贈り主いまむかし

 年末年始には、日本はお正月でお年玉が贈られ、日本も含めた世界各地で、クリスマス、12月25日に、子供たちが贈り物を受け取ることを楽しみにしています。イタリアでも、近年はすっかりサンタクロース(Babbo Natale)が定着し、幼稚園・学校や各家庭に、サンタクロースがやって来て、直接子供たちに贈り物を手渡すこともあれば、テレビ広告や家々のクリスマス飾りにも、サンタクロースが登場しています。

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スペッロ(記事はこちら)で見かけたサンタクロース  2011/01/09


 歴史的にカトリック教の影響が強く、信者も多いイタリアでは、もちろん古くから、クリスマス(Natale)を祝い、プレゼントを贈る習慣もありました。けれども、イタリアの子供たちが、贈り主がサンタクロースだと信じるようになってきたのは、それほど遠い昔ではありません。

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クリスマスツリーの下には贈り物の山 2010/12/25


 たとえば、ウンブリア州で生まれ育った義父母は、自分たちが幼い頃に両親から教わったように、息子たちに、クリスマスに贈り物を運んでくれるのは、幼子イエス(Gesù bambino)だと、言っていました。今年のクリスマスには、わたしたちがミサから帰ったときに、自宅のクリスマスツリーの下に、義弟たちからのプレゼントが置かれていたのですが、それを目にした夫が、とっさに言った一言は、「幼子イエスが来られたよ。」(E’ arrivato Gesù bambino!)でした。

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アッシジ、 サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会のプレゼーペ 2010/12/25


 姪たちが保育園に通い始めるまで、義父母は、「幼子イエスからの贈り物」と姪たちに言っていたのですが、入園してからは、先生からも、そしてテレビでも、「贈り物を運ぶのは、サンタクロース」と教えられ、今では、姪たちはそう信じています。姉娘のアレッシアの方は、どうやら本当は親や親戚が贈ってくれるのだと気づいてきたようだ、と義弟は言います。それはさておき、お義父さんもお義母さんも、クリスマスの本来の主役であり、かつウンブリアでは、伝統的にクリスマスに贈り物を運ぶと言われてきた幼子イエスが、その役割の一部を、サンタクロースに取って代わられたことを、とても残念に思っています。やはりペルージャ出身のルーカにとっても、幼い頃の贈り主は、サンタクロースではなく、幼子イエスだったそうです。

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アッシジ、S.M.A.教会 世界のプレゼーペ展、イタリアのプレゼーペ 2010/12/25


 ところが、数年前、このことをリッチョーネ出身のマヌエーラに話したところ、彼女が幼い頃には、贈り物を運んでくれたのは、クリスマスのときも、やはりベファーナ(Befana)だったというのです。

 そこで、以前から、イタリア各地域で、クリスマスに贈り物をするとされていたのが、だれだったかに、興味があったわたしは、今回、新年の訪れを共に祝った、30歳から50歳の友人たちに、インタビューをしてみました。質問は、「子供の頃、だれがクリスマスにプレゼントを贈ってくれると信じていましたか。」です。

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今年の主顕節に姪が受け取った、ベファーナのお菓子入り靴下を拡大


 すると、リッチョーネとイジェア・マリーナのようなアドリア海岸、リミニ県出身の友人たちだけではなく、マルケ州の山中に生まれ育った友人も、やはり、子供の頃は、「クリスマスにも、主顕節にも、贈り物を運んでくれるのは、ベファーナだ」と信じていたということが、分かりました。

 ただし、当時はまだ貧しかったので、クリスマスの贈り物も、お菓子のような、ささやかなものだったと、スピーディが語ってくれました。

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アドリア海沿岸ミニクルーズ(記事はこちら)   2010/06/19


 さらに、リミニと同じエミリア・ロマーニャ州でも、フェッラーラ出身の友人は、「主顕節のベファーナとは別に、1月15日に、 ベファノーネ(Befanone)が、贈り物を運んでいた。」と言います。

 そして、北部のブレーシャ出身の友人は、クリスマスの贈り物は、12月13日に、聖ルチーア(Santa Lucia)が運んでくれると信じていたし、ヴェローナを中心に、今でも子供が12月13日に贈り物を受け取る慣習があると言います。そう言えば、わたしもそういうニュースを、昨年テレビで見た記憶があります。

