2017年 06月 30日 ( 1 )

凍結肩も語学もコツは継続力、日々こつこつに勝るものなし

 右肩に癒着性関節包炎(capsulite adesiva)を患い始めてから、もう約2年が経とうとしています。右肩にようやく回復の兆しが見え始めた頃、今度は左肩にも患い、今もペルージャ郊外のカイロプラクティック院に、週に2度、リハビリに通っています。リハビリの際には、理学療法士の施術のあと、指示された運動や体操をいろいろとこなします。運動のメニューは、回復するに従って、少しずつ変わっていくのですが、昨秋、左肩の療養のために、再度この院に通い始めて以来、ずっと続けている運動もいくつかあります。

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 その一つが、こちらの壁に貼られた紙に描かれた線を、病んだ肩がある手の指でなぞる運動です。以前右肩の療養に通っていた頃には、別のベテランの理学療法士に診てもらっていたのですが、この運動はしていませんでした。研修・勉強熱心な、今左肩に施術をしてくれている理学療法士が、自分で描いて、壁に貼ったのではないかと思います。

 昨秋に通い始めた頃は、左腕が上がらず、一番下の赤い線をたどるのさえ、ひどく苦労するほどでした。週に2度通い始めて、半年以上が経った今では、幸い左腕が以前に比べれば、かなり上がるようになり、下から2番目の紙に描かれた赤い線を、痛みを我慢し、苦労しながらではありますが、指でたどることができるようになってきました。先月、ふと思いついて、右手の指ではどこまで届くか、試してみました。癒着性関節包炎を、最初に患った右肩は、おととしの夏から痛み始め、秋のオリーブ収穫の頃、痛みが頂点に達し、激痛で夜も眠れないようになりました。それで、専門医の診療を受け、医師の指導で、すぐにリハビリに通い始め、その頃、3度のコルチゾン注射を受けました。

 癒着性関節包炎、別名、凍結肩(spalla congelata)は、放置しておいても、1、2年すると自然に痛みが去り、肩も再び動くようになる病なのですが、リハビリや施術、運動をせずに放置すると、自然治癒のあとに、腕や肩の可動域が制限されてしまう可能性があると知りました。右肩に患った頃は、日本語・英語・イタリア語で、さまざまな本やインターネット上の情報を調べたのですが、そのときに、少なくとも腕が90度横に上がるようになるまでは、リハビリに通って施術を受け、うちでもできるだけリハビリのための運動をした方がいいという結論に達し、右肩がそこまで回復するまで、半年あまり通院を続けました。

 完全に回復したわけではないけれども、右肩のための通院をやめた昨年の初夏以来、うちでのリハビリはさぼりがちだったものの、昨秋以後、今度は左肩に患って、通院を始めると、リハビリのための運動の中には、両肩・両腕を使うものも少なくありません。そのおかげもあるのでしょう。壁に貼られた紙を見て、右手の指はどこまで届くだろうと、試しに右腕を上げて見たら、なんと上から2枚目の紙に緑で描かれた線も、若干は苦労しながらですが、指でなぞることができました。一方、今の段階では、左手では、下から2枚目の紙の上の端まで腕を持ち上げるのさえ、できはするものの、苦労する状況です。

 こうして、かつて苦労しながら指でなぞっていた一番下の紙、現在必死で腕を上げてなぞっている下から二番目の紙、そして、右手でちょっと頑張ればなぞることができる下から3枚目の紙が、全て目の前に並んで貼ってあるために、この半年での左肩の回復が目に見えて分かり、右肩が今はここまで届くまでに回復したのだから、いずれは左手でもここまで届くようになるのだと、励みにもなります。

