野菜畑の散歩

 野菜畑(orto)に、食事用の野菜を収獲しに行くときの必需品は、ナイフ、収獲した野菜を入れるかご、そして、泥で汚れても構わない靴です。わたしがかごを片手に野菜畑に向かうのを見かけると、お義母さんはふざけて「買い物しに行くの?」(Vai a fare la spesa?)と尋ねます。八百屋や市場に行く代わりに、仕入れに行く先が野菜畑なので、ユーモアを込めて、こんなふうに言うわけです。

 さて、昨日4月15日の夕方も、わたしは野菜畑へ、夕食の材料を調達しに出かけました。翌日の授業準備やブログの執筆のために、机に向かう時間が長いので、外の空気を吸い、緑の中を歩くのはいい気分転換にもなります。
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 満開になった大きな桜の木の下を、桜に見とれながら歩いて、野菜畑に向かいます。
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 向こうでお義父さんが草を刈る姿が見え、また草刈り機の立てるにぎやかな音が聞こえてきます(写真中央やや左手)。春の天気は変わりやすいので、天気のいい日にできるだけの農作業を済ませておく必要があります。

 わたしは、何か目ぼしい野菜はないかと物色します。
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 上の写真の中央あたりに並んでいるキャベツ(cavolo)は、ちょうどいい食べごろですが、この濃い緑色のキャベツはとても苦いのでわたしも夫もあまり好きではありません。ちなみに、キャベツの後方、右手に見えるネギのようなものは、ニンニク(aglio)です。また、見にくいかと思いますが、写真の中央、ずっと奥に見えるのは、ローズマリー(rosmarino)の茂みです。ちょうど花盛りで、薄紫色の小さな花が皆満開になっています。
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 サラダ菜(insalata)は、野菜畑のあちこちに植わっています。夫もわたしも大好きなサニーレタス(insalata canasta)も、上の写真の中央から後方にかけて並んでいるのが見えるのですが、まだお義父さんが買ってきた若菜を植えたばかりで、もっと育ってからでないと収獲できません。このサラダ菜は寒さに弱いため、暖かくなってきた今、ようやく畑に植えることができたわけです。

 さて、どうしよう?

 こういうときに役に立つ野菜があります。それは、フダンソウ(bietola)。ここで、直前の2枚の写真をよくよく見ていただくと、脈絡もなく、あちこちに生えている緑色の野菜があるのがお分かりかと思います。サニーレタスが列をなして並んでいるその直前に、大きく二株見える、緑色の鮮やかなこの野菜が、フダンソウです。同じ野菜が、キャベツとニンニクの写真の中にも、無秩序にあちこちに生えているのが見えます。目立つのは、最前列の右隅。そして、写真の左側の方にも、2列並んだキャベツの後ろに2、3株あるのが分かります。

 もともとは数年前に食用に植えたものが、植物自体の生命力が強く、我が家が風の強い場所にあるために、種があちこちに散らばって、毎年毎年、てんで勝手に自然に生えて、ぐんぐん育つようになったそうです。

 けれども、いろんな料理に使える上に、癖がなくておいしいので、冬から春先の、まだまだ畑の野菜の種類が限られているときに、とても重宝する野菜です。というわけで、今回はフダンソウを収獲することにしました。料理の仕方などについては、またいずれの機会にお伝えするつもりです。
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 キャベツの手前の方には、4月11日の記事で、お義父さんが植えていたイチゴが、白い可憐な花を咲かせています。

 帰り道、ふと脇に目をやると、リンゴの木(木はmelo、実はmela)が、濃い桃色のつぼみでいっぱいで、小さな白い花が少しずつ咲き始めているところです。
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 そして、下の写真に見える愛らしい白い花が、野菜畑のあちこちに、自然に生えてきて、野にさわやかな彩りを添えています。
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 今回、この花をよくよく観察していて、非常におもしろい習性があることを発見しました。この興味深い咲き方を、写真に収めましたので、これもまたいつか機会を見て、お話しするつもりです。ただいま、この花の名前を、夫が山ほど持っている植物・花の図鑑や事典を見ながら調べているところです。どなたかご存じの方がいらっしゃいましたら、お教えください。