 イタリア各地で料理や慣習、人々の気質、そして方言が異なるのは、476年の西ローマ帝国滅亡から1861年のイタリア統一まで、イタリアが政治的・行政的に分断されていたからなのですが、こうした地域による違いが、クリスマスのプレゼントの贈り主にも見られるということに、驚くと同時に、イタリア国内における文化の多様性を、改めて感じました。

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 それが最近は、アメリカ文化、そして、地球規模化(globalizzazione)の影響を受けて、幼子イエスも聖ルチーアも、サンタクロースに取って代わられつつあります。たとえば、元旦に演じたお芝居(上の写真、記事はこちら)では、まだ「贈り物をするのが幼子イエスである」ことを前提として、物語が進行していましたが、たとえば現代の大学生の世代には、「贈り主はサンタクロース」と聞いて育った若者が多いようです。

 聖ルチーアやベファーナの贈り物も、12月13日、1月6日と、それぞれ、クリスマスとは別の日に行われる催しとして、残っていくこととは思いますが、それにしても、クリスマスのように、人々の信じる宗教にとって大切な祝祭日に関わる慣習が、他国の、そして商業主義の影響を受けて、変わりつつあること、そして、変わってしまったことが、義父母同様、わたしにも、残念に思われるのでした。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-20 23:19 | Feste & eventi | Trackback | Comments(6)

桜の花咲く部屋

 仕事中に、ふと手を止めて上を見上げると、満開の桜の花を思わせる美しい天井が、目に飛び込んできます。

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 木全体が一斉に花を咲かせようとする桜の精気と、その美しく優しい色合いに、心が落ち着き、励まされます。

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奈良、氷室神社の桜 La fioritura dei ciliegi - Himuro-jinja, Nara 2/4/2009


 懐かしい日本の春と花盛りの桜が心に浮かび、満開の桜の下に立って、降りかかる花びらを浴びているような、そんな気持ちになれます。

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奈良、氷室神社の桜 La fioritura dei ciliegi - Himuro-jinja, Nara 2/4/2009


 この部屋を、イタリア語ではstudioと呼んでいます。伊和辞典(リンクはこちら)には、語義として、「書斎、勉強部屋、仕事場」といった言葉が並んでいます。わたしが授業の準備をしたり、翻訳をしたりする仕事場でもあれば、そのために必要な本や資料が並ぶ書斎でもあり、夫とわたしがなにかと学習する勉強部屋でもあります。部屋には、夫とわたしの机が、向かい合わせに並べてあります。机上にはそれぞれのパソコンが並び、インターネットにも接続されています。

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 このstudioの天井に、防寒・防音用の(antifreddo, antirumore)コルク板(pannelli di sughero)を取りつけようという計画は、かなり以前からあり、秋には夫と共に、部屋を採寸し、コルク板の販売店に、説明を聞きに行ったりもしていました。

 それが、11月にはオリーブの収穫(記事はこちら)に追われたため、実際に材料を購入し、夫が本格的に作業に取りかかれたのは、11月末のことでした。

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 細長い板を、均等にかつ平行に天井に設置していき、そのつど、コルク板を、土台となる木の板の上に置いていく、という非常に根気のいる作業が、続けられました。

 夫の勤めるウンブリア州庁では、土日が休みである上、週に何日かは、午後2時に役場を出て帰宅することができます。とは言っても、やはり日曜大工。作業には日数がかかります。

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 まずは、ようやくコルク板すべてを、天井に取りつけることができました。ところが、コルク板の中央が、重みのために下がってしまっています。

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 そこで今度は、長方形のコルク板の中央部分にも、支えの板を、取りつけていくことになりました。上の写真は、まだ作業の途中ですが、ようやくこの支えの板をすべて取りつけたあと、さて、どうしようかという話になりました。

 なんだか頭の上にチョコレートの屋根がある、お菓子の家のようだし、木やコルクの色にも味があるから、このままでもいいのではないかと、わたしは、たまった疲れがよく見える夫に提案しました。ただ、コルク板の表面が、予想していたよりも、かなり粗い上に、表面の小片が、天井から床に落ち続けているため、やはり、何かで覆う必要があるということになりました。

