を見て、この橋の名前が、「Ponte Pietra」(日本語で言うと、「石橋」でしょうか)であることが分かりました。

 冒頭の写真は、アーディジェ川にかかるピエートラ橋です。2008年に、夫が属していた合唱団がヴェローナで歌うように請われ、合唱ついでに、家族や友人一同も合唱団と共にバスの旅をして、ヴェローナや近隣の町を訪ねたときに撮影したものです。9年半前の写真ですが、夫もわたしも若いので、見てびっくりしました。合唱団は数年前に解散してしまい、今は元合唱団員の結婚式があるときに、時々集合して、いっしょに歌うのみとなりました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by ayayay0003 at 2017-11-11 13:33
なおこさん、イタリアでは、学校の先生も法立が度々変わり教えると言う事だけ考えてはいられない立場なのですね~
まわりの教師陣の方がチェンジされるというのもストレスになりそうに感じますよ~
日本だと連絡方法は、もっと丁寧というか親切なように感じていますが・・・
お国が違えば、そういう事なのかな(・・?と、私は、短期の旅でも感じるところであります。
以前イタリアで電車を待っている時、電車が遅れていて駅員さんに添乗員さんがイタリア語で質問したら、何と、いつになるのかわからない?(事故でも何でもないのに)というような事を言われたらしくて、その日は帰国日だったので少し焦っていたのを思い出します~(笑)
時刻表通りに電車が来るのが当たり前の日本、海外に出ると違うということを初めて経験した時でした(-_-;)

ヴェローナのピエ―トラ橋のお写真、ありがとうございます(^^♪
私も今年訪れたところなのでとっても懐かしいです♫
Commented by coimbra at 2017-11-11 21:11 x
なおこさんBuonasera。
肩の具合はいかがですか?どこかが痛いというのは本当に辛いことですよね、、と言うのも私はどうやら坐骨神経痛らしいのです。右の腰から足にかけてビリビリするような痛みが続いています。整体にも行っていますが、やはりよく体を動かして良い姿勢を保ち、インナーマッスルを鍛えてストレッチをまめにする。。などと指導されています。
実は明日からまた父と旅に出ます。長く飛行機に乗っていくのが少々不安です。。インスタの方にいつもの連絡写真を載せていきますから、よかったらまた見てくださいませ。。
ああ、やっぱり秋はイタリアがいいな。。となおこさんの写真を拝見しながら思っています。
Commented by milletti_naoko at 2017-11-12 20:16
アリスさん、日本のように慎重にと考えていては、かえって担当者を煩わせ、わたしもいたずらに時間を無駄にするだけだと思い当たり、覚え書きも兼ねて、記事にしました。一筆メールをすぐにくれれば、済むだけの話なのですが。

電車の遅れは、本当に関係者もいつ来るのか分からないこともあるようで、困ったものです。ずっと待っていた電車が、ようやくまもなく着くと分かったけれど、ホームが変わって、かなり走らなければいけなかったなどということもあります。

ヴェローナの写真、喜んでくださったようで、うれしいです。わたしもアリスさんのヴェローナの旅の記事、興味深かったです♪
Commented by milletti_naoko at 2017-11-12 20:20
coimbraさん、こんにちは。そうなんですね。どうかくれぐれもお大事に。わたしも今回は仕事などで慌ただしくて、痛みが最初にひどかったせいもあるのですが、右肩のときに比べると家でのリハビリ体操をさぼっていたので、今週専門医を訪ねてからは、毎日うちでもリハビリ体操をするように心がけています。通院と同時に、自分でも体を動かすことの大切さをつくづく感じています。

どうかよい旅を。お写真、楽しみにしていますね。
Commented by りえ at 2017-11-12 22:50 x
直子さんお疲れ様です。例年は直接赴いて提出していたような・・・。確かに、SLEEに限らずたまに返事がないときがありますよね。何度か似たようなことが続いて、じゃあいいってことかな、と油断すると、実は単にメールを読んでいないだけだったり、問題があるのに返事をする時間がなかった、ということも・・・。やっぱりOK!とかだけでもいいから返信くださると助かるんですがねぇ・・・。さて、いよいよですね。頑張って下さい!
Commented by milletti_naoko at 2017-11-13 00:59
りえさん、ありがとうございます。なるほど、直接出向いて提出していれば、確かにすぐ確認が取れて、それでよい話でもあったのですよね。今後のために覚えておきます。ちょうど祝日をはさむ週で担当の皆さんが次々に交代で休暇を取られたりもして、慌てました。まあ了承をもらったのが遅くなったおかげで、新しい先生から時間割見直しの話があったとき、まだ詳しい授業の計画や準備をしていなかったので、二度手間、三度手間にならずに済んだとも言えます。ただ、そのおかげで、本来もっと早くにできていたはずの授業や授業の全体構成の準備が、前日にまでずれ込んで、慌てています。開き直って、生徒さんに次第でまた計画も大きくずれるから、全体計画は明日の初対面を待ってからの方がいいかしらと思ったり。教科書を売っているところが見つからなくて困っているんですと、わたしから質問して初めてそのことを聞き、慌ててフィレンツェのイタリア書房を紹介したのですが、その翌週学校の担当者の方が前半休みで、イタリア書房からは本がありますというお返事をいただいたのですが、学校がすぐに本を注文してくれればいいのに、妙な長ったらしい行政的手続きを経て、要するにオンラインで売ってくれる店探しのようなことをしてくれたおかげで、書店の情報メールをわたしは2週間前に送ったのに、まだ本が届いておらず、注文さえされていないようだという恐ろしい状況です。もう採用から3年目なのに、困ったものです。大丈夫という返事にせよ、困ったことにせよ、すぐに連絡をしてくれるとありがたいのですが。いつか早いうちにきっときっとお会いしましょう。指切りげんまんいたしましょう。
by milletti_naoko | 2017-11-10 15:15 | Veneto | Comments(6)