「日本がアジアの覇者に」 ~イタリアのニュース記事から

 日頃はサッカーの試合を見ないわたしも、しばらく前から日本チームのアジア杯での健闘ぶりを知り、試合は見られないものの、ツイッターのタイムラインに流れる、緊張感あふれるつぶやきやゴールの瞬間の大歓声を通して、試合状況を間接的につかみ、応援していました。なかなか得点が入らないときには、ため息と緊張感いっぱいのつぶやきが、ゴールが入ったときには、喜びいっぱいの叫びが、いっせいにタイムライン上に並び、ツイッターを通して、試合を日本で観戦中の方と共有できることに、何だか不思議な驚きと喜びを感じました。

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La fioritura dei ciliegi – Kyoto Gyoen (Kyoto Imperial palace park) 27/3/09


 大健闘した選手の皆さん、そして、言葉も習慣も異なる遠い異国で、新しいチームを育てるのに、苦労も多かったであろうザッケローニ監督。そして、このチームを支えてきたすべての人々、おめでとうございます! そして、この感動をありがとうございます。

 日本の皆さんには、今回のサッカーアジア杯における日本優勝を、ザッケローニ監督の母国、イタリアで、どう報道しているかに、興味がある方も多いことと思います。昨夜の30分のテレビニュースは、自国および近隣の国の政治状況でもちきりで、午後8時半からのテレビニュース、TG2では、唯一のスポーツの話題が、リュージュの世界選手権の男子一人乗りで、イタリア人選手が優勝したことでした。

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 けれども、イタリア時間で昨夜のうち、つまりアジア杯終了の数時間後には、さまざまなイタリアのオンラインニュースが、すでに、ザッケローニ監督率いる日本チームの優勝を伝える記事を続々と発表していました。その中から今回は、イタリア有力紙のオンライン記事を、一つご紹介します。試合内容はすでに皆さんもご存じと思うので、ここでは割愛します。イタリア語を学習中のサッカーファンの方には、うってつけの学習教材になると思います。

”La Vittoria di Zaccheroni. Giappone campione d’Asia” -  Republica.it, 29/1/2011

「ザッケローニの勝利、日本がアジアの覇者に」(「 」内は石井訳。以下も同様。)

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 記事の最後に、日本の新聞からの引用として、監督の言葉が紹介されています。

 「最高のチームが成し遂げた優勝でした。全員が一丸となり、非常に強い代表チームを打ち負かしました。全員が疲れ切っていましたが、最後の最後まで、果敢にもちこたえるこができました。」

(前田に代わって李を起用したことについて)
 「代用は生易しいものではありませんでした。しかし、このチームがすばらしいのは、控えの選手でさえ活躍を見せてくれるところです。日本国民は、この代表チームを誇りに思うべきです。」

*最後の「べきです」はイタリア語本文ではdeveと書かれています。この補助動詞dovereには「…はずである」という「推定」と「…しなければならない」 という「当然」の、両方の働きがあるため、「この代表チームを誇りに思っているはずです」と訳すこともできます。ここでは、個人的に、「こんなにすばらしいチームなのですから、皆さん、ぜひ誇りに思ってください」と捉えて、上のように訳しました。

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 ザッケローニ監督については、こう描写されています。

 「ユヴェントゥスでの過去シーズンにおける監督業が期待はずれの結果に終わったあと、昨年8月に日本サッカー協会からの申し出を受け、新監督に就任したアルベルト・ザッケローニにとっても、大変喜ばしいことに違いない。自らの手に委ねられた代表チームが前途有望であることを、ザックは、対パラグアイ、グアテマラ戦との親善試合における勝利を、スタンドから観戦したとき、すでに悟っていた。そして、10月8日、メッシ率いるアルゼンチンの試合におけるデビューは、望みうる最高の、輝かしいものであった。」

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 日本の皆さんがすでにご存じのことが多いとは思いますが、イタリアでの報道に興味のある方が多いのではないかと思い、今回はまず、Repubblica.itの記事からお届けしました。