 ただ、左肩については、特に学校の授業があった間は、ただでさえ慌ただしい、そういうときに限ってほかの複数の仕事が重なったことが多く、右肩のときに比べると、うちでの運動をすっかりさぼってしまっています。右肩に比べて回復が遅いのは、コルチゾン注射をしなかったほかにも、このうちで自分でできる運動をしていないためでもあるかと思います。熱心な理学療法士が、「少しでもいいから、うちで毎日、いや、2日に1度でも運動のメニューをこなすようになれば、回復がずっと早くなるから。」と、たびたび言ってくれているので、もっと時間の使い方をうまく工夫して、少なくとも2日に一度は、優先的にリハビリのための運動をするようにしなければと反省しています。

 理学療法士の言葉は、また、わたしがかつて高校で教えていた頃に、高校生に繰り返し言っていた言葉であり、今も、学校の授業や個人授業で、日本語や英語を教える生徒に、何度も言っていることでもあります。

 高校生の試験勉強でも、日本語能力試験のための勉強でも、あるいは再びすっかりわたしがさぼっているフランス語の勉強でも、一夜漬けとは言わぬまでも、だらだらさぼったあとに、集中して何日も何時間でも勉強するよりも、少しずつでもいいので、週にできるだけ、多く勉強に取り組める日を作り出して、こつこつと勉強を重ねた方が、ずっと学習内容が定着しやすいのです。

 これは、わたし自身が、かつて英語やイタリア語など、さまざまな外国語を勉強した経験からも言えます。じっくり長い間勉強した英語やフランス語は、長い間勉強をさぼっていても、本を読んだり会話をしていたりすれば、少しずつその世界に入り込めるようになります。一方、旅行前に1か月だけ、つめ込みで勉強して入門書を1冊終えたポルトガル語やギリシャ語、最初の数課までしか進めなかったスペイン語は、ぼんやりいくつかあいさつの言葉を覚えているくらいで、あとは、ほとんど記憶に残っていません。

 わたしの個人的経験だけではなく、心理言語学における研究でも、週に同じだけの時間外国語を勉強するのであれば、週に一度まとまった時間を取り、たくさん勉強するよりも、1日の勉強時間は少なくなっても、できるだけ多くの日に分散した方が、学習の記憶の定着率がずっとよいという研究結果が出ています。

 50年近く生きてきて、すべて本当に大切なものやことというのは、確実に自分のものにするためには、時間とエネルギー、継続する努力が必要なのだということが、分かってきました。英語が、売り上げが、ダイエットがと、何でも簡単にすぐにできることを売り言葉にした講座や商品が多いのを目にして、継続の努力をせずに、楽にすぐに結果を得たいという人の心につけ込んだ、ひどい人がいるものだと、ため息をつくことが少なくありません。

 英語でもイタリア語でも、旅行中に、あるいはまず暮らしていく中で、生き延びるのに困らない程度の理解する力、発信する力をつけようとすれば、そういう力の習得に焦点を当てた講座や授業であれば、確かに単語の暗記や文法・作文と、従来の英語教育における偏りがちな学習法に比べれば、習得は効率的で、早くなります。

 けれども、ネイティブのように聞いて理解し、話すことができるようになるためには、時間と努力が必要です。わたしは英語の小説を何冊も読み、英検対策や英日翻訳の通信講座の勉強をし、ヒアリングマラソンも並行して受講し、英語の音楽やドラマなど、英語に触れる時間を継続的に取るということを重ねました。4年間勤務した野村高校の1年目に、夏に英語を教える友人とのカナダ旅行を計画したことをきっかけに、英語の再勉強を始め、英検1級に合格したのは、確か1996年12月ですから、4、5年間真剣に勉強を重ねてはじめて、実用英検1級に合格し、様々な英語の小説や映画、ドラマを言語で楽しみ、ネイティブスピーカーといろいろな話ができ、英会話学校で、環境問題や政治問題など、様々な事柄について討論できるようになったのです。

