カテゴリ:Altro( 254 )

イタリアの方言と日本語特訓の成果その2

 巡礼中にフランスとスペインを横断したフランコは、スペイン語は流暢ですが、フランス語はまったく知りませんでした。ですから、常識で考えると、彼が巡礼中に学ぶべき言葉は「フランス語」だったわけです。ところが、巡礼前のフランコには、「フランス人はイタリア人を見下すような、冷たい態度を取る」という偏見があり、フランス語を勉強する気持ちがまったくありませんでした。

 それがどうでしょう。フランコが、フランスを1か月かけて徒歩で縦断している間に出会ったフランス人は、誰もかれも心の温かい、優しい人ばかりであったということです。大きなリュックを背に歩く彼を見て、興味を持って話しかける人、見返りを期待せずに助けようとしてくれる人。フランスのプロヴァンス地方も風景が美しく、ぜひもう一度帰りたいとのことです。ステレオタイプの限界と恐ろしさ。出会いが突き崩してくれる偏見の壁。ちなみに、ゼロから出発したフランス語も、初めはまったく言葉が通じずに苦労したものの、1か月かけてフランスを縦断するうち、簡単な会話なら交わせるようになったとのことです。それでも流暢に話せるスペイン語圏に入ったときは、「ようやく言葉が通じる場所に来た!」と、ほっとしたとか。

 巡礼前、こう考えていたフランコは、「3か月歩き続ける時間を利用して、日本語を勉強しよう。」と考えたのでした。そして、出発前から何度もわたしに、「巡礼中に、繰り返し聞いて日本語を覚えたいから、iPodに会話表現を吹き込んでくれ。」と、頼んでいました。

 わたしは最初、まったく本気にしていませんでした。その理由は、
1.巡礼中に必要なのは、日本語ではなくフランス語であり、
2.繰り返し聞いて丸暗記するという学習方法に、わたしは懐疑的であり、
さらに、
3.フランコが読んで録音してほしいという本に、非常に問題があったからです。

 3はイタリア人向けの、Lonely Planetの日本語旅行会話ポケットブック。この本は手元にありませんが、ギリシャ語旅行会話用ならわたしも持っているので、こちらの写真を載せておきます。

f0234936_5212194.jpg

 旅行に行って、自分が言いたい文章を探すという「辞書的」使い方をするだけなら、非常に役立ちます。実際、ギリシャ語版は、ギリシャ旅行中に重宝しました。けれども、この日本語版は、入門者が日本語学習に使おうには、非常に問題がある本なのです。

 まず、簡単に言えばすむことを、わざと難しい表現を並べ立ててあるという印象を受けました。文章自体ははっきり覚えていませんが、たとえば、「映画に行きませんか。」と言えばいいのに、「映画に行きたいと思いますが、どうですか」と書き、「駅はどこですか。」と言えばすむところを「駅にどう行けばいいか、教えていただけませんか。」と書いてあるといった具合なのです。構文も語彙も、入門者には複雑すぎるし、例文の並び方も、学習効率がひどく悪いものとなっています。

 余談ですが、Lonely Planetのイタリア人向け旅行会話集に共通して言える、「おい、これは何だ」という特徴があります。これは日本語版でもギリシャ語版でも同じで、わたしはどなたか他の国の人を対象にした会話集をお持ちの方に、その本ではどう扱われているかをお聞きしたいと思います。「言葉もよく知らぬ国を旅行する」ための旅行会話集に、なぜか「amore e sesso」という章があって、「以前にもどこかで会ったような気がします」というせりふはまだいいとして、実際に床を共にすることになった際の、具体的な相手への要求やその最中や後に言うべき表現まで、いろいろと書き並べてあるのです。

 日本人向けの旅行会話集は、こういう表現・場面は扱わないだろうと思うのです。これが、この会話集を作ったLonely Planet社の旅行会話集の編集基本方針なのか、それとも、イタリア人相手のイタリア語版にだけ、こういう章立てがあるのか、疑問です。さらに、もし後者だとしたら、それがイタリア人利用者の希望によるものか、それとも、Lonely Planet社側のイタリア人に対する偏見から生まれたものか、それを知りたい気がします。もしお手元に、イタリア語以外で書かれたこのポケットブックをお持ちの方がいたら、その本にもこうした項目があるかどうか教えていただけると幸いです。

