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マテーラ舞台のイタリアドラマ、町きれいでも話がこわい

 白い石の町並みが美しいマテーラ(Matera)は、イタリアでいつか行ってみたい町の一つです。2週間前に、マテーラを舞台にしたテレビドラマが放映されると知って、すぐに見ようと思ったのは、『ドン・マッテーオ』でも、ルイーザ・スパニョーリを主人公としたドラマでも、舞台となるグッビオやスポレート、ペルージャの町がよく画面に現れ、Raiのドラマは、舞台となる町を旅した気分にさせてくれるところがあるので、ドラマを見れば、マテーラの町をさまざまな角度から見て、どんな町かも知ることができるだろうと考えたからです。

 それで今晩も、その第3話を見ました。確かにマテーラの町並みや、屋内の様子、町を取り囲む自然は美しいし、そういう映像を楽しめるのですが、話が半分推理物、半分サスペンスのような感じで、殺人があり、奇怪な現象があり、人間関係のもつれや怒り、憎しみを登場人物があらわにする場面ありで、こういう暗く重いドラマだと知っていたら、きっと見なかっただろうなという内容なのです。わたしは、人間関係のもつれや裏切りばかりに焦点をあて、登場人物同士のいがみ合いがひどかったりする作品は、ドラマにせよ映画にせよ、好きではないからです。

 それでも、マテーラの興味深く美しい町や家、自然を、ドラマを通して見られる上に、夫は、「あれ、おもしろいし、いいんじゃない。」と言うので、続きも気になって、毎回見続けています。Raiが初回放映分の最初の9分ほどの映像だけ、YouTubeに載せていますので、イタリア語やマテーラの町に興味のある方は、ご覧ください。


 今晩も第3話を見終わったら、すっかり遅くなってしまいました。明日は朝8時から肩のリハビリがあり、その後、バスで学校に教えに行きます。皆さん、おやすみなさいませ。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2017-03-23 23:59 | Lingua Italiana | Comments(7)

柿とイタリア・イタリア語

 柿は遠い昔に中国から日本に伝来したと考えられますが、学名にはDiospyros kaki L.と、ギリシャ語源の言葉に日本語名の「柿」が並んでいます。

 そのため、イタリア語でも、「柿」を意味する言葉は、日本語からの外来語で、cachiです。発音をカタカナ書きにすると「カーキ」になります。

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 イタリア語では原則的に、外来語の名詞は不変化で、単数形も複数形も同形です。ですから、たとえば外来語のbarやcomputerは、一つあろうと二つ以上あろうと、語形が変わりません。標準イタリア語では、「柿」を表すcachiも、不変化(invariabile)の男性名詞です。

 外来語は他の国から来た言葉なので、原則的にはイタリア語の文法には従わず、こんなふうに単複同形となるのですが、一方、本来のイタリア語の名詞では、大部分の名詞が、単数形・複数形で語末が変わります。パニーノ、ドゥオーモというイタリア語は、イタリア料理やイタリア旅行、またはその紹介番組などを通じて、今や日本の多くの方に知られているのではないかと思います。原則的に名詞の単数形・複数形というものが存在しない日本語では、一つあろうと二つあろうと、「パニーノ」、「ドゥオーモ」です。けれども、paninoもduomoも、イタリア語では男性名詞の単数形であり、一つのパニーノや大聖堂について話す場合にはそのままの形でいいのですが、二つ以上について語る場合には、語尾が-oから-iに変わり、複数形のpanini、duomiを用います。単数形の語末が-oである男性名詞は、複数形では、原則として、その語末が-iに変わるからです。

 柿はイタリアには19世紀半ばにアジアから渡来したとされ、20世紀の初めからいくつかの地域では食用に栽培されたものの、イタリア全国で、店先に食用の果物として並ぶようになったのは、つい最近のことで、今でも地方や郊外に足を運ぶと、時期を過ぎても収穫されず、美しい彩りの実がすべて枝に残っている柿の木に出会うことが少なくありません。

 そのためでしょう。柿をイタリア語ではcachiと言い、kakiという表記は主として植物学的な記述に限られると辞書にはあっても、イタリア各地の方言ではさまざまに呼ばれていて、たとえばフィレンツェではpomo、カターニア、レッチェなどではloto、lodoと言われているそうです。

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Citato da http://www.treccani.it/vocabolario/cachi2/

 そうして、イタリア語におけるこの果物の正しい名前は、店先でもよく見かけるようになった近年問題になり、うっかりcacoと呼んでしまう人が少なくないのだそうです。たとえば、このトレッカーニのオンライン辞書には、cacoという形は記述さえないのですが、冒頭に引用したLo Zingarelliの辞書には、正しい形はcachiであり、cacoの前には、「高等教育を受けたことがない層が使うことが多く、方言の色彩が強く、文法的には間違いとみなされがちな」言葉を形容するpopolareという言葉が、kakiの前には「使用がまれである」ことを意味するraroという言葉が、かっこと共に添えられています。

 正しくは、「柿」はイタリア語ではcachiであるのに、cacoと思い込み、勘違いする人がいるのはなぜでしょう。

 それは、イタリア語では-iで終わる名詞は、上述のpanini、duomiのように、単数形では語末が-oである男性名詞の複数形であることが多いからです。女性の靴のハイヒールでもtacchi altiと言いますが、これは人が履く靴の下につくヒールはふつう二つであるため、複数形だからで、このヒールも一つであれば、単数形ですからtaccoとなります。

 それで、その原理を日本語から来た外来語であるcachiにも応用して、「複数形だから語尾が-iとなっているので、単数形は-oだろからcacoだろう」と、いちいち辞書で確認することもなく、そう考えて、時々疑問に思いながらも使っている人がいるのです。オンラインでの正しい語形についての質問や答え、学術的インタビュー調査の結果や説明を読むと、そういう間違いの多さや正しい形について自信のない人が少なくないことが分かります。

 ちなみに、わたしたち日本人など、冠詞がない言語を母語に持つイタリア語話者は、定冠詞や不定冠詞が必要なときにも、つい冠詞抜きで名詞だけを言ってしまいがちですが、このcachiという名詞の使用に際しては、特に、un cachi、i cachiなど、必要な冠詞を名詞にきちんと先行させた方が、安心です。