 イタリア語もまた、1999年8月のアイルランドへの2週間の語学留学で、知り合ったイタリア人生徒たちとの交流のおかげで、イタリア文化に興味を持って勉強を始め、2002年3月に退職して、4月にイタリアに留学するまでには、主に文法・作文・翻訳だけの通信講座ではありましたが、イタリア語の初級・中級・上級を終え、入門書や問題集も並行して、数冊終えることができました。音声はもっぱら英語話者用のイタリア語の音声教材を活用していたのですが、1日3時間聞くことを自らに課していたように覚えています。2002年4月に通い始めたマルケの私立語学学校でも、9月に入学したペルージャ外国人大学のイタリア語・イタリア文化講座でも、そのおかげで、まだまだ話す力・書く力はおぼつかなかったものの、最初から最も上級のクラスに通うことができました。こうして計1年半、ウルバーニアとペルージャで、イタリア語・イタリア語文化を学び、さらに2003年10月にペルージャ外国人大学の外国人へのイタリア語・イタリア語文化教育を専攻とする3年の学士取得課程の2年生に編入し、2005年10月、卒業とともに、同大学で、以後5年間、日本語・日本文学の授業を、契約講師として担当することとなり、その間、2006年から2009年の間に、並行して、シエナ外国人大学の外国語としてのイタリア語教授法を専攻とする大学院課程に通い、卒業しました。イタリアの大学や大学院では、かなりの数のイタリア語・英語の専門書を読み、またかなりの数のイタリア語や英語でのレポートを書くことを要求されます。大学で日本文学を教えるにもまた、イタリア語で書かれた日本文学の文献をいろいろと調べる必要がありました。ですから、今はもっぱら日本語を教えたり、伊日・英日の通訳・翻訳をしたりすることを仕事としていて、イタリア語の勉強、きちんとしたイタリア語を、多く書いたり話したり読んだりする機会が少なくなっているため、わたしのイタリア語の力が、最も頂点にあったのは、2009年、ちょうどイタリア語を学習し始めてから、10年後だったのではないかと思います。

 もちろん、イタリア語や英語を勉強するのに、別にネイティブと同じように話したり、書けたりすることを目標にする必要はありません。ポルトガル語やスペイン語、ギリシャ語を勉強したときは、旅行で最低限に必要な会話ができること、旅行で出くわす様々な状況を、何とかその言語で乗り切ることができることだけを目標としていました。英語やイタリア語について、真剣に勉強しようと考えたのは、きっとわたしが国語の教師だったからです。

 かなり話が横にそれましたが、わたしが言わんとすることの一つは、語学の学習には、まずは自分の目標が何かを明確にし、その達成には何が必要かを考え、1年後までに、あるいは1か月にと、短期・長期の具体的な学習目標を立てて、こつこつと学習を重ねることが大切だということです。そうして、目標がわたしのポルトガル語のように「旅行サバイバル会話」であったとしても、夏休みの旅行前の1ヶ月、毎日数時間入門書に取り組んで、一冊終えているのですが、そんなふうにこつこつと継続して学習することが、語学における習得には不可欠だということです。それでも、1か月で勉強したようなことは、忘れてしまうのもすぐです。また、スペイン語は結局入門書の最初の方しか終えられず、フランス語は、再勉強しようと、昨年だったか購入した問題集が、途中までしたままで、また検定対策問題集や読もうと買った原書の数々も読みかけたままです。

 イタリア語も、ここまで一生懸命、教えることができるまでにみっちり学んだのだから、教えられる機会を作りたいと思いつつ、他の仕事が忙しいとは言え、イタリア語学習メルマガの発行を、情けないほどさぼってしまっています。

 実は早急に終えなければいけない仕事があって、それを終えてからと思っているのに、デスクトップの休眠で、マックブックでは10倍時間がかかりそうで、それが終わらないので、フランス語やイタリア語学習メルマガにも取りかかれないという事情もあるのですが。

 閑話休題。リハビリで壁に貼られた紙を見ながら、積み重ねのおかげで、肩が回復していることを実感すると同時に、すっかり放置しているために、上を向かないフランス語学習や、さぼっているイタリア語学習メルマガを思ったのでありました。かつて頑張ったこと、頑張れたことを、あの頃の気持ちを思い返して、頑張ります。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2017-06-30 23:59 | Altro | Trackback | Comments(10)


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