⇒「その3」につづく(リンクはこちら

 この記事いいなと思ったら、応援の1クリック(↓↓)をお願いします。
Cliccate sull'icona (↓) se vi piace il blog.
人気ブログランキングへ

こちらもクリック↓↓ ありがとうございます!
Cliccate anche su questa icona, per favore!
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

by milletti_naoko | 2010-11-15 21:25 | Altro | Trackback | Comments(2)

「わたし」に求めるものと「あなた」に求めるものの違い ~漫画と童話の二重基準

 3歳年下の弟がいるので、少女漫画と共に、少年漫画もいくつか読んでいました。『タッチ』や『めぞん一刻』など、後にアニメ化されたものも多く、中には弟の週刊漫画雑誌とテレビアニメのどちらを先に見始めたか分からないものもあります。

 すべての漫画に共通するわけではありませんが、うすうす思っていたことがあります。

 『キャンディ・キャンディ』でも、『はいからさんが通る』でも、少女漫画の主人公は、原則的に、美人ではなく、おっちょこちょいで、何かしら欠点はあるけれども、性格はひたむきで、まっすぐ。一方、相手方は、ハンサムで裕福で、頭もよく、性格もいいという傾向がある。川原泉さんの漫画や『ガラスの仮面』など、他にもいろいろ思い当たる漫画はあります。

 これが、少年漫画だと、逆になるような気がしたのです。『タッチ』や『みゆき』で、相手役となるのは美少女である上、頭がよく料理もできて、皆の人気者。一方、主人公の少年は、気は優しいけれども、容姿はそこそこ。勉強がとりたててできるわけではない。『ドラえもん』ののび太としずかちゃん。そして、『銀河鉄道999』、『ハイスクール!奇面組』や『さすがの猿飛』になると、才色兼備のヒロインと主人公の差がかなり広がってきます。『うる星やつら』のように、「とにかくかわいくスタイルがいい」と、ヒロインの設定が多少違っても、とにかくヒロインの方に期待される徳が多いことに違いはありません。

 題材とする漫画やアニメがとても古いので、一部の人にしか分からないかもしれません。ともあれ、小学生から大学生にかけて、そういう漫画やアニメに接していて、漠然と思ったのは、こういうことでした。

 人間、自分自身については、「容姿や富、賢さなんて関係ない。大切なのは、性格や思いやり。自分らしく、まっすぐに純粋に生きていくこと。」と思いながら、理想相手として思い描くのは、「性格がいい」ことはもちろん、「容姿端麗、頭脳明晰」な異性であり、かつお金があれば申し分なし、と高望みをしがちなのではないか。

 そして、そういう漫画を楽しみつつも、少女漫画、少年漫画のこうした設定は、どこかがおかしいな、と感じていたのです。

 「成績や容姿は大切ではない。大事なのは性格だ。」 と言いながら、結局それを肯定するのに、つまり、「そういう主人公の在り方でいいんだよ」と言うために、それでも幸せな人生・学校生活を送れることを、才色を兼ね備えた相手と幸せに過ごす姿を通して伝えているところに、矛盾を感じました。

 おそらくは、わたしたち読者がそう感じていたから、つまり、「自分は自分らしく、ひたむきで、気立てさえよければいい」、でも、「相手には、ハンサム(美人)で、頭もいい人であってほしい」(さらに、相手が女性なら料理がうまく、男性ならスポーツ万能などなど)と心の奥底で思っていたから、漫画家たちが、そういう少年少女たちの気持ちに応えようとして、こういう作品が生まれていったのか。それとも、漫画家たちが、こういうパターンによって、少年少女たちに、「成績や容姿にとらわれる必要はない。自分らしさと思いやりを大切にし、気立てさえよければよい」という励ましのメッセージを送っていたのか。