 夏時間になったおかげもあって、日が長くなり(日が暮れる時間が遅くなり)、夜7時から8時になっても、まだこれだけ明るいようになりました。

 というわけで、わたしの夫も、お役所仕事から帰って来てから、一休みしたあと、すぐ外に出て、庭仕事に取りかかりました。
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 まずは、4月11日の記事で、水で十分に洗った水槽代わりの樽が、数日経って水も乾いたので、今度は、中に入れる水が漏れるのを防ぐために、ニス(vernice)を樽の内側にも外側にも塗りつけました。それから、雨が降っても水がかからないように、上からビニールをかぶせました。
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 そのあとは、野菜を畑に植えるための下準備。といっても、夫は義父と違って、若菜ではなく、サニーレタスの種を購入しました。野菜を均等に畑に植えるためにも、寒さから守るためにも、まずは温室の中の鉢に種を植えて、芽が出て少し育ち出してから、そこで初めて畑に植え替えるということです。写真は夫が、種を植える鉢に入れるための土壌を準備しているところです。この作業のあとで、小タマネギ(cipollina)の種も鉢に植えたとのことです。

 「最近、何でもかんでも写真を撮る癖がついたね。」と、カメラを向けるわたしに、あきれがちに苦笑いする夫なのでありました。しかし、彼はわたしを秘書代わりにして、「~に行ったのはいつだったけ?」、「ぼくがトマトの種を植えたのはいつだったっけ?」と聞いてくることがよくあるのです。わたし自身も夫と一緒に行動りしたことなら、覚えてもいるでしょうが、夫だけがしたことについては、記憶もあいまいになるので(なのに、なぜかわたしに聞いてくるのです。本人さえ覚えていないのに、なぜわたしが覚えていると思うのか不思議です)、このブログがちょうどいい覚書になることでしょう。

 野菜畑やその周辺を、うれしそうにカメラ片手に歩き回り、フダンソウを収獲したり、草木を眺めたり、写真を撮ったりしていたら、すっかり遅くなってしまいました。

 フダンソウは、土を洗い落としたり、湯がいたりと、料理をするのに結構時間がかかるのです。まだ、ルイージの作業が終わっていないのを幸いに、慌てて台所へと向かったのでありました。

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# by milletti_naoko | 2010-04-16 18:45 | Fiori Piante Animali | Trackback | Comments(2)

ピザ屋、La Cambusa (ペルージャ)

 うちの夫は、ピザが大好きです。1週間に1度はピザを食べないと、禁断症状に陥ったような状態になり、わたしの仕事が忙しかろうと自分の体調が悪かろうと、「とにかくピザが食べたくて仕方のない極限状況」に至ってしまうほどです。
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わたしとしては、「たまには他のおいしいものが食べられるところに行きたい」とは思うものの、恋人気分で外出して食事を楽しんだり、食事のしたくと後片づけから解放されるという特典もあったりするので、夫の誘いに応じることが多く、結局週に1回ほどの割合で、ピザ屋(pizzeria)で夕食を楽しむことになります。

 ペルージャの中心街(centro)やペルージャ近辺、あるいは少し遠出してトラジメーノ湖付近までピザを食べに出かけることもあり、友人たちとも様々な店で食べるのですが、その中で、「いつも決まっておいしいピザが食べられることが確実」なので、「行きつけ」になる店が最近ではほぼ二つにしぼられてきました。

 今日はその一つ、ペルージャ中心街では、「ここが一番!」と言えるLa Cambusa - pizzeria ristoranteをご紹介します。ちょうど昨夜、夫と友人のルーカと3人で夕食に出かけたので、これはとばかりカメラを片手に取材しました。

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 テーブルの並ぶ店内は、中世の石造りの壁も美しく、落ち着いたいい雰囲気です。La Cambusaは、ナポリ出身の一家が家族で経営するpizzeria(ピザ屋)兼ristorante(レストラン)で、ピザも格別においしいのですが、ピザ以外にも、特に魚介類を使った料理もおいしいと評判です。

