カテゴリ:Fiori Piante Animali( 275 )

百花繚"蘭"

 5月1日(土)、2日(日)の散歩中には、さまざまな美しい野の花をたくさん見ることができて、まさに「百花繚乱」でした。中でも、こかしこに咲いていたラン(orchidea、複数形 orchidee)の花は色も、花弁の形や模様もとりどりで、自生のランにこんなにたくさん種類があるとは思いもかけなかったので、一つ一つの花の違いや美しさに感動しました。

 今回は、テッツィオ山に咲く自生のラン(orchidee spontanee del Monte Tezio)を写真と共にご紹介します。

Ⅰ. 5月1日(土)のテッツィオ山登頂中に見つけたランの花

1. ミジャーナから一つ目の十字架まで(Da Migiana alla Prima Croce)
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 緑の木々に覆われた坂道を登っていると、突然眼前に広い岩がちの草原が現れました。急な斜面は登るのが苦しいのですが、根気強く上へ上へと登っていくと、あちこちにランの花が咲く野原があります。
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 すぐ近くに咲いている花どうしでも、色や形がかなり違っています。

2. 一つ目と二つ目の十字架の間に(Dalla Prima Croce alla Seconda Croce)
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 道のわきのそこかしこで目を楽しませてくれる、小さくあでやかなランの花。
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 こんなふうに群れをなして咲く花もあれば、広い野原のあちこちに散らばって咲く花もあります。
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 しばしば立ち止まっては何枚も写真を撮るわたしを、「日本人だねえ」とからかう友人には、「記事に載せるいい写真が撮りたいから」と言い返し、少し風情の異なるランの花、美しく咲いている花を見かけるたびに、立ち止まって撮影します。
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 もともと特に上り坂では歩くのが遅く、花粉症のために最近はあまり登山をしていなかったので、一番しんがりを進みながら、それでも特に美しい花を見ると、角度や背景にもこだわって、ゆっくり撮影。優しい夫はあきれがちに、時々立ち止まってわたしを待ってくれています。
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 というわけで、撮影したのは歩いて行く道のすぐ近くに咲いていたランの花だけなのですが、それでも花弁の色や形、模様はさまざまに異なっています。
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 赤紫や藤色の花が圧倒的に多かったのですが、時折、柔らかなクリーム色の美しいランの花が二つ、三つ共に咲いているところにも出くわしました。上の写真の背景の左手を目を凝らしてご覧になると、あちこちに散らばって咲いている赤紫のランの花も見ることができます。

II. 5月2日(日)に目にしたランの花

3. ミジャーナのオリーブ園に咲いていたラン(Nell'oliveto di Migiana)
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 このところ、しばしば夫から「ミジャーナにランの花がたくさん咲いているよ。」と聞いていたのですが、なかなか機会がなくて、今回ようやくその美しい花を見ることができました。
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 「一番花の多いところに、友人たちがテントを立てたからなあ」と、夫は前日から、ランの花たちの運命をひどく心配していました。日曜日は、朝、友人たちがテントを片づけ始めたのを見て、わたしは小雨の中、カメラ片手にオリーブ園の草原の中のランの花を見に行きました。

 残念ながら、雨がだんだん強くなる上、まだテントをたたむ作業に忙しい友人も多かったため、このキャンプ場となっていた草原のランの花は見ることができませんでした。

4. 雨の中を歩いて訪れた土地、サン・ピートロで見かけたランの花(A San Pietro)
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 このランについては、夫から以前にも、「一つ一つの花が、両手両足を広げたやせたサルみたいに見えるからorchidea scimmia(scimmiaはイタリア語で「サル」を意味します)という名前なんだ。」と聞いていました。
(今回は、図鑑とWikipediaで事実を確認してから書いています。時々夫にからかわれたまま、ずっと気がつかないでいることがありますので……)

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 こんなふうに、花弁の純白と藤色の対比が美しいorchidea scimmiaの花が、一面に咲きほこっているところもありました。


 皆さんも、春にイタリアを訪れたときには、ぜひ美しい野の花を楽しむ機会を見つけてください。今回の散歩では、ランのほかにも、春咲きのシクラメンも花盛りを迎えていました。野バラやエニシダ(ginestra)の花はようやく少しずつつぼみが開き始めたところです。