 実は今朝、イタリアでベテランのスポーツ解説者が書いた、非常に興味深い記事も見かけたのですが、無理をしたためか、少し風邪をぶり返しましたので、そちらはまた、後日ご紹介したいと思います。

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 桜の写真はすべて、一昨年3月27日に、京都御苑で撮影したものです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-30 19:10 | Giappone | Trackback | Comments(6)

ツナとポテトのあっさりグラタン

 しつこかったインフルエンザ(記事はこちら)も、幸い、普通の風邪程度の症状に収まってきました。体調が悪いので、買い物にも行っておらず、お義母さんが、「ビタミンCの補給に」とオレンジをたくさん買って来てくださったものの、家にある食材が尽きてきました。

 昨日の夕食のおかずにできそうな材料は、じゃがいも、ニンジン、玉ネギ、そして、ツナ缶。冷凍してあった肉や魚は、すべて食べてしまいました。こういうとき、ツナ缶は、強い味方です。インターネットで調べてみて、肉じゃがの代わりにツナを使ってもおいしいと分かり、では、と料理を始めようとするとしかし、夫から要望が出ました。

 「汁気のあるものではなく、オーブン(forno)で焼いた料理が食べたい!」

 二人ともインフルエンザを患っていたため、最近の夕食は、確かに具だくさんの温かいスープが多かったのです。と言われても、ロースト・ポテトはおなかにもたれるし、この寒い中ローズマリーを取りに行くのは、風邪引きの身には避けたい。

 というわけで、再度インターネットに向かい、料理の本を見比べて、お義母さんが作るsformato di patateのレシピも思い浮かべながら、ありあわせの材料を使って、「ええい、これならどうだ。」と、作ってみたのが、ツナとポテトのグラタンでした。勘と第六感に頼りきって作ったため、一体どういう仕上がりになるか、自分でも見当がつかなかったのですが、なかなかおいしく簡単にできたので、覚え書きも兼ねて、レシピをご紹介します。

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 夫も何を食べさせられることだろうと不安そうでしたが、オーブンで焼き上がったところを見ると、ほんのり焼き目がついて、おいしそう。食べたら、なかなかおいしいので、とても喜んでくれました。味が分からなかったので、写真は撮っていないのが残念。今は、昨夜食べ切れなかった小さな小さな一片(上の写真)が、冷蔵庫に眠るばかりです。

     ツナとポテトのあっさりグラタン

材料   じゃがいも    中2個
     玉ネギ      1/2~1個 
     ニンジン     1/2本
     ツナ        110g(総重量が80gのツナ缶、二つ分のツナ)
     牛乳        200ml
     パルミジャーノ    適量
     塩・こしょう      適量

*材料を見れば分かるのですが、バター・小麦粉・生クリームのたぐいは使用していない、きわめてあっさりした仕上がりになりますので、こってりしたものが好きな方は、他のレシピをお探しください。お義母さんから、sformatoを作るとき、カリフラワーならホワイトソースが必要だけれど、じゃがいもの場合は、牛乳だけでいいと聞いたので、じゃがいもがあれば、あえてホワイトソースは必要ではないと考えました。それに、病み上がりの身には、バターは重たいと考えたので使いませんでした。

1.玉ネギは千切りにし、じゃがいもとニンジンはタテに二つ割り(大きければ四つ割り)にしてから、細切りにする。

2.1をひたひたの水と火にかけ、沸騰してから、灰汁を取りながら、10~15分煮立てる。

3.ゆで汁を切った1を、オーブンの深皿に入れて、じゃがいもをつぶしたあと、同じ野菜だけが1箇所に固まらないように、よく混ぜ合わせる。

4.油を切ったツナを3と合わせ、よく混ぜ合わせる。

5.4の上に、さらに牛乳200mlを注ぎ、塩・コショウで味を調え、さらに、よく混ぜ合わせる。

6.牛乳がゆでたじゃがいもに十分吸収されるまでかき混ぜたら、パルミジャーノを上から、すりおろし、ふりかける。表面全体が薄くパルミジャーノの層で覆われるようにする。