 そして、この構図は昔から存在するものなのです。わたしの大好きな『赤毛のアン』にしても、成人すると美しく、賢く、優しい女性、母になったアンですが、少女の頃は、間違って友人にワインを飲ませたり、からかったギルバートの頭に石版をたたきつけたり、リンド夫人に怒りを爆発させて、とんでもない勢いで反論したり。それでも、ハンサムで優しく頭も切れるギルバートは、ずっとアンを思い続けていきました。

f0234936_0572421.jpg

 遠い昔話にも、また違った形で、この「自分と相手に課す理想の二重基準」が、存在しています。
 
 日本古来のおとぎ話である「鉢かつぎ」にせよ、ヨーロッパの童話である「シンデレラ」にせよ、主人公は貧しいけれども、心優しく、働き者。「鉢かつぎ」には知性と教養もあり、「シンデレラ」は美しくもありましたが、世界各国の童話で、一般民衆である若い男性が主人公である場合には、一般に出自も実家も貧しいことが共通していて、「美しさ」には触れず、もっぱら「思いやり」や「賢さ」が、主人公の持つ徳になります。

 そして、この優しい、賢い、働き者の、けれど貧しい主人公が、その人となりのおかげで得ることができるのが、王子さまやお姫さまとの結婚。そして、そこで「めでたし、めでたし」と話が終わるものが多いのです。

 「貧しくても、心が優しければ、知恵が働けば、いいんだ」ということを、それでも認められるということを、「お金持ちで知恵がある美しい相手」との結婚で肯定する不思議。

 とは言え、これは昔から民衆の間に語り伝えられてきた話たち。こうやって自分たちを慰め、励まし、夢を見ながら、子供に夢を見させながら、つらい生活を乗り切っていたのかもしれません。

 毎日の生活や生き方でも、人間ついつい、自分には甘く、他人にはきびしい尺度を使って、あたってしまうものですが、そういう二重基準が、どういうわけか、どういうゆえんかは分からぬながら、少年少女の漫画の世界や童話にも存在するのではないか。

 漫画は読み手が、童話は聞き手が、楽しむためのものなのだから、そこまでうがって考えるべきものではないのかもしれません。とは言え、今日は昔から何となく思っていたことを、書き記してみました。

 実は遠い昔、東京の保谷市立柳沢中学校の図書室で、不思議なフランスの昔話を読んだことがあります。貧しい田舎の若者が、成功を求めて、町に行く途中、風車小屋に座っている娘と言葉を交わします。やがて、町に行き、どういう理由か覚えていませんが、王さまを喜ばせた若者は、その気になれば、お姫さまと結婚し、やがては国王になることができたはずなのです。けれど、彼は、国王の申し出を辞退し、道を引き返して、風車小屋の娘と結婚して、幸せに暮らすのです。

 中学生の頃は、結末を不思議に思ったこの昔話が、実は、多くの男女にとって理想的な出会い・結婚を語っているかもしれないと、今はそんな気がします。

 この記事いいなと思ったら、応援の1クリック(↓↓)をお願いします。
人気ブログランキングへ

こちらもクリック↓↓ ありがとうございます!
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

by milletti_naoko | 2010-10-28 18:03 | Altro | Trackback | Comments(6)

出会いのきっかけ

 いつかきっと自分の手で、運命の相手を見つけられるはずだ。

 幼い頃から本が好きで、読んできた本の数々。そして、小学校高学年の頃から手に取り始めた少女漫画たち。『赤毛のアン』、『キャンディキャンディ』、『はいからさんが通る』(世代が分かりますね)-こういう本の影響か、ずっと長い間、そう信じて生きてきました。

 社会人になった頃から、友人や職場の先輩の結婚式に、次々に招かれるようになりました。学生時代に知り合ってつきあい始めたという人もいれば、お見合いや紹介を通じて出会ったという人もかなりいました。転勤のために下宿を探していた先輩が訪れた大家さんが、「この女性なら、あの心優しい若者にお似合いだ。」と縁結びをして、結婚したという例もあります。当時わたしが参加した結婚式では、お見合いから3か月、半年後の結婚というのが多かったように覚えているのですが、中には、急に海外の長期勤務が決まった男性との結婚を、見合い後1週間で決め、さらに1週間後には式を挙げた友人もいました。皆でかなり心配したのですが、一般の新婚夫婦よりもむしろずっとうまくやっているようで、安心しました。