 また、町や住宅街でも、今は藤が白や薄紫の美しい花を一斉に咲かせているんですよ。リラやリンゴも花盛りです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2010-05-04 17:13 | Fiori Piante Animali | Comments(0)

若鳥の大冒険

 4月22日木曜日の夕方に、居間でアイロンがけをしていたら、開け放した窓から小鳥が入ってきて、部屋の床の上を歩き始めました。急いでカメラを取りに行き、帰ってくると、もう姿が見えません。あきらめて、アイロンがけを続けていると、しばらくしてから、テラスの方から、バタバタとにぎやかな羽音のようなものが聞こえてきました。
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これが、その小鳥。最後にテラスから飛び去る直前に至近距離から撮った写真です。


 では、時間を追って、この小鳥の動きを見ていきましょう。
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 傾きつつある太陽の光がさんさんと降り注ぐテラスで、陽だまりで暖をとっているのか、それと景色を眺めているのか。とにかくとても真剣にしていることに没頭している様子です。
 そうして、しばらくたたずんだあと、テラスから庭の大木に向かって羽ばたいて行きました。
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 イタリアの家庭では、日本人がおかずに合わせてごはんを食べるように、おかずと共にパンを食べます。パンくずが散らからないように、毎回食事のたびに、食卓に布製のテーブルクロス(tovaglia)を広げ、食事が終わるとパンくず(briciole、複数形で使います)を室内に落とさないように庭や庭に面した窓まで運んで、パンくずをテーブルクロスから庭の上に払い落とします。こうして、近所を飛び回る小鳥たちにパンくずをごちそうするわけです。

 我が家の庭にも、パンくずをふるまうことも多く、またサクランボや西洋ナシなどおいしい果物の木もあるため、さまざまな種類の小鳥たちがたくさんいます。毎朝早く、そして今こうして書いている瞬間もにぎやかな小鳥たちの歌声が聞こえてきます。

 けれども、部屋の中やテラスの中を小鳥が歩くのはこれまで見たことがなかったので、しかもそれが2階の部屋・テラスのことですから、この小鳥がのんびりと歩き回ったりたたずんだりしているのを見てびっくりしました。
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 しかも、この小鳥さん、よっぽど日の当たるテラスが気に入ったのか、もうしばらくしてから、再びバタバタとにぎやかな羽音を立てて、テラスに戻ってきました。わたしも再びアイロンがけを中断して、カメラ片手に小鳥を観察します。よっぽどこの位置が気に入ったのか、今回も何やら一心に外の景色を眺めています。

 が、そのうち、トコトコとテラスの中を歩き回り始めました。「あれ! なんて不思議な場所なんだろう。こんな地面や木(壁です)、見たことがない。」とでも言うところでしょうか。好奇心いっぱいにあちこち歩き回り、飛ぼうとして壁にぶち当たってしまったりしています。
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 自分から壁にぶつかっていったのに、壁を巨大な恐ろしい怪物だとでも思ったのでしょうか、今度はスタスタと小走りをして、再びお気に入りの場所まで戻っていきます。このあと、もう一度長い間じっと外の風景を眺めていました。わたしがカメラ片手に近づくと、「あなた、何してるの」とでも言いたげな風情で振り向いたのですが、その瞬間をとらえたのが一番上の写真です。
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 あとに夫に話し、写真を見せると、まだ生まれたばかり、飛び始めたばかりのムクドリ(storno)だろうとのこと。くちばしの形や敵(nemico)と味方(amico)の区別がつかない様子から、幼い小鳥だと分かるそうです。

 わたしは、夫が持っている鳥の図鑑(下の写真)で、この小鳥の名前を確かめることにしました。
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 まずは夫のいうstorno(ムクドリ)がどんな鳥かを図で確認してから、すべてのページをめくって、他の鳥ではないことを確かめたのですが、小鳥の色や、くちばしと体の形などから、間違いなくムクドリだということが分かりました。
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 上の写真で、storno「ムクドリ」のgiovane「若鳥」と説明されている小鳥は、わたしたちのテラスで日向ぼっこをしながら景色を楽しんでいた小鳥にそっくりです。

 我が家の庭には、猫がたくさんいます。猫が増えすぎた近所の家に頼まれて、応援のために、またネズミ対策のために、猫に残飯をやることが多いので、隣人の飼い猫や野良猫でしばしばうちの庭で闊歩したりのんびりしたりする猫もいるし、そうした猫から生まれた子猫も何匹かいます。