 と言うのも、単にcachiとかcacoとか言ってしまうと、人前で話すにはちょっとどうだろうかという言葉と、相手が間違って取ってしまう可能性がなきにしもあらずだからです。「大の用を足す」ことを指す動詞は、イタリア語の俗語でcacareなのですが、cachiはその主語がtuの時、cacoは主語がioの時の直説法現在の活用形で、イタリア語ではこんなふうに動詞の形から主語が特定できるときは、主語は対照・強調の必要がなければ明示しないため、「Cachi」、「Caco」だけで、「君は大の用を足す」、「ぼく(わたし)は大の用を足す」という意味に取られる可能性があるからです。ふつうは柿のことを話す場合は、目の前に柿があったり、果物について話したりしている場合が多いでしょうから、こういう意味の取り違いが起こることは少ないと思いますが、まったくないとは言い切れませんので、ご用心のほどを。

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Cachi, anche la forma singolare perché deriva dalla parola giapponese, KAKI
(si scrive 柿 o かき).
Lo sapevate?
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参照リンク / Riferimenti web
- ja.wikipedia - カキノキ
- it.wikipedia - Diospyros kaki
- Treccani.it Vocabolario on line - cachi2
- Accademia della Crusca - Un frutto esotico in orti, giardini e... al supermercato: il Diospyros kaki L.

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-12-03 22:24 | Lingua Italiana | Comments(2)

イタリア語、幼子のかわいい間違いと名詞の性:malita & fratella

 外国語を、本などを使っての独学や学校などでの計画的・意図的な教育なしに、その言語が話されている土地にいきなり飛び込んで、仕事をしながら、現地に住みながら、移民がどんなふうに身につけていくかを、長期にわたって調査して、その言語の文法事項などの自然な習得順序を研究する言語学の分野を、イタリア語でlinguistica acquisizionale(直訳は「習得言語学」)と言います。

 その研究の一環として、イタリア語の女性言語学者が、外国人による自然なイタリア語の習得過程と比較するために、幼い我が子が、どんなふうにイタリア語を身につけていくかを発表した論文もいくつかあります。母語としての習得と第二外国語としての習得の相似と違いが分かって興味深いのですが、そういう研究結果の中に、もう10年以上前に読んだのに、今でも印象に残っている興味深い事例があります。

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 それは、幼いイタリアの子供が、「つま・奥さん」と言うつもりで、間違って、「malita」と言ったという例です。この間違いで分かることの一つは、巻き舌のRの発音は、イタリア人の子供にも難しいので、発達段階ではLになってしまうことがあるということです。そうして、特におもしろいのは次の点です。

 この子供は「つま」を意味する「moglie」を知らずに、自分がすでに知っていた「夫」を意味する「marito」や無意識に身につけた既知の文法的知識から、「つま・奥さん」のことは、こういうだろうと、脳のどこかでさっと類推して、maritaと言うのだろうと考えて、そう言ったと考えられるということです。つまり、男性形が「marito」であれば、女性形はそれに対応する女性形で、語末の男性名詞語尾-oを女性名詞語尾-aに変えれば、「夫」に対応する女性を表す言葉になるだろうと、保育園にも通っていない子供ですからこういう文法用語の知識はまったくないものの、それまで見聞きした事例から、自然にこう推測して、そうういう結論をはじき出したと考えられるのです。

 ここで何がおもしろいのかと言うと、日本語にも英語にもない、「男性名詞」対「女性名詞」という名詞の性についての感覚、認識が、ようやく言葉を話し始めたばかりの幼児にも、これだけ明確にあるということです。

 イタリア語の名詞の性は、たとえば「太陽」を意味する「sole」は男性名詞、「月」を表す「luna」は女性名詞ですが、これは太陽は女性名詞、月は男性名詞のドイツ語とは逆になっていて、事物や植物の性については、「男性的だから」、「女性的だから」ということに関わらず、この名詞の性は男性・女性と決まっている語が大半です。たとえば「(自動)車」を表す「macchina、automobile」は女性名詞ですし、「花」を意味する「fiore」は男性名詞です。

ただ、これが人を表す言葉になると、男性を指す言葉は、語尾が-oで男性名詞、相対する女性を表す名詞は語尾が-aで女性名詞である場合が少なくないのです。たとえば、幼い子供がよく耳にしそうな言葉の中に、次のようなものがあります。

 男性名詞     女性名詞 
bambino    bambina     小さい男の子     小さい女の子
ragazzo     ragazza      少年、青年      少女、若い女性
nonno      nonna         祖父           祖母
zio         zia            おじ           おば

 名詞の性というものが、母語をイタリア語とする人たちの場合には、物心がつく前から、すでに概念としてしっかりと刻み込まれているのだと感じて驚いたのです。

 そうして、昨年だったかふと思いついて、このことを保育園で教えた経験の長い友人に話すと、保育園の子供たちにも、「姉妹」のことを「sorella」という代わりに、「兄弟」を表す「fratello」の語尾を-aに変えて、fratellaと言うことがあるのよと言っていました。

 これはイタリア語に限りません。母語でも外国語でも、インプットをもとに脳が情報を処理して、言語の規則はこうかなと、意識の下層で仮説を立てて、幼い頃からこうやって、試してみて間違えて、間違いと知って修正しながら、言語を習得していくわけです。イタリアの幼い子供たちの間違いに、日本人のわたしたちにとってはひどく難しい名詞の性の区別が、こんな幼い頃からすでに定着しつつあることを知って、興味深いなと思ったのでした。

関連記事へのリンク
- イタリア語文法の習得にも脳が自然に覚えやすい順序がある(1)~メルマガ第110号から

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-08-12 23:59 | Lingua Italiana | Comments(2)

イタリア語文法の習得にも脳が自然に覚えやすい順序がある(1)~メルマガ第110号から

 赤ちゃんがまずは座ることを覚え、はいはいができるようになって、そうしてやがては立ち、歩くことができるように、言語を習得するにも、学校などでの学習なしに生活しながら自然に習得する場合には、文法事項はこういう順序で身につけていくという順序があります。

 イタリア語についても、もう長い間、主に、イタリアで仕事をしながらイタリア語を習得した移民を対象にして、さまざまな文法事項について、その自然な習得順序(ordine naturale dell’acquisizione)の研究が行われ、その研究結果が分かってきました。語学教育の介入なしに自然に覚える順序こそ、学校や独学で学ぶ学習者にとっても最も習得しやすいはずと考えられ、この習得順序は、イタリア語教育法を専門とする大学では、もう長い間学習対象となり、また、この順序を取り入れて学習内容を編成する教科書も、イタリアではすでに何冊も発行されています。