 通勤中に歩いてすれ違う女性に魅かれながら、ずっと直接声をかけることができずに、機会をとらえて、上司を通じて、交際を申し込み、結婚したという男性もいます。わたしの先輩であったこの女性の上司が、たまたまその後異動で、男性の上司になり、「君、いい人を見つけて、結婚しなければ」と声をかけたときに、男性側が、「実は意中の人がいて、先生もご存じの人なんです。」と、上司に告白したことから、取りもたれた縁でした。

 わたしは童顔で、幼い頃から年齢よりも若く見えたせいか、おっちょこちょいで頼りなく見えたからか、どうも若い頃から、お相手となりそうな男性自身よりも、親御さんたちの世代にもてる傾向がありました。

 初めて教員として勤めた学校で、大先輩の先生の退職記念会に参加したあとで、職場のわたしよりずっと年配の先生から、「○○高校の○○先生が、石井さんのことをとても気に入って、ぜひ息子の嫁にって言うんだけど、会ってみるかい」と言われたことがあります。二次会のスナックのママさんから、「うちの息子、つきあってるんだけど、どうも相手が気に入らなくてねえ、あんたの方がずっといいんだけど」と言われたり。

 若い盛りから、いわゆる適齢期を過ぎてしまうまで日本で過ごしている間には、こうして打診してくる年配の方が時々いらっしゃいました。そのたびに、「花嫁探しを親に任せるような人、親に勧められて結婚する人はどうかな」と、丁重にお断りしていました。

 ただ、「いつか訪れる運命の出会い」を夢に見すぎて、今はそれでよかったと思うのですが、逃した出会いの機会というのもあるかと思います。昼食のサンドイッチを買いに行ったパン屋のおばさんが、「今家を建てたばかりのいい息子さんがいてね。」とか、上司が「40歳の警察官で、とてもまじめないい男性がいるんだけれど。」とか、そういう月下氷人の役割を申し出てくれたときには、少女漫画的憧れにとらわれずに、会っておいてもよかった気がします。

 こんなことを書く理由の一つは、わたしと同じ理由で、出会いのきっかけを逃している女性がいるのではないかと思うからです。自分で偶然に出会っても、だれかに仲介してもらって出会っても、縁は縁であって、それで、生涯を共に歩める人が見つかれば、それでいいのではないか、と今は考えを改めました。

 それは、わたしも夫も互いに自分たちで巡り会って、恋に落ちたように思っていたのに、後から、実は裏で糸を引いていた人がいたということを知ったからです。
f0234936_23543529.jpg


 2003年12月に、わたしが夫に出会ったのは、ウンブリア州庁に勤めていた女性の友人から、「友人に外国旅行のスライドを見に来るように誘われているけれど、わたしは行けないから、代わりに。」と頼まれて、この友人の家を訪ねたからです。実はその頃、大学の応用言語学の授業で、会話の慣習やメカニズムを学んでいるところであり、イタリア人同士の自由な会話を録音し、それを言葉の抑揚も含めて正確に記録して、会話のメカニズムや話者の心理を分析し、レポートを書くという課題が出ていました。わたしがこのとき友人の代わりにスライドの上映会に行くことにした理由の第一は、この自由会話の録音ができることでした。そして、スライドを上映した友人が、夫の旧友であったために、ここで夫と知り合うことになったわけです。

 中国の老荘思想を語った古典、『荘子』。出会ったその日に、何となくおしゃべりをしていて、後に夫となるそのイタリア人男性が、『荘子』をすべて読んで、内容も記憶していることを聞いて、驚きました。わたしも、高校で漢文を教える際に教材としてよく登場したので、文庫本や解釈本、漫画版など何冊も持ってはいたのですが、「最初から最後まで通して読むもの」という意識を持ったことがなかったので、感心しました。もちろん、それだけではなくて、穏やかで瞳が美しい人だと思いました。

 数日後に、夫がこの『荘子』のイタリア語版を持って、アパートのベルを鳴らし、それから、共通の友人たちと共に出かける機会が増え、そうやって出会う回数が増えて、互いにだんだん魅かれていきました。

