リラの花咲く家

 わたしの夫は、幼い頃から自然に囲まれた小さな家に住むことが夢だったそうで、本人に言わせると、それは母がよく歌っていた次の歌の影響だということです。

「カナダに小さな家を持っていたんです。
 水槽と小さい魚たち、たくさんのリラの花に囲まれた家を。
 そばを通りかかった娘たちは、口々に、
 カナダの小さな家、なんてすてきなんでしょう、と言ったものです。」 
                           (「  」内は石井訳。以下も同様。)

 この歌、『La casetta in Canada』(訳すと、「カナダの小さな家」)は、YouTubeの映像(リンクはこちら)で、視聴できます。
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 イタリアの我が家の庭には、このリラ(ライラック)の木がいくつかあります。日本に住んでいた頃は、ライラックと言うと、芳香剤くらいしか連想できなかったのですが、春にリラが美しい花をいっぱいに咲かせるのを見てから、リラはわたしの好きな花の一つになりました。
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 Wikipediaや日本語のサイトを見ると、紫色や白のリラの写真が多いのですが、我が家のリラは、ご覧のように、つぼみの時には、深い桃色で、花が開くと、花弁は淡い桜色となります。
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 4月の初めから終わりにかけて、仕事から帰るたびに、リラの花のつぼみが、少しずつ開いていく様子を眺めるのが、わたしの楽しみでした。

 ブログを書き始めてから、大学の授業があって、中心街に出かけるたびに、カメラも持参していたため、リラが開花していく様子を、少しずつ写真に収めていったのですが、ご紹介するのがすっかり遅くなってしまいました。
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 優しい桜色の花が目を楽しませてくれると共に、甘いほのかな香りもとても心地いいので、リラの花に近寄っては、家に入らずに、長い間眺めたり、写真を撮ったりしていたので、室内からその様子を見ていた義父母が、あきれることもたまにありました。
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 実は、春に撮影したものの、まだ記事にしていない写真や話題がたくさんあるのです。盛夏の折、季節はずれにはなりますが、時々はそういう写真を題材に、記事を書いてみたいと思っています。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-22 16:50 | Fiori Piante Animali | Comments(0)

バーチとアンゴラの意外な関係

 ペルジーナ(Perugina)の工場で生産されるバーチのチョコレートは、日本でもご存じの方が多いのではないかと思います。商品名のバーチ(baci)は、「キス・口づけ」を意味するbacioの複数形です。
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 銀色の包み紙を開けると、ブラックチョコレートとヘーゼルナッツでできたチョコレートと共に、小さな紙片が入っていて、この紙片には、愛や恋に関するしゃれた文句が、5か国語で書かれています。

 たとえば今手元にある紙片を見ると、こうあります。

Il rumore di un bacio non è forte come quello di un cannone, ma il suo eco dura molto più lungo. (O.W.Holmes)

 「口づけの音は大砲の音ほど激しくとどろきわたることはないが、その反響は、はるかに長く続くものだ。(O・W・ホームズ)」 (「  」内は石井訳。以下も同様。)

Amare è scegliere, baciare è la sigilla della scelta. (Anonimo)

「愛することは選ぶことであり、口づけはその選択の封印である。(作者不明)」

(石井注:実は紙にはsiglaとあるのですが、英語版にsealとあるため、sigillaの間違いだと思います。)

 商品名にちなんで、特に「口づけ」(bacio, baci)という言葉が含まれたものを選んでご紹介しましたが、他にも、こんな言葉があります。

Il cuore è una ricchezza che non si vende, non si compra, ma si regala. (Proverbio)

「心は、売ることも買うこともできず、贈ることだけができる富である。(ことわざ)」

 L’amore non fa ruotare il mondo, ma rende la rotazione piacevole. (F.P. Jones)

「愛が世界を動かすわけではないが、愛のおかげで世の営みは心地よいものとなる。(F・P・ジョーンズ)」

 というわけで、バーチのチョコレートを食べるときには、この中に入っている言葉を読むのも、楽しみの一つです。今回は、わたしの集めたバーチの紙片の中から、特に気に入っている言葉のいくつかをご紹介しました。

 ブラックチョコレートとヘーゼルナッツを使って、バーチを作ろうと思いついたのは、ペルージャの女性企業家、故ルイーザ・スパニョーリLuisa Spagnoli、1877‐1935)です。もともと、他の菓子を生産する過程で余ってしまうヘーゼルナッツを有効利用しようという発想から生まれた商品であること、そして、最初は形が不規則で、商品名がcazzotti「げんこつ」であったことは、すでにメルマガ第14号(記事はこちら)でも詳しくご紹介しました。

 ペルジーナは、かつてペルージャの駅周辺にあった工場が郊外に移転され、もう何年もの間スイスの多国籍企業、ネスレの傘下に入っています。

 けれども、その創立者の一人であるルイーザ・スパニョーリの名前は、今でも、女性服飾業界、ファッションの世界で周知のブランド名として、通用しています。ルイーザ・スパニョーリの最新のコレクションに興味のある方は、こちらの同社のウェブページで、その数々をご覧になることができます。