 客を案内し、注文を取るのは大黒柱のお父さんか長男のパオロ。夕べは父君は不在で、注文(ordine)を取るのはパオロの役目でした。通い慣れた客には、tuを使って呼びかける店の主人が多い中で、パオロには、以前にわたしたちがtuで呼び合おうと提案したにも関わらず、「いや我が家ではお客様はやはり敬意を持ってLeiでお呼びします。」と言われてしまいました。
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 実は、彼の奥さんが時々わたしの夫の職場(ウンブリア州庁)で短期契約で働くことがあるため、パオロとは込み入った親密なおしゃべりをすることも多いし、それも彼の方から近づいて話しかけてくる場合が多いのですが、非常に礼儀を重んじる人で、わたしも「signora(奥さん)」と呼びかけられて、少し照れてしまったりします。

 親しみを持ってくれるのはうれしいのですが、このパオロ、注文を取りに来たまま、おしゃべりが長くなることも多く、こちらが内心、「早く注文をピザ職人(pizzaiolo)の弟さんに伝えてほしい。」と思うこともよくあります。おしゃべりが特に長くなったのは、彼の奥さんが夫の同僚になってからです。

 ただ、彼の話を聞くのは興味深く、ちょっとワインや食材の説明をするのを聞いていても、「常によりおいしいもの、新鮮なものを客に提供しよう」と、あちこちにアンテナを張っていて、何か品質のいい評価の高いものがあれば、ワインでも食後酒でも、すぐに自分の店にも導入しようという進取の精神の持ち主であることがよく分かります。
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 今回は、ビールを注文しようとしていた夫とルーカを説得して、ぜひこのワインをと、赤ワインを勧めてくれました。このNapolini の赤ワイン、Montefalco Rosso 2007は、本当においしくて、3人とも大満足でした。まだ歴史の浅いワイナリーのワインでありながら、商品名・業者名を伏せて行ったワインの品評会で二度も最良のワインとして選ばれたそうです。ちなみに、このワインはパオロのおごりでした。わたしの夫に「同じ職場で働く我が妻をどうかよろしく」という気持ちからだと思います。無理に高いものを注文させようとするような店ではなく、きちんと値段の記されたメニューがありますので、ご心配なく。
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 夫たちが、パオロが味見かつ前菜にと運んでくれたフォカッチャ(focaccia)を味わっている間に、わたしは、ピザ(pizza)を準備しているパオロの弟君の仕事ぶりを撮影に行きました。ちょうど、ピザの生地の上にトマトソースをかけ、モッツァレッラ・チーズ(mozzarella)を載せている最中です。彼の周囲には、キノコ(funghi、単数形はfungo)、ハム(prosciutto)などのピザの具が食品ごとに入ったボールがたくさん並んでいます。奥にあるのがかまど(forno)。ピザをかまどに出し入れする作業がしやすいように、ピザを焼く場所、炉床の高さが、ちょうどピザ職人の肩とひじの高さの中間ほどの位置にあります。炉床の下には薪(legna)が積まれていて、この薪を炉床に載せ、火にくべて、ピザを焼きます。

 おいしいピザが食べられる店は、ピザをこのforno a legna(薪のかまど)で焼いているところです。知らない町で、おいしいピザ屋を探すときは、この言葉が店頭にあるかどうかも確認しましょう。