 この縁結びをした友人のすごいと思うところは、本人たちにはそういう意図はまったく告げずに、いろいろと事の進行を促していたところです。二人が正式につき合い出したことが分かってから、こう言いました。

「ルイージには、なおこは料理がうまいから、と言い、なおこの前では、ルイージはいい人だ、自然を心から愛する男性だ、とルイージをほめるようにしていたのよ。」と。

 なるほど。わたしたち二人が長いこと独身でいたのは、やはり最初から恋人や結婚相手の候補として勧められると尻込みしていたせいもある、ということをきちんと見抜いていたのかもしれません。

 というわけで、恋人や結婚相手に出会うのに、運命の出会いを夢見るのもいいのですが、人の誘いに乗って、とりあえず会ってみるというのも大切なことだ、と今は思うのでありました。

 今はとにかく、夫とめぐり会え、一緒に毎日を過ごせることに感謝しています。

 写真は、昨年に義父母の金婚式の会場で撮影したものです。義父母にあやかって、いつまでも仲良く、お互いを大切に思い合って暮らしていけたらと祈っています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

 この記事いいなと思ったら、応援の1クリック(↓↓)をお願いします。
Cliccate sull'icona (↓) se vi piace il blog.
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
NihonBlogMura Blog Ranking

こちらのランキングもクリックをお願いします↓↓ ありがとうございます!
Cliccate anche su questa icona. Grazie!

Ninki Blog Ranking

by milletti_naoko | 2010-10-13 16:54 | Altro | Trackback | Comments(6)

ワールドカップ開幕 ~思い出いろいろ

 早いもので、わたしがイタリアに来てから、もう8年の歳月が流れました。

 イタリアに来たばかりの2002年に、ちょうど日韓共催のサッカー・ワールドカップがあり、イタリアが、対韓国戦で、審判の判定に涙をのみながら敗れた翌日、町を歩いていて、呼び止められ、

「Sei coreana?」(君は韓国人かい)

と聞かれたとき、その声に殺気を感じたのを覚えています。その時は、日本人でよかったとつくづく思いました。

 当時通っていた語学学校のクラスメートには、クロアチアの女学生がいました。彼女も、イタリアがクロアチアとの試合に敗れた翌日の授業中に、「昨日、バールで会ったイタリア人男性に、出身国を聞かれたとき、(相手の反応が怖くて)クロアチア人だと言えなかった」と、言っていました。

 8年前のこのワールドカップの時は、マルケ州のとある小さな町に暮らしていたのですが、テレビや新聞、人々のおしゃべりにも、至るところで、サッカーの試合への熱狂ぶりが感じられました。

 4月から通い始めた語学学校でも、休み時間に、学校で事務を担当する若者が、黒板に選手名を書いたりして、外国人学生に、イタリアチームの説明をしていました。

 そして、授業のない午後、イタリア・チームの試合があると、学校の一室が、試合観戦用となり、外国人学生も、先生方や学校職員一同と共に、テレビの前で、試合中継を見守ったのでありました。

 若い女の先生方の口から、次々にあまり品のよくない言葉(parolaccia)が聞こえてきて、ふだんは聞けないイタリア語の学習にもなりました。

 イタリアに対する審判があまりにもひどい、と新聞やニュースを始め、街頭でも話はそれで持ち切りでした。

 一方、今年のワールドカップ。昨日、イタリア初戦当日の夜8時、RAI1のニュースで、深刻な社会・政治ニュースも多いというのに、冒頭から、サッカーの話題が続いたことにびっくり。

 日頃からのサッカーファンやスポーツ番組がサッカーについて熱く語って盛り上がっていたのはもとより、たとえばRAI3の『Che tempo che fa』のように、普段は文化や社会問題を多く扱う番組までが、数週間前に、ワールドカップ特集を組んだりもしていました。

 「ファンのわたしたちが、応援や放映の前に、注意して避けた方がいいことは何か」という司会者ファッツィオの質問に、チーム代表が、「Auguri(「幸運を祈ります」)と、口にしないこと」と答え、それを聞いた司会者が、「ぼくも放映中ずっとその言葉を、不運を呼ぶからと避けていたのに、言ってしまったね。大丈夫かい?」と、冗談半分に答えていたのを、思い出します。