 お義母さんは、「猫のおかげでネズミがいない」と喜んでいますが、田舎には多いトカゲ(lucertola、イタリアで見かけるものは薄緑色で日本のものに比べると小ぶりで愛嬌があります)が緑の多い我が家にまったくいないのは、猫が食べるからだと夫は残念がっています。

 夫が庭仕事の最中に、小鳥の巣をねらう猫を遠ざけることもよくあり、「草刈りの最中に、猫が襲って食べ小鳥の頭が、食べ残されて庭に転がっていた。」と夫が憤ることも何度かありました。

 というわけで、我が家の庭や1階のテラスには天敵が多いので、夫は、「まだ、幼いし、右も左も分からず、うまく飛べない小鳥だから、2階のテラスはかえって安全だ。」と安堵するのでありました。

 あんなに真剣にムクドリの子供が眺めていたのは、一体何なのだろう。そう思って、今朝テラスでムクドリの目の位置から、その目がじっと見つめていた方角に向かって撮影したのが、次の写真です。
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 すでに花の散り終わった桜の左側にある大木。実は、小鳥はテラスを去ったときに、2度ともこの大木に向かって飛んで行き、その葉陰に隠れてしまいました。「たぶん、この木のどこかに親鳥が作った巣(nido)があるのだろう。」と夫は言います。

 初めて自分の翼で飛び始めたばかりのムクドリさん。自分の家がある大木や巣を少し離れたところから見てみたかったのでしょうか。それとも、木の上の巣と同じ高さに不思議な平地があることを疑問に思って、思索にふけっていたのでしょうか。単に、のんびり日光浴ができる眺めのいい場所を見つけて、無心にくつろいでいただけかもしれません。

 また帰って来てくれたらいいな、と期待して、わたしも時々テラスを眺めに行くようになりました。

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by milletti_naoko | 2010-05-01 12:00 | Fiori Piante Animali | Comments(0)

野菜畑の散歩

 野菜畑(orto)に、食事用の野菜を収獲しに行くときの必需品は、ナイフ、収獲した野菜を入れるかご、そして、泥で汚れても構わない靴です。わたしがかごを片手に野菜畑に向かうのを見かけると、お義母さんはふざけて「買い物しに行くの?」(Vai a fare la spesa?)と尋ねます。八百屋や市場に行く代わりに、仕入れに行く先が野菜畑なので、ユーモアを込めて、こんなふうに言うわけです。

 さて、昨日4月15日の夕方も、わたしは野菜畑へ、夕食の材料を調達しに出かけました。翌日の授業準備やブログの執筆のために、机に向かう時間が長いので、外の空気を吸い、緑の中を歩くのはいい気分転換にもなります。
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 満開になった大きな桜の木の下を、桜に見とれながら歩いて、野菜畑に向かいます。
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 向こうでお義父さんが草を刈る姿が見え、また草刈り機の立てるにぎやかな音が聞こえてきます(写真中央やや左手)。春の天気は変わりやすいので、天気のいい日にできるだけの農作業を済ませておく必要があります。

 わたしは、何か目ぼしい野菜はないかと物色します。
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 上の写真の中央あたりに並んでいるキャベツ(cavolo)は、ちょうどいい食べごろですが、この濃い緑色のキャベツはとても苦いのでわたしも夫もあまり好きではありません。ちなみに、キャベツの後方、右手に見えるネギのようなものは、ニンニク(aglio)です。また、見にくいかと思いますが、写真の中央、ずっと奥に見えるのは、ローズマリー(rosmarino)の茂みです。ちょうど花盛りで、薄紫色の小さな花が皆満開になっています。
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 サラダ菜(insalata)は、野菜畑のあちこちに植わっています。夫もわたしも大好きなサニーレタス(insalata canasta)も、上の写真の中央から後方にかけて並んでいるのが見えるのですが、まだお義父さんが買ってきた若菜を植えたばかりで、もっと育ってからでないと収獲できません。このサラダ菜は寒さに弱いため、暖かくなってきた今、ようやく畑に植えることができたわけです。

 さて、どうしよう?