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 そうして、実はこの順序こそ、わたしがまだ日本では知られていないだろうけれども、日本のイタリア語学習者の多くの方に役立つはずだからお伝えしたいと、2008年12月にこのイタリア語学習メルマガの発行を決意した理由の一つでもあるのです。関連の数冊の本や授業のノートを見直して整理してから体系的にと考えていたら、先延ばしにしてここまで来てしまいましたが、皆さんが興味があるのは、この学問ができたいきさつや研究の過程ではなく、実際に学習を助けてくれる「自然に覚えやすい習得順序」の数々だと思い、今日はいよいよ、そのうち動詞の法・時制に関する順序についてお話しします。手近にある本のうち、皆さんにもよく分かるように、学習者に分かりにくい表現は省いて、簡潔にまとめてある本から、その順序を引用します。

 "presente > ausiliare + passato prossimo > imperfetto > futuro
( > condizionale > congiuntivo)"

(P. Barki et al., “Valutare e certificare l’italiano di stranieri. I livelli iniziali”, Guerra, Perugia 2003)

 実際の研究結果を踏まえて、読者の皆さんに分かりやすいように訳すと、こうなります。

 「直接法現在 > 近過去 ([助動詞+] 過去分詞) > 直接法半過去 > 直接法未来
 ( > 条件法 > 接続法)」

 さらに分かりやすいように、該当する動詞の法・時制の例によって順序を示すと、こうなります。

 Paolo studia > Paolo (ha) studiato > Paolo studiava > Paolo studierà
 (> Paolo studierebbe > Penso che Paolo studi)

 さて、こと動詞の法・時制に関しては、この習得順序が、自然に習得した場合にも、学校に通ったり本で独学で勉強した場合にも、普遍的な順序であること、つまり、左にある法・時制が身につかなければ、その右の形は身につかない、この順序に従ってのみ習得が進むということが分かっています。ただし、ここで言う「身についている」とは、教科書や授業で勉強して、試験に受かるという程度の身につき方ではなく、実際にイタリア語による意思疎通の中で、話しながら適切に用いる力が身についているということです。

 イタリア語を学習し始めた人には、英語なら現在形では、

 I/you/they study - He/she studies

と、動詞については二通りの活用しかないのに、イタリア語になると直接法現在で、

 io studio / tu studi / lui,lei,Lei studia / noi studiamo / voi studiate / loro studiano

と、主語の人称と単複に応じて、六つの変化があるのに、驚いて大変だと思われた経験を持つ方が、多いのではないでしょうか。

 イタリア語を学校で学ばず、入門書も持たぬ人が、イタリア語の波にもまれながらイタリア語を学ぶと、まずは相手が言わんとすることを理解しよう、相手に思うことを伝えようとするために、伝える内容の骨子に関わらない文法的な細部にはこだわらず、意味を伝える核の部分だけをまず記憶して、使うようになります。

 イタリアに暮らしながら、Studiate「(皆さん)勉強してくださいね。」、Lei studia molto「あなたはよく勉強しますね。」、Studiavo il francese「フランス語を勉強していたんです。」などと、さまざまな法・時制でstudiareという動詞が使われるのを見たり聞いたりするうちに、語尾変化は無視して、このすべてに共通するstudiaという部分だけを脳が取り出して、「学ぶ」という意味の動詞として認識し、ありとあらゆる状況で、まずは現在だろうと過去だろうと主語が何人称だろうと、そうして人数に関わらず、自分が「学ぶ」の意味だと認識したこのstudiaという形を使って、話をしていくというのが、暮らしの中で自然にイタリア語を身につけていく人が、最初に習得する動詞の形の用法で、ですから、これは正確には「現在形」ではなく、他の書籍では、forma basica(「基本形」とでも訳せるでしょうか)と記されています。ちなみに、動詞に活用形がない中国語を母語とする学習者などは、不定形(今例として挙げている動詞を使えば、studiare)を、この段階で文を作るときに使うそうです。(Maria G. Lo Duca, “Lingua Italiana ed Educazione Linguistica. Tra storia, ricerca e didattica”, Carocci 2003, Roma)

 皆さんも、旅行のときなどに覚えがあるでしょうが、外国語の中で暮らすと、形よりもまずは伝えることの方が大切と、とにかくまずは「言わんとすることを伝えよう」ということに焦点を当てて、コミュニケーションを取り、また言葉を学ぼうとするのであって、意思疎通がまがりなりにも図れるようになり、その言葉をサバイバルに使えるようになって初めて、「では文法的にももっときちんと、正しく話せるようになりたい」と、活用語尾や不規則変化などにも、目が向いていくのです。ただし、これは、「言いたいことが伝わって、生活に不便がないからこれでいいや。」と意識しないにせよ、心のどこかで思ってしまって、学習言語、ここではイタリア語の化石化(fossilizzazione)が起こっていない場合の話で、化石化が起こると、いくら長い間イタリアで、イタリア人に囲まれ、イタリア語を使って暮らしていても、イタリア語の力が、まだまだ改善の余地が大いにあるのに、それ以上は伸びなくなってしまいます。

 ただ、逆に言うと、これは、日本のイタリア語学習者の方にとっても、警告かつ朗報になります。外国語の力が真の意味でつくということは、決して単語をたくさん覚えることでも、動詞の活用を正確に暗記することでもなく、必要なときに、いかにその外国語を使って、状況を切り抜けることができるかということです。ということは、初級の段階では、活用をしっかり正確に覚えることももちろん大切ですが、間違ってもいいから、自分の言わんとすることを、今自分の中にある外国語の知識や力を総動員して、相手に伝えよう、状況を解決しようと、言葉をつむぎだしてみる、そういう機会を積み重ねることこそ、本当に使えるイタリア語が身についていくということなのです。何年イタリアに暮らしていても、動詞studiareの活用はすべてstudiaで済ませてしまう移民もいて、それはそれで困るのですが、いくら自動車学校で自動車の構造やメカニズム、交通規則を教わっても、実際に路上に出てみないと、いつまでたっても車を運転できるようにならないように、いくら入門書を読んでも、問題集を解いても、実用イタリア語検定対策の勉強をしても、イタリア語の歌を聴いたり、映画を見たり、本を読んだりして、イタリア語を学びつつ、楽しむための手段としても使ったり、友達を見つけて、イタリア語でメールや手紙を書いたり、日記を書いたり、旅行やイタリアの人との出会いの中で、イタリア語で話してみたりしなければ、つまり実際にイタリア語を、言語として活用する練習をしなければ、いつまでたってもイタリア語を真の意味で使えるようにはならないのです。