 ただ、今回ルイーザ・スパニョーリを取り上げたのは、彼女の発明家精神について、お話ししたかったからです。余ったヘーゼルナッツの利用からバーチを考案したというのも、もちろんその一つ。ただし、このことは、日本でもご存じの方がいらっしゃるかもしれません。

 一方、意外に知られていないのが、アンゴラウサギの毛を、ニット製品に使うことを初めて考えたのも、このルイーザ・スパニョーリだということです。さらに、彼女は、毛を刈り込むのではなく、櫛で梳かして採るという方法を思いつきました。

 ルイーザ・スパニョーリ社の本部や工場は、長い間、ペルージャ郊外のサンタ・ルチーアという地域にありました。実は、この地域は、我が家とミニメトロ終着駅であるピアン・ディ・マッシアーノ駅(記事はこちら)のすぐ近くにあります。
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ミニメトロ終着駅の駐車場から、サンタ・ルチーア地域を撮影。写真中央の、大きくSPAGNOLIの文字が掲げてある辺りに、ルイーザ・スパニョーリ社本部があります。

 義父母によると、数十年前には、サンタ・ルチーア地域に住む農民は、ルイーザ・スパニョーリに提供するために、皆アンゴラウサギを飼っていたということです。

 現在では、機械化および工場の海外移転が進み、サンタ・ルチーアには、ルイーザ・スパニョーリ社の本部と企画・研究開発部だけが残っています。

 昨年、通訳の仕事で、日本企業の社長さんのスパニョーリ社訪問に同行した際に、社の歴史博物館を訪れ、そこで、こうした話を伺ったのですが、この博物館内には、初期のバーチ製造工場の写真や、何列にも並ぶ椅子に座った女性たちが、一斉にアンゴラウサギの毛を梳いている写真など、興味深い写真が、たくさん展示されていました。

 「アンゴラウサギの毛の利用は、ルイーザ・スパニョーリが考案したもので、さらに特許も取ったために、Angoraを商標として使えるのは、我が社だけなんですよ。」と、同社代表の方が、誇らしげに説明されていたのを思い出します。

 ルイーザ・スパニョーリ社および同社に歴史的に関連のあるペルジーナは、現在もペルージャの主要な企業であり、どちらも機械化などによって、かなりの人員削減が進んだものの、今でも多くの人が働いています。

 わたしたちの周囲にいる人だけみても、たとえば、夫の弟がペルジーナに勤めていたり、友人のルーカのお母さんがかつてルイーザ・スパニョーリ社で製品の品質管理を担当していたりします。実は、通訳でスパニョーリ社を訪れたあとで、夫の従姉から「この間、うちの工場に来てたでしょう。上司と一緒だったから、声がかけられなかっんだけど。」と言われて初めて、彼女も同社で働いていることを知りました。

 ルイーザ・スパニョーリ、そして彼女の関わった企業が、長年にわたって、地域産業の発展に貢献してきたために、ペルージャの多くの人々が、その歴史に関わっているわけです。
Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-21 16:50 | Notizie & Curiosita | Comments(2)

なぜか和名の爪楊枝、イタリア

 「爪楊枝」は、イタリア語でstuzzicadentiと言います。denti「歯」をstuzzicare「つつく」道具、ということで、用途がそのまま名前になっているわけですが、こうした単語には、他にもcavatappi「栓抜き」(tappo「栓」をcavare「抜く」道具)、asciugamano「タオル、手ぬぐい」(mano「手」をasciugare「乾かす」もの)など数多くあります。

 ところで、イタリアの爪楊枝は、日本のものとは違って、両端が尖っています。
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 さらにおもしろいのは、イタリアではどういうわけか、爪楊枝の商標名が日本語であることが多いことです。順に見ていきましょう。
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 こちらは、スーパーで買った我が家の爪楊枝です。商標名は「sayonara」で、浮世絵まがいの女性の絵が添えてあります。

 家庭用の爪楊枝だけではなく、レストランに置いてある個別包装の爪楊枝にも、日本語名のものが圧倒的に多いのです。「爪楊枝=日本」という発想がおもしろくて集め始めたそのコレクションをご紹介します。
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 こちらはKIMONO。「日本⇒着物・芸者」という発想からか、着物をまとって舞いを踊る女性の絵が添えてあります。
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 Karate。絵はありませんが、イタリアにも日本の空手や合気道、柔道をたしなむ人は大勢いて、日本語の単語としては、よく知られています。
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 BON SAI。「凡才」ではなく「盆栽」でしょう。イタリアにも盆栽の愛好者はいて、さまざまな植物の盆栽が植木屋や市場で売られており、日本語のまま、bonsaiとして親しまれています。
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 このSAMURAIという爪楊枝には、刀を2本佩いた武者の絵が印刷されていて、先端の尖った爪楊枝を刀になぞらえたとも考えられます。商標名の日本語と商品である「爪楊枝」に関連がありそうなのは、SAMURAIだけで、他の商標については、単に「爪楊枝⇒日本のもの」という発想から、名づけたのかもしれません。