 普段は、サッカー観戦にはまったく興味のない夫も、ワールドカップには関心があると言っています。

 わたしたち夫婦のサッカーへの無関心ぶりはというと、5月のエルバ島への旅行中に、島に住むバルバラといつ会うかを決めるために話し合っていて、彼女から、「5月22日は残念だけど、無理。晩に、欧州チャンピオンズリーグの決勝戦があるから。」と言われて、初めてそれを知ったということからも、想像がおつきかと思います。

「好きなチームが決勝に出てるの?」と聞くわたしに、バルバラは、

「インテルもバイエルンも、虫は好かないけど、それでも、この試合は、わたしとアンドレーアにとっては、partita sacra(「聖戦」!)なの。」と答えます。

 当日インテルがみごと優勝を果たしたあとは、日頃は静かきわまりないエルバ島のキエッシの村の道路を、深夜クラクションや爆音を漂わせながら、通り過ぎるバイクや自動車の騒音が、しばらく続きました。

 翌朝、ホテルでの夕食の間、前夜、大勢の客が夜通し祝杯を上げていたことも、知りました。

 さて、昨日のイタリア・チームの初戦。夫の同僚かつ旧友の誕生日がちょうど6月13日日曜日で、その誕生会を、ワールドカップ観戦も兼ねて行うということで、夫は夕方、一人で会場に向かいました。ふつうは夫婦・恋人同伴の場合が多いのですが、今回は会場も小さいので、伴侶抜きで友人だけを招待したとのことです。

 やっぱりイタリア人。ワールドカップは皆注目していて、一緒に応援して盛り上がろうというところかな、と思っていたら、昨夜帰ってきた夫によると、テレビはついていたけれど、皆たまに点数を見るだけで、誕生会やおしゃべりがメインだったとのことでした。

 マルケ州の小さな町に暮らしていたときは、サッカーファンの若い年代と話すことが多かった一方、今ペルージャでつきあっている友人には、あまりサッカーやスポーツ観戦に興味のない人が多いので、こういう違いが出てくるのかと思います。

 イタリア人男性、イタリア人というと、誰もかれもが皆、サッカーの熱狂的ファンではない、ということをお伝えしたくて、書いてみました。

 愛国心は一応あるので、サッカーにそれほど関心はなくても、わたしは昨日日本チームが勝ったのがうれしいし、夫も、イタリアチームの引き分けを残念に思いつつ、次回に期待しています。

 競技そのものに関心はなくとも、昔、高校で教えていた頃、クラスやサッカー部の試合は、真剣に見ていました。大切な教え子の一人ひとりの活躍ぶりや意外な面を発見するのが、興味深かったのを覚えています。

 ある年には、受け持ったクラスの男子生徒の半数がサッカー部に属していました。当時中田がペルージャで活躍していたため、彼らの間ではイタリア熱が非常に高く、わたしが買ったばかりのフィアット・プントに乗りたがる男子生徒が大勢いました。

 いえ、生徒だけではなく、当時住んでいた愛媛県の山に囲まれた村には、ドイツ車やアメリカ車は時々見かけても、それまでイタリア車に乗る人がいなかったため、

「石井先生、今度お宅に、車を見に行ってもいい?」

と、同僚に聞かれたこともよくあります。これは、住んでいた教員住宅が学校から近いので、徒歩で通勤していたためです。

 少し話がそれてしまいましたが、これからも熱しすぎず、冷めすぎずに、夫と二人で、日本とイタリアのチームを応援していきたいと思っています。

「この記事いいな」と思われたら、クリックをお願いします。
人気ブログランキングへ

こちらもクリックして、応援をいただけるとうれしいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

by milletti_naoko | 2010-06-15 16:27 | Altro | Trackback | Comments(0)


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


by なおこ

プロフィールを見る
画像一覧

Chi scrive

Naoko Ishii
Insegnante di
Giapponese & Italiano
Interprete Traduttrice
IT-JP-EN Fotoblogger
Pellegrina @ Perugia
Umbria, Italy

Per Lezioni, Servizi di
Interpretariato,
Traduzioni, contattate
via email.