 以上が警告で、では朗報は何かと言うと、多少動詞の活用が間違っていても、言わんとすることは、皆さんが思っている以上に相手に伝わる可能性が高いということです。自転車でも、何度も転びながら、ようやく乗り回せるようになるのです。間違ってもいいし、間違う危険を冒しながら、どんどん実地訓練を積んでいかないと、イタリア語はきちんとものになりません。大丈夫、相手に伝わる、間違ってもいいんだ、書く回数・話す回数を重ねて、話せるようになるんだと、度胸を持ってくださって大丈夫だし、その度胸を持つことこそが大切なのです。

 習得初期の段階で、たとえばsutdiaという形を、すべての人称、そして現在・過去・未来のいずれの場合にも使って、イタリア語の会話で切り抜けていく移民の話をしていたら、わたし自身がイタリアに来て、初めて通ったマルケの私立語学学校で出会ったアメリカ人学生だちを思い出しました。

 母国の大学で経済を学び、イタリア語はゼロの状況で留学した若者たちは、けれどもできるだけイタリア語だけで会話をしようと頑張っていて、動詞の直接法現在をほぼ学び終えた頃、あるとき英語で真剣な顔をして、わたしに言いました。「これからはできるだけイタリア語だけで話そうと思う。まだ現在形しか知らないけれど、未来のことを話すときは、指で前を指しながら、過去のことを話すときは、指で背中の後ろを指しながら、現在形を使って話すからね。」

 移民たちがではどうやって現在形もどきの基本形だけで、指を使わずに、過去や未来についても話しているかと言うと、domani(明日)、dopodomani(あさって)、lunedì prossimo(来週の月曜日)、l’anno prossimo(来年)、 fra due anni(2年後)などという未来のときを指す言葉を使えば、未来のことだということが分かるのです。また、日本語でも、ほぼ確実な予定については、「来年大学を卒業します。」と言い切るように、イタリア語でも、そういう場合には、未来形ではなく現在形で代用する場合が多いのです。一方、過去の場合は、歴史的現在(presente storico)と言って、歴史上のできごとをあえて現在形で書く用法もあるものの、普通は過去の事実の記述には、過去形を用います。けれどもこれも、ieri(昨日)、la scorsa settimana(先週)、 tre anni fa(3年前に)、nel 2002(2002年に)といった過去のときを表す言葉を併用することによって、相手には過去のことだと伝わります。

 というわけで、間違ってもいいから話してみよう、過去形や未来形を知らなくても、話を通じさせる方法があるというところで、今日の記事は終わりにして、続きはまた次号でお話しします。

*終わりに
 すでにイタリア語学習メルマガの記事として、23日に発行した記事ではありますが、この自然な習得順序についての記事は、イタリア語のみならず他の外国語を学習する際にも参考になりますし、ずいぶん前から、できるだけ多くの日本の方にお伝えしたいと考え続けてきたことなので、あえてブログの記事としても発行することにしました。

 Yahoo!  ジオシティーズで作ったサイトに、104号までは過去記事を掲載していたのですが、最近システムの仕様が変わって、イタリア語のアクセント記号が記載できなくなり、さらにYouTube映像も載せられなくなったために、いまだに別の方法で、あるいは別のサイトに105号以降の記事を掲載することを検討中です。WordPressを使うべきか、自分にはとても無理か、新たにエキサイトブログを立ち上げるべきか、それとも、第1号から無効になったリンクを貼り直し、内容を見直し、かつ写真を加えて、少しずつこのブログ内に、メルマガ用の独立したカテゴリかタグを設けて、移行していくべきか、かなり長い間悩んでいるところです。というわけで、メルマガの次号が出たあとも、この記事は多くの方が目を通せる環境に置きたいという気持ちから、メルマガと記事が重複しています。ご了承ください。

*******************************************************
Da anni volevo scrivere sulle sequenze di acquisizione dell'italiano L2
per gli apprendenti giapponesi e finalmente ho iniziato!
Per primo, sull'acquisizione dei verbi.
  "forma basica (presente) > ausiliare + passato prossimo
  > imperfetto > futuro ( > condizionale > congiuntivo)
"
*******************************************************

LINK
イタリア語学習メルマガ・サイト
- イタリア語学習メルマガ第110号「イタリア語文法習得にも脳が自然に覚えやすい順序がある(1)、オリーブオイルで簡単サラダ、滞在許可証新情報」
*↑↑ メルマガの最新号試読&予約ページなので、次号発行以降には、新しい号の内容と切り替わります。
- サイト、「楽しくイタリア語学習・イタリア旅行 もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」
- イタリア語学習メルマガ「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」 バックナンバー 第1~104号
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-07-26 18:04 | Lingua Italiana | Comments(4)

美しいイタリア語と識字能力の低下

 イタリアの著名な言語学者でかつ元教育大臣であったトゥッリオ・デ・マウロ氏が、約10年前にペルージャ外国人大学で行われた会合で、イタリア人のイタリア語力の低下について講演をしたことがあります。確か、その講演では、日本語で言うと、ら抜き言葉や漢字の書き間違い・読み違いにあたるような間違い、標準イタリア語の規範からはずれる表現が、若者どころか社会人の間でも増えてきているということを、具体例を挙げながら説明されたのではないかと思います。氏は講演を、「こういう問題は、イタリア語が文法的にとりわけ複雑な言語なので起こるのでしょうか。」という言葉で締めくくりました。

 そのとき、ちょうど同大学で学士取得過程を卒業したばかりで、かつ日本語・日本文化を教える講師として働いていたわたしが、思わず挙手をして、わたし自身が日本の高校で12年間教えた経験と、おそらくは主に読書力の低下のために、その12年間に高校生たちの国語力の急降下がひしひしと感じられたことを説明し、ですから、国語力の低下は決してイタリアだけ、イタリア語だけの現象ではありませんと、発言しました。そうしたら、その後しばらくして、当時副学長だった、大学時代に「イタリア語教育法」を教わった恩師が、そばに来て、言ってくれたのです。

 デ・マウロ教授がさっきわたしに、「あの美しいイタリア語を話す日本人女性はだれですか。」って驚いて尋ねたのよ。「わたしたちの教え子で、今は同僚でもあるんですよ。」と答えたのよ。

 イタリア語について、「上手に話す。みごとなイタリア語を話す。」と、それが日本人であるにしてはであるにせよ、ほめられることは少なくないのですが、このときは、それがイタリアでも著名な優れた言語学者であり、かつ、イタリア人におけるイタリア語の話し言葉・書き言葉の乱れを嘆く発音をされた直後に、ですからそんなふうに、きわめて注意深くイタリア語の文法や語彙、表現法にも気を配りながら聴かれたであろう氏が、そう言ってくださったと知って、本当にうれしかったです。