 こういうときに役に立つ野菜があります。それは、フダンソウ(bietola)。ここで、直前の2枚の写真をよくよく見ていただくと、脈絡もなく、あちこちに生えている緑色の野菜があるのがお分かりかと思います。サニーレタスが列をなして並んでいるその直前に、大きく二株見える、緑色の鮮やかなこの野菜が、フダンソウです。同じ野菜が、キャベツとニンニクの写真の中にも、無秩序にあちこちに生えているのが見えます。目立つのは、最前列の右隅。そして、写真の左側の方にも、2列並んだキャベツの後ろに2、3株あるのが分かります。

 もともとは数年前に食用に植えたものが、植物自体の生命力が強く、我が家が風の強い場所にあるために、種があちこちに散らばって、毎年毎年、てんで勝手に自然に生えて、ぐんぐん育つようになったそうです。

 けれども、いろんな料理に使える上に、癖がなくておいしいので、冬から春先の、まだまだ畑の野菜の種類が限られているときに、とても重宝する野菜です。というわけで、今回はフダンソウを収獲することにしました。料理の仕方などについては、またいずれの機会にお伝えするつもりです。
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 キャベツの手前の方には、4月11日の記事で、お義父さんが植えていたイチゴが、白い可憐な花を咲かせています。

 帰り道、ふと脇に目をやると、リンゴの木(木はmelo、実はmela)が、濃い桃色のつぼみでいっぱいで、小さな白い花が少しずつ咲き始めているところです。
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 そして、下の写真に見える愛らしい白い花が、野菜畑のあちこちに、自然に生えてきて、野にさわやかな彩りを添えています。
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 今回、この花をよくよく観察していて、非常におもしろい習性があることを発見しました。この興味深い咲き方を、写真に収めましたので、これもまたいつか機会を見て、お話しするつもりです。ただいま、この花の名前を、夫が山ほど持っている植物・花の図鑑や事典を見ながら調べているところです。どなたかご存じの方がいらっしゃいましたら、お教えください。

 夏時間になったおかげもあって、日が長くなり(日が暮れる時間が遅くなり)、夜7時から8時になっても、まだこれだけ明るいようになりました。

 というわけで、わたしの夫も、お役所仕事から帰って来てから、一休みしたあと、すぐ外に出て、庭仕事に取りかかりました。
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 まずは、4月11日の記事で、水で十分に洗った水槽代わりの樽が、数日経って水も乾いたので、今度は、中に入れる水が漏れるのを防ぐために、ニス(vernice)を樽の内側にも外側にも塗りつけました。それから、雨が降っても水がかからないように、上からビニールをかぶせました。
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 そのあとは、野菜を畑に植えるための下準備。といっても、夫は義父と違って、若菜ではなく、サニーレタスの種を購入しました。野菜を均等に畑に植えるためにも、寒さから守るためにも、まずは温室の中の鉢に種を植えて、芽が出て少し育ち出してから、そこで初めて畑に植え替えるということです。写真は夫が、種を植える鉢に入れるための土壌を準備しているところです。この作業のあとで、小タマネギ(cipollina)の種も鉢に植えたとのことです。

 「最近、何でもかんでも写真を撮る癖がついたね。」と、カメラを向けるわたしに、あきれがちに苦笑いする夫なのでありました。しかし、彼はわたしを秘書代わりにして、「~に行ったのはいつだったけ?」、「ぼくがトマトの種を植えたのはいつだったっけ?」と聞いてくることがよくあるのです。わたし自身も夫と一緒に行動りしたことなら、覚えてもいるでしょうが、夫だけがしたことについては、記憶もあいまいになるので(なのに、なぜかわたしに聞いてくるのです。本人さえ覚えていないのに、なぜわたしが覚えていると思うのか不思議です)、このブログがちょうどいい覚書になることでしょう。

 野菜畑やその周辺を、うれしそうにカメラ片手に歩き回り、フダンソウを収獲したり、草木を眺めたり、写真を撮ったりしていたら、すっかり遅くなってしまいました。

 フダンソウは、土を洗い落としたり、湯がいたりと、料理をするのに結構時間がかかるのです。まだ、ルイージの作業が終わっていないのを幸いに、慌てて台所へと向かったのでありました。

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by milletti_naoko | 2010-04-16 18:45 | Fiori Piante Animali | Comments(2)

イタリア、里の春

 ペルージャ外国人大学では、例年Corso di Laurea PLIM(Promozione della Lingua e della cultura Italiana nel Mondo「イタリア語とイタリア文化の世界における振興を図る学士取得課程」)の1、2年生の授業を担当していました。