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 そこで、木の板もコルク版も共に、ペンキで塗装しようということになりました。色は、わたしが提案した薄緑色です。ところが、ここで、コルク板の無数の細かい穴が、茶色い点として残る上に、パステルカラーのペンキでは、コルク版のこげ茶色が、透けて見えるという問題が、発生しました。

 夫が、コルク板をすべてもう一度引き下ろして、壁紙で覆おうと提案したとき、わたしは、それでは作業があまりにも大変ではないかと心配だったのですが、一緒に壁紙を選びに行ったとき、まるで桜の花びらで覆われたようなこの壁紙に、一目惚れしてしまいました。

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 色合いが微妙に異なる淡いピンクの小片の集まる様子が、満開に咲く桜の花を思わせて、こんなにすてきな天井の下で、仕事や勉強ができるのかという思いにわくわくしました。ピンクの中に時々淡い緑色も入っているので、天井にさしわたされた板の薄緑色にも、よく合うはずです。幸い、夫もすぐに賛成してくれました。

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 長く根気のいる作業を、挫折にもめげずに、黙々と続けていき、ようやく桜色の天井が完成したのは、今週の月曜日、1月17日の日暮れときでした。

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 何とも美しいできに感嘆し、夫をほめてねぎらった、その部屋の窓からは、やはり桜色に染まった美しい空が見えました。

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 紅色に深まりつつある夕焼けの空に、時々目をやりながら、二人で作業の後片づけをしました。

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 というわけで、今このブログの記事を書いている間も、時々目を上げると、そこには、繊細な桜色が広がり、満開の桜の下にいるような、すてきな気分にさせてくれます。

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京都嵐山、大覚寺、大沢池 Lago Osawa, Tempio Daikaku-ji, Arashiyama, Kyoto 10/04/09


 ルイージ、本当にお疲れさま。そして、どうもありがとう。

 夫も、苦労は多かったものの、美しく仕上げることのできた天井に、とても満足しているようです。

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京都嵐山、大覚寺、大沢池 Lago Osawa, Tempio Daikaku-ji, Arashiyama, Kyoto 10/04/09


 昨日の記事(リンクはこちら)で、京都の桜を取り上げたのは、イタリアの友人に日本の桜の美しさ、そして日本の方に京都の桜のみごとさを、花見旅行をゆっくりと準備できる時期に、お伝えしたかったからでもありますが、実は、今日の記事を導入するためでもあったのでした。

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# by milletti_naoko | 2011-01-19 17:48 | Giappone | Trackback | Comments(16)

京都、醍醐寺の桜

 2009年3月末から4月初めにかけて、アリタリア航空のローマ・関空、往復396ユーロという特別割引を利用して、日本に帰国しました。久しぶりに、花盛りの桜を見たいという思いと、ぜひ夫に美しい桜を見せたいという気持ちから、開花情報を参考にして、時期を選びました。

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La fioritura dei ciliegi - Tempio Daigo-ji, Kyoto  27/03/09

 イタリアを3月24日に発って、日本、そして京都に着いたのは、翌25日。26日に訪れた大原でも、27日の朝訪れた寺社でも、桜の開花はまだ今ひとつだったので、こちら、京都醍醐寺の美しい桜を見て、息をのみました。

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 わたしは、愛媛県に住んでいた頃、校庭や川沿いに植えられていた桜並木の、薄いピンクの花がいっぱいに咲く様子を、イタリアに住みながら、恋しくなつかしく思っていました。

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 花盛りの桜を眺める喜び、心が満ちる感じを、再び味わいたいと思っていました。

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 大学の授業の関係で、花見の時期に帰るのには、実は少し無理があったのですが、この年は、かなりの時間数の授業を振り替えて、旅行に踏み切りました。

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 無理をしても、桜が花開く時期の京都を訪れて、本当によかったと、心から思いました。

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 思いもよらぬほど、さまざまな色の、形の、種類の桜があることに、驚き、そして、感銘を受けました。

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 夫も、日本の桜が、これほどまでに美しいとは、予想していなかったようで、二人で、一つひとつの桜の美しさに感動しながら、境内を歩きました。

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 池の水面に姿を映す桜にも、風情があります。

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 桜だけではなく、日本庭園の美しさも、楽しみました。

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 平日だというのに、同じように花見に訪れた人が、大勢いました。