- CV e contatti
- Twitter
- Facebook
- Instagram

I miei articoli su Japan-Italy Travel On-line↓↓
Perugia Lago Trasimeno Assisi Montefalco Oli d’Oliva & Trevi Gubbio Piediluco Terremoto Centro Italia

Mio articolo su
Huffingtonpost.jp
- Tre settimane dal Terremoto Centro Italia   

*Giù in basso
Categorie in italiano


Copyright©2010-16
Fotoblog da Perugia
All rights reserved

イタリア、ペルージャ在住。
日本語・イタリア語教師、
通訳、翻訳、ライター。

イタリア語・日本語の授業、
産業・会議通訳、観光の
同行通訳、翻訳、イタリア
旅行・文化・イタリア語に
ついての記事執筆など
承ります。メール
お問い合わせください。

- 履歴・連絡先
- ツイッター
- フェイスブック
- インスタグラム
- イタリア語・イタリア文化情報サイト
- イタリア語学習メルマガ
- 多言語オンライン辞典
- イタリア天気予報
JAPAN-ITALY Travel On-lineメルマガに執筆↓↓
- 連載魅力のウンブリア



画像一覧

最新の記事

地震の被害は美しい水の里にも..
at 2017-07-21 23:59
打倒チェーザレ・ボルジア、密..
at 2017-07-20 23:59
カリオストロの城、サンレオと..
at 2017-07-19 23:59
ペルージャ発 なおこの絵日記..
at 2017-07-18 23:59
畑の彩り夏野菜とアーティチョ..
at 2017-07-17 23:59

記事ランキング

タグ

(565)
(499)
(308)
(266)
(207)
(185)
(158)
(153)
(144)
(130)
(128)
(114)
(109)
(93)
(88)
(86)
(84)
(68)
(51)
(33)

検索

以前の記事

2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
more...

カテゴリ

Famiglia
Feste & eventi
Film, Libri & Musica
Fiori Piante Animali
Francia & francese
Giappone
Gastronomia
Giappone - Italia
ImparareL2
Insegnare Giapponese
Inteprete Traduzioni
Lingua Italiana
Notizie & Curiosita
Poesia, Letteratura
Regno Unito - UK
Ricordi
Sistemi & procedure
Viaggi
Abruzzo
Emilia-Romagna
Lazio
Liguria
Marche
Piemonte
Puglia
Toscana
Trentino-Alto Adige
Umbria
Valle d'Aosta
Veneto
Via di Roma (RI-RM)
Cammino S.Benedetto
Via degli Dei(BO-FI)
Cammino di Santiago
Vivere
Altro

ブログジャンル

日々の出来事
語学

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

最新のコメント

なおこさん、昨年のイタリ..
by ayayay0003 at 14:40
fukusukesanさ..
by milletti_naoko at 19:52
アリスさん、カッリョスト..
by milletti_naoko at 19:34
鍵コメントの方へ、こちら..
by milletti_naoko at 18:53
fukusukesanさ..
by milletti_naoko at 18:48

お気に入りブログ

A piece of P...
フィレンツェ田舎生活便り2
彩風便り 
花が教えてくれたこと
イタリア・絵に描ける珠玉...
Facciamo una...
VINO! VINO! ...
SOL LUCET OM...
文殊の綴り絵
カッラーラ日記 大理石の...
黒い森の白いくまさん
イタリアの風:Chigu...
dezire_photo...
梨の木日記
PASQUARELLIの...
フィレンツェのガイド な...
ローマより愛をこめて
日々是呼吸
田園都市生活
英国発!美は一日にしてならず
Mrs.Piggle-W...
ひっそりと生きる
Osteria TiaL...
リカのPARIS日記♪
イタリアちゅうねん
トンボロレースと日々のこと
コントリ!(コントラバス...
IL PARADISO ...
アリスのトリップ
毎日の楽しいを集めてハッ...
ボローニャとシチリアのあ...
カマクラ ときどき イタリア
トスカーナの海より リボルノ編
ととやふくろう
40代の悪あがき日記
ミセス サファイア 静け...
小さな窓から

外部リンク