 「していました」というのは、「大学卒業」の記事でも触れた大学改革のために、上記の課程の名称やカリキュラムが変更となり、これまでは、1・2年生と2年間にわたって行われた日本語の授業が、最終学年の3年時にのみ行われることになったからです。昨年度から新課程への移行が始まったため、PLIM1年生の授業は今年はもう存在しません。というわけで、現在わたしが担当しているのは、このPLIM2年生の授業だけなのです。

 もし、今年も1年生(日本語の入門者)を教えていたら、ちょど今の時期に、例年のように「春が来た」の歌を学生たちと合唱したことでしょう。歌の指導は、まずわたしが歌詞を黒板に書き、学生たちに1文ずつ読ませていくことから始まります。3月に「日本語」の授業が始まり、ちょうど学生たちが平仮名と片仮名の学習を終え、季節の名前や「山」、動詞「行く・来る」などをを学習したばかり。学生たちは、自分たちに日本語が読めることや理解できること、歌が歌えことをたいへん喜んでいました。

「はるが 来た  はるが 来た  どこに 来た
 山に来た    さとに 来た  のにも 来た」

"E' arrivata la primavera. E' arrivata la primavera.
Dov'è arrivata? E' arrivata in montagna. E' arrivata in campagna.
E' arrivata anche sulla pianura."

 だいたいこんなふうにイタリア語で意味を説明しています。というよりは、繰り返される言葉が多いので、後半の歌詞の意味は、学生たちに推測させます。

 自分で苦労して思いついたほうが、記憶に残りやすいし、知らない表現に出会ったときに、頭をどうひねればいいかも分かっていくからです。また、音楽に乗せ、自分で声を出して歌っていくと、表現も身につきやすいし、学ぶのが楽しくなります。(メルマガで、読者の皆さんに「イタリア語学習」のためにおすすめしていることを、わたしは自分が日本語を教えたり、外国語を学んだりするのに活用しています。)

 何だか前置きが長くなりましたが、わたしたちが住んでいるペルージャ郊外の「里」でも、最近、ようやく「春が来た」と実感できるようになってきました。

 というわけで、今回は「イタリアの里の春」を我が家からお伝えします。
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 庭から野菜畑へと下る階段の手前にあるのが、このリラ(lillà)の花です。ほとんどがまだつぼみで、ようやく小さな花がいくつか開き始めたばかり。さて、階段を下りていくと、夫のルイージが下の方から、手を振って呼びかけています。好天気で、畑仕事にはうってつけの1日。
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 ウンブリア州の州庁で長年働いているルイージは、自然に囲まれて育ったためもあり、自然や植物を育てるのが大好きです。机に縛られがちな役所仕事を放棄し、いずれ農業に携わる仕事をしたいというのが彼の夢です。最近は、さかんに、養蜂や樹木の剪定を学ぶための講習に参加して、少しずつ自分の夢へと一歩を踏み出しています。「今の仕事を嘆き、週末を映画やテレビ、パソコンの前で過ごすより、まずは週末から、自分の本当にしたいことに時間を捧げていくように」という言葉を最近読んで、かなり啓発もされたようです。
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 上の土地が、今日(イタリアではまだ4月10日です)ルイージが精魂込めて鋤で耕したところです。オリーブ畑に囲まれ、向こうに鶏たちの闊歩するのが見えるこの場所は、昨年も彼がさまざまな種類のイタリアの伝統種のトマト(pomodoro)を植え、育てたところです。昨年収獲したこの伝統のトマトには独特の甘み、旨みがあり、生でサラダにして食べても、パスタのトマトソース作りに使っても、本当においしかったのを覚えています。

 このところルイージも頑張っていますが、我が家の野菜畑で一番の働き手は、何と言っても彼のお父さんです。農家の末っ子として生まれた義父は、幼い頃から朝5時に起きて兄弟たちと家の農作業を手伝って働き始め、それでも夜は疲れを知らず、隣村の村祭りまで、何kmも歩いて行っては、会話や伝統的なダンスを楽しみ、深夜に歩いて帰宅して睡眠し、それでも翌朝は必ず5時に起きて働いていたそうです。根っからの働き者で、成人してペルージャ市の職員となってからも、仕事が終わって帰宅してから、そして週末にも、ブドウ畑、オリーブ園や野菜畑のために働き、そして家畜の面倒を見、さらに庭木の剪定、ワイン作りと忙しく働き続けたそうです。退職してからもう何年にもなり、数年前にブドウ畑は手放しましたが、今でも毎日忙しく、オリーブや野菜、庭木の手入れに飛び回っています。「イタリア人が働かない」なんて言っているのは、どこのだれでしょう。
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 写真の左端に見えるお義父さんは、イチゴ(fragola)を植えているところです。写真の右手、手前にはネギが、そしてその後方にはまだ小さい植えたばかりのサラダ菜が並んでいます。昼食のしたくをしていたとき、ネギの場所が分からなくて戸惑っていたわたしに、義父は辛抱強く、どこに何を植えてあるかを説明してくれました。