 このSAMURAIという爪楊枝、どうもイタリアの製品としては古株で、製造会社sismaのホームページには、「SAMURAIはすでに爪楊枝の代名詞」などとも書かれています。ひょっとしたら、この日本語名の爪楊枝が売れたので、他の製造業者も、商標名に日本語名を選んだのかもしれません。

 ちなみに、イタリアの爪楊枝本家(?)のsismaでは、他の業者も日本語の商標名をつけ始めたからか、さらに凝った名前をSAMURAIにつけ足しました。それが、こちらです。
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 SAMURAI il Carezzadenti、訳すと「サムライ 歯に優しく触れる道具」。

 stuzzicadenti「爪楊枝」という単語のstuzzica(re)「つつく」という動詞にあたる部分を、carezza(re)「優しく触れる、なでる」と置き換えているところが、しゃれています。

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 何も言葉が書かれていない白い包みや店名だけのもの、あるいは単に、「stuzzicadenti」(爪楊枝)と書かれた包みも、たまに見かけるのですが、まだまだ日本語名を書いた紙包みの方が多いようです。

 というわけで、今も新しいレストランを訪れるたびに、爪楊枝の袋に目を光らせています。

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Stuzzicadenti in Italia, chissà perché? Nomi spesso in giapponese
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-09 19:30 | Giappone - Italia | Comments(6)

アジサイの花咲く湖畔

 ラッツィオ州にあるボルセーナ湖(Lago di Bolsena)やその湖畔にある同名の村、ボルセーナ(Bolsena)は、アジサイの花が美しく咲く土地で、毎年6月には、アジサイまつり(Festa delle Ortensie)が開かれます。
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 昨年7月6日に、義弟を早朝ローマのフィウミチーノ空港まで車で送ったあと、どうせそのために休暇を取ったのだからと、夫と二人でラッツィオ州の湖を三つ訪ねました。今回は、そのうち、7月になっても花盛りのアジサイ(ortensia)で美しかったボルセーナ湖訪問についてお話しします。
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 湖畔は、緑とアジサイの色とりどりの花に飾られています。
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 湖ですが波があり、砂浜もあります。湖の向こう側には、遠くの山々が青くかすんで見えます。
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 砂浜で日光浴をしている人もいます。
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 湖沿いの小道を歩くと、アジサイの花が咲き乱れ、港に停泊する帆船(barca a vela)が並んでいます。
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 別の方向には、石造りの家々が見えます。
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 釣りをする人、ベンチに座って湖を眺めながらおしゃべりを楽しむ人、散歩する人がいます。
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 形が一風変わった花を持つアジサイもあり、一つひとつの花をよく見ると、花の大きさや色、形がそれぞれに異なっています。

 こんな大輪のアジサイもあります。
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 ひどくまぬけな顔をしたわたしもあえて一緒に載せたのは、花の大きさを分かっていただくためです。

 ロータリー(rotonda)もやはりアジサイの花に満ちています。
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 椿やアジサイの花を見ると、日本の春や初夏に再会したようで、うれしく懐かしい気持ちになります。色とりどりの美しいアジサイに出会えたことを喜びながら、帰途につきました。

 ボルセーナ湖は、ラッツィオとウンブリアの州境近くにあります。というわけで、湖を発ち州境を越えると、まもなくウンブリア州、オルヴィエート(Orvieto)の町が車内から見えたのでした。
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Articolo scritto da Naoko Ishii


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# by milletti_naoko | 2010-07-07 21:51 | Viaggi nel Lazio | Comments(2)

生クリームならお任せ

 ペルージャの中心街に、生クリームが新鮮でおいしい店があります。お義母さんが中心街を訪れるときは、ここに立ち寄って、生クリーム入りブリオッシュ(brioche con panna)を食べるのが楽しみの一つのようです。
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 店名は、Antica Latteriaで、訳すと、「昔からの牛乳屋」。latteriaは伊伊辞典で調べると、「牛乳(latte)および乳製品を売る店」とありますが、この店の売りは何と言っても「生クリーム」(panna)で、それは、店の前に掲げた値段表からも明らかです。(イタリア語の店・職業名については、こちらの記事をどうぞ。)
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 メニューの一覧を、ご自分がほしいものを探すつもりでご覧ください。con pannaとあるものは、すべて生クリーム入りです。生クリーム入りコーヒー、生クリーム入りカップッチーノ、生クリームを添えたイチゴなどなど、生クリーム入りのメニューがたくさん並んでいます。

 寒い冬には、夫と二人で、生クリーム入りのホット・チョコレート(cioccolata con panna)を飲むこともあります。おいしい上に体が温まるのですが、夫がさらに生クリーム入りブリオッシュを頼んでいたのに、あきれたこともあります。
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 この店はバッリョーニ通りにあり、マッテオッティ広場からイタリア広場(記事はこちら)に向かって少し歩くと、すぐ右手にあります。上の写真で、左手前に見える店が、アンティーカ・ラッテリーア(Antica Latteria)で、奥に見えるのが、マッテオッティ広場です。

 さっぱりとした生クリームがおいしいので、一度足を運んでみてください。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2010-07-07 15:43 | Gastronomia | Comments(0)