7.6を200度に熱しておいたオーブンに入れて、20分間焼く。こんがりとした焼き色が全体についてきたら、できあがり。

 焼けてこんがりと香ばしいパルミジャーノがおいしいのですが、中身はとてもあっさりとして、ほとんどゆでたジャガイモかポテトサラダのような感じです。材料を見てもお分かりのように、ツナと牛乳の中に、油分・脂肪分が若干含まれているくらいで、それ以外の油脂は加えていません。

 いつもと同じ材料、あるいは家に常備してある食材で、少し変わったものを食べてみようというときに、ぜひお試しください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-30 11:52 | Gastronomia | Trackback | Comments(8)

カレンダーと言えば

 夫も自分の分の畑を持ち、手伝いはするのですが、我が家の野菜畑の主な働き手は、何と言っても、お義父さん。退職までも、ペルージャ市の職員として働きながら、かつ家にいる間は畑仕事に追われていたそうで、元気な限り、そして、雨が降ったり、地面がぬかるんだりしない限り、平日は、朝から日暮れまで、畑仕事に忙しそうです。お義母さんも、そして、リミニのフランコのお義母さんもなのですが、若い頃からの習慣で、常に働くことに慣れていて、皆、忙しく体を動かし続けるのが、空気を吸うように、当たり前のようで、頭が下がります。

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 先週は夫が体調を崩したものの、わたしはまだ元気だったとき、お義父さんから、「今日は畑を耕したよ。」と、会うたびに、仕事の進捗状況を聞いていました。この数日は、窓の中から、お義父さんが、オリーブやブドウの木を次々に剪定していく様子が見えます。(ただし、写真は昨年1月22日に撮影したものです。)

 1年の間にどう農作業を進めていくといいか、という暦は、夫が購入するいろんな本や雑誌にも書いてあるのですが、お義父さんが、畑仕事をする上で、参考にしているのは、どうも長年の勘とカレンダー、Calendario di Frate Indovinoのようです。

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 このカレンダー、とても便利にできていて、毎月の要となる日の天気の予想から、今月するべき畑仕事、笑い話、レシピ、おもしろ豆知識などなどが、小さい文字で、ところ狭しと、びっしり書き込まれています。

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 読み物としてもおもしろいので、わたしも夫も、あと少しでスープが煮えるけれども、まだ少し待たなければというときなどに、カレンダーのその月のページに書いてあることを、一人で黙って読んだり、どちらかが声を出して読んで、内容を二人で共有したりしています。

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 たとえば、最近読んで、わたしがうなったのが、赤で記したこちらの言葉。2月のページに書かれているのですが、わたしの方で日本語に訳すと、「民主主義をさらに信じ続けましょう。ただ、民は羊の群れと同じで、指導者についていく傾向があります。それも、しばしば間違った方向に向かって。」

 最近のイタリア首相のふるまいを思うと、そんなことには、なりませんようにと祈るばかりです。自分の非を指摘されると、相手を暴言でののしる、恐ろしい自己中心主義。テレビ出演者どころか、議員も大臣も、女性をまずは外見で選んでいるのではないかと思われるこういう在り方を、イタリア国民、特に若い人たちが真似ることが、決してありませんように。

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 こちらは、1月のページから抜粋しました。「ご存じでしたか?」(Lo Sapevate?)という言葉に続いて、暮らしに役立つ豆知識が書かれています。後半の、赤で印した部分に注目。「ガソリンスタンドで給油をするときには、携帯電話を消すのが、賢明です。可能性はごくわずかですが、万一ガソリンが流出した瞬間に、電話が鳴り出すと、ガソリンが炎上するかもしれないからです。」(石井訳) わたしは、これは知りませんでした。皆さんは、ご存じでしたか?