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 さて、いよいよ熱々のピザがテーブルに運ばれてきました。夫が頼んだのは、salame piccante(辛口のサラミソーセージ)の載ったピザなのですが、ゴルゴンゾーラ・チーズ(gorgonzaola)に目のない彼は、メニューにはなかったこのチーズも加えてピザを焼くように頼みました。たいていのピザ屋では、わずかな追加料金を払えば、本来は具になっていないものも、注文するピザに加えてもらうことができ、その旨や追加料金がメニューに書かれています。
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 一方、こちらがわたしの頼んだcapricciosa(カプリッチョーザ)。イタリア語の意味は、「気まぐれな、思いつきの(ピザ)」で、店によって具は違いますが、野菜やハムなどたくさんの具があるのが特徴です。この店では、トマトソースとモッツァレッラに加えて、ハム、オリーブ、キノコ、アーティチョーク(carciofo)などが載っていました。ピザだけでおなかが一杯になってしまいがちのわたしは、野菜もしっかり取るために、できるだけ野菜の多く載っているピザを注文するように心がけています。ピザの上のゴルゴン・ゾーラチーズは何とも言えずおいしいのでわたしも大好きなのですが、vegetariana「菜食主義者の(ピザ)」やカプリッチョーザで我慢しています。でも、わたしのカプリッチョーザを始め、頼んで運ばれて来たピザがどれも皆おいしかったので、3人とも大満足でした。特に、今回初めてこの店で食べたルーカは、「これはうまい!」と感激していました。

 ちなみに、ルーカが食べたピザは、冒頭の写真のもので、その名もCambusa(カンブーサ)。この店名、La Cambusaを冠したピザは、さまざまな魚介類の載った豪華なものです。ちなみにcambusaは、船や飛行機などの食糧貯蔵室を意味します。店の中心が、階段を1階分下りた、「地階」にあたる場所にあり、さらに、レストランのメニューの売りが魚介類だからでしょうか。この店のメニューのピザ以外のところを見ると、プリモ(primo)もセコンド(semondo)も、それぞれに海(mare)と大地(terra)に分かれて、メニューの品々が並んでいます。ちなみに、店名のLa Cambusaの「la」は、女性名詞単数形につく定冠詞です。
⇒ 詳しいメニューは、下のリンク先にあります。ただし、すべてイタリア語です。
 La Cambusa - Menù (メニュー詳細)
 (店自身のホームページへのリンクです。)
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 最後にデザート(dolci)。2片のケーキにはいずれも洋梨が入っているのですが、左はチョコレート・ケーキで、右はリコッタ・チーズのケーキでした。それぞれの甘さと洋梨の味がほどよく調和していて、見た目が美しいばかりでなく、味も抜群においしかったです。

 リキュールやグラッパも、ワイン1杯ですでにほろ酔いのわたしと夫は辞退しましたが、イタリア各地のおいしいものがたくさんそろっています。ルーカはグラッパ(grappa)をちびりと1杯。

 これだけおいしいものをたくさん味わえるのに、特に、ピザの値段はとてもお手軽なものです。ルーカの頼んだカンブーサこそ、魚介類満載なので8.80ユーロしましたが、他のピザは具にもよりますが、6~7ユーロが平均です。プリモやセコンドはやや値段が高くなりますが、これも他のペルージャ中心街の店と比べ、おいしさとサービスや食材の質を考えると、かなりお得な感じがします。

 最近、イタリア各地のレストランやピザ屋では、しばしば値上げが行わています。そんな中で、このLa Cambusaが、サービスの質と従来の価格を共に保ち続けることができるのは、家族経営であることや新鮮ないい食材を安く入手できるルートを開拓してあること、そして、中心街の目抜き通りからは少し離れたところにあるため、地価や賃貸料の高騰を料理の大幅な値上げで解決する必要がないためだと思います。
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 夏には、屋外のテーブルで、美しい町並みや涼風を楽しみながら食べることもできます


 離れているとは言っても、ペルージャの目抜き通りCorso Vannucci沿いにある観光名所プリオーリ宮殿(Palazzo dei Priori)の正面左横にある通り、Via dei Prioriを歩いて5分ほど下に下っていったところにあり、また、La Cambusaのすぐ近くには、歴史のある美しい教会がいくつかあります。

 皆さんも、ペルージャにお越しの際は、ぜひLa Cambusaで食事を楽しんでみてください。

 店自身のホームページへのリンクもご紹介しておきます。イタリア語の勉強にも使えますよ。

*追記(2012年12月14日)
 お店の場所が変わりました。新店について詳しくは、下の記事をご覧ください。
- 復活! ピザ屋、 La Cambusa
 
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# by milletti_naoko | 2010-04-15 20:44 | Gastronomia | Trackback | Comments(7)