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「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし   在原業平」

 やれ桜が咲いたか、やれ雨風で桜が散るまいかと、花を愛して心を砕く日本人の心は、今も昔も変わりません。

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 桜の美しい国に生まれたこと、桜を愛でる文化に育ったことを、改めて、うれしく、誇らしく思いました。

LINK
春は桜。京都の美しい桜や、イタリアでは実が目当てで桜を植えることについては↓↓
Spettacolare Fioritura dei Ciliegi in Giappone con foto ↓↓
- 日本の桜1 はじめに / Fioritura dei Ciliegi in Giappone
Fioritura dei Ciliegi a Kyoto, spiegazioni anche in italiano ↓↓
- 日本の桜2 京都大原三千院 / Tempio Sanzen-in, Kyoto
- 日本の桜3 京都大原実光院 / Tempio Jikko-in, Kyoto
- 日本の桜4 京都大原宝泉院 / Tempio Hosen-in, Kyoto
- 日本の桜5 京都、渉成園 / Giardino Shosei-en, Kyoto

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-18 01:39 | Giappone | Trackback(1) | Comments(16)

夏のラヴェルナ

 今回は、ベッチャからラヴェルナまでの参詣路を行くと、どういう道を歩くことになるかをご紹介します。

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 ベッチャ・ラヴェルナ間を歩いて、上の写真を撮影したのは、昨年の7月20日の午後6時です。7月には、6時でも、冬(記事はこちら)と違って、かなり日が高く、また、ペンナ山(Monte Penna)も手前の木々や草原も、緑にあふれていました。

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 ベッチャ(Beccia)からラヴェルナ(La Verna)への参詣路は、こちらのレストランの前です。経営者が代わり、なんと山中のこの店で、新鮮な魚介料理が食べられるようになったのですが、それについては、こちらの記事をご覧ください。店の周囲も、夏は、たくさんの花と緑に覆われています。写真の撮影時刻は、午後4時44分。

 写真で、BECCIAと地名を書いた標示の左横にある、CAIの案内板を拡大してみます。

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 行き先は、「Santuario della Verna」(聖地ラヴェルナ)で、「ore」(所要時間)は25分、そして、CAIの43番トレッキング・コースだと、書かれています。CAI(Club Alpino Italiano、イタリア山岳クラブ)のコースであることは、右下の赤・白の線で示されています。一方、案内板の右上に描かれているのは、国立カセンティーノ森林自然公園のシンボルです。

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 しばらく歩いて、ベッチャの家々を後にする頃、こちらの聖フランチェスコの壁画が、左手に現れます。

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 集落を通り過ぎると、まっすぐな上り坂を、ずっと歩いていくことになります。大部分が、石畳に覆われた坂道で、ちょうど、日本で寺社の長い階段を上るように、石畳の道を登って行きます。

 先週金曜日には、このお決まりの参詣路を行く代わりに、左手に見える屋根つきの門の手前にあるすき間から、壁を通り抜けて、岩山のすぐふもとを散歩しました。(記事はこちら

 上の写真で、夫が立ち止まって、左を眺めているのが、ペンナ山の岩壁の上にそびえる修道院が、最もよく見える場所です。

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 これが、このとき夫の目に映っていた風景です。最初の写真は、帰り道に同じ場所から撮影したものです。行きがけには、ラヴェルナは雲に覆われていたのですが、すき間からさす日の光が、ちょうど野原を彩る黄色い花を照らし出しています。

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 さらに坂道を登ってゆきます。奥の赤丸で囲んだところに、CAIの案内板が立っていて、ここで、ベッチャからの参詣路が、キウーシからのトレッキング・コースと、合流しています。

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 緑の葉の生い茂る上り坂を、歩き続けてゆきます。奥の左手に門が見えるところで、道が二手に分かれます。ラヴェルナへは、道を右に曲がって、さらに坂を登ります。

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 坂道を突き当りまで歩くと、この礼拝堂、Cappella degli Uccelliがあります。聖フランチェスコが、初めてラヴェルナ訪問の際、大きな楢(なら)の木の下で一休みしていると、たくさんの鳥たち(uccelli)が聖人を歓迎しに訪れたという伝説があります。この礼拝堂は、1602年に、その楢の木があった場所に、建てられたということです。