 義父にあいさつをして、帰りがけに桜の木を見上げると、緑の若葉がかなり大きくなってきています。風のために、美しい白い花弁が花吹雪となって宙を舞っていることもしばしばです。
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 一方、下の写真は、やはり我が家にあるセイヨウスモモ(prugno, susino)の花を今日(くどいようですが、イタリアではまだ4月10日です)撮影したものです。花弁が白いところも桜と同じで、わたしにはなかなか区別がつけられないのですが、実がなり始めると、当然ながら、それぞれが何の木かがすぐ分かります。
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 さて、畑を耕し終えたルイージは、今度はふだん金魚たちの棲む水槽代わりになっている樽を洗い始めました。写真左手には、ローズマリー(rosmarino)の茂みも見えます。
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 ただいま、19時43分。1日外で働いて、ぐったり疲れて帰ってきたルイージはしばらく前からソファーで一休み。

 わたしはというと、実は今週の木曜日までは、復活祭休暇や卒業試験のために授業がなく、昨日は本当なら授業を再開すべきところ、「まだ里帰りしているので授業があっても出席できません」という学生が、わたしの授業に通っている学生の半数以上であったために、休講としました。月曜に卒業した学生の卒論の指導・校正に追われ、1週間以上寝る時間を削って無理をしたのがたたって、最近は風邪を引き込んでいました。

 実はブログを書き始めたのは、体調が悪くて外出はできないし、授業の準備をするにはまだ早いので、いろいろな方のブログを読ませていただいていたら、「わたしも自分の毎日を記念に綴っていきたい」と思うようになったからです。人生まったく何が原因で何が起こるか分からないものです。中島敦、『山月記』の主人公、李徴の言葉を思い出します。

 おととい、昨日は少し体調がよくなったので、掃除・洗濯もすませました。今日は実はアイロンがけをしなければいけなかったのですが、写真撮影や執筆に夢中になってサボってしまいました。

 「ブログなら根をつめずに、気楽にかけるだろう。体調が悪くても大丈夫。」と思って始めたのに、書き始めると結局生真面目に書くので、根気も時間も必要とし、長くなってしまうのでありました。

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by milletti_naoko | 2010-04-11 03:20 | Fiori Piante Animali | Comments(0)

「花よりだんご」のイタリア人?

 純白の花をいっぱいに咲かせた写真の木が何の木か、お分かりになりますか。
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 答えは「桜」です。

 イタリアの桜は、こんなふうに真っ白い花を咲かせ、また小さな若葉が花の間に見え隠れしている場合が多いようです。

 写真は、イタリアの我が家の桜を、昨日4月8日(木)に撮影したものです。ところで、この木が家のどこに生えているかお分かりになりますか。周囲にあるのは何の木でしょう。

 前には、オリーブの枝葉が、背後には一列に並んだオリーブの木々が見えます。
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 上の写真では、さらに桜の位置が分かりやすいかと思います。実は、この桜の木、庭から野菜畑(orto)へと階段を下りたところに、列をなした野菜やオリーブの木々の真ん中に立っています。この写真では、家が木々に隠れてよく見えないのですが、同様に、桜もまた、家や庭からは隠れたところにひっそりと立っています。写真では分かりにくいかと思いますが、桜の右横にはローズマリーの茂みがあります。わたしも今年は、野菜畑にキャベツやローズマリーを取りに行って初めて、桜が花盛りであるのに気がつきました。