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 一方、日にちや曜日(頭文字で記載)が書いてあるところを見ると、月の満ち欠けと、その日がどの聖人を記念する日であるかが記され、さらに聖人の名前の下に小さく、ことわざや天気予報などが書かれています。たとえば、今日(イタリア時間)は、1月28日です。28という数字の横には、Vと、Venerdì「金曜日」の頭文字を使って曜日が記され、横にはこの日が記念日となる聖人の名前が並んでいます。

 下に書かれたことわざは、”Chi più ne ha… più ne vorrebbe”。訳すと、「人は持てば持つほど、よりほしくなるものである。」要するに、人間の欲望には際限がない、ということです。お互い、「足ることを知る」ように努めたいものです。

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 一方、こちらが各月に、必要な農作業などを説明してある部分です。お義父さんが、畑仕事や木々の剪定の参考にしているのは、こちらの「耕作者」(Coltivatori)と題された部分、そして、天気予報です。天気予報と言っても、1年が始まる前に出されるカレンダーに、天気予報が載せられるはずがない……と思われる方がおいでかもしれません。

 もちろん、毎日に詳しい天気が書かれているわけではないのですが、毎月、数日を選んで、天気予報が記されています。たとえば、2月11日の項には、「一時的に、気温が上がり、晴天が続く」と書かれています。農作業を準備し、進めなければいけない農民のために、17世紀の研究に倣って、気象観測を行い、目安となる年間天気予報を提供しているのです。このカレンダーを発案したFrate Indovinoに先見の明があったのは、気象衛星など存在しなかった1945年に、この年間の天気予報を提供することを思いついたことです。Frate Indovinoは日本語に訳しにくいので、それぞれの言葉を説明すると、Frateは「修道士、そして、修道士への呼びかけの言葉」。indovinoは「占い師、予言者」、何らかの方法で、将来を予測することができる人のことです。ペルージャ近郊の小さな村に生まれた修道士、Padre Mariangeloが、このニックネームを持つようになったのは、そのカレンダーの中で、みごとに年間の天気を言い当てていたからだということです。

 最初は定期刊行物の付録として発行されたこのカレンダーは、大成功を収め、以来毎年発行され、内容は年々充実し、今では、ペルージャだけではなく、イタリア全国、そして、海外にも、毎年のカレンダーの発行を楽しみに待つ人々がいるそうです。カレンダーを考案したFrate Indovinoは、すでに亡き人となっています。神父であった夫の亡き伯父と親交があったそうで、義父母は、故人と何度か出会ったことがあるそうです。けれども、Calendario di Frate Indovinoは、今も志を継ぐ人々が、毎年、カレンダーを発行し続けている上に、暮らしに役立つ情報をいろいろまとめた書籍も販売しています。

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 上の写真にある本は、題を訳すと、「もし~したら、どうすればいいか。うらない修道士の秘訣、忠告、解決法」となります。去年、本屋で見つけて、化学薬品を使わない、伝統的な染み抜きの仕方や掃除の秘訣などが書かれているのを見て、購入しました。外にもいろんな毎日役立つ実用的な知恵が書かれているのですが、こういうことは、実はカレンダーにも、毎月少しずつ説明があります。

 イタリア語を学習中の皆さんは、ぜひ、一度機会があれば、このカレンダーを購入してみてください。毎月時々、興味を引く言葉や文章を、辞書を調べながら、勉強するだけでも、力がつくこと間違いなしです。さらに、昔からの生活の知恵や人生の知恵を学び、笑って楽しむこともできますよ。

参考にした資料・リンク
・Calendario, ” 2011 - Nostra Signora della Fortuna di Frate Indovino”
Frate Indovino – La nostra storia
・"Come fare se… Segreti, consigli, rimedi di Frate Indovino”

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-28 23:23 | Notizie & Curiosita | Trackback | Comments(6)

生きるに値しない命

 発想は、昔話の『姥捨て山』。戦時中、経済的困難に陥った国の統治者の頭に浮かんだ恐ろしい政策。働かず生産しない人間のために費用を費やし、働く人々に回る金銭が少なくなるのを防ごう。そして、近代科学の曲解と悪用。遺伝病を負う人に不妊手術を強制し、また子供は抹殺することによって、国家が膨大な費用を、「無用な人間」のために浪費することをなくそう。