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 坂道は、礼拝堂、Cappella degli Uccelliの前の急カーブを曲がり、さらに上へと続いています。この日は、坂道を上っているとき、ラヴェルナから下りてくる巡礼者の一行とすれ違いました。

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 礼拝堂の前にも、長い上り坂が続いていますが、ここまで来れば、修道院はすぐ近くです。

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 一直線に伸びる坂道を登り、曲がり角まで来ると、もう境内の建物が、視界に入ります。

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 そして、この角を曲がると、ラヴェルナ境内の入り口となるアーチが、左手に見えます。

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 アーチの向こうには、もう教会とその柱廊が見えています。この写真を撮影したのが、午後5時5分ですから、写真をたくさん撮りながら、ゆっくり歩いて、ベッチャからラヴェルナまで、30分ほどかけて、登った勘定になります。

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 アーチをくぐると、まず目に入るのは、広場に立つ大きな十字架。夏の強い日ざしを浴びて、すっくりと青空の下に立っています。

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 十字架から、入り口の方を振り返って、撮影した写真です。写真中央で、リュックを背負った若者たちが向かっている建物内に、興味深い博物館と小さな教会、そして、トイレがあります。トイレは無料で清潔です。水洗は自動で、トイレを出るために、ドアを開けないと、水が流れません。

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 こちらはベッチャに立つ、Parco Nazionale delle Foreste Casentinesi、国立カセンティーノ森林自然公園の案内看板です。Casentinoは、アレッツォ北部とアルノ川上流域を含む、トスカーナ州の地域で、公園名にあるcasentinesiは、このCasentinoの形容詞、casentineseの複数形です。聖地ラヴェルナ(La Verna)に行く主な散歩コースは、二つあります。

 一つは、今回ご紹介したベッチャ(Beccia)からラヴェルナ(La Verna)へと歩く道のりで、地図には赤い線で記してあります。この道は参詣路で、聖人にちなんだ壁画や彫刻が路傍にあります。

 もう一つは、青で記された、Chuisi della Vernaからラヴェルナへと向かう道のりです。

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 青で囲まれた、自然公園の観光案内所(Centro Visita)(上の写真)から、美しい森林の中を、自然を楽しみながら、ラヴェルナを訪れる道で、Sentiero Natura(自然を楽しむトレッキング・コース)と名づけられています。

 この日、7月20日には、観光案内所は、美しい花に覆われていました。夏は午後6時まで開いていて、興味深い展示物を見たり、役に立つ旅行情報がいっぱいのパンフレットを手に入れたりすることができました。自然公園の公式サイト(リンクはこちら)を見ると、残念ながら、毎日開いているのは夏だけで、昨年の場合は、9・10月は開館が1日のみ、11月から6月にかけては閉館です。今年については書かれていませんが、予算が大幅に削減されたこともあり、開館日時は、昨年と同じか、さらに少なく、短くなるものと予想されます。

 キウーシからラヴェルナへの散歩コースに興味のある方は、記事、「ラヴェルナの秋1」(リンクはこちら)、「ラヴェルナの秋2」(リンクはこちら)をどうぞ。ベッチャからラヴェルナへの参詣路と共通の道が、秋には美しい紅葉で飾られている様子も、ご覧になれます。

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 7月20日は、ベッチャのレストランで夕食中、午後8時45分に日が沈みました。7月は、夏時間のためもありますが、1月に比べて、約4時間も日照時間が長いのです。

参照にした資料・LINK
TurismoReligioso.eu – Convento della Verna: Il ciclo Robbiano Alvernino 
Parco Nazionale Foreste Casentinesi – Centri visita – Chiusi della Verna
Parco Nazionale Foreste Casentinesi – Luoghi da visitare – La Verna 

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-16 23:45 | Toscana | Trackback | Comments(10)

ラヴェルナ大冒険2

 ラヴェルナの修道院がある岩山、ペンナ山(Monte Penna)

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 岩山の壁に沿って、ひたすら歩き、ようやく横に長く伸びる岩山の端までたどり着きました。