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 氏のこの著作は、その後、シエナ外国人大学の外国語としてのイタリア語教育法を専門とする大学院課程に通ったとき、授業の教科書として購入し、読んだものです。

 昨日からの新しいブログのタイトル、「美しいイタリア語・日本語屋 なおこのブログ」は、このデ・マウロ氏の言葉をありがたく思い、そういうイタリア語をこれからも話し、書いていきたいし、教えていきたいという気持ちと、イタリア語・日本語という言語そのものの美しさをかけています。

 日本語についても、イタリア語についても、きれいに書いて話すと、いろんな方に言っていただけるのは、どちらの言語についても言語学や文法を、大学の授業などで、社会言語学から歴史言語学まで多岐にわたって学んだということに加えて、文学作品を中心として、多数の本を読んできたおかげだと思っています。


 最後に、関連映像として、デ・マウロ教授が、イタリア・世界における識字能力の後退について、特にイタリアに焦点をあてながら解説している番組のYouTube映像をご紹介します。大学卒業後の識字能力の後退は、イタリアのみならず、韓国・日本・フィンランド・オランダでも激しいと説明しています。

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Nel 2006 durante un convegno presso l'Università per Stranieri di Perugia, il grande linguista, il prof. Tullio De Mauro ha parlato delle difficoltà dell'educazione linguistica in Italia e ha concluso il suo discorso domandando se tali difficoltà fossero dovute alla peculiare complessità della lingua italiana. Poco dopo ho alzato la mano e detto - riporto qui la sintesi: "Gli stessi fenomeni stanno succedendo - vale a dire, gli allievi hanno sempre meno competenze della lingua materna anche nelle scuole giapponesi e li ho visti con i miei occhi come insegnante. Secondo me sono dovute soprattutto alla mancanza della lettura."
Dopo la prof.ssa Ciliberti mi si è avvicinata e sorridendo, mi ha raccontato che il prof. De Mauro le aveva chiesto: "Chi è la ragazza giapponese che parla un bellissimo italiano?" e che lei gli aveva risposto che ero ex studentessa e docente dell'ateneo.
Queste parole non le ho sentite io direttamente, ma sono tuttora uno dei complimenti a me più graditi e mi rendono ancora lieta e fiera :-)))
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-03-21 22:09 | Lingua Italiana | Comments(12)

イタリア語手作りゲーム、子どもにも日本語学習にも

 今は大きくなった姪っ子たちが幼かった頃、日曜日の大家族での昼食後、義弟夫婦は散歩に出かけ、わたしと夫が姪たちの遊び相手をするということがよくありました。数時間の長丁場になるのですが、好きなように絵を描き、カードやボールで、あるいは外に出て遊んでいても、しばらくすると、二人のうち一人が、飽きてしまい、別のことをしたがります。

 それで、物置きにある包装紙で衣装を作ってみたり、段ボール箱にちらしの商品を切り抜いて貼りつけて家を作ってみたりと、いろいろ工夫をしてみたのですが、そうやって思いついた遊びの中で、これはよかったなというものの一つが、こちらの姪たち手作りのカードゲームです。

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 10年近く経った今も、姪たちが喜んで遊ぶ、大切な思い出のゲームになるとは思いもよらず、その日、わたしはふと思いついて、物置きと化したガレージから、不要な段ボール箱を掘り出して、ハサミで切り分け、トランプのカードほどの大きさのカードをたくさん作りました。

 そうして、確か、二つ下の妹娘はまだ保育園でアルファベットを習っている最中だったそのとき、姪たち二人に、「Aで始まる言葉には何がある?」と尋ねては答えさせました。そうして、わたしがあらかじめ青いペンで小さくAと記した4枚のカードに、姪たちが答えた、Aで始まるものの絵を、描くように言いました。カードに実際にかくその前から、姪たちの記憶力と想像力・創造力が羽ばたき始めます。

 ミツバチ(ape)を描くのに、太陽や花、大地の絵も添えてあるのがかわいらしいです。ほかにも、姉娘の名であるアレッシア(Alessia)飛行機(aereo)オレンジ(arancia)など、イタリア語のaで始まる単語とその絵が並んでいます。ARANCIAがわたしの筆跡なのは、当時の姪たちには、まだどう書いていいかが分からなかったからではないかと思います。

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 同様に他の文字についても、絵と言葉を4枚のカードにかかせました。今ガレージで見つけた袋にはどういうわけかAは4枚ずつあるのですが、他のカードは3枚ずつしかありません。3か月ほど前に姪たちと久しぶりに遊んだときには、ほぼすべてのカードが4枚ずつあったので、どこに消えたのかなぞです。

 Bとして姪たちが思いついたのは、泡(bolla)踊り子(ballerina)男の子(bambino)です。泡の絵をかこうとは、わたしの頭では決して思いつかなかったでしょう。子供の頭の柔軟さと発想の自由さを、改めて思います。

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 Cのカードには、(小さい)お肉(ciccicina)サクランボ(ciliegia)、ウンブリアではトルコロと呼ばれるリンク状のケーキ、チャンベッラ(ciambella)が登場します。

 右手の紙にわたしが大文字で、DONNA、CICCINAと書いているのは、Cのカード以降は、姪たちがそのときは書き方を知らなかった言葉も、カードには姪たち自身に直接書かせることにしたからだと思います。自らの手で書き写せば、すでに音声も意味も知っていた言葉のつづりが頭に入りやすいはずです。

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 Dのカードには、ドゥオーモ(duomo)女性(donna)固形ブイヨン(dado)が並んでいます。

 ドゥオーモと聞いて、日本の皆さんが思い浮かべるのは、フィレンツェやミラノのドゥオーモではないかと思うのですが、姪の描いたドゥオーモは、そういう大聖堂やイタリアでよく見かける教会とは若干違う形をしています。

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Duomo di Todi @ Carnevale Medievale 19/2/2012

 鐘楼の位置こそ違うものの、姪たちが住むトーディのドゥオーモを、どうだったかなと思い出しながら描いたら、こんなふうになったのではないかと、わたしは想像しています。こんなふうに角ばっていて、長い大きな階段が手前にあるドゥオーモは、あまり見かけないからでもあります。写真は4年前、中世の謝肉祭が催されたときに撮影したものです。(下記リンク参照)

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 Eのカードには、象(elefante)ヘリコプター(elicottero)草(erba)が描かれています。Eの文字カードの下にある紙に、わたしが象の絵と単語をかいているのは、姪たちがどうかいていいか分からないと言っていたからでしょう。