Made in Italyの危機 

 ~onestoさんのコメントにお答えして~

(今回添える写真は、我が家の歴史・伝統あるイタリア国産製品の数々です。)
      夫の家族が40年にわたって愛用し続け、いまなお健在なFIAT500

 コメントありがとうございます。国による賃金の格差については、国ごとに物価が著しく異なり、物価に応じて必要な生活費も変わってくるため、物価が高い国は賃金が高く、物価の安い国では賃金が安くなるのはある意味仕方のないことかと思います。

 昔、日本が経済成長を遂げることができ、輸出を伸ばした時期にも、最初は「品質」よりも「価格の安さ」を売りにしていたようです。ただ、問題は、たとえばこの中国の賃金の低さが、しばしば労働者が搾取されている結果、つまり劣悪な労働環境の中で長時間労働を余儀なくされながらも、それに見合うだけの賃金を得られない結果だということだと思います。安全管理や人権擁護に必要な経費を抑えて、「安くさえあればいい」という姿勢が、「中国が世界の工場」となりつつある現在、世界中の国の人々の健康や環境に悪影響を及ぼしているわけで、この姿勢を「たとえコストが増えても、品質の確かなものを、労働者の人権と環境に配慮しながら作ろう」という姿勢に変えていく必要があると思います。
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     夫の母方の祖父(ウンブリア州北部Reschio出身)の手になる食器棚

 実は、イタリア経済が打撃を受けているのは、国外の企業からだけではなく、イタリア国内の潜伏工場で、劣悪極まりない労働環境で長時間わずかな賃金で働いている非合法移民(しばしば中国移民)のためでもあります。

 家具や服飾など、イタリアの各種大手メーカーが、移民を搾取するこうした工場に下請けを頼み出したために、さらに、移民が提供するのと同じ低賃金、低料金を、長い間イタリア国内で経験を積んできた該当産業の職人にも押しつけ始めたために、イタリアでは閉鎖を余儀なくされた下請け企業が無数にあり、職を失った有能な職人が何人もいます。
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    伝統の家具づくりの町、Città di Castelloの家具職人が制作した洋服ダンス

 「企業の利益でなく、国全体の利益」を優先する必要は、わたしもつくづく感じます。アリタリア航空を助けるために、借金を重ね、膨大な負債を抱えるイタリアの国庫。長年にわたって国の援助を受けておきながら、外国の自動車メーカーの買収には走るのに、国内工場を次々閉鎖しようとするFIAT。

 政治家、企業家を始め、皆が本当に国に大切なのはどういうことかを考えて、目先の私利私欲だけを求めないことが大切だと思います。
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      伝統の陶器づくりが今なお受け継がれる町、Deruta(デルータ)の陶器

(チッタ・ディ・カステッロもデルータも共にウンブリア州の町です。それぞれ家具づくり、陶器づくりがさかんで、どちらの町にも、伝統の技を生かして職人が制作した品々を売る店や工房が、あちこちに軒を並べています。) 

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# by milletti_naoko | 2010-04-14 12:55 | Sistemi & procedure | Trackback | Comments(0)

Zuppa di fagioli ~ウンブリア、伝統の味~

 今日はお義母さんが、zuppa di fagioliの作り方を伝授してくれました。
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 読みは、「ツッパ ディ ファジョーリ」。あえて、日本語に訳そうとすると、「イタリア風インゲンマメどんぶり」。

 日本料理のどんぶりものには、ごはんの上からだし汁やしょうゆで煮込んだ野菜などを回しかけますが、この料理では、薄切りのパンの上から、インゲンマメ入り野菜スープを回しかけます。
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 こちらが、かけ汁となるインゲンマメ入り野菜スープ。深めの鍋で、まずみじん切りにした玉ネギを炒め、しんなりしてきたら、さらに細かく刻んだニンジン、セロリと青菜を加え、最後にトマトを加えて、汁気がなくなるまでじっくり煮込みます。そのあと、この野菜を煮込み終わった鍋の中に、別の鍋でゆでて塩で味つけもしたインゲンマメをたっぷりの熱湯と共に加え、さらに煮込みます。そして、ほどよい加減になるように、味見しながら、塩、こしょうを適量加えます。これで、かけ汁ができあがりました。