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 近代科学における遺伝学の発達。アメリカでは電話を発明したベルがまた、聾唖者に不妊手術を施して、耳の聞こえない子供が生まれないようにしようと提案。遠い遠いドイツで、ニュースを耳にしたヒトラーが、それを日記に書きとめ、やがて、遺伝学が進んだはずの、また精神病患者に対する療法も、世界的にみて発達したはずのドイツで、精神病患者や身体の不自由な人々、遺伝病を持つ子供たちが次々に、国家によって殺されてゆく。1939年から、戦後の1946年まで続いたこのT4作戦によって、数は統計によって異なるものの、30万人もの人々が殺されたことになります。

 ユダヤ人大量虐殺については、だれもが知っていると思うのですが、昨夜、イタリアのLA7、『AUSMERZEN. Vite indegne di essere vissute』(訳すと、『根絶する ~生きるに値しない命』)で、マルコ・パオリーニが一般には知られていない恐ろしい事実を、聴衆の前で、語っていました。(番組の紹介と予告の映像はこちら )。

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 子供の親たちは、自分たちのかかりつけの医師から、「危険性は高いものの、これまで治療不可能とされていた病気の治療法が見つかったので、もしお子さんに治療を施そうと望まれるなら。」との言葉を聞き、その言葉に希望を託して、子供を引き渡します。ところが、まずは近くの病院に運ばれた子供は、やがては遠方の病院に移され、そこで死を迎えることになるのです。

 これが遠い国に起こった過去の話だと思って耳を傾けないように、と、語りの途中、どこかでパオリーニが言いました。

 人間を人種・国籍などで差別する風潮がある限り、だれかが声高に叫ぶ声に、知らず知らずに、自らの判断力を失い、周囲に同調してしまう傾向がある限り、そうでなくても、人間、いつの時代にも、こうした恐ろしい大量虐殺の加害者に、そして、被害者になってしまう可能性があるのだということが、話を聞き進めるうちに、分かってきます。

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 500人の医師が、命を救うはずの、良識あるべき人々が、罪もない人々や子供、弱い立場にある人々を、次々と死に追いやり、それをただ「使命」だと感じる…… 

 だれの命も尊いのだということを、人が人を差別するのがいかにおろかなことかを、わたしたち一人ひとりが胸に刻み、子供たちに教えていかなければいけないと、つくづく思いました。

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 今日、1月27日は、イタリアでは、Giornata della Memoria。ユダヤ人の大虐殺・迫害、強制収容所に送られたイタリア人、そして、自らの命を顧みず、ユダヤ人を助けたイタリア人を、記憶に呼び起こす日です。1月27日が選ばれたのは、ソビエト軍がアウシュヴィッツの強制収容所を発見し、残り少ない生存者を解放した日だからです。

 人がいかに残酷なことをなしえるか、を心に刻み、二度とこうしたことが起こらないようにするためにも、大切な記念日だと思います。昨夜の、『AUSMERZEN. Vite indegne di essere vissute』も、この「追悼の日」を前に、実施され、放映されたのですが、RAI1で放映されたナポリ対インテルのサッカーの試合と重なる日時に、170万人の以上の視聴者が、こうした番組を視聴したという事実、こういう歴史を深く掘り下げ、社会に強く訴えるような深刻な作品を評価するイタリア人が大勢いるという事実を、とても心強く思いました。国営放送RAIには確かにすばらしい番組もたまにあるのですが、RAIや首相のMediasetで、娯楽的なあるいは、殺人を扱った番組がいたずらに多い中で、こういう良質の番組を創り上げ、視聴者に提供したLA7にも、拍手を送りたいと思います。

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 そういう理由で今日は、ユダヤ人迫害やホロコーストをテーマにした催し物が、イタリア各地で開かれ、テレビでもさまざまな関連の番組や映画が放映されています。午後は、同じくLA7で、『Train de vie – Un treno per vivere』という美しく、楽しくも哀しい映画が放映されました。イタリア語での予告編はこちらです。ちなみに、同じ監督の作品、『オーケストラ!』(リンクはこちら)も、すばらしい名画で、映画館で美しい音楽と共に繰り広げられる人間の悲喜劇に、一昨年だったかイタリアの映画館で見たとき、夫と二人で、映画を見てこんなに感動したのは久しぶりというくらい感動しました。