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 Fのカードには、イチゴ(fragola)キノコ(fungo)蝶(farfalla)が並んでいます。ここでもやはり、どうかいていいか分からないという姪たちのために、わたしがfragolaのつづりや、蝶の絵を、お手本としてかいています。

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 Gのカードに描かれているのは、キリン(giraffa)猫(gatto)ゴリラ(gorilla)です。猫の絵がひどく小さいので、一瞬どうしてかしらと考えたのですが、両脇に大きいキリンとゴリラが並んでいるので、カード内の絵にも、動物たちの実際の大きさの違いを反映させたのではないかと思いつきました。

 左手にキリンの顔をわたしが描いたのは、姪たちに助けを求められてのことだと思うのですが、姪のかいたキリンの胴体の大きさが興味深いです。小さい姪たちが下からキリンを見上げたとき、はるか上方にある長い首よりも、まぢかに見えた胴体の大きさの方が印象に残ったのかもしれません。

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 Iのカードに並ぶのは、カバ(ippopotamo)漏斗(imbuto)火事(incendio)で、incendioやgiraffaも、つづりが難しかったようで、わたしが紙の裏に書いています。義家族宅でもうちでも、オリーブオイルや酢は自家製のものを、大きい容器から小さい容器に移し替えるので、何かと漏斗が活躍するため、姪たちはIと聞いて、すぐにimbutoを思い浮かべたのだと思います。

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 イタリア語の従来のアルファベットは21字なのですが、カード作りはAからIまでの8文字で終わっています。Iに続くJとKは、W・X・Y同様、本来イタリア語には存在しない文字で、外国の地名・人名・自動車のバックナンバーなど、使われる用途がごく限られています。さらに、すでに完成したカードだけでも、十分に遊んで楽しめるので、これ以降は作るのをやめてしまったのではないかと思います。

 遊び方には主に2種類あります。かつてはどの文字も4枚ずつカードがあったので、すべてを裏返しにしてきれいに並べ、トランプの神経衰弱のように、一人ひとりが順に2枚ずつカードを表に返していって、2枚目に開いたカードの文字が1枚目と違えば、再びカードを裏返して並べ、開いたカードの文字が2枚とも同じであれば、2枚は開いた人のものとなり、文字の組み合わせが同じである限りは、同じ遊び手が続いてどんどんカードを裏返していくことができる、そんなふうにして遊びます。

 もう一つの遊び方は、最初に、写真の左下に重ねてあるアルファベットの文字だけを書いた小さいカードを、遊び手が一人1枚ずつ裏返した山の中から取って、その後、絵を描いたカードを山にしてテーブルの中央に並べ、皆が順に1枚ずつ開いていって、文字カードと同じ文字が書かれたカードを最初に4枚集めた人が勝ち、というものです。

 きわめて単純なゲームなのですが、絵や文字をかき始めても、何かこれをかくという目的がないと飽きる上、まだ字や言葉が書けない時期に、書くことや描くこと、そういう作業を通して学ぶことを、子供たちが楽しめる上に、後から遊ぶときにも、自分たちが自らの手でかいた絵と文字なので、その絵や言葉を見るという楽しみが、遊びと学びに加わって、姪たちは、作るときも、作ったカードで遊ぶときも、とても楽しそうでした。

 高校生、中学生になった今でも、幼い頃に自分たちが作ったカードが懐かしく誇らしいのか、時々カードを物置きから引っ張り出してきては、いっしょに遊ぼうと誘ってくれて、遊ぶときには本当に楽しそうです。日本語・イタリア語を勉強中のお子さんがいる方や幼稚園や小学校で英語を教える方の参考になればと、ふと思いついて、懐かしいカードを掘り出して、記事を書いてみました。ところで、失われたカードたちは、どこに行ったのでしょう。大切な宝物なので、探し出さなければ。

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Sono i Giochi di Memoria che le nostre nipotine
hanno creato con noi circa 10 anni fa.

"Ditemi le parole che iniziano con A."
"Allora, dipingerete un'ape."
Si divertivano, imparavano anche mentre creavano le carte e
anche ora quando frequentano liceo e scuola media,
ogni tanto a loro viene la voglia di giocare con queste carte insiema a noi
e sorridono guardando le carte fatte a mano da loro stesse.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 中世の謝肉祭、トーディ / Carnevale Medievale, Todi (20/2/2012)
- 食後は歌とScarabeo / Scarabeo con le nipotine (30/11/2010)
- クリスマスの1日 / Scarabeo Hello Kitty (25/12/2010)
- トランプで日本語学習 / Carte da gioco per insegnare i numeri e le ore in giapponese (26/2/2013)
- 外国語、数字も時刻も難しい / Numeri – Giapponese VS Italiano (13/5/2014)
- 世界の中心、フォリンニョ? ~ 言語名、その国の人の言い方を練習するための日本語のカード (29/1/2013)

参照リンク / Riferimenti web
- Scarabeo イタリア語版スクラブル、単語を並べて特典を競うゲーム
- Scarabeo Hello Kitty イタリア語版スクラブル、ハロー・キティ版
- Mattel Y9596 - Mattel Games Scrabble

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-03-18 20:18 | Lingua Italiana | Comments(12)

おもしろ看板、イタリア語ことば遊び

 見たとたん、これはおもしろいとにやりとして、すぐに写真を撮りました。何の店かは絵を見れば、イタリア語が分からなくても、想像できることと思います。

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 左手に牛、右に豚さんの絵があり、その下に包丁が描かれていますので、肉屋であることは、想像できることでしょう。

 イタリア語で、voglia di…は「~がほしい気持ち」、carneは「肉」という意味なので、voglia di carneは「肉がほしい気持ち、肉が食べたい気持ち」という意味なのですが、わたしがうまいなと思ったのは、左手に書かれている「80」という数字です。

イタリア語で数字の「80」はottantaなので、80 voglia di carneと書いて、

  “Ho tanta voglia di carne.”
  (日本語に訳すと、「わたしはどうしようもなく肉が食べたい気持ちだ。」)

と読ませているのが、おもしろいなと、思わず笑ってしまったのです。

 Hoは、英語のI haveに相応するイタリア語の表現です。イタリア語ではHは文字があっても読まないのはよしとして、80にはottantaと、子音のTが二つあるのに、Ho tantaにはTが一つしかないと思ったのは鋭い方です。