 青菜は何でもよいのですが、今回我が家では、野菜畑で収獲したフダンソウとキャベツを使いました。また、最後に加えたインゲンマメは、一部はゆでただけの豆をそのまま、一部はゆでた豆をさらに裏ごししてから、野菜スープの中に加えています。

 このあとは地道に同じ作業を何度も繰り返していくことになります。(ティラミスにせよ、ラザーニャにせよ、イタリア料理には幾層も同じ作業を地道に繰り返すものが多いという印象があります。)
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 まずは、耐熱の深皿を準備し、底にpane raffermo(古くなって堅くなったパン)を薄切りにしたものをしきつめます。(記事にしようと思いついたのが遅かったので、写真の右側の皿にはさらにできあがったzuppaがあり、左の皿もほとんど完成に近い状態です。)

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 そして、そのパンの上から、用意しておいたインゲンマメ入り野菜スープをたっぷりと回しかけます。
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 さらに、その上から、パルメザンチーズをすりおろした粉チーズをたっぷりとふりかけます。写真に見えるのが、わたしの大好きなお義母さん。謙虚で優しく、働き者で、自分もこんなふうに年を重ねられたらいいなと思うのですが、まだまだ修行が足りません。

 以上の作業(乾パン⇒スープ⇒チーズ)を何度も繰り返して、最初の写真にあるようなzuppa di fagioliができあがります。

 野菜も豆類もたっぷりで、たいへん健康にいい上に、体も心も温まるおいしい一品です。堅くなったパンにはスープの味が染み込みやすいので、パンが熱々のスープを浴びて、温かく柔らかく、そして、うまみたっぷりになります。うちの夫の大好きな料理の一つです。

 本来は、食べ切れずに日数を経て、堅くなってしまったパン(paner raffermo)を、無駄にせずおいしく食べようという暮らしの知恵から生まれた料理なのですが、こうした古いパンを見事に活用した料理が各地方に数多くあり、このzuppa di fagioliもその一つです。ちょうど、日本でも冷ごはんを活用したお茶漬けや雑炊、炒めごはんのようなレシピがあるのと同じですね。日本はごはんの、イタリア中部はパンの文化なので、それぞれの主食を最後まで大切においしくいただくための知恵が生まれてくるわけです。
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 今日は朝から1日曇りがちで、時々雨も降りました。写真は、わたしたちの寝室の窓から撮影したものです。
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 写真の正面、庭の中央に大きな桜の木があります。この木の右側に野菜畑に下りていく小さな階段があり、この階段を下りていくと、右側には最初はリラの木、次にローズマリーの茂みがあり、そしてその次に、花盛りの様子を、写真と共にすでに何度かご紹介した桜の木が現れます。

 奥に隠れた桜の方が、庭の正面にある桜の木に比べて、かなり開花が早かったので、これまでこちらばかりを取り上げていたのですが、今は、正面の大きな桜も、一面に真っ白な美しい花を咲かせ、窓から外を見やるたびに目を喜ばせてくれます。

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# by milletti_naoko | 2010-04-13 17:34 | Gastronomia | Trackback | Comments(0)

家庭のカフェ、伝統の味のゆくえ ~老舗工場、東欧へ移転か~

 留学や仕事で長くイタリアに滞在したことがある方なら、だれもが一度は目にし、手にしたこともあるはずの、伝統の直火式コーヒー沸かし器。
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 現在ではさまざまな企業が同様の商品を製造していますが、この商品の発明と製造によって、イタリアの家庭のコーヒーに一大革命をもたらした本家はBialetti(ビアレッティ)社です。上の写真に見える右腕を高々と掲げた紳士が、ビアレッティ社のコーヒー沸かし器の目印です。写真では見にくいかと思いますが、紳士の下に大文字で「BIALETTI」と書かれています。