 日本であれば、桜の木は、庭の主要な位置に、美しい花を観賞するために植えるでしょうに、なぜこんな隠れた位置に桜の木があるのでしょうか。

 一つは、「春に桜の花を愛でる」文化が日本独特のものであること。実は、今年はイタリアの国営放送RAI2のテレビニュースで、日本の花見文化が紹介されていました。イタリアのニュースの中で取り上げる日本の話題は、日頃は、経済や地震、ハイテク産業を除くと、捕鯨や雅子妃の抑うつ症など、マイナスイメージの放送が多いのです。ですから、桜の美しさを愛で、春の訪れを祝う日本の姿がこうして放映されたことはうれしかったのですが、途中から放映内容に「日本についてのステレオタイプ」が入っていました。
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          日本庭園の桜(京都、渉成園。撮影は、昨年3月29日。)

 ニュースは途中から、花見客の中の舞妓さんふうの女性数人の映像を流し、「日本といえば、やはり芸者。花見にも芸者は欠かせません。」と解説が入り、最後は「伝統の芸者おどりも各地で催されていました。」と都おどりの舞台風景を流して締めくくっていました。舞妓さん風の女性は、一般人が舞妓体験を楽しんでいた様子でしたし、花見と芸者を短絡に結びつける日本人はまずいないだろうし、「都おどり」に毎回足を運ぶ日本人も限られているとは思うのですが…… イタリアでは、「日本といえば芸者」という偏見がまだまだ根強いようです。

 大学で「日本語・日本文学」の授業や毎日のさまざまな人との関わりの中で、少しでも現実に近い日本の姿をイタリアや世界各国の方に知ってもらい、また、一方でメルマガやブログを通じて、より現実に近いイタリアの姿を日本の皆さんに知っていただきたいというのが私の夢であり、また感じている使命でもあります。

 話が逸れましたが、我が家の桜の木が隠れた位置にある理由としては、他にも、イタリアでは、桜を観賞用として特にひいきすることがないことが挙げられると思います。白い花を咲かせる木々は多く、たとえばセイヨウスモモ(susino)やリンゴの花も真っ白な花を同じように一斉に咲かせます。というわけで、我が家や他の家の庭を見ても、同じ庭木の中でも、観賞用としては、ミモザやアーモンドのように、レモン色、桃色の色の鮮やかな花を咲かせる木がよく目に入る位置に植えられているようです。

f0234936_23595637.jpg もう一つの理由は、桜を植えたのが、何よりもサクランボ目当てであったから。花ではなく果実を楽しむのが目的で植えたために、桜の木が、庭ではなく、野菜畑の中央・オリーブの木々のただ中にあるのだと思います。

 そうです。イタリアの桜の木は、単なる観賞用ではなく、花のあとには赤々としたおいしいサクランボをたくさん実らせ、目だけでなく、舌も楽しませてくれるのです。真っ白な花を咲かせた木が、やがて真っ赤な実をいっぱいにまとう不思議。


f0234936_032750.jpg さて、どういうわけか、今年のイタリアでは、春に「日本
の桜」に触れることが多く、園芸専門誌の『Giardini』
(この題はgiardino「庭」の複数形)も、4月号で
「花を観賞するための日本の桜」(CILIEGI DA
FIORE GIAPPONESI)を特集していました。

 いずれ記事をじっくり読み、興味深いことがあれば、
皆さんにもブログないしはメルマガでご紹介したいと
思っています。

 このイタリアの桜は、秋にはそれは美しい紅葉で目
を楽しませてくれます。秋になると、木の頂から順に木
の葉が緑から黄色へ、黄色からオレンジへ、そしてオレンジから真紅へと次第に色を変えていくため、一本の桜の木の葉の色が上から下へ行くたびに、赤・オレンジ・黄・黄緑、そして緑へと色が変わっていて、まさに虹(arcobaleno)のようです。というわけで、秋に山道を散歩したり、ドライブしたりするとき、わたしはこうした色とりどりに紅葉した桜の木を見かけるたびに「Albero arcobaleno!」(「虹の木!」文法的には問題がありますが、最も端的にわたしの気持ちを表す気がしますので、こう呼んでいます。)と歓声を上げます。
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 上の写真で左手に、赤屋根の前に写っているのが、紅葉した桜の木です。場所は、テッツィオ山(Monte Tezio)の中腹にある町、Migiana di Monte Tezioの町はずれ。ペルージャから車で15分ほど北へ進み、山道を登ったところにあるこの町は、わたしの夫ルイージが生まれ育ったところです。桜の紅葉は小さくて見づらいのですが、ペルージャ郊外の美しい秋景色をお楽しみください。

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by milletti_naoko | 2010-04-09 18:43 | Fiori Piante Animali | Comments(0)