 ところが、文字上はTが一つ足りないように見えても、発音はこれでいいのです。

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I miei appunti della lezione della Fonetica e Fonologia del gennaio 2003
@Università per Stranieri di Perugia

 と言うのも、イタリア語では、たいてい表記と発音が一致しているのですが、たまに子音が一つしか書かれていなくても、発音するときは二重に、二重子音として読む場合があり、Ho tanta voglia di…の、Tは、その例にあたるからです。

 上の写真は、ペルージャ外国人大学の音声学・音韻学の授業中に、わたしがノートに書き記したものです。標準イタリア語(italiano standard)では、前置詞aや動詞ho、vaの次に来る単子音は、表記上は子音が一つしかなくとも、こんなふうに二重子音として発音し、こういう現象をイタリア語で、raddoppiamento fonosintattico (rafforzamento fonosintattico)と言います。

 ただし、表記がされないために、実際に自分が二重に発音していることに気づいていないネイティブ・スピーカーも多いはずです。さらに、二重子音というものが存在しない北イタリアに生まれ育った人は、cassaなど子音が二重でもSを単子音として発音するくらいですから、もちろん表記が単子音であるのに二重に発音することはなく、a meをammeと発音するのを聞くと、南部の方言だと思う人さえいるそうで、こうノートに記録してあります。

 イタリア語で、後続語の語頭に来る子音の発音を二重にする言葉には、ほかにもsopra、caffèなど、いろいろあります。そうして、

  a me 「わたしに」 / ho fame 「私は空腹だ」 / va bene 「いいですよ」

のように、単語が二語に分かれたままである場合には、表記上の子音は一つにとどまるのですが、

  sopra + tutto → soprattutto 「とりわけ」
  caffè + latte → caffellatte 「カッフェッラッテ」

などの例に見るように、もともと二語だった言葉がくっついて複合語に生まれ変わるときには、表記も発音を反映して、子音を二つ書くことになります。

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Da www.treccani.it

 看板は、シビッリーニ山脈の眺めが美しいマルケの町、

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Amandola & Panorami dei Sibillini 14/2/2016

アマンドラ(Amandola)を散歩中に見かけました。

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Umorismo nell'Insegna :-)))
 @ Amandola (FM), Marche 14/2/2'16
80と書いてHo tantaと読ませる! 座布団10枚
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
umorismo
- ダンテ地獄の入り口で@ユーモア博物館 / Dante all’Inferno @ Museo dell’Umorismo, Tolentino (5/3/2016)
Amandola
- びっくり串刺しチョコいちご / Spiedini sorpresa @ Amandola (15/2/2016)
- シビッリーニを望む部屋 / Terrazza con vista Sibillini (4/8/2015)

参照リンク / Riferimenti web
caffellatte
- Treccani.it – Vocabolario - caffellatte
raddoppiamento fonosintattico
- it.wikipedia – Raddoppiamento fonosintattico
- Treccani.it – Enciclopedia – Raddoppiamento sintattico
- Corriere della Sera – Raddoppiamento Fonosintattico

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-03-10 23:59 | Lingua Italiana | Comments(13)

フィレンツェ美探訪~イタリア語学習メルマガ第107号

 大規模な改装を経て、昨年10月に再開したフィレンツェのドゥオーモ付属博物館(Nuovo Museo dell’Opera del Duomo a Firenze)では、所蔵する豊富な芸術作品やドゥオーモ広場建造物群の歴史や建築過程を語る史料を、より多く、より作品の価値や意義を引き立てる形で展示しています。

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Altare d’argento del Battistero di S. Giovanni 28/1/2016

 銀の装飾がみごとで美しいこの祭壇は、聖ジョヴァンニ洗礼堂の祭壇で、博物館2階の宝物室(Sala del tesoro)にあります。フィレンツェの守護聖人である聖ジョヴァンニ(San Giovanni)の人生を描く羽目板12枚を制作するために、なんと400kg以上もの銀が用いられたとのことです。

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 新しい博物館で特筆すべきことの一つに、14世紀に大聖堂ファサードを飾っていた装飾を実物大で再現した広間があり、

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Modello in legno della Facciata trecentesca del Duomo

そのため、改装を手がけたOpera di Santa Maria del Fioreが発行するニューズレター、Opera Magazineも、昨年11月には、再現された14世紀のファサードを取り上げ、詳しく説明しています。

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http://operaduomo.firenze.it/blog/posts/la-facciata-trecentesca-della-cattedrale-di-firenze

 おととい発行したイタリア語学習メルマガでは、この記事を学習教材として利用しています。

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http://archives.mag2.com/0000280229/

 興味のある方は、ぜひご覧ください。次号の発行までは、最新号として、次のまぐまぐの試読・登録ページから読むことが可能です。
- まぐまぐ – メルマガ「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」 最新号

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Altare d'argento del Battistero di S. Giovanni (foto) e
tanti altri tesori & curiosità @ Nuovo Museo del Duomo di Firenze 28/1/2016

Nel nuovo numero (n. 107) della mia newsletter per i giapponesi interessati alla lingua e cultura italiana, il materiale didattico è un articolo di Opera Magazine del 20/11/2015. Attualmente ci sono 703 lettori. Per leggere l'ultimo numero↓↓
http://archives.mag2.com/0000280229/
Per leggere l'intero si deve cliccare le lettere blu o una freccia
che si trovano dopo una decina di righe.
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関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- 秘蔵のフィレンツェご招待1 洗礼堂と美しいモザイク / Evento per Fotoblogger a Firenze 1. Battistero di San Giovanni (19/10/2013)
- フィレンツェドゥオーモびっくり顔なし300年@ブロガー再招集2 / Curiose Faccende della Facciata del Duomo di Firenze (19/2/2016)
- 大理石とダイナマイト@フィレンツェブロガー再招集3 / Duomo, Dinamiti & Marmo di Carrara (29/2/2016)
- まぐまぐ – メルマガ「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」 最新号

参照リンク / Riferimento web
- Opera Magazine – Curiosità. La Facciata trecentesca della Cattedrale di Firenze
- Il Grande Museo del Duomo, Firenze – Museo – Opere principali
- Il Grande Museo del Duomo, Firenze – Museo – Sala del tesoro, primo piano
- Il Grande Museo del Duomo, Firenze – Museo – Galleria della Cupola, primo piano

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-03-02 18:31 | Lingua Italiana | Comments(8)

イタリア探偵日本上陸、ドン・マッテーオ&モンタルバーノまもなく放映

 2月13日土曜日から、AXNミステリーで、ドン・マッテーオに加えて、モンタルバーノも放映されるそうです。モンタルバーノは、いつものシリーズに加えて、イタリアでも近年放映されたばかりのまだ若い頃のモンタルバーノが活躍するシリーズも放映されるとか。