 1933年にビアレッティ社の創立者、アルフォンソ・ビアレッティが発明。この発明以前に、イタリアの家庭でコーヒーを沸かすの使われていたのは、ナポリ式コーヒー沸かし器でした。
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 上の写真が、このナポリ式コーヒー沸かし器です。もう何十年も使われないまま物置の片隅で眠っていたのを夫が最近探し出してきたものです。ナポリ式では、沸騰したお湯がコーヒーの粉の入ったフィルターを通過する形で、コーヒーを沸かしていました。

 アルフォンソ・ビアレッティの発明した新しいコーヒー沸かし器が画期的であったのは、沸騰する熱湯の蒸気の圧力を利用し、以前のドリップ式コーヒーとは異なるエスプレッソ、より濃縮された味わいの深いコーヒーを、家庭で手軽に沸かし、楽しめるようにしたことです。
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 イタリア語では、Moka Expressと言い、単にMokaと呼ばれることの多いこのコーヒー沸かし器は、発明以来、イタリアの家庭で愛用され続け、Mokaは家庭で使う直火式コーヒー沸かし器の代名詞にもなりました。電気式のエクスプレッソ・メーカーが普及し始めた現在でも、やはりどこの家庭にも一つはあって、一人で気軽に、あるいは小人数分手軽においしいエスプレッソを楽しむのに大活躍です。イタリアの映画やドラマでは、台所のシーンに欠かせない小道具としてさりげなく登場し、生活感を醸し出しています。日本ではまだ公開されていないと思うのですが、数年前にイタリアで上映されたコメディ映画、『La febbre』(Pieraccioni)では、確か映画の最初のシーンがコーヒーが沸き出している最中のモカを至近距離から拡大撮影したもので、以後カメラが次第に後ろに下がっていって、初めて観客に、それがコーヒー沸かし器だと分かるというおもしろい趣向を凝らしていたとも記憶しています。
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 夫の伯母が一度、Mokaの発売当初に、購入をめぐって家族会議を開き、購入が決定したとき、そして購入したばかりのMokaで、初めてコーヒーを入れて飲んだときの感動を語ってくれたこともあります。

 ところが、4月8日に、この今でも愛される伝統のコーヒー沸かし器の製造拠点が、イタリア国内から東欧へ、おそらくはルーマニアへと移転するであろうというニュースがありました。わたしは当日RAI3の昼のテレビニュースで知ったのですが、夫がこの日持ち帰った新聞紙、『Corriere della Sera』にも同様のニュースを伝える記事がありました。

 記事の見出しには「ビアレッティ社、イタリア工場の閉鎖。コーヒー沸かし器はルーマニアで製造か」とありますが、具体的に記事を読んでいくと、今後労働者たちとじっくり協議を行う予定であるとのことです。そして、「カプセルコーヒーの販売躍進などによる生産規模縮小と安い経費で製造できる国の業者の台頭のために企業経営が苦しい状態にある」ことや、「おそらくはMokaすべての製造をどこか東欧の国に移転する可能性がある」ことに触れています。デザインの開発や品質基準の決定は、イタリア国内で行われるとのことですが、テレビニュースを聞いていても「made in Italyの代表的商品の製造が海外で行われること」を危惧する様子が伝わってきました。

 たとえ、製造が国外に移っても、今までどおり品質をきちんと保証できる、おいしいコーヒーが家庭で味わえる品を製造し続けていってほしいものです。
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>追記(4月13日)
 関連記事「伝統のカフェVSジョージ・クルーニー」をメルマガ42号に執筆しました。上記の新聞記事について、イタリア語の原文を一部紹介し、読解力や語彙力の強化を図っています。また、口ひげの紳士が主役のテレビコマーシャル(1959年)へのリンクも掲載しています。興味のある方はぜひお読みください。

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# by milletti_naoko | 2010-04-12 07:15 | Notizie & Curiosita | Trackback | Comments(5)