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 ここからラヴェルナまでは、CAI(イタリア山岳クラブ)の主要なトレッキング・コース(sentiero)なので、これまでのように、木の幹や岩に赤・白の線を引いて、トレッキング・コースを示すだけではなく、ちゃんと案内板があります。下の案内板には、行き先、ラヴェルナ(La Verna)とコース番号である50という数字が、記されています。

 後は、岩山を右手に、よく整備されたトレッキング・コースを、歩いていくだけです。

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 しばらく行くと、道の右手に、長い石垣が現れます。さらに歩くと、やがてトレッキング・コースは、舗装された車道になり、時々車の通る道を、注意しながら歩くことになります。

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 こちらが修道院のすぐ手前にある門です。聖フランチェスコと子供の像が建っています。木々の向こうに、建物が垣間見えます。無料で車が置ける場所は、二つあります。右手の岩の手前、車が2台止まっているところにも駐車できますが、像の左側に見える坂を下ったところにも駐車場があります。

 ただし、週末や訪問者の多いときには、満車であることが多いし、左下の駐車場は雨が続くと、泥がちになるため、ここより数十メートル手前にある有料駐車場に駐車した方が賢明かと思います。わたしたちは、ラヴェルナに近い村、Beccia(記事はこちら)かChiusi della Verna(記事はこちら)の無料駐車場に置いて、歩いてラヴェルナまで登ることにしています。

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 ようやく修道院や教会の建物が見えてきました。ベッチャを出発したのが11時50分頃、ラヴェルナ(La Verna)に着いたのが午後3時半過ぎ。昼食休憩を含めて、3時間半あまり、散歩をしたことになります。先を歩くルイージの手前に見えるドアを入って、右手に行くと、レストランと宿泊施設があります。

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 こちらがその入り口です。食事と宿泊の料金や利用時間、施設の連絡先は、Santuario della Vernaの公式ページに、記されています。(リンクはこちら)教会や博物館、土産物屋を訪ねるには、右手に伸びる道を進みます。

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 先の道を進み、左に曲がると、土産物屋があります。店の看板には、RICORDI E CARTOLINE、「思い出と絵はがき」と書かれています。

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 店内には、絵はがきを始め、美しい言葉の書かれたカードや本(記事はこちら)、ラヴェルナと周辺のトレッキング用地図や写真集、カトリック教関係の様々な品物が売られています。

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 ほかにも、修道院の伝統的な作り方に従って作ったと言われる、薬草を作ったリキュールや服用剤、そして、クリーム、飴など、さまざまな品物が売られています。この奥の部屋には、カトリック教に関する本がたくさん置かれています。

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 夫のお気に入りは、こちらに並ぶ、薬草でできたリキュール。皆がおいしいと認めるのが、右手にあるLiquore del Pellegrino(訳すと「巡礼者のリキュール」)です。写真には入りませんでしたが、さらに右側には、同じリキュールの小瓶も並んでいました。

 この日は、わたしも夫も長いこと店で品を選び、それぞれ本を数冊購入。夫は、リキュールと飴も買いました。

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 店の外に出ると、まさに沈もうとする夕日が、辺り全体を茜色に染め上げていました。そこで、日が沈む前にと、急いで教会前の広場まで向かいます。今日の1日に感謝しながら、夕日を見送りました。

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 修道院とブナの森林が、夕日を浴びて、赤く染まっています。

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 「日没に閉門」と書かれていたため、夕日にあいさつしたあと、急ぎ足で、教会で礼拝をしてから、修道院をあとにしました。

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 修道院からベッチャへは、本来この道を通って登るはずだった30分ほどの散歩道を下って行きました。刻々と、紅に染まっていく美しい空の色に感嘆しながら、坂道を下りました。

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 下り坂の右手では、修道院も岩山も赤く染まっていました。本来は、昼に、この同じ道を登って、すぐに修道院に行けたところを、この日は、写真に見える岩壁の左手を進み、岩山のふもとを時計回りに一周して、ラヴェルナを訪れたのです。

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 夕焼け空の下、車を置いていたベッチャに到着。登山靴を履きかえ、美しい空の色を楽しみながら、帰途につきました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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# by milletti_naoko | 2011-01-16 00:26 | Toscana | Trackback | Comments(12)


日本語教師・通訳・翻訳家。元高校国語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより


by なおこ

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Naoko Ishii
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イタリア、ペルージャ在住。
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