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Dal sito, http://www.myjcom.jp

 PDFの2月番組表(リンクはこちら)を確認すると、3番組ともイタリア語音声のまま、日本語字幕つきで放映されるとのことです。特にドン・マッテーオは、見て楽しい番組である上に、入門から上級にかけて、すべてのレベルのイタリア語を学習する方にうってつけの学習教材になると思いますので、興味のある方は、わたしはAXNミステリーの回し者ではありませんが、もしそれほど視聴料金がかからないようであれば、ドン・マッテーオが放映される1か月の間だけでも、契約と視聴をおすすめします。(↓↓次のRai.tv上の『Don Matteo 7』の予告編映像は、Raiが挿入する30秒の広告の後に始まります。)


 イタリアの日常生活を描く場面が多いため、さまざまな慣習や行事、食生活などについても、グッビオの美しい町並みや風景、ドラマを楽しみながら知ることができます。ウンブリアは、現代イタリア語の基盤となる文学的傑作を産み出したフィレンツェに近い上、ローマやナポリ、トスカーナと違って、方言が全国に知られていないことや、シチリアなど、他の地方や外国の出身であっても、神父や警察関係者など、改まった場、方言が違う人どうしの会話になりやすいことから、番組で話されるイタリア語も標準イタリア語に近く、方言や俗語・若者言葉があふれる他のイタリアのテレビドラマや映画に比べて、はるかに聴き取りやすいはずです。

 次のページには、こうしたイタリアの推理ドラマ3作品を紹介する映像へのリンクがあります。1分間と短いので興味のある方はご覧ください。
- MY J:COM – AMNミステリーHD – 今月の注目番組 世界が絶賛! “2大”イタリアの名探偵 モンタルバーノ、マッテオ神父

 これらの番組を制作するRaiが近年になって、すでに放映した番組の映像を、YouTubeに載せるよりも広告つきで自社サイトに載せて広告料を稼ごうと方針を変更し、視聴者獲得のための番組広告など若干の映像を除いては、YouTubeにRaiの映像を削除するように求めているようです。そのため今回は、イタリア国外でも見られるものと願いつつ、Raiの過去の放映作品映像リストへのリンクをご紹介します。

・現在イタリアで放映中のDon Matteo 10 - Don Matteo.Rai.it - HOME

・2月13日から日本放映予定のDon Matteo 7 - Rai.tv – Don Matteo 7

 モンタルバーノについては、ひょっとしたらと思って探したら、英語版ドン・マッテーオの放映権を持つらしき会社の予告編が見つかりました。英語字幕つきのイタリア語音声です。


 イタリアではずっと後から放映された青年時代のモンタルバーノの予告を先にご紹介したのは、シチリアの美しい風景やシチリア独特のイタリア語のイントネーション、主な登場人物が、こちらの方が分かりやすいからです。

 一方、ベテランとなったモンタルバーノが活躍する従来のシリーズの予告には、銃撃戦や残酷な場面も入っています。


 先週はフィレンツェ滞在中で、ドン・マッテーオを見過ごしてしまったので、次回の放映がある明日の晩までに、先週分の映像を、Raiのサイトで見ておくつもりでいます。日本の皆さん、Raiのサイトの作品映像を、日本からでも見られるかどうか、教えていただけると助かります。

関連記事へのリンク / Link agli articoli correlati
- ドン・マッテーオ2月日本上陸、Don Matteo 10は1月から / Don Matteo alla tv in Giappone e in Italia (23/12/2015)
- 大好きDon Matteo / Don Matteo & Gubbio (6/2/2012)

参照リンク / Riferimento web
- MY J:COM – AMNミステリーHD – 今月の注目番組 世界が絶賛! “2大”イタリアの名探偵 モンタルバーノ、マッテオ神父
- AMN Mystery – 2月放送 世界が絶賛! "2大"イタリアの名探偵

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2016-02-03 16:53 | Lingua Italiana | Comments(10)

イタリア語学習メルマガ第104号発行、読者700人達成

 先ほど、イタリア語学習メルマガの第104号を発行しました。先日ご紹介した映画予告編のうち13秒分について、聴き取り、書き取り問題として取り上げ、簡単な語彙・文法の解説もしています。

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http://www.geocities.jp/naoko_ishii/vol104.21_12_2015.html

 イタリアのクリスマスやプレゼーペ、学習にも役立つイタリア語のクリスマスソングについては、メルマガでもブログでもたびたび説明していますので、今回は、そうした過去の記事の中からこれはという記事を選んで、リンクを張ってご紹介しました。

 のんびりのんびり発行しているメールマガジンも、おかげさまで少しずつ読者数が増え、現在700名となっています。最近登録された読者の中には、以前の記事をご存じない方もいるだろうと考え、また、長年愛読してくださる方のために重複を避けて、そういう形を取りました。

 今号で紹介しているイタリア語のクリスマスソングを、こちらの記事でもご紹介します。


 ラファエロが師と仰いだ画家、ペルジーノの描いた祭壇の前で、コルチャーノの合唱団が歌っています。夫が創立以来所属していた合唱団は、残念ながら、数年前に解散してしまいました。


 一方、こちらは、『ホワイトクリスマス』のイタリア語版です。この2曲は、どちらも過去にイタリア語の学習教材として取り上げています。興味のある方はぜひ聴いてみてください。

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Ho pubblicato il numero 104 della mia Newsletter destinata ai giapponesi interessati alla Lingua e Cultura Italiana.
Attualmente ci sono circa 700 lettori. Racconto come si festeggia il Natale in Italia con le foto e presento due canzoni di Natale: "Tu scendi dalle stelle" (nel filmato canta la Corale Tetium!) e "Bianco Natale". In questo articolo del Blog troverete i Filmati delle due Canzoni sopraccitate e il Link per il nuovo numero della Newsletter:
- http://www.geocities.jp/naoko_ishii/vol104.21_12_2015.html
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関連記事へのリンク
- 第104号、「映画予告編のイタリア語を聴き取ろう、クリスマスのイタリア」
- 第29号 「イタリア語のクリスマス・新年のあいさつとクリスマスソング」
- 第83号 「クリスマスと歌、『Bianco Natale』、重要3000語で95%、便利なオンライン多言語辞書」

Articolo scritto da Naoko Ishii

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by milletti_naoko | 2015-12-21 23:59 | Lingua Italiana | Comments(4)