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 二度と悲劇を繰り返さないために、こうやって日を設けるのは大切なことだと思います。ただ、その一方で、ある特定の国・宗教の人、ヨーロッパ連合圏外の人が「犯罪者を犯しやすい」ような印象を抱かせるようなニュース報道、そうした人への差別を煽るような政治家の発言があることや、アフリカからイタリアを目指す人の中には、祖国では命に危険がある亡命者も多いのに、亡命の権利を認めずに、やみくもに国境で追い返そうとしていることが気になります。

 社会的に一番弱い立場にある人が、幸せに生きていける社会こそが、だれにとっても、本当に暮らしていきやすい世の中であるとすれば、イタリアにはまだまだ、課題が多いというのが現状です。

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 最後に、ユダヤ人迫害に関連するイタリアの名画を、二つご紹介します。『ライフ・イズ・ビューティフル』と『向かいの窓』。イタリア語の学習にも役立ちますので、興味のある方はぜひご覧ください。興味のある方は、こちらのイタリア映画の紹介ページを参考にしてください。

 昨夜、『AUSMERZEN. Vite indegne di essere vissute』を見逃したイタリア在住の方に。今日夜8時からのLA7のニュースで、「好評を博したので、見逃した人のために、土曜日の夜に再放送の予定」だと言っていました。ぜひ、ご家族でご覧ください。

 写真は、いずれも、夕焼けのラヴェルナ(La Verna)です。(記事はこちら

参考にした資料・リンク
LA7 - MarcoPaolini – Aspettando, AUSMERZEN. Vite indegne di essere vissute 
Wikipedia イタリア語版 – Giorno della Memoria
Corriere della Sera.it - «Ausmerzen»: 1,7 milioni di spettatori
per l'eugenetica nazista di Paolini


Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-27 22:35 | Feste & eventi | Trackback | Comments(8)

雪のペルージャ

 ペルージャでは、冬に雪が降ることはまれにあるものの、めったに雪が積もりません。この冬も気温が氷点下という日は何日もあり、雪がちらつくのは何度か見かけたのですが、地面に積もった雪はまだ見ていません。

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 というわけで、雪が降ったり積もったりすると、「これは珍しい」ということで、すぐにカメラを片手に、雪が降る様子や雪景色を撮影します。こちらは、2009年12月19日に家の窓から撮影した写真です。

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 この日は、中庭もすっかり白い雪に覆われていました。左手前に見える、青々とした葉に覆われている植物は、ジャスミンです。

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 午後にもさらに、雪が降りました。風が強いので、吹雪のような様相を呈しています。正面左手に見えるブドウの木、そして、右手に見えるオリーブの木も、舞い散る雪に覆われています。

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 この年は、3月21日にも、季節はずれの雪が降りました。

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 右手のミモザの花は満開で、すでに美しい黄色い花をたくさん咲かせていました。春の足音が聞こえ始め、暖かくなりかけた頃に雪が降ったので、驚きました。

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 こちらの写真でも、雪が降りつもったオリーブの木の向こうに、ピンクの花がいっぱいに咲いているアーモンドの木が見えています。

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 最後に、2007年12月16日に、雪の積もるテッツィオ山(記事はこちら)を散歩したときの写真を、ご紹介します。野山の草木の間に降りつもった雪には、独特の風情があります。

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 赤や緑の木の葉と、真っ白な雪が、お互いの色を鮮やかに引き立てています。

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 雪に落ちた葉もまた、趣があります。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-26 18:02 | Umbria | Trackback | Comments(2)


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


by なおこ

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Naoko Ishii
Insegnante di
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Interprete Traduttrice
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Interpretariato,
Traduzioni, contattate
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イタリア、ペルージャ在住。
日本語・イタリア語教師、
通訳、翻訳、ライター。

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